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2024年4月15日、そろそろ過去になりますが、今日は渋谷落語を見てきまして、
4月15日の20時からの回、出演したのが、竜邸志柄木さん、竜邸小道師匠、柳屋観之助師匠、鳥が田辺一華さんという、
そういう講演で、鳥が2つ目というくらいの階級の若手で、
しかも渋谷落語なんだけども高段が鳥という、そういうちょっとチャレンジングな講演だったりしたんですけど、
僕としては個人的に一番の目当ては、渋谷落語初登場で、ここ最近ちょいちょい気になって見に行ってる、
竜邸小道師匠がどんなネタをするのかなというのが気になって見に行ったんですが、
竜邸小道師匠のネタが馬や鍛冶という演目でして、この話は神産をしている主人公の尾崎さんという女性。
7つ年下に亭主がいるんだけども、この夫はもう今でいう日も同然で、全然仕事してないと、家でゴロゴロしてばっかりで、
この夫婦は尾崎さんが神産をしているお金で暮らしているという、女性の方が稼ぎ頭という夫婦なんですね。
ある日この尾崎さんが夫と夫婦喧嘩をしちゃって、那項堂をやってくれた旦那さんのところに相談に行くと。
こういう理由で夫婦喧嘩しちゃって、離婚しようかどうか正直悩んでいます。
夫は優しい時もあれば、すごく憎らしい時もあって、あの人が本当に私のことを愛してくれてるか分からないんです。
というふうに相談されて、那項堂の旦那が、昔の中国にはこういう孔子先生の逸話があって、
それからある孔子町の大棚の若旦那にはこういうエピソードがあってみたいな、
例え話を使いながら、尾崎さんの亭主の気持ちを確かめるためのあるアイディアというか計画を提案すると。
で、尾崎さんがそれを実行したらどうなったかみたいな、そういう話なんですけど。
本来うまやか人というのは、もうさっきも言った通り、尾崎さんが相談しに行くのは、那項堂をやってくれた旦那さんとか兄貴分、
いわば年上の男性なんですけど、小道師匠のバージョンのうまやか人は、この那項堂が女性なんですよね。
確か尾松さんという名前だったと思うんですけど、この尾松さんという、おそらく尾崎さんにとってはお姉さん的な存在の年上の女性という、
そういうふうな設定になっている。
まずそもそも古典落語というのは、ものすごく男性中心的、それは演目のストーリー的にもそうなんですけど、
男性目線が中心であったりして、当時の古典落語の舞台となっている江戸時代の江戸の街っていうのは、女婢自体が男性の方がめちゃめちゃ多かったりしたわけではあるんですけど、
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とにかく男性中心的なんで、女性同士が二人きりで長時間話すようなシーンのある古典落語ってほとんどないんですよね。
今メジャーにやられているような古典落語の演目何十何百ありますけど、
じゃあその中である程度の長さ、女性が女性同士だけで喋っているシーンのある落語どれだけありますかといったら、
本当に探そうのが難しいぐらい、男性中心のストーリーテリングで物語が進んでいる、男性視点で物語が進んでいるという、そういう話なんですよね。
うめえかじ自体が、まず主人公が尾崎さんという女性であるということは、結構珍しいタイプの話ではあるんですけど、それに加えて小道師匠は、
相手の名高度の旦那も尾松さんという女性に置き換える。これによって、女性同士のやり取りで話が進んでいくというネタに変わっているんですね。
この時点で結構アレンジとしては画期的なんですけど、その名高度の旦那から尾松さんへと性別を変えたことによって、
単に名高度をしたからっていう理由で相手が話を聞いてくれてるんじゃなくて、尾松さんというのはある種、尾崎さんにとっても人生の先輩であって、
すごくある意味では共感をお互いにし合える人物なわけですよ。途中尾崎さんが離婚していいのかどうか悩む、躊躇するようなシーンがあった時に、尾松さんが、
いや別に嫌な男とかと別れても別に大丈夫よ。離婚したって大丈夫よ。私たちの周りにも年上の女性でなんとかさんやなんとかさんみたいな人見てごらんなさいよ。
夫と私別した人とか別れた人もいっぱいいるけどみんな元気にやってるでしょ。だから離婚しても大丈夫なのよ。
っていうふうなことを言ってくれる。こういうアレンジ、尾崎さん側にちゃんと寄り添って理解をした上で、いざとなったら離婚したって大丈夫なのよと言ってくれるような登場人物の置き方、そのやりとりっていうのは、
やっぱりナコードの旦那さんに話しに行く演目では、どうしても共感しながらお互いに話し合うみたいなところにはなかなかいかないので、そういう意味でもただ単に性別を置き換えただけじゃなくて、その置き換えたことによってちゃんと物語上に意味が出てるっていうのがすごくいいなと思って見てましたね。
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それでいて、物語上いい話になってるだけではなくて、小道師匠っていうのがそもそもキャラクターとしてもとにかく明るくて、たくさんベラベラ喋る感じのタイプの人で、わーっと喋って盛り上げるみたいなタイプの人なんで、とにかく尾崎さんと尾松さんの会話のやりとりがグルーブ感があって、聞いててずっと楽しい感じ。
