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スピーカー 1
さっき郷土利用機関だという話をしましたけど、我々のところで雇用している人がそれぐらいの人数という話で、
実際には日本の大学だけじゃなくて海外のいろんな研究所と共同でさまざまな実験をやっているんですけど、
僕がやっているベルツー実験っていうのは本当に多分めちゃめちゃ大きいコラボレーションで、
参加している機関だけで25とか6カ国ぐらい、25とか6の国と地域からで、
スピーカー 2
人数でいうと本当に1200人とかそれぐらいいます。
すごいな。一大プロジェクトですね。
スピーカー 1
本当にすごい大きいです。なので普段のやり取りは基本的に英語でやるんですけど。
スピーカー 2
そうですよね。そんだけの国の人たちと交流しないといけないんだったらそうですよね。
スピーカー 1
そうですね。基本的にその実験が始まると24時間365日、
365日はいい過ぎですけど、本当に土日も関係なくずっと動かし続けるんですけど、
そうするとやっぱりその実験の装置の重りをするシフトっていうのがあって、
1日3交代制で8時間ずつ何人かがついてやってるっていう感じですね。
スピーカー 2
本当にずっと動いてるんですか?加速し続けてる状態なんですか?
スピーカー 1
ずっと衝突を常にキープしてる状態っていう感じですね。
だいたい2週間に1度ぐらい止めて何か必要なメンテナンスをしたりとかするんですけど、
基本的には実験期間中って言われる期間をずっと運転します。
スピーカー 2
だからその24時間のうちのどっかの時間はこの大学が使う時間とかそういう感じで分かれてるってことですか?
スピーカー 1
大学児が使うっていうよりは、我々の実験の場合はもう装置はずっと一緒なんで、
スピーカー 2
みんなで共通のことをやってる感じですね。
スピーカー 1
結構放射光施設とかちょっと違うタイプの加速機だと、
ビームタイムっていうのをそれぞれのグループに与えて、その時間その人たちがやるって感じです。
それぞれのプロジェクトをやるって感じですけど、
我々のベル実験ではもうプロジェクトっていうのはドーンって一つあって、
それをみんなで手分けしながらやるっていう感じです。
スピーカー 2
その実験中は基本的に皆さんはもう日本に来て、一緒に実験してるっていう感じなんですか?
スピーカー 1
基本的に千何百人がずっと日本に来るっていうのは全然なくて、
実験をさせるのに必要な10人とか20人ぐらいですかね、常駐してる海外の人っていうのは。
基本的には皆さん自分の国にいて、それぞれリモートでできることたくさんあるので、
年に3回だけコラボレーションミーティングっていうのがあって、
1200人全員は来ないですけど、200人、300人ぐらいが、
無理ですね。
そうですね。
一箇所に集まって、いろんな議論をするっていう感じですね。
スピーカー 2
すごいな。
年に3回も結構多いですよね。
スピーカー 1
そうですね。結構多いです。
4ヶ月に1回ぐらい。
スピーカー 2
確かに。
これちょっとどこまで分かるか分かんないですけど、
1回動かして、また2週間後に止めるわけですよね。
どれぐらい電気使ったりお金かかるとか分かったりするんですか?
スピーカー 1
なので我々の実験は夏の日本の国中の電気の消費量が低迫するような時期っていうのはお休みしていて、
夏の間は1ヶ月とか2ヶ月お休みしてます。
スピーカー 2
じゃあその時期は基本的にプロジェクトの人とかはもう夏休みみたいな?
スピーカー 1
いやいや全然違います。
むしろその時期の方が忙しくて。
普段実験やってるとやっぱり大掛かりの改造とかできないじゃないですか。
だからそのシャットダウンの期間中にもういっぱい宿題があるんでそれをなんとか。
大学生じゃないんだから。
スピーカー 2
夏休み満喫できるのかと。
スピーカー 1
24時間じゃなくなるのは楽になりますけど、やることはいっぱいありますね。
その期間しかできないことってやっぱりいっぱいあるんで。
スピーカー 2
でもそうですよね。
全然だって論文書いたりとかもあったりするから。
出てきたデータを1週間でものすごい量のデータ出てくるわけじゃないですか。
スピーカー 1
中山さんはそれを結構解析とかもしてるっていう。
本当にいろんな人がいるんですけど、1200人いるんで。
基本的に出てきたデータってものすごい量なんで、
日本にある計算機パワーだけじゃ全然足りないです、処理するのに。
世界中の参加してる機関の中に大きい計算機を持ってるところがたくさんあるんで、
それをグリッドコンピューティングで結んで、いろんなところで分担して。
スピーカー 2
ちょっと借りながら処理して。
スピーカー 1
解析してますね。
スピーカー 2
あとなんか実際どういうことやってるとかありますか。
スピーカー 1
そうですね。さっき24時間のシフトがあるって言ったんですけど、
コロナの時めちゃくちゃ大変で何でかっていうと、それをみんなで分担してくる。
海外の人が全然来れなかったじゃないですか。
入国制限。
だから本当に日本にいる日本人とずっと常駐してくれてる海外の人たちだけでシフトを回さなきゃいけなかったんで、
もう大変でした。
スピーカー 2
それはなんかもう体力的にしんどいですね。
スピーカー 1
