第七十七話『日常から逃げない』-【函館篇】 脚本家 野田高梧-
2017-02-18 11:55

第七十七話『日常から逃げない』-【函館篇】 脚本家 野田高梧-

日本を代表する映画監督、小津安二郎。
その作品の多くの脚本を書いたシナリオ界、伝説のひとがいます。
野田高梧(のだ・こうご)。
彼は、北海道・函館に生まれました。
父親は、函館税関に勤めている役人でした。
野田が、今から65年前の1952年に書いた『シナリオ構造論』は、のちの脚本家たちに多大な影響を及ぼしました。
彼が紐解いた脚本の構成、セリフ、プロットの組み立て方は、時代に色あせることはありません。
その証拠に昨年、復刊されました。
彼は本の中で言っています。
作家がある出来事に感動したのであれば、その原因がどこにあるか探求し、真実としての普遍性を見いだせ、と。
彼自身の言葉をもってすれば、こうです。
「事実から真実へ、真実から空想へ、空想からさらにそれの具象へと。この心的経過が遺漏なく成し遂げられていないかぎり、すぐれた作品とはなり得ないであろう」。
野田は、物語の種になる、事実を大切にしました。
日常を丁寧に見ました。
毎日、判で押したような日々を送る役人の父親の行動に、ささいな変化を見出していたのかもしれません。
日本人の平凡な日常の中の、悲哀や愛情を繊細に描いた小津作品の根幹を担ったのは、野田高梧という脚本家だったと言っても過言ではないでしょう。
小津と野田は、いつも二人で脚本をつくりました。
蓼科の山荘で、酒を酌み交わしながら、脚本づくりに熱中した二人の男。
彼らが格闘した相手は、「日常」でした。
大きな事件は起きない。大それたアクションもない。
でも静かな反乱や革命、出会いや別れは、日常に潜んでいることを知っていたからです。
脚本家・野田高梧が、生涯を通じてつかんだ日常の凄み、そして、人生のyes!とは?

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