どうも、しぶちょーです。
ものづくりのラジオは、産業機械の現役エンジニアである私、しぶちょーが、
ものづくりに関するトピックをザックバランに語るポッドキャストです。
今回は、科学系ポッドキャストの日という企画に参加させてもらっています。
この企画は、科学系ポッドキャスターが集まって、毎月10日あたりに共通のテーマについて、
それぞれの専門分野の視点で語るという取り組みです。
毎月、この企画の共通テーマを決めるホスト番組があるんですけど、
今月のホストは、生物をざっくり紹介するラジオ、略してブツザクさんです。
ブツザクさんが挙げた5月のテーマっていうのがね、こちら。
ネクストとなってます。
科学にまつわる次につながることや、今後の発展などお話しください、とのことです。
なので今日はね、このネクストをテーマにお話ししていこうかなと思うんですけど、
今日は、ものづくりというよりは、もうちょっとね広く捉えて、
ネクスト、つまり次を考える方法について紹介したいと思います。
次を考える、つまりは新しいことを考えるということですけど、
これってなかなか難しいですよね。
私が本業で関わっているものづくりの製品開発の分野においても、
今までにない新製品を考えろ!とかね、他社にない新しい機能を考えましょう!とか、
研究部員だったら、誰もやってない新しい研究の切り口を見つけましょう!みたいな、
とにかくこう、次を考えるっていうのはイノベーションが求められるわけですね。
今までにない革新的なものとか、研究が必要になってきますが、
言いは安しで、そんなものはね、オイソレとアイディアが出てくるってことは稀というかね、ほとんどないです。
新しいこと考えろ!ってあって、そもそもどうやって考えればいいのかってわかりませんよね。
しかし、皆さんに朗報です。
新しいこと、ぶっ飛んだネクストを考えるための思考法っていうのがあります。
それが最近注目されている思考法。
SFプロトタイピングというものです。
皆さんはSF小説って読んだりしますかね。
SF、サイエンスフィクションはサブカルチャーのジャンルの一つで、科学的な空想に基づいたフィクションの総称です。
非常にそのの広いジャンルですけど、こういったね、SFの力を借りて、新しい発想を生み出そうとか、新しいものを生み出そうというのがSFプロトタイピングなんですよ。
ビジネス界隈ではすでに非常に注目されていて、私も個人的にこの分野めちゃくちゃ興味があって、本を読んだりしてね、SFプロトタイピングとは何ぞやというのをちょうど勉強していたところでした。
なので今日は私のアウトプットも兼ねてね、このSFプロトタイピングを紹介していきたいと思います。
というわけで本日のテーマはこちら。
未来から次を逆算せよ。SFプロトタイピングです。それでは行きましょう。
超ざっくりと説明するとこんな感じです。
この話ってね、生成AIが普及した昨今では
またちょっと違った視点で見えてくるなと思いましてね
最近だとAIが作った文章なのか
AIが作った絵なのかみたいなことが議論されてたりとか
問題になってたりするじゃないですか。
学校の宿題とかでもね
生成AIで書かれたレポートなのか否かを見抜こうとして
先生が奮闘するみたいな
そういう話が結構見られるんですが
つまりは最近はね
人間なのかAIなのかを見抜くことっていうのが
すごく難しくなってきてるわけです。
これってまさにね、SF的な世界観が現実になってきたわけですよ。
だからこうSF作品が未来を予想する力
ある意味で架空の未来を想像する力とも言い換えられますが
こういうね、SFが持つ力を
創作物以外の何かに活用できるんじゃないかと
考えた人たちがいるんですね。
その考えから生まれて今注目を集めているのがね
今日主題のSFプロトタイピングという考え方です。
これはSF的な思考であるべき未来
実現した未来っていうのを物語として想像して
その描いた未来から逆算して
今何をすべきか、次何をすべきかを考えるという方法です。
このように最初に目標とする未来図を描いて
次にその未来像を実現するための道筋をね
未来から現実へと遡って考える方法をバックキャスティングと言います。
これ自体は一般的に普及してまして
技術的なロードマップを描いた時にね
こういうところにたどり着くから
今こういうことしなきゃいけないよねみたいな逆算的なことをやります。
ただ結局大変なのは未来を描くところなんですよね。
なかなかワクワクするというかぶっ飛んだ
これは新しいなっていう未来って描けないんですよ。
だからそういった未来を描くために
みんなでSF小説作っちゃいましょうと
そういうのがSFプロトタイピングのアプローチなんです。
このSFプロトタイピング
じゃあ具体的にどうやってやるかっていうことなんですけど
必ずこうやればいいよっていう決まった手順っていうのは
実はまだ確立されてないようです。
主にはブレインストーミングみたいなね
テーマに沿っていろんな人が意見を出しながら
行うワークショップのようなものなんですけど
そのアウトプットとしてSF小説なり漫画なり
そういうSFの成果物を出すっていうのが最大の特徴です。
これなかなか攻めた取り組みですよね。
例えばさ、私は工作機械っていう産業機械のエンジニアなんですけど
