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#08 夏目漱石「夢十夜」より「第一夜」を朗読……の前に「夢十夜」のルーツを探りつつ語る回
2025-06-26 17:12

#08 夏目漱石「夢十夜」より「第一夜」を朗読……の前に「夢十夜」のルーツを探りつつ語る回

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【#08 夏目漱石「夢十夜」より「第一夜」を朗読……の前に「夢十夜」のルーツを探りつつ語る回】

・今回の第八回は、「寝落ちしてもらう」をコンセプトに少しだけいつもと構成を変えてみました

・再生アプリで「この番組の終了で止める」という機能があるはずなので朗読を聴いたらそのまま寝落ちしてください

・第七回の「旦那さんがほしい」発言に友人が……!?

・新宿BAR雨での展示、ありがとうございました!

・鎌倉芸術祭のために書き下ろした戯曲「あじさいの幽霊」を朗読するイベントもありました

・展示したありねこちゃんの作品のなかにも「夢十夜」の「第一夜」をテーマにしたものがあるほど「第一夜」が好き

・今でしょの林先生(私の恩師・詳しくは第一回を聴いてね)は「第三夜」推し!怖いよね

・「夢十夜」のルーツルーツ

・「小品」という分類

・文学フリマでも「夢十夜」モチーフの作品多いよね

・朗読!夏目漱石「夢十夜」より「第一夜」


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00:11
みなさん、こんばんは。この番組は、脚本家、雨庭有沙が好きなものを好きなだけ語るポッドキャスト番組です。
私の声はよく、聞いていると眠くなると言われます。そんな声のラブレターを聞きながら、ぐっすり寝落ちしてもらいたいです。
今回の第8回は、寝落ちしてもらうをコンセプトに、少しだけいつもと構成を変えてみるつもりです。
ポッドキャストの再生アプリの設定で、番組が終わるとそのまま再生がストップすることができる機能があるはずなので、ぜひ試してみて寝落ちしてみてもらいたいです。
番組の感想は、ハッシュタグ眠ラブ。ネムがひらがなで、残りはカタカナでお願いいたします。
お便りも募集しています。番組への感想、雨庭に全力で褒めてもらえるレター、取り上げてほしいルーツルーツの題材などなど、どんなレターでも大会計のポストを設置しています。
番組で取り上げなくていい、感想だけ送りたいという方でも、どしどしお寄せください。概要欄にURLを貼っています。
というわけで、眠れぬ夜にはラグレター第8回です。改めまして、雨庭アリサです。
前回の第7回を聞いた友人から、雨庭さんは仕事熱心だから、てっきり恋愛に興味のない人だと思ってたからびっくりしたと言われ、私もそう言われてびっくりしてしまいました。
恋愛、興味あります。任せてください。旦那さんが欲しいです。
というわけで、パラ雨での10日間の展示が終わりました。知り合いも含めて初見の方々にも来ていただくことができて、結果たくさんのアリネコちゃんの作品が皆さんの手に渡っていきました。ありがとうございます。
インスタグラムとエックスの方に展示の様子を写真で残しているので、気になる方はぜひ見てみてください。
改めてアリネコちゃんの持つ可能性などを感じる10日間でした。
やっぱりシンプルだからこそ、生かすことができる味というものがアリネコちゃんにあるかなと思っています。
アリネコちゃんを描いてみようというコーナーも作って、皆さん20人くらいに描いていただいたんですけど、皆さんの個性がよく出るアリネコちゃんのお顔。
案外簡単そうに見えて難しいのがアリネコちゃんの特徴なんですが、その特徴をちゃんと活かしつつ、アリネコちゃんをその人の絵柄で描いているというのもあって、すごく嬉しい体験でした。
私は展示とか、ギャラリーへの参加と文学フリーマンへの参加というのも、ここ1年、これからの1年はちょっとお休みする予定なので、最後にいい展示ができてよかったなと思っています。
03:15
