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LISTEN to books、24冊目になります。 ちょっと外の音が入るかもしれませんが、ご容赦ください。
論理的思考の概念
今日は、『論理的思考とは何か』という、渡邉雅子さんという方の書かれた本ですね。
まだ出たばっかりですね。 2024年10月18日、第1刷発行ということで、岩波新書です。
この方は、名古屋大学の教育学部ですね。 教育発達科学研究科の教授の方ということで、
私も結構なじみあるところなんですが、出身大学なんですが。
それはさておき、論理的思考とは何かということで、
私、実はプライベートリッスンという番組で、
いわゆる論理的な思考にも関わる、社会科学方法論というのは、自然科学の方法論とかなり違うはずなんだけども、
その違いっていうのは意外とさほど明確にされてこなかったんじゃないかという話で、
やっぱり論理的思考っていうこと、あるいは論理的な証明みたいなことに結構こだわって考えてきた部分があるんですが、
そんな中でこの本を新刊で目にして読ませていただきました。
もう一気に読ませていただきました。
面白かったのは、やっぱり論理的思考には複数あるということですね。
一つではないということです。
ただ思い込みとして、やっぱり論理的思考は一つだと。
なんとなく一つの真理があって、その真理に到達するための論理的思考ってやっぱり一つなんだというような思い込みがやっぱりあったんですね、どこかにね。
それが違うんだということをかなりはっきり言ってくれたという、これが一番良かったですね。
しかも、論理的思考とは目的ではなくあくまで手段だというね、これも非常にすっきりしますね。
つまり、目的に応じていろんな論理的思考法があるということなんですね。
だからこれ、例えば誰かと議論していて、それは論理的じゃないよって言ったときには、その論理的じゃないよって言ったときの相手が言ってる論理的っていうのは、いろんな論理的なうちの一つに過ぎないっていうね。
だからそれで納得したり説得できたりできなければ、それはある一つの特定の論理的な思考を言ってるだけだから、それで全てが終わるわけではないっていうね。
目的の違いに応じて論理がずれるということがあるというね。
まあ、ある意味当たり前の話だけど、でもやっぱり思い込みがあったわけですよね。論理的思考は一つだみたいな思い込みがやっぱりあったと。
これを日本とアメリカとフランスとイランですね、の学校教育、特にそこにおける作文教育ですね、
作文教育の比較
っていうのをサンプルにしながら、説得的にその個性というか特徴というか、なぜそうなっているのかというのを分類してくれてるわけですね。
ここではその4つの型を、分かりやすい表も作っていただいて、ある意味、類型化してる。あるいはそれを何て言ったらいいのかな、理念型というかな。
特に面白かったのは、やっぱり日本の作文教育ですよね。作文教育というより日本の感想文ですね。感想文を書けって、日本の小学校では必ず読書感想文を、もう大嫌いだったんですけど、感想文書けって言われて。感想文って主観的なことを書くわけですけど、それが非常に私は嫌いだったんですね。
むしろ、大学入試で小論文がある大学を受けたんですけど、名古屋大学の法学部ですが、むしろ性に合ってたんですね。小論文は書けたんです。読書感想文は書けなかったんです。
その理由がよくわかったっていうね、この本を読ませていただいてね。私に即して言えば、そういうことですね。なぜ私が読書感想文が苦手で嫌いで、一方で小論文は結構、得意にヘイヘイと書けたかっていうね。その理由が非常によくわかりましたね。
そんなことで、要するに読書感想文という作文のスタイルと、小論文というスタイルは全く違うし、そこの論理も違うというね。そこの説得力っていうのも違うと。私はもうとにかく感想文が苦手でした。
ついでに言うと、ここで面白かったのが大学入試センター試験。私の頃は共通一次試験。導入されて4年目ぐらいでしたが、私はね。その国語の問題、これが最初できなかったんです。私、国語苦手だったんです。何でかっていうと、読書感想文型の設問が多かったからなんですね。
そのこともこの本には書いてあるんですが、その読書感想文型の設問。つまり、作者の主観とかね、登場人物の主観とかを聞くわけですよ。そんなもんわかるかと思いながら、私は自分の思いで書くんだけども、それがことごとく設問者の意図から外れるわけですよね。
だから点数つかない。ところが、高校2年生の終わりぐらいから現代文は満点取れるようになったんですね。私、共通一次の現代文も満点取れたんですね。これはもう100発100中満点取れるようになったんですね。
何でかっていうことなんですが、その答えもこの本に書いてあって、要するに私は自分の考えを解答に反映してたんですよ、それまではね。一生懸命考えて、この時、作者、例えば遠藤周作のなんか、小説出てくるわけですよ。
