営業プロセスの徹底した見える化と改革
このポッドキャストでは、スモールビジネスやその周辺のカルチャーについての話題をお届けしていきます。
再生ありがとうございます。
Web ディレクションと音源制作を手がける、シララ株式会社伊東宏之です。
今日は前回の続きで、マッキンゼー&カンパニーが2021年に発表したレポート。
「日本の営業生産性はなぜ低いのか?」で触れられている解決策の部分を、かいつまんでご説明したいと思います。
日本企業の抱えた問題は、根深いけれども解決策は必ずある!とこのレポートは断言していまして、
その解決のアプローチを大きく4つに分類しています。
読み上げてみますね。
1つ目、営業プロセスの徹底した見える化と改革。
2つ目、専門性知見の集約と共通化。
3つ目、マネジメントの腹決めとそれを可能にする意思決定・
インフラの整備。
最後4つ目、営業のデジタル化による効率化の向上ということですね。
これ超ざっくり言えば、結局前編でご紹介した日本企業はできていないことを、できていないからやれ!と言っているような感じでもあるんですけれども、
それを結構細かく説明してくれています。
まず1つ目の「営業プロセスの徹底した見える化と改革」なんですけれども、
まずは営業員の時間分析、つまり何にどれだけ時間を使っているかのサーベイ、調査をしろというふうに述べているんですよね。
ただやみくもに調べるんじゃなくて、事前に当たりをつけておいて、そこを探るような調査にすべきというのが特にポイントだそうです。
例えば社内会議に関係する部署が多すぎるという問題が事前に予測できていれば、
その社内会議に参加している部署の数を具体的に把握できるような調査にしなさいよというふうなことを書いていますね。
このサーベイを通じて業務の重複もチェックして、そのプロセスを図に表しなさいとも書いてありました。
そして役割ごとのスキルも同時に定義しましょうということらしいです。
それによって自社の営業プロセスがしっかりと定義されて、やるべき範囲が定型化されると。
なので単に会議の量を減らすとか、例えば事務作業の入力の量を減らすとかという表面的な解決じゃなくて、
なぜ今そうなっていて、なぜそれが解決が難しいのかというところまで、
プロセスをはっきりさせて洗い出す必要があるというふうに述べているわけですね。
そしてさらにプロセスを新たに定義したものをちゃんとテンプレート化して、
子会社も含めて波及させるということが大事だというふうに述べています。
そして2つ目なんですけれども「専門性知見の集約と共通化」と題されています。
専門性知見の集約と共通化
これってどういうことかというと、日本企業は営業アシスタントとかの営業サポート系の業務が事務作業の代行だけをやっていて、
結局それを派遣社員さんとかがやっていると。
この状態って結局前線の営業員が事務側も管理監督をしなきゃいけなくて、
さらに場合によってはフォローもしなきゃいけないという状況ではありますよね。
これがちょっと面白いんですけれども、マッキンゼーの調査だと、
"営業員の半数が営業サポート専任になっているとき"が粗利が最大化されるそうなんですよ。
この理由が、営業のサポートの人が前線営業の持っていない専門スキルを持ってサポートしているからだというふうに述べられています。
例えばそのサポートの内容というのが、単なる事務作業のアシスタントじゃなくて、
入札を行ったりとか提案書を作る専門部隊として前線営業をサポートするということらしいんですね。
なので、例えば日本にありがちなジョブローテーションで、
社内の全ての機能を経験して1人前みたいなのは、もはやそぐわないんじゃないかということもあわせて、
ここのレポートには書かれていますね。
終身雇用みたいな長期雇用前提ならいいけれども、みんな転職する今の時代にはそういうのは合わなくて、
サポート部隊も専門技能集団にしなさいというふうに示唆がされておりました。
あとは、ノウハウの共有を進めろと。苦労してノウハウを営業員として得なさいみたいな、
職人の世界みたいなのはもうやめましょうというふうに述べていますね。
具体的にどういうことかというと、例えば過去の提案書とかアーカイブ保存して、
他の営業担当が容易に見れるようにしなさいと。