今回展示期間中に、おととしの12月の鎌倉芸術祭というイベントの書き下ろしの芸曲「紫陽花の幽霊」という脚本を朗読させていただいたんですけれども、前回は一人芝居で私が頑張って話したんですけれども、今回は朗読家のホンナキクさんという方と2人で読ませていただきました。
すごくいい経験になりました。
朗読またやりたいなーというわけで、この回では夏目漱石 夢十夜から第一夜を朗読させていただきます。
そうなんです。第1回で朗読もできたらいいけど、私はまだまだ声が自信ないっつってやめてたんですが、もう第8回なのでもう解禁です。
朗読解禁でございます。
ちょうどバーアメの展示で夢十夜の第一夜をモチーフにした有猫ちゃんのイラストを制作していたんですが、テーマにしたいほど私は夢十夜引いては第一夜が大好きです。
というわけでここでルーツルーツのコーナーです。
夏目漱石の夢十夜。
終栄者文庫の夢十夜草枕という文庫から解説の引用させていただきます。
夢十夜は明治41年7月25日から8月5日にかけて東京朝日新聞に連載された。
夢十夜はコシナと呼ばれている。
コシナは小説と随筆の中間にある短編といった意味であるが、実際に漱石が見た夢かどうかといった問題ではなく、夢十夜はあくまで史上豊かな作品として読み味わうべきものであろう。
夢十夜は漱石にとっても従来の近代小説にとっても類例のない作品であるといえよう。
夢十夜は近代ますます授与しされるようになり、高校国語教科書にも収録され、黒澤明監督が最新作夢という映画で夢十夜のこんな夢を見たという書き出しの設定の下、様々な夢の世界を繰り広げているほどだ。
夢という設定により一般の近代小説の持つ日常性や論理性を超えて豊かな想像の世界を自由に語り出すことができるのである。
確かに私、今で書の林先生が恩師という話を第一回でしたと思うんですけど、林先生がこの夢十夜の第三夜がすごく好きで、第三夜はあらすじだけ聞いたら知ってる人も多いと思うんですけれども、
06:03
まあ出だしはね。
こんな夢を見た。
六つになる子供をおぐっている。
確かに自分の子である。
ただ不思議なことには、いつの間にか目がつぶれて、青ゴーズになっている。
自分が、おまえの目はいつつぶれたのかいと聞くと、なに昔からさと答えた。
声は子供の声に相違ないが、言葉好きはまるで大人である。
しかも対等だ。
そう、六つになる子供をおぐってるんですが、重くないかい、父さんって言い出して、どんどんどんどん怖い展開になりまして。
そうなんですよ。
重くないかい。今に重くなるよ。
みたいなね。
もう、最後のセリフがね。
おまえが俺を殺したのは今からちょうど百年前だね。
いや、読んでください。
今なんか、超ネタバレしちゃったけど。
あの、はい。
おぶっていた子供が実は。というのが第三夜。
で、林先生の授業でこの第三夜を読んだ時に、私夏目漱石って天才かもと思って、夢中夜を全部読んだ覚えがあるんですが、
もう、全部いいですね。
それぞれの作品のもっち味がすべていい。
近年の文学不倫までも夢中夜をモチーフにしたグッズとか、
その同人誌、その夢中夜、この私なりの夢中夜みたいなの結構見るので、
やっぱりね、こんな夢を見たり始まる、その腰な、その随筆と小説の短編の間みたいなものって、いやぁ、いいですね。
というわけで、私が頑張って朗読した第一夜をこの後聞いていただきます。
なので、先にお休みを言おうと思います。
ここまで聞いていただきありがとうございました。
番組の評価とフォローをぜひよろしくお願いします。
では、この後第一夜を聞いて、ぐっすり寝落ちしてください。
おやすみなさい。いい夢を。
お相手は雨庭アリサでした。おやすみなさい。
第一夜。こんな夢を見た。
腕組みをして枕元に座っていると、仰向きに寝た女が、静かな声で、もう死にます、という。
女は、長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな織座根側をその中に横たえている。
09:02
真っ白な頬の底に、温かい血の色が程よく差して、唇の色は、むろん赤い。
到底死にそうには見えない。
しかし女は静かな声で、もう死にますと、はっきり言った。
自分も確かにこれは死ぬなと思った。
そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と、上から覗き込むようにして聞いてみた。
