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第497回 背骨を整える=自律神経を整える。心臓外科医から学んだ「膜」と「構造」の話
2026-02-20

第497回 背骨を整える=自律神経を整える。心臓外科医から学んだ「膜」と「構造」の話

こんにちは。姿勢治療家(R)仲野孝明です。
この番組では、体の姿勢と生きる姿勢、より豊かに人生を生きるための姿勢力について話をさせていただいてます。

今回は、姿勢治療家(R)が考える健康の要素、6ヘルス(構造・睡眠・食・運動・精神・呼吸)の中の「構造」の話です。
診療中に交わした会話の中で「これはぜひ共有したい」と思った話があります。相手は、日本を代表する心臓外科医のひとり——南和友(みなみ かずとも)先生です。
筋膜が固まると痛みが出るように、心臓も膜(漿膜)が硬くなると動きが制限される。心臓外科医・南和友先生との会話から、自律神経と背骨、運動の考え方を整理します。




心臓外科医・南和友先生とは
南先生は、日本人として初めてドイツ・ボン大学の外科教授を務められた先生です。1974年に京都府立医科大学をご卒業後、西ドイツへ渡り心臓血管外科の道へ。年間6000件もの心臓血管手術が行われる世界最大級の施設で副施設長を務め、200名以上の心臓外科医を育成されました。
現在は東京・恵比寿で「南和友クリニック」を運営されています。以前、ポッドキャストでもスペシャル対談(第101回・102回)にお越しいただいたご縁があります。




「筋膜」と心臓を包む“膜”の、意外すぎる共通点
南先生が監修される健康本(ムック)の話をしていた時、話題が「筋膜」に移りました。その時、南先生がさらっと言った一言が、衝撃でした。


「仲野くんがやっている筋膜リリースって、実は心臓の膜と似ているんだよ」

筋膜は、皮膚の下をネット状に覆う組織で、ここが固まると関節が動かなくなったり、痛みや違和感が出たりします。
そして心臓もまた、「漿膜(しょうまく)」という薄い膜に包まれています。心臓の周りには、摩擦を減らすための液体(心嚢液)があり、膜には本来“動ける余裕”がある。いわば、心臓がスムーズに動くための「遊び」です。
ところが——

膜が固まると、心臓が動けなくなる
南先生によると、この膜は年齢や病気によって硬くなってしまうことがある。硬くなった膜は、まるで鎧のように心臓を締めつける。南先生はそれを
「鎧(アーマーハート)」
と表現されていました。
鎧のように硬くなると、心臓が動ける範囲が極端に狭くなり、運動そのものが危険になることもある。さらに怖いのは、無理に心臓を動かそうとして過剰な運動をすると、膜が炎症を起こして“さらに硬くなる”可能性がある、という点です。

そして驚いた事実:普通のメスでは切れない
南先生のお話で最も驚いたのはここです。
鎧のように硬くなった漿膜は、普通のメスでは切れず、電気メスで切ることがある。手術では、その硬くなった膜を一旦すべて取り除く。すると、心臓の周囲には——
薄くて柔らかい新しい膜が、自然に再生する
そうです。
これ、筋膜の話にそのままつながります。固まった膜(筋膜)に“適切な刺激”を入れて動ける余裕を取り戻す。膜が変わると、中身(関節・臓器)の動きが変わる。
構造って、こういうことなんですよね。




走り出しが重いのは「休みすぎモード」かもしれない
もうひとつ、臨床やランニング現場でよく出る相談があります。
「仕事終わりの夜は快調なのに、休みの日の朝(土日)は走り出しが重い」これ、意外と多いです。
南先生に伺ったところ、これは自律神経のバランスの話でした。
交感神経(エンジン)と副交感神経(ブレーキ)は、仲良く寄り添いながら切り替わる。休日で体が重いのは、副交感神経が優位になりすぎて、交感神経の“起動”が遅れている状態。いわば「休みすぎモード」です。

対策:一歩目の前に、ちょっと刺激を入れる
走り出す前におすすめはシンプルです。



腕立て伏せを数回


腹筋を少し


アドレナリンが出る音楽を聞く


「走る前に、交感神経のスイッチを入れる」それだけで、体がスッと動きやすくなります。




医療は「誰に最初に見つけてもらうか」で未来が変わる
僕は診療で心臓のトラブルが疑われるサインがあった時、迷わず南先生をご紹介します。例えば、人間ドックで問題なしと言われても



脈拍が常に100以上


動悸が続く


息切れの質がいつもと違う


こういう時は、「様子見」より「最初の一手」が大事です。
そして医療は、最初に見つけてもらう先生が重要です。一流の先生が見つければ、その後の紹介ネットワークもまた一流につながる。
ありがたいことに、南先生からも「仲野先生のところへ行ってごらん」と言っていただき、患者さんが来てくださることがあります。互いに信頼し合える関係は、患者さんの安心に直結します。




100年のつながり:家族ぐるみの縁が、今につながっている
僕と南先生のご縁は、実は家族の縁から始まっています。父(3代目)の高校時代の先輩が、南先生のお兄さんだったという繋がりがあり、20歳の頃からお名前は存じ上げていました。
そして伝説のような話も聞いています。「日本ではもう手術できない」と言われた心臓の病気の方が、ドイツにいた南先生の元へ飛び、短時間で手術が成功し、翌日には食事をしていた——。
今は南先生が恵比寿で開業され、距離も近くなりました。先生ご自身も、手術姿勢の影響や、慣れないパソコン作業による肩の疲れなどで、僕のところへ来院されることがあります。




結論:背骨を整えることは、自律神経を整えること
「自律神経って、どこにあるのか?」
答えは、背骨(脊髄)に沿ってネットワークが作られているということです。カイロプラクティックは、背骨を整える(アジャストメントする)ことで、自律神経のバランスを整える専門職でもあります。
そして近代的なアプローチは、骨だけを見ません。使い方の癖で“動かなくなった筋肉”にもアプローチして、再び使える状態へ戻す。これが仲野整體で行っている形です。
人間の体は、脳と脊髄が全身をオートマチックに動かしています。その根本を整え、曲げてしまった筋肉を元の使える状態に戻していく。これが「一生長く使い続ける」ための最短ルートです。
祖父の言葉 「医者より養生、薬より手当て」 の通り、これからの時代ほど「体の使い方」にフォーカスし、自律神経を整えることが重要になります。
AIが進歩する時代だからこそ、人間自身の体の価値を再認識し、実践的に発信していきます。
体を見直す時間は、人生を見直す時間です。

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