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2020-11-08 23:09

お市の方「戦国一の美女」第4話 美しく死す

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戦国一の美女として織田信長の妹として生を受けたお市の方の生涯を描いたボイスドラマ。
兄・織田信長亡き後、政略の舞台に引っ張り出されたお市の方は、平和のために柴田勝家のもとに嫁ぐことに。ただその平和も束の間、織田の後継を狙う羽柴秀吉によって柴田勝家は狙われることに。本当の平和とは、美しく生きるとは、お市の方が最終的に取った決意とは。感動の最終話。


セリフ書き起こしはこちら:https://bit.ly/3oZdxbM

●脚本:鈴木輝一郎
●演出:岡田寧
●出演:
 お市の方⇒北條真央
 豊臣秀吉⇒吉川秀輝
 柴田勝家⇒野仲イサオ
 使者⇒田邉将輝
 ナレーション・茶々⇒萩原一葉
●選曲:効果:ショウ迫
●スタジオ協力:スタッフアネックス
●プロデューサー:富山真明
●制作:PitPa(ピトパ)

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お市の方、戦国一の美女
第四話 美しく死す
お市の方とチャチャ、ハツ、オゴーの三人の娘は、柴田勝家と共に越前の国、北の象城に入った。
だが、平和な日々は一年と続かなかった。
お市の方たちが北の象城に入ってほどない天章十年、1583年12月2日。
橋場秀吉は、柴田勝家の出城、大見長浜城を攻め落とした。
この城は、清津会議の際、橋場秀吉から柴田勝家に譲られたものだった。
12月初旬は、西暦では1月中旬にあたる。
大見と越前を結ぶ北国街道は、雪で閉ざされる時期である。
長浜城陥落の使者が来た時、柴田勝家は冬の雪深い北の象城の本丸奥座敷で、
お市の方、そしてチャチャたちとくつろいでいた。
市長施司より、長浜の里の者たちの様子はいかがであったか。
里の者たちは、さしたる混乱もなく、橋場勢を受け入れた模様にございまする。
もとを正せば長浜は、橋場殿が、あざいの丘陵、今浜の地に開いた里にございまする。
ならばよい。領主が誰なのかは、我らの都合である。
里の者が不安なく受け入れられるのが一番だ。
都の…
柴田様は、少し人が良すぎるのではありませんか。チャチャ。
大切なのは誰が国主になるかではない。誰が国主としてふさわしいかだ。
忘れがちだが、戦国の与党は、領民が国主を選ぶことができるようでもある。
領民は領主に不満があれば、よりよい領主を国主に据えるために動けるのだ。
つまり柴田様は、領主としては秀吉に劣るとお考えなのですか。
チャチャ、言葉が過ぎまする。
よいのだ。チャチャのそういう厳しい物言いは、亡き上様、織田の俺が子によく似ておる。
将来、チャチャに流れる織田の血が、災いを招かねばよいが。
越前北の象徴は、京都に比べると気温はいくらか低いが、雪が多い。
北の海からの雲が、木の目峠から栃の木峠にかけての稜線を越えられずに雪を降ろしてゆく。
冬の北の象徴からは、南に向かう街道が雪で閉ざされてしまう。
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橋場秀吉は、そんな北陸の雪を嘲笑うかのように、次々と美濃や伊勢の敵対勢力を攻めていった。
天正十年十二月二十日、橋場秀吉は、岐阜城の織田信高を攻め落とした。
織田信高は織田信長の産男である。ただし、キオス会議の結果、織田の着流から外された。
これを不満として、秀吉への敵対を表明するや否や、秀吉に攻め落とされたのである。
年が明けた天正十一年一月、伊勢の国の滝川一真が反秀吉を表明するが、秀吉は伊勢の国に攻め込んだ。
そして、長島城、伊勢国府城、伊勢亀山城を次々と攻め落とした。
橋場秀吉の攻撃の知らせは、次々と北の象徴に入ってくる。
尾市の方は思わず声を荒げた。
橋場殿は戦の内容を作るためにと言ったのに、これでは約束が違いまする。
ところがそうとも言い切れぬのだ。秀吉は血を流すのを嫌う。
城を落とすのも、調略と謀略と交渉がほとんどで、力積みは滅多にあらぬ。
あの男は、合戦をやる時も電波とを争うように心がけている。
