カイトは人のいないロビーを見渡した。
清潔な磨かれた床と無人の保安ステーションが彼の前にあった。
彼は保安ステーションに近づき、コンピューターのモニターを見た。
それはまだログイン状態にあり、使用できた。
ビル内の全員を避難させたのか。
文子がロビーに入ってくると彼は肩越しに呼びかけた。
ええ、少なくともそう命令はした。
このステーションにはついさっきまで人がいたはずだ。
だが今は周りにも人がいない。
彼女は肩をすくめて彼のそばに来た。
避難は25分前よ。
だから避難した人は全員家に帰ったのではないかしら。
もう21時を過ぎていたし、もともと多くは残っていなかったと思うわ。
彼は振り向いてもう一度ロビーを見渡し、それから彼女と目が合った。
お前のチームはどうした?
トランスポンダーは全員重役室にある。
最上階よ。
カイトは保安ステーションの机の上にあったセキュリティバッジを手に取った。
彼はエレベーターのところに歩き、彼女のために扉を押さえた。
バックアップが来るまであと15分。
彼女は開いたエレベーターに乗り込みながら行った。
それを待つつもりはない。
彼はセキュリティバッジをセンサーにかざして最上階を解除しながら行った。
じゃあ、どんな作戦があるの、カイト?
その男と話して、彼と鬼のつながりを見つけ、お前のチームも見つける。
ずいぶん簡単そうに言うのね。
彼は笑った。
万物はシンプルだ。正しい見方さえすればな。
彼女はかぶりを振り、ライフルをチェックした。
私の経験では、そうではなかったわ。
恐れを手放せ。それは幻覚だ。
すべてはいずれは終わるのだ。
そうね。私たちが今夜終わるのでなければいいけど。
彼がうなずくと、エレベーターの扉は最上階で開いた。
フミコが最初に踏み出し、ライフルを構えて、部屋の中に敵がいないことを確認した。
カイトが後に続き、そしてそれを見つけて立ち止まった。
天井は15メートルほどの高さで、巨大な鳥居が中心に立っていた。
そこは多くの部屋に通じていたが、重薬室に入るには鳥居をくぐらなければならなかった。
彼は上を見たまま、石頭色の石のアーチに近づき、それに手を当てた。
何かおかしなところがあるの?
フミコが質問した。
これは本物の鳥居だ。ただの装飾じゃない。
とても古くて、よく手入れされている。
このような場所にあるのは奇妙だな。
ええ、そうね。屋内で見ることはあまりないってわけね。
こんな風に建物の中に移設された例は知らない。
神道では、これは屋外だからこそ機能する。
俗世と神聖なものを分けるものだ。
よく知らないが、異端の教派ではこういうものもあるのかもしれない。
ブッダが企業の重薬を神聖なものとみなすことはないと思う?
なさそうだな。
彼は大型の部屋の奥へと歩き、そこがもう一つのロビーであることに気づいた。
受付のデスクが鳥居から数歩のところに立っており、
CFOとCEOのオフィスへの道を守っていた。
それもまた無人であった。
彼が歩くたび、尺上の輪の鳴る音が無人のホールに響いた。
監守のチームの痕跡はなかった。
お前の部下はどこにいる?
この先、何十メートルか行ったところよ。
二人は月あたりの両開きの扉まで移動した。
そこにはCEO尾口健太と日本語の文字で書かれたプラカードが設置されていた。
彼は片方の扉を内側へと押し開き、息を呑んだ。
文子は彼のそばへと急ぎ、叫んだ。
そこに並んでいたのは五名構成のチームだった。
内蔵を飛び出させ、ほとんど形が分からなくなるまで横断されていた。
何名かの頭部は割れていた。
血と粉弁の匂いが広い重役オフィスの中に強く漂っていた。
カイトは死体から視線を移し、部屋の中を探った。
部屋の反対側で動きがあり、彼の目を引いた。
高価そうなスーツを着た中年の日本人男性がタオルで手を拭きながらトイレから出てきた。
白いタオルについた赤い筋が目についた。
何だこれは。
カイトは日本語で呼びかけた。
許可もなく私のビルに入り、それを質問するだけの弾力があるとはなあ。
彼は英語で答えた。
企業スパイだよ。疑いもない。あるいはテロリストだな。
机まで歩き、血のついたハンドタオルを小さなゴミ箱に投げた。
それから机の前に立ち、わずかにそれにもたれかかった。
あなたがオモグチケンタ?
