第十五話『幸せの谷』-オノ・ヨーコ-
2015-12-12 09:46

第十五話『幸せの谷』-オノ・ヨーコ-

ここに一本の道があります。
軽井沢万平ホテルの裏に伸びる、石畳の小道。
苔むした石垣や何処までも続く木々たちは、時代を越え、ここを歩くひとを見てきました。
外国からやってきた宣教師は、ここを、こんなふうに呼びました。
『ハッピー・バレー』。幸福の谷。
1977年から79年の夏、この幸せの谷を何度も往復した、ある家族がいます。
ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、そして息子、ショーン。
三人は、あるときは万平ホテルを、あるときは、離山房というカフェを訪れるために、この道を歩きました。
彼らは、緑の香りを胸いっぱいに吸い込んで、鳥の声に、耳を傾けました。
オノ・ヨーコの別荘があった、幸せの谷は、彼らを優しく包み込み、まるで世界はひとつだと言わんばかりに、キラキラと輝いていました。
オノ・ヨーコは、隣を歩くジョンに、どんな言葉をなげかけたのでしょうか?
そう、オノ・ヨーコが初めてジョン・レノンに会ったとき、彼女は一枚の名刺を差し出したそうです。
その名刺には、たったひとこと、こう書かれていました。
「呼吸、しなさい」。

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