メリハリがあってグルーブ感があってずっと喋ってるみたいな感じがすごい楽しいタイプのネタになってて、その意味でもすごく見てていいなというふうに思いましたね。
個人的にちょっと感動したっていうか、なんて言うんだろうな、結構グッときたのが、尾松さんが尾崎さんに中国での孔子の逸話を紹介するときに、ちゃんとこういう本にこう書いてあって、こうこうこうで、こういうふうな孔子先生のいいお話があったのよって話をした後に、
私ね、この話を読んでね、孔子先生のこと好きになっちゃったって言うんですよ。これがね、なんかね、さりげないセリフなんですけどすごいよくて、なんて言うんですかね、物の本によるとこうこうこうでみたいな、なんかとりあえず書いてある知識をそのまま下に流すんじゃなくて、この尾松さんにとってもこの孔子先生のエピソードっていうのがちゃんと刺さってるんだと。
で、この人、この孔子先生っていう人は本当にいい人なんだなと思って、心に残ってるエピソードだからこそ、尾崎さんに伝えたいみたいな、それが一個乗っかってるのがすごいね、いいなと思って。
さりげないセリフ、そういうさりげないセリフにも、なんかね、すごいいいなと思うエッセンスがいっぱい詰まっていて、小道師匠の落語はね、ちょっと今、個人的にいろんな演目みたいなと思ったところなんですよ。他にもね、この馬屋家事だけじゃなくて、いろんな古典の落語をアレンジしてるみたいなんで、すごいね、あ、この視点があったのかとか、こういう切り口があったのかっていうのがまだまだいろんなネタで見れそうなので、
小道師匠の古典落語はね、特にいろいろ見てみたいなというふうには思ってますね。
ちなみにこれ、あの今日小道師匠の話いっぱいしましたけど、他の、今日の渋谷落語はネタ的にとても楽しくてですね。
演目で言うと、龍亭しがらきさんが短い新作2つ、詩人逮捕というネタと、ガマ仙人というネタやってて、このガマ仙人がね、すごい面白かったですよね。詳細は省きますけど、なんでそんな話を思いつくんだっていうような設定と、それからとにかくなんかもう、いいくだらなさがあって、すげー笑っちゃいましたね、ガマ仙人。
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柳屋貴之傑章は一丸国というね、古典のネタで、ちょっとね、いっぱい笑わせる話というよりはじっくり聞かせて、ちょっと最後におっと思わせるような、なんか階段、ちょっと階段チックなんだけど、世にも奇妙な物語っぽい感じかな、なんか雰囲気としてね。
なんでちょっとその一丸国という国に、変な国に迷い込んでしまうところの描写とかは、結構緊迫感もあったり臨場感もあったりとかして、神之助師匠はね、とにかく古典とてもうまくて、素敵な師匠なんでね、一丸国聞けてよかったですね。
で、あと田辺一華さん、鳥出、鉄砲おくまという、三遊帝白鳥師匠作の新作落語を後段に置き換えて作った作品なんですけど、この一華さんの格調高い感じの語り口であったり、あと結構一華さんは結構登場人物をはっきり演じ分けて、その演じ分けもものすごい上手いタイプの人なんですけど、
そういう上手さの中に白鳥師匠のテイストのギャグがポーンと入ると、漫画でたまに普段の作画はものすごい美麗な美しい絵を描いてるんだけど、ちょっとコメディのところだけキャラクターの等身が低くなって、三等身とかになって、なんか可愛らしい絵になって、コミカルなコメディ描写が入るみたいな漫画あるじゃないですか。
普段の線は綺麗なのに、ギャグのところだけ等身が変わるみたいな、ああいう漫画のテイストを思い出しましたね。
一華さんの語り口があってこそのおかしさになってて、それも良かったなと思いましたね。
鉄砲おくまって話自体すごい面白かったな。
すごいね、村の幼馴染が男の子と女の子が女相撲の横綱を目指して奮闘する、強い女相撲の力士になって鉄砲おくまになって、男の子の方は江戸で人気の女型の歌舞伎役者になって、
その二人が再会するんだけどみたいな話があって、最後結構熱いんですよ。
この二人付き合うのかな、付き合うフラグなのかなと思ったら、っていう展開が一個あって、これがすごい個人的にはいいな、熱いな、結構感動した感じでしたね。
今日ね、月曜の夜っていうのもあって、そんなにお客さん入ってなかったんですけど、マジで勿体ないなと思っていて。
あれはちょっとね、面白いんでね、ぜひしばらく見てほしいんですよね。
以前渋谷落語一緒に行ったフォロワーさんが、見れるもののクオリティがこんなに高いのに、こんなにお客さんが入っていなくて変だったって言ってましたんで。
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今の状況は変なので、ぜひ面白いものが見れると思うので、行ってみてください。
一応明日もね、16日も渋谷落語ありまして、明日はね、特に20時の回はいいですよ。
かつらしんべいさん、やなぎやさんかっしょう、たまがわだいふく先生、とりがわ、たきがわりしょうっしょ。
音ボケ感満載で、不思議な奇妙な人たちがたくさん出てくる落語会なんで、ぜひね、ちょっと見てドギも抜かれていただきたいなと思いますけど。
16日の20時回ね、おすすめですよ。
僕は明日別の予定があっていけないんですけど、もしこれをお聞きの方でね、4月16日ちょっと夜暇だなっていう人は渋谷落語行ってみてください。
というわけで今日はこのあたりで。おやすみなさい。