死にますとも、と言いながら、女はぱっちりと目を開けた。
大きな潤いのある目で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真っ黒であった。
その真っ黒な瞳の奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。
自分は透き通るほど深く見えるこの黒目の杖を眺めて、これでも死ぬのかと思った。
それで、念ごろに枕のそばへ口をつけて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。
すると女は黒い目を眠そうに見張ったまま、やっぱり静かな声で、
でも、死ぬんですもの、仕方がないわ、と言った。
じゃあ、私の顔が見えるかい、と一心に聞くと、
見えるかいって、そら、そこに、映ってるじゃありませんか、と、にこりと笑って見せた。
自分は黙って顔を枕から離した。
腕組みをしながら、どうしても死ぬのかなと思った。
しばらくして女がまたこう言った。
死んだら埋めてください。
大きな真珠貝で穴を掘って、
そうして天から落ちてくる星の影を墓印に置いてください。
そうして墓のそばに待っていてください。
また会いに来ますから。
自分はいつ会いに来るかね、と聞いた。
日が出るでしょ。
それから日が沈むでしょ。
それからまた出るでしょ。
そうしてまた沈むでしょ。
赤い日が東から西へ。
東から西へと落ちていくうちに、
12:04
あなた、待っていられますか?
自分は黙ってうなずいた。
女は静かな調子を一段張り上げて、
百年待っていてください、と思い切った声で言った。
百年、わたくしの墓のそばに座って待っていてください。
きっと会いに来ますから。
自分はただ待っていると答えた。
すると黒い瞳の中に鮮やかに見えた自分の姿がぼーっと崩れてきた。
静かな水が動いて映る影を見出したように流れ出したと思ったら、
女の目がぱつりと閉じた。
長いまつげの間から涙が頬へ垂れた。
もう死んでいた。
自分はそれから庭へ降りて、真珠貝で穴を掘った。
真珠貝は大きななめらかな縁の鋭い貝であった。
土をすくうたびに貝の裏に月の光が射してキラキラした。
湿った土の匂いもした。
穴はしばらくして掘れた。
女をその中へ入れた。
そうして柔らかい土を上からそっとかけた。
かけるたびに真珠貝の裏に月の光が射した。
それから星のかけの落ちたのを拾ってきて軽く土の上へのせた。
星のかけは丸かった。
長い間大空を落ちている間に角がとれてなめらかになったんだろうと思った。
抱き上げて土の上へ置くうちに自分の胸と手が少し温かくなった。
自分は苔の上に座った。
これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら腕組みをして丸い墓石を眺めていた。
そのうちに女の言った通り日が東から出た。
大きな赤い日であった。
それはまた女の言った通りやがて西へ落ちた。
赤いまんまでのっと落ちていった。
一つと自分は感情した。
15:06
しばらくするとまたからくれないの点灯がのそりとのもってきた。
そうして黙って沈んでしまった。
二つとまた感情した。
自分はこういうふうに一つ二つと感情していくうちに赤い日をいくつ見たかわからない。
感情しても感情してもひつくせないほど赤い日が頭の上を通り越していった。
それでも百年がまだ来ない。
しまいには苔の生えた丸い石を眺めて自分は女に騙されたのではなかろうかと思い出した。
すると石の下から蓮に自分の方へ向いて青い茎が伸びてきた。
見ぬ間に長くなって、ちょうど自分の胸のあたりまで来て止まった。
と思うとすらりと揺らぐ茎の頂に心持首を傾けていた細長い一輪の蕾がふっくらと花びらをひらいた。
真っ白な百合が花の先で骨に応えるほど匂った。
そこへ遥かの上からぽたりと梅雨が落ちたので花は自分の重みでふらふらと動いた。
自分は首を前へ出して冷たい梅雨の滴る白い花びらに切符した。
自分が百合から顔を離す拍子に思わず遠い空を見たら
暁の星がたった一つ瞬いていた。
百年はもう来ていたんだなとこの時初めて気がついた。
17:12

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