おなじみ、サイエントークさんです。
もはや説明は不要ですね。
科学系ポッドキャストといえばこの方たち、レンさん、エマさんの番組です。
そんなサイエントークさんが出した今月のテーマ、
こちら、境界です。
分野の境界、人との境界。
境界をキーワードにしたポッドキャストエピソードを募集しますということです。
これはね、なかなか幅のある面白いテーマですよね。
なんで私はね、ものづくりと境界ということを語っていきたいんですけど、
これ捉え方次第でね、いろんな切り口ありますけど、
今日はね、ものづくりの根底に関わる、
作る、作らないの境界の話ししていきたいと思います。
ということで、今日のテーマはこちら。
作るか買うか、ものづくりの境界線、科学系ポッドキャストの日です。
それでは早速いきましょう。
ものづくりをする上で、最初にして最大の境界は、
自分たちで作るか、それとも買ってくるか、この境界線だと思います。
作るか買うかの境界線です。
ものづくりなんだから、自分たちで作るのが当たり前だろうと思うかもしれませんが、
実はね、これそんな簡単な話じゃなくて、
ものすごい複雑で難しいビジネスの話でもあるんですよ。
例えば皆さん、OEMって言葉って聞いたことありますか?
オリジナルエクイプメントマニファクチャリング。
この頭文字を取って、OEMです。
OEM生産なんて言葉もよく言われますけど、
これは製品の製造を委託するっていうことです。
自分たちではものを作らずに、他の会社に作ってもらって、
自分たちの製品、ブランドとして売る。これがね、OEMというものです。
そうやって言うとね、なんかちょっと聞こえが悪いんですけど、
これ別に全然ダメなことじゃないです。
実は世の中にはね、OEMっていうものがたっくさんあります。
一番ね、わかりやすい例で言えば、自動車とかですね。
例えば、私の妻がちょっと前に乗ってた車がね、デリカD2っていう車なんですけど、
これ三菱自動車から出てるね、コンパクトカーなんですが、
実はこの車と全く同じ形をした車っていうのがね、存在するんですよ。
それが何かっていうと、鈴木株式会社が出しているソリオっていうコンパクトカーです。
別にその車について調べてもらう必要はないんですけど、
とにかくこのデリカD2という車、ソリオという車、形は全く同じ。
違いはその会社のエンブレムだけなんですよ。
そこを押さえておけばね、全然OKです。
鈴木のマークがついていればソリオだし、三菱のスリーダイヤがついていればこれはデリカD2。
ただそれだけなんですね。
もちろんね、三菱と鈴木、これは全く別の自動車メーカーです。
なのに全く同じ形の車を違う名前で売っていると。
これがOEMというやつです。
これがね、どういう構図になっているかといえば、車を作っているのは鈴木なんですよ。
鈴木が製造、販売しているソリオという車を三菱が買って、
エンブレムだけ変えてデリカD2として販売しています。
これだけ聞くと、意味わかんなくないですか。
何がしたいのと。
世の中に全く同じ形の車がブランド名だけ変わって存在しているわけですよ。
消費者側からしたらね、これ意味不明。
どっち買えばいいんだってなりますよね。
しかもね、メーカー側から見ても一見車の売上さ、損しそうに思いません?
それわざわざそんなことするメリット何なんだと。
意味不明となるわけですけど、もちろんね、当然のことながら、
両者にメリットがあるからOEMっていうのが行われているわけです。
こうやって他のメーカーに作ってもらって、
自分たちのものとして売るこのOEM、何がいいかというとですね、
まずOEM製造元である鈴木の気持ちになって考えると、
これわかりやすいんですけど、
単純に車がいっぱい売れるっていうことですね。
ソリオとしてはそもそもユーザーが買ってくれるし、
デリカD2としては三菱自動車が買ってくれるわけです。
単純に数が出る。すごく単純な収益アップです。
こういう感じでね、OEMの製造を受け負うことで、
シンプルに生産台数っていうのを増やすことができるんですね。
じゃあ今度、OEM販売元である三菱の気持ちになって考えるとどうでしょう。
自分たちで車を作らずに、買って名前を付けて売ることのメリット、
これ何なのか。
それはね、ラインナップの充実なんですよ。
車に限らずなんですが、
機械1台開発するのって本当に莫大な開発費用がかかります。
時間もかかるし、人件費もかかるし、
生産ライン整えるのにとんでもない時間かかりますし、
1回作ったらね、管理のコストもかかるわけ。
だからね、開発って良いことばかりではなくて、
背負うものもすごくいっぱいあるんですね。
なので、いろんな製品がある中で、
全てのラインナップを全部自社で開発していたら、
とんでもないことになってしまうんです。
それぞれのメーカーごとに、
得意な開発領域っていうのがありますから、
どうしてもね、その得意な分野に開発を集中させたいんですね。
すでに市場のある新規分野に、
わざわざ考発で入っていくのって結構リスクがあります。
じゃあ自分の得意なことだけに集中すればいいんじゃないっていう感じなんですけど、
やっぱりね、ビジネス考えるとそうもいかないんです。
製品のラインナップに穴があるっていうのもね、
強烈な機械損失になるんですよ。
この機械っていうのはマシンじゃなくて、
チャンスの方ね。
お客さんに売るチャンスを逃してしまうということです。
例えば三菱の車欲しかったけど、
ああいやコンパクトカーないか、
じゃあ他のメーカー検討するしかないなってなったら、
もうそもそも戦いの土俵に上がってないんです。
見送るしかないと。
内装では触れないってことです。
特に製造業では、
○○製、メイドイン何菓子っていうブランドが結構重要になってきます。
製品ラインナップないから、