フミコが問いかけた。
一体何なの?どうやってこんなことを。
彼らは銃をちらつかせながら来たのでね。
命の危険を感じたというわけだ。
男は微笑んだ。
この男たちを素手で殺したのか。
カイトが問いかけた。
そうだ。無礼な連中だったのでね、お坊さん。
フミコはライフルでオモグチを狙った。
このクソ野郎。
カイトは彼女の肩をたたき、ささやいた。
やめろ。ここで何が起きたのかを確かめなくては。
私は王だ。
暴露の僧侶や秘密組織の純軍事エージェントの質問などには答えんよ。
カイトは彼が何を意味したのか質問しようとしたが、
スーツが縫い目で裂ける音を聞いて気をそらされた。
彼の肉は盛り上がり、布地を。
ついで彼の青白い肌を裂き、
2.5メートルの角の生えた鬼の戦士の姿が現になった。
裂けた皮膚はタイル地の床にバラバラと散らばり、血が彼の周りに撒き散らされた。
鬼は明るい青の肌をしており、3本の角が額から生え、口は牙で満たされていた。
彼の目は赤く輝き、オフィスを暗く照らした。
油で濡れたような緑の鱗の服を着ており、荒々しい肉を包む鎧のように見えた。
カイトは周りを見回し、部屋が暗くなり、霧が床から立ち上り、エージェントたちの死体を包んでいるのを見た。
空気も冷たくなっていた。
鬼は左側に手を伸ばし、きらきらと輝く空中から、超大な薙刀を取り出した。
我が領地を犯し、答えを求めるお前は何者だ、放浪者よ。
カイトは釈情を握り、その先端に札を設置した。
お前の名は何だ、魔よ。
守天堂寺
カイトの口が大きく開かれ、しばしあっけに取られた。
何?
文子が促した。
お前の坊主は知っているようだぞ。
鬼は叫び、豪快な笑いで部屋を満たした。
何と言えばいい、酒好きなことか。
文子はもう一つの質問を投げかけようとしたが、
薙刀が彼女の眼前の床に叩きつけられ、衝撃波がほとばしり、彼女は後ろに吹き飛ばされた。
カイトの釈情が衝撃を和らげた。
札が効果を発揮すると、鐘の音が響いた。
質問はここまでだ。
鬼は叫び、カイトの方に突進した。
薙刀がカイトに震われると、彼は言霊を発し、右へと飛んだ。
刃は言霊に弾かれ、再び床に叩きつけられた。
砕けたタイルと破片がカイトの体を襲った。
彼は頬と腕に焼けるような烈傷を感じ、出血したと知った。
彼は釈情を振り下ろし、鬼の前腕を打った。
重い打撲音がして、鬼は唸り、しかし彼へと手を伸ばした。
巨大な手がカイトの開いた手のひらを包み、激しい閃光が鬼の固く握りしめた拳からほとばしった。
青い血がカイトの胸にしぶき、朱天道寺はあえいで激しく傷ついた手を引いた。
三本の指が小爆発により折れ、烈傷は巨大な青い手のひらまで切り込んでいた。
カイトは鬼の血で汚れ、効果のなくなった札を捨てた。
魔は薙刀を落とし、拳を胸で握り込んだ。
「いまいましいネズミめ。よくも俺を打ったな。」
カイトは走り込み、釈情を巨人の眼前の壊れたタイルに突き入れた。
杖の基部はほぼ床へと沈み、頂上の札が明るく輝き、鐘の響きの不協和音を引き起こした。
札は白く輝き、鬼は目を無傷の方の手で覆い、日本語で悪態をつきながらあえいだ。
カイトは身を乗り出して、二枚の札を輝く鱗の鎧に貼った。
白い光が発し、何本もの鎖が現れ、鬼を縛り、床へと縫い付けた。
鎖の一本が太い首を取り巻くと、鬼は喉を鳴らした。
カイトは杖を床から引き抜いた。
使い尽くされた札がその先端から崩れ剥がれた。
彼は振り向き、フミコを見下ろした。
彼女は衝撃で壁まで吹き飛ばされ、そこから起き上がろうとしていた。
彼女が衝突したところの剣材が崩れ、彼女の上に降り注いでいた。
彼は彼女の隣に鏡込んだ。
怪我はないか、フミコは呻きながら彼の手を取った。
彼は彼女を引き上げて立たせた。
頭が割れるようだわ、でもどこも折れてないと思う。
彼は彼女の肩越しに、彼女が壁に残したクレーターを見た。
彼女も彼の視線の先を追い、そして息を呑み、自分の体に手を走らせた。
ジーザス、どこか出血してない?
そうは言えないな。
ヤマチチの力?
彼はうなずき、もがく鬼に向き直った。
鎖は逃げようともがくたびに明るく輝き、きつく締め付けた。
カイトは鬼の王の前に立った。
ここで何をしている?
お前は死んだと聞いていたぞ。
人間が作った物語だ、ははは。
彼は誰なの?
フミコが質問した。
鬼の王を自称する者。
かつてこのあたりで多くの死を引き起こした。
伝説によると、著名な侍に首を切られたというが。
その通りだ坊主。
だが俺は生き延びた。
俺の魔法は強い。
なぜ変装した?
なぜ人間のふりをする?
権力だ。
常に権力をめぐる話ではないか。
俺には資源と影響力が必要だった。
俺に従う妖怪たちを覚醒する世界に連れ帰るためには、
消えつつある領域について話せ。
なぜここに逃れようとする?
仲間に聞いてみるんだな。
カイトはフミコを見た。
彼女は首を振った。
その女は知っている。
皆知っているぞ。
そいつらは何ヶ月も俺たちを狩り集めようとしていた。
そいつらはなぜ俺たちがここにいるか知っているぞ。
魔法は消えるのだ、坊主。