社内でもこれからの工作機械の在り方とかね
新しい機能とかについて考える機械っていうのはあります。
普通は今の技術トレンドとかニーズをもとにしてね
次はこんなものが求められてるんじゃないかとかいうのを話し合って
最後にはこういう製品を作りましょうって言ってね
プレゼンにまとめるわけです。
まあこれはね社会人であれば
誰もが同じような手順を踏んだことがあるのかなと思います。
が、なんともまあね
そういった意見出しから生まれるのって無難オブ無難で
こうやっぱね堅苦しくて真面目な議論になっちゃうわけですよ。
そしてね最終成果物もなんだかどこかで見たことあるようなないようなと
新しいようでそうでもないようなパッとしない提案しか出てこないんです。
イノベーションとはねやっぱほど遠いわけですよ。
これはね現状を起点に次を考えるっていうアプローチなので
どうしても地に足のついたね無難な発想になってしまうんですよ。
SFの創作物を作りましょうという前提で話すんでね。
むしろね枠にとらわれないってことが求められるわけ。
このね議論の前提っていうのはねやっぱりだいぶ魅力的に感じますよね。
あとやっぱ作品を作るということで
強制的に未来の社会情勢とか環境とか製品に関わる人々など
考える必要があるっていうのも実にいいポイントだと思います。
やっぱ新しい製品考えようと思った時に
製造業のエンジニアが意識向きがちなのは
やっぱ機能とか品質っていうところなんですよ。
そういう枠から一回離れてすごく不感的な視点で
製品の未来を見てみるとか想像してみる
そういうことを想像できる
ある種強制的に想像させられるっていうのが正しいかもしれませんけど
このくらいの強制力があった方が
やっぱり凝り固まった我々の頭にはちょうどいいんじゃないかなと思いますよね。
そしてやっぱりいいのは創作物であるがゆえにストーリーがあるんですよね。
だからこの創作物をもとにメンバー間で
これから目指すもののビジョンっていうのをすごく共有しやすいと思うんですよ。
こういう未来を作るんだっていうイメージを共有できるんで
チームを団結しそうな気がします。
気がしますっていうのは別に私ここまでなんか良さを語ってきましたけど
やったことがあるわけじゃなくて
これは結構いい結果を生みそうだなという期待感で話してるっていう感じです。
何らかの気づきを得るフックにはなりそうな気がするんですよね。
SFプロトタイピングについては
私は2冊ぐらい本を読んだ感じなんですけど
読んだ本はポッドキャストの概要欄に貼っておくんで
僕の話聞いてなんか気になるなと思った人はぜひともチェックしてみてください。
すごく面白いですよ。
読んだのはね
SFプロトタイピング
SFからイノベーションを生み出す新戦略という本と
未来は予想するものではなく想像するものである
考える自由を取り戻すためのSF思考という2冊です。
これすごい面白かったんで本当にお勧めします。
ぜひともね読んでみてください。
せっかくなんでね
SFプロトタイピングまでとはいきませんけど
SF的な未来をねちょっとここから好き勝手に想像していきたいと思います。
ちょっとここから私が妄想を語る謎の時間始まりますけどねご容赦ください。
私は工作機械っていうね
金属を削って部品を作る産業機械のエンジン屋なんですけど
せっかくなんでね
未来の工作機械を想像していきたいと思います。
100年後、工作機械はどうなっているのか
これをねちょっと妄想していきましょう。
100年後なんでね
2124年と
工作機械は各家庭に1台の時代となった。
物は買うのではなく自宅で作る時代である。
ユニバーサルクラフターと呼ばれる工作機械が
必ずどの家庭にも必須の家電として備わっている。
消費者はネットを通じて物ではなく製品データと
製作するための権利を購入する。
ユニバーサルクラフターにデータを送付すれば
どんなものであっても1時間以内に出来上がり
入手することができる。
ユニバーサルクラフターの内部にはロボットアームが取り付けられていて
製作した部品の組み立ても自動で行い
完成品を出力する。
部品の製作は3Dプリントや切削加工が行われ
7種類の樹脂、3種類の金属、2種類の接着溶剤、
4種類のカラーインクがカートリッジとして収まっていて
これらを混ぜて積層しあらゆる部品を作り出すのだ。
ユニバーサルクラフターは
多様化しすぎた価値に対応するために生み出された。
100年で価値の多様化がさらに進み
誰もがあらゆるものを自分専用のオーダーメイド品として求めるようになった。
大品種少量生産から無限品種一品生産となり
それゆえメーカーは在庫を持つことができず
工場はなくなり各家庭が製作工場となる形で
ものづくりは分散した。
メーカーのビジネスはデータ販売にシフト
顧客から入力されたデータをもとに
その顧客用のオーダーメイドの設計データを作り出し
提供することで収益を得る形となっている。
ユニバーサルクラフターは配送の問題も解決した。
この100年自動運転での配送やドローンを使った配送
はたまた自立型ロボットを活用した配送も試されてきたが
物理的な配送には多くの事故や事件のリスクがあり
一種の社会問題に発展していた。
一方ユニバーサルクラフターであればその心配はない。