そこが戦国武将としての弱さだった。
いかにも柴田様は秀吉に気を使い切りしてやられました。
ちゃちゃ、いい加減にしなさい。殿に対して無礼が過ぎます。
母上、元を正せば母上が柴田様に物言したのではありませんか。
いかにもそうだ。尾市、そなたの負けであろう。
秀吉はもちろん、勝った後の領地経営のことを考え、
領民の反感を買わぬようにしている。
先に領民からの指示を勝ち得ていなければ、こうたやすくは城は落ちぬ。
殿は違うのですか。
残念ながら違う。力攻めをした方が早く片付くのでな。
拙者は交渉ごとでは柴に敵わぬが、合戦となればあの者に負けるわけがない。
柴田様のような生き方は美しくはありません。
茶々、いい加減になさい。自分を何様だと思っているのです。
茶々様。
微笑ましや。
そなたのはっきりした物言いは、つくづくなき信長公に似ておる。
まさに。
ここは笑うところではないでしょう。
それにしても何と裏表のない男なのだろう。
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美男子だった阿財永政とは、外見が似ても似つかぬので気がつかないが、
柴田勝家の裏表のなさと城の厚さが、阿財永政とそっくり。
勝家様、愛おしい。
と、母様のお顔に書いてございます。
茶々、人としての美しさを身につけなさい。
嫌です。
これだけを撮れば、ただの親子喧嘩のようにも見える。
実際には、戦場で多くの血が流れているはずであったが、
老いちの方たちに実感が湧こうはずもない。
血なまぐさい合戦は、時として平和のふりをする。
北の少女の見せかけの平和は、長くは続かなかった。
北国街道の雪が溶けた3月12日。
柴田勝家軍は大見柳瀬に向けて出陣することが決定した。
出陣前に、柴田勝家は奥座敷に顔を出した。
こたびの出陣は少し長陣となるだろう。
秀吉は直接合戦を仕掛けるのを嫌う。
陣地や砦を作って睨み合い、相手が疲れるのを待つ男だ。
秀吉は三木城攻めや鳥取城攻めで、相手を囲んで待っていたとか。
城攻めや砦攻めは兵を消耗させる。
秀吉が待ち構えているところに突っ込むわけにはいかない。
根気がいる。妻のが武装を頼む。
どうかご無事で。
なぜ父上が柴田と戦わねばならんのですか。
チャチャ、やめなさい。
いや、よいのだ。
初めて拙者を父と呼んでくれたな。
これが父上との最後のお別れになるかもしれませんゆえ。
正直な娘だ。
母心は本能だろうが、父心は学習だ。
そなたの母ごと目元になっていこう。
そなたの父足らんと思ってきた。
私は父上を一度たりとも父だと思ったことはありません。
チャチャ、殿の出陣前に何を言うのですか。
父上、私は織田のものです。
ほう。
父上こそ、まさに織田を守るにふさわしき方。
父と呼ぶにふさわしきお方。
父上、あなたは美しい。
いささか、おもはゆい。
なぜチャチャが兄上信長公の姿と重なるのか。
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長政殿の温かい美しさをなぜ受け継いでいないのだろう。
いずれにせよ、上に立つ者は戒める者がいないと横暴になる。
橋場が横暴にならぬよう釘を刺す者がいるのだ。
止める者がいなくなると人は美しくなくなる。
秀吉を上に立つ者と認めるようで嫌だがな。
殿、どうかご無事で帰ってきてください。
無事かどうかは全くわからぬが約束する。
必ず帰ってくる。
柴田勝家は橋場秀吉に惨敗した。
4月21日、1か月余りの長い硬着状態を経て、
柴田勝家と橋場秀吉は激突した。
世に言う静畑の戦いである。
柴田勝家軍は好戦しているさなか、
柴田側の後方を守っていた前田利家が突然戦線を離脱した。
このため、柴田勝家軍は総崩れとなった。
前田利家は橋場秀吉とは、
秀吉が僧人、利家が浪人だった時代からの
苦楽を共にした友人である。
柴田勝家と橋場秀吉との板挟みになった前田利家の苦悩について見誤った。
柴田勝家の判断間違いであった。
翌、4月22日。
僅かな兵を伴い、甲冑を泥だらきにして、
柴田勝家は北の庄城に戻ってきた。
まさか、秀吉に合戦で負けるとは。
人は自分の得意なところをくじかれると弱い。
このお方はこんな表情を見せることがあるのだ。
どうした?
