Ep.1405 キオクシア、世界最高密度の3D NANDフラッシュを発表──サムスンを逆転する「層数より密度」の戦略(2026年8月6日配信)
2026-08-06 03:40

Ep.1405 キオクシア、世界最高密度の3D NANDフラッシュを発表──サムスンを逆転する「層数より密度」の戦略(2026年8月6日配信)

タイトル


キオクシア、世界最高密度の3D NANDフラッシュを発表──サムスンを逆転する「層数より密度」の戦略


このエピソードで登場するキーワードを説明します。


キオクシア (Kioxia): 日本を代表する半導体メーカー。NAND型フラッシュメモリの発明企業であり、現在は米ウエスタンデジタル(サンディスク)と共同開発を続けている。


BiCS FLASH: キオクシアが開発する3次元フラッシュメモリ技術。最新の第10世代ではメモリセルと周辺回路を別々に製造して貼り合わせる「CBA技術」を採用し、性能を飛躍させた。


QLC (Quad-Level Cell): 1つのメモリセルに4ビットのデータを記録する技術。従来のTLC(3ビット)より大容量化が可能で、AIデータセンターでの需要が急増している。


面積密度: シリコンウェーハ1平方ミリメートルあたりからどれだけのデータ容量を取り出せるかを示す指標(Gb/mm²)。層数のみを追う従来競争から一線を画す重要スペック。


それでは解説に入ります。


キオクシアとサンディスクが2026年8月4日、米国で開催された「FMS 2026」カンファレンスにおいて、業界最高のビット密度を誇る第10世代3次元フラッシュメモリ技術を発表しました。AI時代のデータセンター需要に直結する大容量ストレージ向けの新技術として、業界の耳目を集めています。


これまで3次元フラッシュメモリの技術競争は「何層積み上げられるか」という層数偏重の戦いが続いてきました。例えば、競合である韓国サムスン電子は第10世代モデルで400層超という記録を打ち立て、さらには900層や1000層への展望まで示しています。しかし、今回のキオクシアのアプローチは根本的に異なります。彼らが発表した最新メモリは「332層」と層数では競合を下回るものの、1つのセルに4ビットのデータを詰め込む「QLC」技術や、メモリセルと周辺回路のウェーハを別々に製造して後から貼り合わせる独自技術を高度に組み合わせました。


その結果、データセンター事業者にとって真に重要な指標である「面積密度」において、37 Gb/mm²という数値を叩き出しました。これは、サムスン製400層超モデルの面積密度(約28 Gb/mm²)を大きく上回り、実質的な記憶容量とウェーハあたりのコスト効率で首位を逆転したことを意味します。単なる層数の背比べから、真の密度競争へとゲームチェンジを起こした格好です。


生成AIの普及に伴い、膨大な学習用データやマルチモーダルな情報、さらにはRAG(検索拡張生成)などの推論システムを支えるため、データセンターのストレージは逼迫しています。消費電力の増大や物理スペースの枯渇が叫ばれる中、キオクシアの「層数より密度」を重視する戦略は、限られたリソースで最大容量を引き出す現実的な最適解として評価されています。日本発のメモリ技術が、世界的なAIインフラのストレージ階層をどのように塗り替えていくのか、量産に向けた今後の動きが注視されます。


今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。

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