そこで作者はどう思ったのかってね、登場人物どう思ったのかって出てきて、それに対して遠藤周作は、いやこの設問は違うと言ってね、言った話は有名なんですが。そっちの方が私は説得力があったんで、そうだよなと思って、
まあ聞いてたんですけど。踏み絵の小説ですね。それはさておき、なんていうのかな。ところが現代文が100発100中、入試センター試験、今で言うね、当時、共通一次試験の現代文はもう100発100中100点取れるようになったということで。
なんですが、実際取れたんですけども。それはもうとにかく自分の主観を入れない。出題者が何を狙ってるか、出題者の意図ですね、
に、もう沿った形で解答を見つけてあげるってことをやったら、もう全部満点取れるようになったっていうね。とにかく自分の主観を入れちゃいけないというね。
そのことが書いてあるんですね。122ページ。自分の感情や価値観を持ち出すと問題作成者の罠にかかると試験対策の本は警告しているって、まさにこれですね。
つまり、もう大真面目に出題を受け取って自分の主観も動員して解答を、悩んで選んでたわけですよ。ABCDとか12345からね、選択肢からね。
そうすると間違うから、なんで間違うんだと思ってね。全然、考えても考えてもわかんなかったんですが、これは要するに結局、自分の感情価値観をそこに持ち込んだからなんですね。
それをもう排除したんです。つまり正解を導きゃいいんで、それが正しいか正しくないか、自分がそれを正しいと思うかどうかは、もう完全に脇に置いて、
出題者はこう考えてこれが正解だと勝手に思い込んでると。だからそれを丸付けてやればいいってやったら、もう全部満点取れるようになった。
どうでもいい話ですね。これはもう本当に下世話の話なんですが、そんなことも含めてですね。つまり、イランと日本とフランスとアメリカとそれぞれを。アメリカは経済の論理でエッセイを書くんだと。
だから効率的な叙述が必要で無駄を省くというね。それに対してフランスはむしろ政治の論理で弁証法的な論理も入れながら展開するんだ。
イランはむしろ法技術の論理で、もうある真理があってこの法律は正しいというね。法規範があってそれに基づいて書くんだっていうね。それが信仰だったりするわけですけども。
日本の感想文はそれと違うんだと。社会の論理なんだって。これもね、まあこういう典型づけ、理念型にしてるんだと思うんですけど。
これはもうまあこれでわかりやすいんだというふうに思って。私はアメリカ型のエッセイは面白くないと。
政治学が専門なんですけども、アメリカ型の論述の論文が出てきたんですね。政治学の世界でも。それが政治学の科学化だとか言いながらね。
それがくそ面白くないわけですよね。その理由もよくわかった。私はどっちかというとこのフランスのディセルタシオンって言うんですけど、このフランスの政治の論理っていうのがやっぱり好きなんですね。
論理の多様性
私、政治学だったんですけど、隣に民法とか刑法とか公法の連中がいて、特に公法の連中と議論すると、
彼らはですね、民刑事法の連中もそうでしたが、法技術の論理、イランの論理で論理的な思考をするんですね。これがまたくそ面白くなかったんですね。私にとっては。
法規範はそうかもしれないけども、政治の論理は違うと。いう話ですね。もう一個、日本の社会の論理ね。これはやっぱり私ちょっと違和感がずっとある世界だったんですね。
読書感想文が苦手というのも含めて。だけど、実はやっぱり日本人として生きてきて、そういう教育を受けてきたからなんですが、ここも自分は使ってるんですね。私は意外とアメリカのエッセイの経済の論理と、
イランの法技術の論理っていうのはあんまり好きじゃなくて、フランスの政治の論理と日本の社会の論理が好きということもよく分かった。何の話してるかよく分かんないかもしれませんが、とにかくこの、ある意味、目から鱗っていうと変ですけども。思い込みですよね。
論理的であることは、一つ、グローバルに世界中どこにでも通じる一つの論理があるはずだという思い込みをしなくていいというね。むしろ目的に即していろんな論理の使い分けをしていいんだということですね。
それをある意味、ある形で書いてくれたということで、決して読みやすい本ではないと思うんですけども、一般的にはね。ただ私にとっては非常にいろんなものを整理する上で、かなりカッチリと、これで全て語られてるとは実は思ってないんですが、
だけども、こういうタイポロジーに区分けする、特にそれを学校教育という現場の作文教育というところから引っ張り出してきたというのは非常に説得力があったなということで紹介したいと思います。
ちょっと車の音うるさかったと思いますが、ご容赦ください。論理的思考とは何か。渡邉雅子さん。まだ出たばかりの、なんかベストセラーで1位になってましたね。
はい、ということでご紹介させていただきました。
Listen to Booksでした。ではまた。