昨年6月に目を整り、
潤12月を挟んでいるので11ヶ月。
そなたがそのように驚いた顔を見せるのは初めてだが。
いえ。
殿がいろんなお顔を持っておられるのを時々忘れまする。
拙者は荒武者にて強豚だがそやと、
よく言われておったからな。
和歌を好む姿はあまり見せたことがない。
いえ。
それ以上にいつも穏やかで、
陽気で、影のないお方です。
殿は決して弱くはありません。
明日には秀吉の軍が北の庄城を包囲する。
それまでにそなた達を逃がさねばならぬ。
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どこに逃げろとおっしゃるのですか。
今逃げ出してもオチュード狩りに遭うだけでございます。
いかにもオチュード狩りは怖い。
合戦の場で打ち死にするならまだ死後だ。
明智光秀が山崎の合戦で敗北した際、
逃げる最中にオチュード狩りによって殺されたのは、
記録に新しいことでもあるし。
茶々、いかがいたした。
いえ、何も。
翌、4月23日。
橋場秀吉の大軍が北の庄城を包囲した。
その数、およそ5万。
これに対し、北の庄城に残っているのは80人ほどであった。
柴田勝家が家臣たちに
橋場に降伏する者は遠慮なく申し出るように
と言ったためである。
橋場秀吉軍は総構えを乗り破り、
天守閣の奴隷近くまで押し寄せてきた。
柴田勝家が勝つ要素は全くなかった。
そして橋場秀吉から降伏勧告の使者が送られてきた。
柴田勝家の命を助けるのは困難である。
だが、老市の方と娘たちは命を助けられる。
故に検討をされたし。
一応申しておく。
橋場秀吉は暴力を使って信用ができぬ男だが、
人情には熱い。
そなたたちに危害を加えぬというのは信じてよい。
お言葉ながら、私は秀吉に裏切られました。
橋場秀吉は他の戦国武将と決定的に違うことがある。
憎しんを殺したことがないということ。
そして、女子供を殺すのを極端に嫌うことだ。
戦国武将で憎しんを殺した経験のない方が少ない。
織田信長公は兄に殺されそうになったことがあるし、
弟を殺したこともある。
老市の亡き夫、阿財長政でさえ父久政を追放した。
いかにもその通りでございますが。
橋場秀吉がそなたの息子、万福丸を串刺しにしたことを激しく後悔していることは確かだ。
信長公に逆らってでも、悪い子を子供を殺すことがなかった。
サリド。
数年前、秀吉の獣神が降伏交渉のために敵の城に入った時、
信長公はこの獣神が裏切ったと思い、その子供を処刑するように秀吉に命じた。
しかし秀吉は、信長公の命令には従わず、処刑したと虚偽の報告をして、その子息を内緒に匿った。
15:02
秀吉の獣神、黒田寛兵と、その息子、黒田長政の話である。
故に案じずともよい。
そなた達の身は秀吉に任せられる。
殿とは別れたくありません。
だが秀吉の申し出を断ることは、茶々達を道連れにしてしまうこと。
母上は、ご自身のために決めたことはあるのですか。
織田を離れる時は、阿財の父の名前のため。織田に城を出る時は、私達のため。
キオス城を出る時は、天下の平和のため。
母上、一度ぐらいは、ご自身のために自分のことを決めください。
そなたはいつの間にそのように大人になったのです。生まれた時から。
さすがはお茶々様じゃ。
茶々、忘れるでない。
美しくあれ。生きる時も美しく、死す時も美しく。
はい。
母上、私は、茶々は美しい?