このメーカーのやつ買えないなって、
ユーザーが離れるっていうのはもう不先輩みたいな感じで、
メーカーとしては絶対に避けたいわけです。
だからといって、
不得意な領域に後発で開発参入するのも、
さっき言ったようにリスクがあるんで、
そこでOEMですよ。
既に市場に出ている品質の担保された車、機械を自社ブランドとして売ると。
当然自分たちで作るより利益は少ないんだけど、
それよりもリスク低く、少ない工数で自社ブランドの製品を展開できると。
これは非常にメリットがあることなんです。
なんでOEMというものが成り立つんですね。
例としてはね、車をあげましたけど、
車に限ったことではなくて、
他の産業機械の分野でもよくOEMは行われますし、
もっと言えば製造業に限らず、
アパレルとかは本当に多くのOEMが行われてます。
最近ではね、食品とかでも自社ブランドを展開するお店が増えてますけど、
基本的にああいうものもOEMで、
どっかがまとめて作っていて、
パッケージなりちょっとした香り付けだけ変えて、
ラベルも変えて、違うものとして売ってるんですね。
中身はほぼ同じです。
全面的にそういう情報共有って禁止するほかないんですね。
本当は機密情報に満たない、
技術者個人のノウハウレベルのお話、
技術者あるあるの失敗みたいなものっていっぱいあるんですけど、
そういうものは封殺されていて、
誰もが同じ失敗を繰り返しながら、
同じように成長しています。
みんな初めからやってるんですね。
例えば、私設計歴で言えば10年ちょいですけど、
今ここに過去から、
そうだなぁ、20年前ぐらいから、
同じく設計歴10年ぐらいの技術者を、
召喚したとするじゃないですか。
私が現代の中堅技術者ね。
20年前の中堅技術者と相対すると、
おそらくだけど、
持ってるスキルセットってほぼほぼ変わらないです。
当然自分たちが使っているツールの進化はあるんだけど、
機械設計の本質的なスキルの部分って、
ほとんど変わらないと思います。
本当は私の方が20年先に生きているので、
20年分の強くてニューゲームをしていなきゃいけないんですけど、
肌感覚としてはそうなってないです。
強くてニューゲームするっていう土壌ができてないんですね。
だからこそ、会社の境界っていうのを、
もっと破っていかないといけないんですよ。
もちろん破ろうとしている人たちはいて、
それは手前みそながら、
私と同じような情報発信をしている技術者の方々です。
自分の経験を発信したりとか、
失敗談を発信したりね。
持ってるノウハウをまとめてブログに投稿するとか、
そういうことをやっている人たち。
実は自分にとって当たり前のことでも、
ちょっとしたことでも、
誰かにとっては非常に価値になるなっていうことが、
身をもってわかっている人たちです。
私も実際発信していて、それすごく感じます。
結構設計ミスあるあるとか発信しますけど、
すごく反響があるんですね。
こういう生きた情報を共有するっていうのはね、
それを見た人たちにとってちょっとだけ強くなると。
強くてニューゲームできるわけですよ。
だってその人はその失敗しないわけだからね。
だからこそ私は情報発信っていうのをすごくお勧めしているわけです。
なんか出しましょうと。
SNSでもいいし、音声配信だったらできればいいけど、
なんかアウトプットしましょうよっていうのをしてます。
そして私がアウトプットしまくっているという感じなんですけど、
それはアウトプット自体が自分自身の勉強にもなるし、
それを見た誰かの何かをまた強くするんですね。
損している人がいない。
これ最高の取り組みですよ。
発信された情報を体系的にまとめるっていうのがまた難しいんですけど、
それでも境界を打ち破るために、
外に意識の向いた技術者を増やすっていうのは非常に重要なんで、
そうやって発信している人が増えることで、
どんどんと意識は変わっていくと思います。
SNSの普及でだいぶ意識変わったと言われてますけど、
まだまだそういう外に意識の向いた人多くはないと思うんで、
発信するという技術者の姿が増えるだけでも、
そういう境界が変わっていくのかなと思いますね。
今日の私の話をまとめますけど、
ものづくりには、ものづくりと言っていますが、
作るか買うかの境界線があると。
実は買うという選択肢も重要で、
中国では買うということによって、
国全体のものづくりの境界が事実上なくなっていると。
これは主観ですよ。
そして我々技術者にできることは、
外に目を向けて発信する。
そうして日本全体で情報を共有していこうぜと。
俺たちの技術者としての境界もなくしていこうぜ。
そういうお話でございました。
クロージングトークです。
先週ポッドキャストウィークエンドに参加してきました。
来てくださった方々、本当にありがとうございます。
めちゃくちゃ嬉しかったです。
それこそ、今回のホスト番組である再演トークのレンさんだったり、
私が今年通ったポッドキャストの学校というスクールの卒業生であったり、
リスナーの方々、本当にいろんな方に会えて夢のような一日でした。
ものづくりのラジオ知らないよって人も結構来てくれたんですけど、
展示すごく楽しんでもらえたし、
ものづくりの楽しさは少しは伝わったかなと思います。
当日はね、誰も来なかったらどうしようとか、
多少は来てくれたらなと思ったんだけど、
結構暇な時間が多かったらどうしようってちょっと心配してたんだけど、
幸いなことに、というかね、非常に嬉しいことに、
そんな暇なタイミングなくて、結構常に誰か来てくれるって感じで、
めちゃくちゃ楽しかった。
これね、また来年もね、申し込むんで、
もし抽選等で出ることができたら、さらにパワーアップさせて出展したいと思います。
本当に皆さんありがとうございました。