方丈記の導入
吉村ジョナサンの高校古典講義、始めてまいります。
今回は、方丈記からでございます。
大きな辻風が起こっている場面でございました。
では、今回の部分を読んでまいります。
辻風は常に吹くものなれど、
かかることやある、ただごとにあらず、
去るべきもののさとしかなどぞ疑いはべりし。
辻風、以前もこの前の場面でお話したんですが、
いわゆる強い突風のようなものというものではなくて、
この場合は、おそらく竜巻のようなものだったのではないか、
と考えられる場面ですね。
ただ、いわゆる辻風と一般に言われたようなものについては、
常に吹くものなれど、いつもよく吹いているものだけれども、
かかることやある、このようなことがあるだろうか、
このように甚大な被害を及ぼすようなものがあるだろうか、
やはりいつもの風の被害とはまた違うものだということを
言っているんでしょうね。
ただごとにあらず、ただごとではない。
非常に大変な状況であった。ただごとではなかった。
去るべきもののさとしかなどぞ疑いはべりし。
去るべきもの、そうであるもののさとしか。
さとし、何かしらそういう警告というか、お告げというかですね。
だから、たぶんここでは去るべきものというのは、
何かしらその神仏のテリトリーにあるような、
そういう領域にあるようなもののさとし、
何かのこの現れなのではないか、などと疑いはべりし、
疑ってしまうというんですね。
ですから、なんかこんな今までいないような
天変地異が起きるということは、相当何か特別な意味があるんじゃないか。
何かこれは神仏の警告なのではないか、
というようなことが疑われるというところなんでしょうね。
まとめと出典
この辺りがおそらくこの後の福原への先頭というものが
関わってくるのかなというところでございます。
では最後にもう一度お読みいたしましょう。
辻風は常に吹くものなれど、
かかることやある、
ただごとにあらず、
去るべきもののさとしか、
などと疑いはべりし、
本日は宝錠記から、
出典は門川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス日本の古典の宝錠記からお送りいたしました。
ご視聴ありがとうございました。