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うろ覚え昔話 ウサギとカメ
あるところにパラレルワールドがありました。
そのパラレルワールドには、人間も肉食動物もいませんでした。
草食動物たちが人間並みの知能を持ち、仲良く暮らしておりました。
肉食動物がいなかったら、生態系ピラミッド的におかしなことになるんじゃないか。
草食動物が増えすぎるんじゃないか。
餌になる植物がなくなってしまうんじゃないかとか、そういう懸念はございますが、
その辺は何らかのスーパーパワーで何とかなっておりました。
ある時、ウサギがカメにこう言いました。
カメさん、カメさん、ちょっと僕と勝負しないかい?
カメは答えました。
やあ、ウサギさん、どういう勝負をしたいんだい?
ウサギは答えました。
かけっこさ、競争してあったほうが勝ちだね。
カメは答えました。
かけっこだって?
ウサギさんさ、そんなの、君が勝つに決まってるじゃない。
そんな、自分に圧倒的に有利な方法で勝って、そんなことで嬉しいのかい?
そんなことで勝っても、君のプライドがズダボロになるだけじゃないのかい?
本当にいいのかい?そんな、そんな勝負なんてして。
これを言われて、ウサギは考えました。
確かに浅はかだったかもしれないね。
じゃあ、どうしようか?
カメは言いました。
もっと何かしらの生産的なことをしないかい?
例えば、一緒に料理教室とかに行くのはどうかな?
ウサギは答えました。
確かに、そっちのほうが楽しそうだね。
おいしいサラダの作り方でも学びに行こうか。
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カメはこれに心をよくして、
ウサギとカメは一緒に料理教室へ行くことになりました。
はい、それでは今回のお話はこんな感じでございます。
このようにですね。
勝負ごとにおきましては、勝ちたいのであれば、
自分が有利なルールでやるのが一番かと思われますけれども、
自分が圧倒的に有利な状況で誰かをまかしましても、
自分の評判は良くなるどころか、むしろ悪くなることさえございます。
そういうわけで、自分が有利な状況であることをうまく隠しつつ、
勝負に持ち込むのが良いのではないでしょうか。
それでは今回のお話はここまで。
めでたしめでたし。おしまい。
ありがとうございました。