第三百十二話『人のやりたがらぬことをなせ。人の嫌がる所へゆけ』-【北海道篇】医師 中村哲-
2021-08-21 14:08

第三百十二話『人のやりたがらぬことをなせ。人の嫌がる所へゆけ』-【北海道篇】医師 中村哲-

昨年8月29日、30日、北海道札幌駅の地下歩行空間で、高校生による、ある医師の写真展が開催されました。
その医師とは、2019年、アフガニスタンで凶弾に倒れた、人道支援NGO「ペシャワール会」現地代表、中村哲(なかむら・てつ)。
写真展のポスターには、こんな言葉が添えられています。
「平和とは観念ではなく、実態である」。
その言葉どおり、常に行動のひとでした。
日本から、西におよそ6000km、中近東のアフガニスタンは、ヒマラヤ山脈の西の果てに位置する乾燥地帯です。
40年前は、国民の8割が自給自足の農民としてつつがなく暮らしていましたが、気候変動の影響とも言われている日照り、干ばつで、多くのひとびとが飢餓に苦しみながら命を落としました。
医療活動支援を行う医師として現地に入った中村が直面したのは、汚い水を飲まざるを得ず、病気になり、命を落とす子どもたちの多さです。
中村は、患者が増え続ける根源打破に、水源確保という鉱脈を見つけました。
彼は、アフガニスタンに1600本あまりの井戸を堀り、25kmに及ぶ用水路と、9つの堰(せき)をつくり、65万人もの人命を救ったのです。
自然を無視して、経済力や軍事力だけで世の中が変わると錯覚しているのではないかと、全世界に向けて警鐘も鳴らしました。
中村哲は、アフガニスタンのひとたちが、自分たちで補修、再生できる灌漑(かんがい)対策を伝授していきました。
自らの名前が残ることなど、露とも思わずに。
それでも、いまだに現地のひとたちは、緑の大地を指さし、大声でこう叫びます。
「ナカムラのおかげで、砂漠に草木が生えた、ナカムラのおかげで、いま、オレたちは生きている。ナカムラのおかげで…」
彼の棺は、アフガニスタンの国旗に包まれ、搭乗する飛行機まで、ガニ大統領が自ら担ぎました。
一国の長が、血縁でもない他国の人間の棺を肩に置く。
彼がいかにアフガニスタンのひとびとにとって英雄であったかがしのばれます。
常に「あなたが生きる意味とはなんですか?」と問い続けた医師・中村哲が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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