タイトル: 無期限
著者: incorrectsummary
作成年: 2025
ソース: http://japan-backrooms-wiki.wikidot.com/indefinite
©️The Backrooms JP Wiki: http://japan-backrooms-wiki.wikidot.com
BGMタイトル: Folklore
作者: shimtone
作者ページ: https://dova-s.jp/_mobile/_contents/author/profile295.html
DOVA - SYNDROME楽曲リンク: https://dova-s.jp/_mobile/bgm/play15759.html
3・8・11・19・24・27日更新予定
【活動まとめ】 https://lit.link/azekura
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サマリー
語り手は自宅に現れる「黄色い階段」について語る。最初は写真でその存在を知り、後に自宅の廊下や窓の外で実際に目撃する。この不可解な現象に悩まされた語り手は、聞き手に代わりに自宅で生活し、階段を目撃した際にそれを理解してくれるよう依頼する。
発見された写真と最初の目撃
発見記録 無期限
この写真です。見てください。 この階段が、ここのどこかにあるんです。
つまり、この家にあるんですよ、この階段が。
それがわからないんです。 一体どうやって、どこにあるのか。
だって、こんなものがあるはずもありませんから。
見ての通り、うちはただの一軒家でしょ。 こんな場所は知りませんし、ありえない。
しかし、どうも存在するようなのです。 ああ、いえ、お気持ちはわかります。
私だって本当に確信しているわけではないのですし。 というより、一体こんな話を誰だって信じようと思わないでしょう。
実際に見たのでなければ。 そうですね。
順を追ってお話ししなければ。 その、最初にあれを見たのは、4ヶ月ほど前のことです。
家の中にあるはずのない場所を見たのです。 それなのに、あの時はほとんど気にも止めませんでした。
そのこと自体が、なんだかおかしくて。 ただその時は、ちらとそれを見ただけで、なぜだか不思議にも思わなかったのです。
どこで見たのだったかも曖昧で。 確か、浴室から戻る途中だったか。
電気もつけずに。 だって、リビングまで戻るだけですから。
暗い廊下の先で。 えや、途中の壁だったかもしれません。
とにかく、それは黄色がかった明かりのように見えました。 でも、ここの廊下に黄色い明かりなんてありませんし、壁そのものが周りとは違っていて。
それに気づいて、私は足を止めました。 そこには、この写真の階段と同じような壁があったはずなのです。
そうです。ごめんなさい。混乱してしまって。 そこの廊下だか壁だかの先に、この写真に写っている階段があったに違いありません。
今思えば、私が見たのは、この階段への入り口なんです。 でも、私はそれを遠まきに眺めると、その場をさっさと離れてしまいました。
そのままリビングへ行って、その後洗面台に。 髪を乾かしたかったんです。
その時は、お風呂上がりでしたから。 それで、ドライヤーを使っているうちに忘れてしまったのでしょう。
本当に、この時からすでにおかしかったんです。 一体どうしてこんなことに無関心でいられたのか。
アルバムの中の写真
でも、それからしばらくは何もありませんでした。 その一ヶ月ほど後に、写真を見つけるまでは、この階段の写真。
これを撮ったのは、私ではありません。 母の持ち物を整理していたんです。
ここ10年ほどの写真をまとめたアルバムを見つけて、あまり写真に凝るような人ではありませんでしたから、大切な思い出の大切な場面だけを入り抜いて集めていたようです。
そのほとんどは、集合写真やポートレートだとか、旅行先の風景などでした。
でも、アルバムが終わるまであと数ページというところに、この写真があったのです。
こんな写真を、母はなぜアルバムに閉じているのか、一目見て違和感がありました。
こんな陰気な階段に、どんな思い出があるのだろうか、と。
ただ、この階段にどこか、騎士館のようなものも感じたのです。
この場所を私は知っている。
そんな気がし始めると、騎士館はもはや懐かしさにすら変わっていくようでした。
私はそれでなんだか満足してしまって、アルバムを閉じたんです。
本当にそれだけのことだったはずなのに。
階段を探す日々
それ以降、町の中にあの階段を探している自分がいることに気づいてしまったんです。
出先の建物で、わざわざ階段がどうなっているかを見ようと出て行ったり、
しまいには用もないのに古そうな建物へ入って行ったりなんかして、どうしても気になってしまうんです。
この頃から、私はあの階段の写真を寝室に飾っていました。
どうかしていると思われるでしょうね。
夢にさえ見たんです。それも何度も。
私は夢で階段を歩いて、この写真には写っていないようなところまで知り尽くしていました。
でも目を覚ますと、ほとんど忘れてしまう。
本当に夢だったのかと疑うくらいでした。
これは単なる夢ではなくて、記憶なのではないかと。
でも、とはいえ当然のようなことですけど、この階段を実際に見つけることはありませんでした。
最近は少しずつ忘れられそうな気がしてきていたんです。
こんな階段のことなんて、こだわるだけ不毛なことだとわかっていましたから。
窓の外の階段
それなのに、つい2週間前に私は見たんです。
この家で、この階段を、それも窓の外に。
そうです、窓の外側です。
その窓はここから隣の部屋にあって、道の向こうに雑木林が見えるだけの小窓でしたが、
なんとなしに気に入っていたんです。
私はその部屋で読書をしていました。
夜でしたから明かりをつけて。
でも、ページに当たる光がなんだか黄色くて、ふと顔を上げたんです。
右の窓がある方へ。
窓の先にはあの黄色い光がありました。
私は窓越しに階段の踊り場を横から見ていたんです。
道や林を見下ろすのではなしに。
それはちょうどこの写真に映っている踊り場とよく似ていました。
いいえ、瓜二つでした。
窓の外が屋内になっていて、しかもあの階段があるだなんて。
馬鹿げているようですが、これだけは絶対に夢などではありえません。
窓から手を出して、埃っぽい床へと触れさえしました。
私の手には黒い埃がたくさんついて、
それを口実に手を洗おうとして部屋から出て行ったんです。
だって恐ろしかった。
その部屋にはしばらく近寄りませんでした。
扉の前に家具を置いてバリケードなんか作って、でも何も起きませんでした。
意を決して扉を開けても窓の先に階段なんてありません。
私は階段が消えて安堵するどころか、ひどく恐ろしくなったのです。
依頼
このまま一人で、これに、この階段に囚われ続けるだなんて、とても耐えられない。
こんな訳のわからない孤独に、きっと見ていただければわかると思うのです、あなたにも。
だってそうでしょう?
そうするほかに、この場所が存在するだなんて証明することはできません。
実際に見た私でさえ、まだ少し疑っているほどなのですから。
いえ、誰でもいいのです。
このことをただ、わかっていただきたい。
そうしてあなたが依頼に応じてくださった。
どうか、私の代わりにこの家で生活してほしいのです。
もちろん、家のものはお好きなようにお使いください。
見られて困るものなどはあらかた処分してありますから、心配することはありません。
報酬のほかに、期間中の生活費などもこちらでご用意いたします。
私には身寄りがありませんから。
いえ、全く大した仕事ではないのです。
ただ、この家であなたが暮らしていて、
もしも黄色い階段を見ることがあったなら、
このことを私のように理解していただきたい。
それだけなのです。
いかがでしょう?
引き受けていただけますか?
09:59
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