はい。ただ冷たい美しさだけではなく。
母上、女としての温かい美しさを、私達に教えください。
分かりました。
勝家様。
追一。
追一の方は、勝家と共に城に残ることを決めた。
この日、茶々、八、五郎の三姉妹を乗せた腰が、北の正城を出て、橋場秀吉の本陣に迎えられた。
さらぬだに、打ちぬるほども夏の夜の、別れを誘う仏かな。
夏の夜の、夢じ儚き跡の名を、曇りにあげよ、山仏。
翌日、天正十一年四月二十四日、橋場軍の総攻撃が始まった。
柴田勝家と追一の方の二人は、北の正城の天守閣に入り、自害して火を放った。
追一の方、三十七歳。柴田勝家、六十一歳であった。
茶々、八、五郎、私は美しい。
18:05
長女、茶々はこの後、橋場秀吉、豊臣秀吉の息子となり、豊臣秀頼を産み、そして大阪の陣で、秀頼と共にして自害し、滅亡した。
後世に言う、淀気味である。次女発は、京国高嗣の妻となった。
京国高嗣は若さおばま八万五千国を与えられ、子孫は佐渚丸亀六万国に転保し、明治に至る。
三女五郎は二度の結婚を経て、三度目に徳川二大将軍徳川秀田賀の下に訪ぎ、三大将軍徳川家光を産んだ。
茶々、発、五郎は阿財三姉妹として知られる。
脚本 鈴木貴一郎 演出 岡田康史 出演
お市の方 北条真央
豊臣秀吉 菊川秀樹
柴田勝家 野中勲
詩者 田辺雅貴
ナレーションと茶々 萩原和羽
選曲 甲賀 松佐子
音楽協力 天茶
スタジオ協力 スタッフアネックス
プロデューサー 富山雅昭
制作 株式会社 HITOPA
ボイスドラマで学ぶ日本の歴史
シーズン2 お市の方 戦国一の美女
いかがでしたでしょうか
戦国一の美女と言われたお市の方の美しさ
それはその外見による美貌ということだけではなかったんですね
美しく生きるという人生観そのものが美しかったということだったのですね
自らの野心のため裏切りを行った美しくない兄信長
この信長に逆らうために
阿財永政の元に残ってまたその後も未婚のまま過ごすと決めたお市
しかしですね美しい平和のためとあらば柴田勝家の元に突入
21:08
最後はその美しい平和を裏切った秀吉には降伏せずに
自害の道を自ら選んで美しく生きることを貫いたお市の方
そんなお市の方が美しく描かれていたのではないでしょうか
生きる時も美しく
死す時も美しく
美しいとは自分で自分を決めること
お市の方の美しさの原点は兄小田信長から教わったこの言葉にあるのかもしれません
このお市の方の美しく生きると決めて生涯を通して示した真の強さというんでしょうかね
この生き方
これは現代を生きている私たちにも非常に心の奥に留めてですね
学ぶべきところがたくさんあるのではないかなと感じました
さて次回はエピローグ回として私ナビゲーターの熊谷陽子がシーズン2
お市の方戦国一の美女を描き起こしてくださった作家鈴木喜一郎さんに
今回の物語についてインタビューをしてきましたのでそちらを公開いたしますどうぞお楽しみに
23:09

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