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2024-03-05 10:16

43 日記 | ETV特集「膨張と忘却」を観ました

3月5日火曜日の声日記。3月2日に放映されたNHK ETV特集「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」のビデオを観ました。

ETV特集「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」(NHK)

#声日記 #ETV特集

サマリー

3月2日に放送されたNHKのETV特集「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」のビデオを観ました。この番組は、科学史家であり科学社会学者でもある吉岡斉さんが残した資料などを基に、日本の原子力政策の舞台裏を描いたドキュメンタリー番組です。

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3月5日火曜日の声日記です。
今日は、先週の土曜日に放送されたNHKの番組のビデオを見ることができまして、よかったなというふうに思っています。
その番組というのは、NHK教育テレビのETV特集「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」というタイトルのものです。
吉岡斉さんの役割と立場
この番組は、吉岡斉さんという科学史家であり、また科学社会学者でもあった方がですね、残された文書、これが「吉岡文書」という名前で九州大学に寄贈されてあるようですけれども、
その文書とそれからNHKが独自に取材した内容をもとにしまして、日本の原子力政策の決定の舞台裏について描いた、そういうドキュメンタリーの番組になっています。
吉岡斉さんという方、皆さんご存知でしょうか。時々テレビにも出てきていたかと思います。私より10歳年上で、私の大学での先輩にもあたる方なんですけれども、2018年に64歳で亡くなっています。
吉岡さんは、研究対象は巨大科学、特に日本の原子力、これがご専門でして、その専門を生かして政府の原子力関係の委員会の委員なども務められていたようです。
吉岡文書の中には、そういった委員会などで配付された資料なども多数含まれているようです。
吉岡さんは、自らの学問的な立場、学問的ですから、政治的というよりは客観的というか中立的というか、そういう立場の方で、
審議会でも反原発派という形ではなくて、中立的な専門家ということで呼ばれていたんだろうと思います。
吉岡さんが重視していたのは、合理的な政策決定というものでした。
つまり、何かを決める上で、きちんとみんなが納得できるような、そういう理由が立つような決定をすべきであるということですね。
そのためには、いろいろな選択肢を用意して、その利害得失を検討し、その中で一番いい選択肢を選ぶということが望まれるという、
ある意味で当たり前のことなんですけれども、しかし原子力政策においてはそれが実現していないということで批判的な立場を取られていました。
そういった姿が今回の番組にも具体的に描かれています。
番組の副題で、理の人というふうに書いてありまして、
実際、吉岡さんに会った人、あるいはテレビの画面でもそういう印象を受けると思うんですけれども、
話し方が常に冷静で、感情を表に出さないような、そういう感じの話しぶりの方でした。
ですが、書いたものを読みますと、必ずしも感情の動きがないわけではなくて、
そういったことについても十分、心の中では秘めたものがあるだろうなというふうに思っていました。
若い頃に書かれたものを読みますと、そういったことは非常によく感じられます。
吉岡斉さんの変化と影響
それで番組の中では、3.11の福島原発事故の後に吉岡さんが変わったというふうに言っていました。
それまでは反原発などの市民運動と少し距離を置いていた、
そういう吉岡さんが積極的にそういった運動に関わるようになっていったということですね。
それはなぜかというと、やはり原発事故で被災した人たちに対する強い思いがあったのではないかということ、
理の人であるとともに情の人でもある、その側面が強く出てきているのかなというふうに思います。
私は吉岡さんと同じ研究会で席を共にして多少話したことなどもありますけれども、
あまり親しくお付き合いすることはありませんでした。
けれども、とても印象深く残っていることがあるので、ここで一言言っておきたいと思います。
私が大学の院生の時だと思いますけれども、
院生が勉強会などをする院生室という狭い部屋がありまして、
そこで私が仲間と何か外国の文献を読んでいた、そういうところにひょっこりと吉岡さんが入ってきた場面ですね。
そういう場面が今でも思い浮かぶんですけれども、その時に吉岡さんが何て言ったかというと、
「君たちまだそんなことをやっているのか」というようなことを言われたんですね。
「そんなこと」というのは何かというと、結局外国の研究者の後追いという意味だろうと思います。
その頃、私たち、多くの人文系の学生、研究者はそうなんですけれども、
何か研究しようと思うと外国の文献を読んで、それを日本語で紹介する、そんなことばかりやっていました。
吉岡さんはそういうことにはあまり関心がなくて、自分が関心を持った領域、
広く言えば巨大科学、具体的には原子力などの問題についてですね、独自の研究をどんどんされていたんですけれども、
私はまだその頃ですね、外国の文献を読んでばかりました。
吉岡さんからそう言われまして、そうだなと、こんなことばかりやっていてはいけないなというふうに思ったことを覚えています。
その後、私は研究分野を日本の科学技術史、特に戦争と科学というような領域に定めまして、
外国の研究者はあまりやっていない分野で、日本の研究者もあまりいないんですけれども、
そういうところで研究をしていますので、吉岡さんからは、何と言われるかわかりませんが、
「まだそんなこと」はやっていませんよというふうには言えるかなというふうに思っています。
さて、この番組、とてもいい番組で多くの人に見てもらいたいなと思いますので、少し宣伝をしておきます。
再放送が今週の水曜日の夜中、日付的には木曜日になっているかと思いますけれども、
もうすぐ、夜中に行われます。ちょっと見るのは難しい時間ではありますけれども。
それから今週の土曜日までNHKプラスというNHKのサイトで、
これは無料で見ることができるようです。それからさらにそれが終わった後は、
NHKオンデマンドという有料で動画を配信しているサイトで見ることができますので、
もしご関心のある方は見ていただくと嬉しいなというふうに思います。
ということで、今日の声日記、終わりにしたいと思います。
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