1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-02-11 09:47

#264 奥が深い「ん」の言語学 from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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こんにちは、志賀十五です。
今日も志賀十五の壺、やっていこうと思います。
まずはお便りを読み上げたいと思います。
こちら、はるはるさんからいただきました。
志賀さんこんばんは、はるはるです。
はひふへほのパート2を拝聴いたしました。
この中で、ちょっとだけ触れられていた「ん」の発音についてお便りをお送りしたいと思います。
中国語を勉強して長くなりますが、
これは、Nで書くものとNGで書くものですね。
の違いが、いまだに区別が明確に聞きません。
確かに実際に発音してみると、口の動きが違いますが、
実際の中国人の会話でこの区別をつけるのは、至難の技だと思います。
中国人の友人には、中国でも南の人は、
「あん」と「あん」の区別がつかないと慰められています。
この発音はあくまで一例ですが、
志賀さんは、外国語の発音のトレーニングはどうされていますか。
何回も聞いて耳を鍛えるしかないかもしれませんが、
トレーニング方法がありましたら教えていただけると幸いです。
ではまた、ということで、はるはるさんどうもありがとうございます。
うーんとですね、僕は結構言語学は人よりものを知っているんですけど、
語学の方はそうでもないというか、人並みだと思うので、
あんまりね、アドバイスできるようなことはないんじゃないかなと思いますね。
その普通のことしか言えないと思いますね。
外国語の発音、まあやっぱりよく聞いたり、
あるいはシャドーイングとかかな、
実際自分で発音の区別ができれば聞き分けられるし、
っていうことだと思うので、
自分の発音をよく観察するっていうか、
その音とその口の中のイメージを一致させるっていうかね、
そういう作業が必要だと思うんですけど、
ただまあ、はるはるさんは中国語を勉強して長いっていうことですから、
この程度のことはもうやってらっしゃると思うんですよね。
なので、ほんと月並みというかね、
普通のことしか言えませんね。
僕個人の体験としては、今言ったシャドーイングとか、
自分の発音を観察して、
音とその口の中のイメージをうまくね、
連動させるような作業をするかなと思います。
ほいで、せっかくこのンの話が出てきたので、
今日はこのンをね、
言語学的に観察していくということにしたいと思います。
はるはるさんのお便りにもあったようにですね、
中国語のンにはNで書くようなものとNGで書くようなものですね、
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の区別があるわけなんですけど、
日本語母語話者はその区別が普通はできないということですね。
学習者はそれで困っちゃうということになっています。
そもそも日本語のンっていうのは、
一つの音声を表しているわけではなくて、
言ってみれば代表形というか象徴的なものなんですよね。
いろんなバリエーションがあるものをンと呼んでいるだけであって、
実際にはその表れ方っていうのは色々あります。
例えば、以下の4つの単語ですね。
半パ、半ノ、半コ、半イン、
これらはすべてハンっていう音が入ってますけど、
そして日本語母語話者であれば、
それぞれのンは同じンとして認識するわけですが、
音声学的な観点から見るとですね、
それぞれのンは全く違うものです。
もう一回言っておきますね。
半パ、半ノ、半コ、半イン、
これはですね、ご自身で口に出してみるとわかると思います。
半パのンは唇を使って発音していて、
半ノのンは歯茎で発音していて、
半コっていうのは上あごの奥の方を使っていて、
最後の半インっていうのは半のメンバーっていう意味ですね。
のンは舌が口の中のどこにも当たってないのがわかると思います。
ハルハルさんのお便りにあった中国語の2つのンは、
半ノと半コのそれぞれのンですね。
このことからわかるのはですね、
中国語のNで書くンとNGで書くン、
それぞれ日本語母語話者は発音はできるんですけど、
それを聞き分ける意味はないので、
同じンとしてまとめてしまっているわけなんですよね。
ちなみに韓国朝鮮語のンには半パのンも別物として扱っています。
だからまぁ韓国朝鮮語のンは3つあって、
中国語は2つで、日本語は1つと言ってもいいかもしれませんね。
発音のバリエーションは日本語いっぱいあるんですけど、
それを1つにひっくるめてしまっているというわけなんですね。
この日本語のンのバリエーションは、
なんでこういうふうになっているかというと、
後ろに出てくる音によっているんですね。
まぁ簡単な原理なんですけど、半パみたいな場合だと、
後ろが唇を使う音だったら、
それに引きずられて唇を使うンになるし、
半能みたいな場合は後ろが歯茎を使う音だから、
半甲のンだと後ろが上あごの奥を使うものだから、
半韻の場合は後ろが母音の場合ですね、
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は舌が口の中のどこにも触れないンというふうになっています。
だからまぁこのンの発音は自動的になっているということですね。
以上の話をまとめるとですね、
日本語のンも中国語のンに負けないぐらいバリエーションはあるわけですけど、
日本語の場合はそれが意味の区別に関わってなくて、
自動的に決まっているものなので、
区別する必要がなく、
象徴的なンとしてひとまとまりになっているということです。
先ほど韓国朝鮮語には3つのン、
つまりMで書くようなものとNで書くようなものとNGで書くようなものと、
3つのンがあると言いましたけど、
どうやら昔の中国語にもMのンはあったようですね。
今それがNと合流してしまって、
NとNGの2つになっているみたいなんですけど、
その証拠が関数字で確かめられるんですね。
山と言葉の数字は1つ2つ3つですけど、
関数字は1、2、3、4の方ですね。
この関数字はもともと中国語で、
それが朝鮮半島を経て日本に入ってきたわけですけど、
だから関数字を見れば、
中国語と韓国朝鮮語と日本語って、
当然元が同じなんで似てるんだなというのがよくわかるんですよね。
事実3というのは中国語ではサンなんですよね。
このサンのンはNを使う方のンなんですけど、
もともとはMのンだったようです。
サンだったらしいんですよね。
なぜかというとそれは、
韓国朝鮮語を見るとサンのことはサンで、
唇を使うンだからなんですよね。
その名残は日本語にもあって、
三味一体説とか言ったりしますよね。
この三味の漢字はサンイなんですけど、
普通だったらサンニになりそうなとこが、
三味で唇を使うことが出てるんですよね。
このことからやっぱり、
もともと中国語のサンというのは唇を使うサンで、
それが日本にも入ってきて、
部分的に三味一体とか、
あるいはサブローとかもそうだと思うけどな。
サブローでVで唇が出てくるのも、
おそらくサンが唇を使うンだったからだと思われます。
というわけで、今回のトークはですね、
日本語のンをいろいろ紐解いていったということになりました。
現代日本語という一つの言語の体系の中で見てみても、
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面白いものであるし、それを近隣の言語と比べてみても面白いし、
歴史を見てみても面白いということでね、
かなりンって奥が深いんですよね。
ちょっとね、はるはるさんのお便りには、
月並みな回答しかできなかったんですけど、
そこから派生して話が広がったというね、
そういう解釈でいきましょう。
それと忘れんように言うとくとですね、
2月16日で番組1周年を迎えるので、
お祝いのお便りやらギフトやら、
前後半年受け付けておりますので、
お気軽にどうぞよろしくお願いします。
最後まで聞いていただいてありがとうございました。
また次回お会いしましょう。
ごきげんよう。
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