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8番のうろ覚え昔話 第一回 桃太郎
昔々、ある村の外れに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
おじいさんは山へ薪を調達しに行きました。
おばあさんは川へ洗濯へ行きました。
この時代、ガスもコンロもなかったので、おじいさんは山へ薪を調達しに行かなくてはいけませんでした。
火を起こすのには薪が必要ですからね。
また、この時代、洗濯機どころか上下水道の設備もされておりませんでしたので、洗濯をするには川へ行くのが割と効率的でございました。
そんなわけで、おばあさんは川で洗濯をしておりました。
そうしていますと、川上の方から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
おじいさんもおばあさんも、桃が大好きだったので、おばあさんはその大きな桃を拾い上げて家に持ち帰ることにしました。
桃は大きかったのでだいぶ重いのですが、おじいさんもおばあさんも普段から筋トレをしておりましたので、そのぐらいならへっちゃらです。
大きな桃を持ち帰り、おばあさんはおじいさんと一緒に食べようと思いました。
おじいさんが帰ってきたので、おばあさんは大きな桃をおじいさんに見せて二人で桃を切ることにしました。
家で一番大きい包丁を持ってきて桃を切ろうとしたその時、いきなり桃がパッカーンと一人手に割れまして、中からなんとかわいい元気な男の子がおぎゃーおぎゃーと生まれてきました。
なんということでしょう。
おじいさんとおばあさんには子供がおりませんでしたので、こりゃいいことだと思い、この奇妙な桃から生まれてきた男の子を育てることにしました。
赤ちゃんを育てるのは重労働ですが、やはりおじいさんとおばあさんは筋トレをしていましたので、それなりになんとかなりました。
さらに桃太郎、この子供には桃太郎という名前を名付けました。桃から生まれたのでね。だいぶ安直なネーミングでございますね。
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それでこの桃太郎は桃から生まれた奇妙な普通とは違う人間でございますので、常人ではありえないスピードで成長しました。
そのため一番大変な入養時期はだいぶ素早く過ぎ去りまして、おじいさんとおばあさんへの負担はそこまででもございませんでした。
桃太郎はスクスクと成長し、またおじいさんとおばあさんの影響で筋トレもしておりましたので、屈強な男の子に成長しました。
男の子というか青年ですね。もうだいぶ大きくなりました。その辺の人なら普通に殺せるレベルでした。素手で殺せるレベルです。すごいですね。
そしておじいさんとおばあさんの家は村から結構離れていましたので影響はございませんでしたが、近くの村ではちょくちょく鬼たちが襲撃にやってきまして、村人に乱暴を働いたり金目のものを奪っていったりしていました。
おじいさんとおばあさんと桃太郎はこれを良くないことだと思って何とかしたいなと思っておりました。そこへたくましく成長した桃太郎が言いました。
おじいさんおばあさん僕は鬼が島にいる桃太郎じゃねえな鬼を退治しに行こうと思います。おじいさんとおばあさんはさすがに桃太郎でも鬼たちを退治するのは結構骨が折れるんじゃないかと思いましたが、
二人は子供の意見を尊重するタイプの大人でしたので桃太郎がそういうのならやってみたらいいんじゃないかと意見を申しました。そこで親としてできるだけのことはしてあげようと思い、
おじいさんは何とか結構良さげな鎧や刀を調達してくれました。おばあさんは力の湧き出るきび団子を作って桃太郎に持たせてくれました。きび団子にはおそらく現代では非合法な原料が入っていたのだと思われます。
食べると元気になるタイプの団子です。おそらく現代ではダメそうだなあ、もしくは処方箋とかないと入手できなさそうなタイプのものかもしれません。
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そういうわけで桃太郎は旅立ち、おじいさんとおばあさんは桃太郎を見送って無事を祈りました。桃太郎が旅を始めてからしばらくすると目の前に大きな猿と大きな鷹と大きな狼が待っておりました。
この二頭と一羽を見て桃太郎はピンときました。そして彼らに声をかけました。
やあ君たち、もしかして君たちも桃から生まれたのかい?