ノウハウについても、やっぱり良いノウハウを出した人にはインセンティブを出すべしというふうに書いてありますね。
マネジメントの払い決めとそれを可能にする意思決定、インフラの整備
それで3つ目なんですけれども「マネジメントの腹決めとそれを可能にする意思決定・インフラの整備」。
出ましたね。なんかコンサルっぽい「腹決め」なる言葉。
ここは割と精神論的な感じもしなくはないんですけれども、
経営陣が営業効率化の意思決定の確保をしろというふうに述べているわけですよね。
過去の関係性にとらわれずに顧客をちゃんと選別するとか、
顧客を失ってでも値上げすべき時にはちゃんと値上げを実行するとか、
そういったところの腹をくくりなさいというふうに述べているわけです。
もちろんファクトベースで顧客の選別とか論理的な意思決定をすべきなんだけれども、
ただやたらと正確性の高いファクトを現場に求めるなよというふうに
クギもやっぱりそのレポートでは指してありますね。
やっぱり現場の負担が高い報告資料を求める言語は日本はあるけれども、
それは注意しましょうと。
あとは究極的にはそういう現場の報告に頼りすぎないで、
結局データベースをちゃんと構築して、
KPIを経営陣はダッシュボード化してチェックできるようにしておきなさいよということも書かれていました。
やっぱり大きい企業でも肝心なKPIをダッシュボード化していないところが
まだまだ多分日本企業だとあるということなんでしょうね。
そして最後4つ目、営業のデジタル化による効率化の向上です。
これですね、とにかくデジタル化しなさいよと。
コロナ以降やっぱりリモート化が一般的になっているわけなんですけれども、
マッキンゼーの調査だとそういったITへの投資がですね、
中国企業は30%ぐらいの企業で予算を増加してるんですね。
ただ日本企業だと増加させたのは10%未満だそうです。
それどころか、やっぱりリスク対策、
これはコロナによる景気停滞を指しているんだと思うんですけれども、
リスク対策として支出を減らすために日本企業の半数が、
むしろそういう社内ITへの投資の予算を削減している
こういうところが半数なんでそうなんですよね。
これがちょっと残念ですよね。
でですね、ピンときたんですけれども、
コロナ禍以降、リモートでやっている企業さんとの
Zoomでの打ち合わせが非常に増えたんですが、
やっぱり打ち合わせをしていて、
担当者さんの結局自宅の普通のネットワークに
その回線を依存していたりとか、
あるいはよくても会社支給のポケットWi-Fiを経由して
会議をしていたりするので、
ポケットWi-Fiもどういう契約なのかわからないですけど、
スピードが激遅!みたいな感じで、
ご本人も苦労されているし、
そこはちゃんと整備されてもらえないんだみたいな
日本企業らしさを感じたりすることがありますね。
あとはこのレポートの中で提言されているのは、
バックヤードのRPAをもっとちゃんと導入しなさい
というふうにも書かれていました。
RPAというのはロボティックプロセスオートメーションの略で、
PC上での定型的な業務操作を自動化させるというやつですよね。
僕は数年前に取材でこの実物を見たこともあるんですけれども、
その時点でかなりすごかったので、
今はAIもあるので相当効率化できるはずだなと思いました。
そんな感じで割と覚悟を決めてやらないと、
このままではグローバルで戦えない、
日本企業は死んでいくしかないよという直球の提言がされているレポートでした。
素晴らしいレポートだと思うんですけれども、
一つだけ細かい疑問がありまして、
前編で話した営業ROIの分子分母の分子の部分が
粗利”率”なのか、粗利の絶対的な”金額”なのか、
表現が混在しているようにも見えて、
いまいちよくわからなかったんですよね。
なので、私の理解力不足かもしれないんですけれども、
もしわかる方がおられたら教えていただければ嬉しいです。
あとお知らせなんですけれども、
今回分からずんだもんの読み上げ版を休もうかなと思っています。
結構作るのが大変で、その割に特に再生数もないので、
あまりニーズがないのかなと思いまして、
休ませていただこうと思います。
というわけで、また次回もどうぞよろしくお願いいたします!