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始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
イグラシネル王です。
この番組は言語学番組ということで、
ほとんど言語学の話しかしてないんですよね。
昔はそれなりにいろいろ雑談っぽいことをやってみたりもしてたんですけど、
最近はほぼ100%言語学の話をしていると思います。
もしこの番組をきっかけに言語学っていうものに初めて触れたとかね、
さらにのめり込んでいったとか、そういう方がいたら非常にうれしいですよね。
僕自身は言語学はすごく面白いものだと思って、
だからこそずっと続けてこられているわけなんですが、
僕自身も当然言語学にはまるきっかけっていうのはあったんですよね。
その時の衝撃というか情熱みたいなものが今もまだ失われずに続いているということだと思います。
かなり言語学というか言葉っていうものが面白いと思った瞬間っていうのは、
自分の中で印象的で今でも鮮明に思い出すことができるんですよね。
何でもかんでもこういうふうに思い出せるわけではないと思うんですけど、
僕にとってはある意味言葉との出会いっていうとあれですけど、
そういったものは非常にいい思い出ですねって感じです。
きっかけとして具体的なものは2つぐらいあるんですよね。
この話は過去にエピソードを配信している中にあると思うんですけど、
多少かぶってもいいかなということでお話ししていこうと思います。
1つは単純にね、国語の授業で文法を習った時だったんですよね。
中学の時に文法っていうのをやって、体言と用言があってとか、
用言っていうのは活用するんだとか、
あとは文節っていうのがあって、
私はね、昨日ね、公園に行ったよみたいに根が入って切れるんだとかね。
主語と述語がどうのこうのとか、活用がどうのこうのとかね。
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結構苦手だった人も多いんじゃないかと思われる文法という授業、
皆さんもあったと思うんですけど、
僕にとってそれが1つ言葉の面白さっていうのに触れるきっかけだったんですよね。
特に動詞が無断で終わるっていうのを聞いた時が最大の衝撃で、
食べる、飲む、歩く、読む、書く、済む、何でもいいですけど、
こういったものは全部無断で終わってるわけですよね。
順番としては本当は逆で、無断で終わってるある単語のグループを動詞って呼んでるんですけど、
動詞っていうのは日本語では無断で終わるものであると。
それを聞いた時に3重に驚いたんですよね。
1つはそういう事実があるということですね。
言葉っていうのは雑多なものではなくて、
日本語の場合は例外なく動詞っていうものは無断で終わります。
かなりそういう体系的というか美しいものであるっていうことに衝撃を受けて、
2つ目の衝撃は自分がそれを知らなかったということですね。
当時中学生だったので、もう当然日本語なんてペラペラなわけですけど、
普段使っている日本語にそういう規則があるということすら知らなかったんですよね。
そういうルールや規則がある、法則があるっていうことを知らなくても、
言語っていうのは操れるっていうことの衝撃でした。
3つ目の衝撃は自分は今言ったように衝撃を受けてるのに、
周りのクラスメイトっていうかな、
友達は対して衝撃を受けていなかったということですね。
自分だけっていうわけではないですけど、
そういう言葉の面白さっていうものを面白いと思えるっていうか、
面白さに気付ける一種の感性というかね、
センスっていうものが自分にあるんだっていうのにそこで気づいたんですよね。
こんな感じで中学の国語の授業で、
日本語の動詞は終止形ですね。
終止形はうだんで終わるっていうのを聞いて、
言葉の面白さっていうのに目覚めたんですよね。
もう一つ言葉の面白さに気付いたきっかけっていうのがあって、
これは本なんですけど、
「ダーリンの頭の中」っていうコミックエッセイで、
トニー・ラズロさんと小栗沙織さんっていうご夫婦が書いてらっしゃるもので、
このダーリンは外国人シリーズっていうコミックエッセイがあるんですよね。
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ご存知の方も多いと思うんですけど、
その中の一つで、
そのダーリンであるトニーさんの、
トニーさんっていうのがかなり言語オタクなんですよね。
そのトニーさんの頭の中を小栗沙織さんがコミック形式でまとめてるっていうような形なんですけど、
このダーリンの頭の中一緒に、
まとめてるっていうような形なんですけど、
このダーリンの頭の中一冊丸々面白いんですけど、
中でも僕が面白いなと思ったのは、
日本語の「ん」の話で、
日本語の「ん」っていうのは、
実際にはかなりいろんな発音の仕方があるんですよね。
漢方っていうのと、関東っていうのと、漢口っていうのと、
全部漢っていう音が入ってますけど、
それぞれ「ん」っていうのは、音声学的には違う発音なんですよね。
ただ日本語母語話者にとっては、
全部同じ一つの「ん」という音としてね、聞いて認識しているわけです。
専門的に言えば、こういうのは音韻論と言われる言語学の分野で、
これもさっきの国語の授業と同様に衝撃だったんですよね。
母語話者である自分は何にも知らないような規則っていうか、
現象っていうのが言葉には様々あるっていうのに気づいたということです。
このダーリンの頭の中、まだ読んだことない方はぜひ読んでみてください。
特にこの番組を聞いてて言語学っていうものに興味のある方は、
非常に楽しめるんじゃないかなと思います。
国語の授業にしろ、ダーリンの頭の中にしろ、
言語っていうのは知らないのに使えてるっていうか、
逆に知ってるのに知らないというか、
知ってるのに知らないことを知ったっていうかね。
そういう一種の気持ち悪さみたいなものを、悪い意味じゃなくてね、
言語っていうのは持ってるんだっていうのに気づかされたんですよね。
これって他の分野でもそうだと思うんですよね。
あらゆることが数式で表されるとかね、
科学式で表されるとか、
雑多に見える自然界もかなり法則にのっとってるっていうのと、
もしかしたら近いのかもしれません。
言語の場合はそれを自分が使いこなしているくせに何も知らないっていうのが、
題材が身近なだけに非常に興味深いですよね。
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この2つのきっかけっていうのはどちらも中学生の頃だったんですけど、
冒頭言ったようにね、今でもその情熱みたいなものは
失わずにいられてるんじゃないかなと思います。
この番組がきっかけでね、そういう言葉の一種の気持ち悪さみたいなものがね、
伝わってですね、言葉とか言語学に興味を持つ人がね、
少しでも増えたらいいなと思っています。
というわけで今回のトークはここまでということで、
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回お会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。