そして二頭と一羽はこう言いました。
イエス、マスター!
そういうわけでこの猿と鷹と狼は桃太郎のお供をしに行くことにしました。
そして桃太郎は言いました。
ごめんね、今は手持ちがきびだんごしかないからきびだんごしかあげれないけれども、君たちが鬼退治に手助けをしてくれるというなら、仕事の後にそれ相応の報酬をあげるからね。後払いでごめんね、と言いました。
猿も犬も、犬じゃねえな、狼も鷹も喜びました。
そういうわけでみんなは鬼ヶ島へ向かいました。
なるべく少ない労力で鬼たちを倒そうと目論んでいた桃太郎は、まず最初に鷹に鬼ヶ島の偵察へ行かせました。
戻ってきた鷹が言うことには、鬼ヶ島にはだいたい20匹ぐらいの鬼がいるようです。
私、鬼の数え方、仁なのか悲喜なのかわかりませんが、とりあえずこの場では悲喜ということにしておきます。
人間と区別をする感じでですね。
はい、そういうわけで20匹の鬼がおりまして、
ただこちら味方の軍勢は4、桃太郎と猿と鷹と狼の4です。
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4対20では、いささか部が悪いようです。
そういうわけで桃太郎はとりあえず正面から強行突破するのはよくないと思いました。
そこで近くの村の助けを得て、いくらかのお酒や御馳走を入手し、
それをまず村からの見継ぎ物だと言って鬼ヶ島に送りました。
鬼たちはこれに喜んで、その日酒をたらふく飲んで、夜にはみんな酔っ払って寝てしまいました。
その間に桃太郎たちは船を使い、こっそりと鬼ヶ島に忍び込みました。
とりあえずリーダーの鬼をやっつければなんとかなるだろうと思っていた鬼たち。
鬼たちじゃないですよ、桃太郎たちは。
事前に鷹がチェックしていた鬼のリーダーの部屋へこっそり忍び込み、鬼をやっつけてしまいました。
頭を失った鬼集団はてんやわんやの大パニック、こいつらをぶちのめすのは容易でした。
さすがに命を取るのはどうかなと思っておりましたので殺しはしませんでしたが、
割と半殺しにしました。
鬼たちは全員けっこうなけがを受けました。
これに懲りた鬼たちはいました。
もう悪いことはしません。
そういうわけで、まあでももともと悪いやつだったの言うことですし、悪いやつの言うことですし、
果たして信頼できるかどうかはわかりませんけども、とりあえず桃太郎は言いました。
これからは村人のみんなを助けてほしい。悪さをするのはやめよう。
そんなに金が欲しいのなら金を稼ぐ手段を教えてやろうと鬼たちみんなにある程度のスキルを伝授して、
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それから鬼たちは自分たちで金を稼げるようになりました。
またちょくちょく村を助けに来るようになりました。
そうしないとまた桃太郎たちにボコボコにされるからと思っていたからです。
鬼たちは盗んだ金目のものをみんな桃太郎たちに返しました。
それを持って、まあそれを台車みたいなものに乗せてですね、
桃太郎は村に帰って元の持ち主に金目のものを返してあげました。
そして桃太郎一行はその後おじいさんとおばあさんのお家に帰りました。
おじいさんとおばあさんは無事帰ってきた桃太郎を見て大喜びです。
またよくわからないしゃべる猿と狼と鷹を引き連れていたので、
ちょっとめんくらいましたけれども、
言葉が通じるということは意思疎通できるということで、
またこの猿と狼と鷹は桃太郎の言うこともよく聞きますし、
桃太郎の親であるおじいさんとおばあさんの言うこともよく聞いてくれ、
助けてくれますので大変ようございました。
そういうわけで桃太郎たちはこの後仲良く幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
おしまい。