普段は入れ替わり立ち替わり海外の人が来てくれて、
シフトを分担してくれるんでだいぶ楽だったんですけど、
あの時期は相当大変でしたね。
スピーカー 2
それも誰でもできるようなバイトを雇ってできるようなものでもないですよね。
スピーカー 1
いやー難しい話ですけどね。
スピーカー 2
そう、なんかのボルト緩んだら閉めてねみたいなそういうレベルじゃないですか。
そうですよね。
スピーカー 1
基本的にはデータを見てるやつなんで、
リモートからやっていただいた部分が大きかったんですけど。
スピーカー 2
確かに。出てくるものを見ることができる。
スピーカー 1
そうそう。
その装置がちゃんと動いてれば綺麗なデータが出るんだけど、
なんか変なデータが出てるぞってなったら一回リセットしてもう一回撮り直しとか。
リアルタイムに気づかないと無駄になっちゃうんで。
そういうのを常に監視しておく必要がある。
スピーカー 2
それってなんか実際にさっき言ってたプラスとマイナスのやつを飛ばして、
その通る通路みたいなのがあったりするわけじゃないですか。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
そういう通路がなんかおかしくなっちゃったりとかなんですかね。
スピーカー 1
えっとですね、我々はその飛ばす方の面倒を見るというよりは、
飛ばして出てきたいろんな粒子を捕まえる装置、測定器って言われてます。
スピーカー 2
あ、そうか。測定器の方か。
スピーカー 1
の方がちゃんと動いてるのを常に監視してるって感じですかね。
なんかたくさんプロップが並んでる液晶パネルがたくさん並んで。
スピーカー 2
デイトレーダーみたいな。
スピーカー 1
そうです。
なんか通常と違うデータが出てくるとなんかピコーン高くなって、
プラダンサーを調べるとかそういう感じですかね。
スピーカー 2
えー、それでも原因調べるの大変ですよね。
受信してるのがちょっと違うっていうので。
スピーカー 1
そうですね、だから。
どこにって。
シフト取ってる人が全部わかるわけではなくて、
エキスパートの人に夜中かもしれないですけど、
起こしてなんか変なこと起きてるけど大丈夫?とか。
スピーカー 2
え?ってなりますね。
スピーカー 1
だいたいその月に置いてある懐中電灯を地球から見て光ってるかなってわかるなきゃいけないとかそれぐらいのレベルなんですけど。
スピーカー 2
すごいな。
なんかもうそれこそ業者っていうよりも研究、そういう技術を開発してる人たちに頼むレベルですよね。
スピーカー 1
そうですね。だから光けんすきで言うと本当に我々浜松モトニクスっていう浜松にある会社さんともう本当にずっと一緒に共同研究してるんですけど、
向こうにもその会社の方で社会人に乗ってから博士号を取った方がいらっしゃって、
そういう方と一緒に僕も浜松の工場に通ってた時期ありますけど。
スピーカー 2
本当に作るところから見てるんですか?
スピーカー 1
本当に一緒にやっていった感じですね。
だから研究者1200人って今言いましたけど、
スピーカー 1
そこに関わってるいろんな外部の業者の方とかも加えるともうすごい人数ですよね。
いろんな各国の研究者の人が何かものを作るときにそこの国の会社を引っ越しになる。
なんか一個のパーツだけでやっぱこの業者だみたいなのもありそうですしね。
本当に関わってるプロジェクトだなっていつも思います。
スピーカー 2
これってベル2実験みたいなお話もありましたけど、もともとだからベル実験。
スピーカー 1
そうですね。ベル1実験。当時は単にベル実験って言ってましたけど、今区別するためにベル1実験って呼んだりもしますけど。
ベル1実験は1999年から2010年くらいまで走ってたんですね。
10年間走ってアメリカの実験に勝ってすごいたくさんデータを込めて終了したんですけど、
そのまま走り続けるっていうもちろん選択肢もあったと思うんですけど、
何年か休んででも大幅に改造してそこで性能をグンって上げれば休んだ分取り返せるだろうっていう、
そういうところで多分どこかで上手くいってる実験を1回ストップして、
より新しい最先端の技術を使ったものに作り変えるっていうことを必ずやる必要があるんですよね。
それを我々の場合は2010年に決断して。
スピーカー 2
なんかもうアップデートどんどん早そうだし、他の国とかも。
スピーカー 1
特に粒子を捕まえるセンサーの中で半導体を使ってるようなセンサーもあるんですけど、
そういう技術って10年経てば全然違うすごい技術があるわけなんですよね。
だからそれにやっぱり入れ替えて実験しないと、どんだけたくさんデータを取ってもデータのクオリティもやっぱり違うのでもったいない。
スピーカー 2
2000年前半とか考えたら今僕らが持ってるスマホとかも全然ないレベルじゃないですか。
考えたらそれだけやっぱり機械も進化してますよね。
そうですね。
スピーカー 1
我々は特に半導体の部分とか、あとは出てきた素粒子の種類を判別する測定器の中にセンサーがあるんですけど、
スピーカー 1
もしくは様を挑んでぶつけた点から、今センサーがあるところまで粒子が飛んでくるのにかかった時間をものすごい精度良く測ってあげれば、距離は一緒なんで時間で割れば速さが出るじゃないですか。
そういう風にして速さを測るという方法もあって、そういういろんなアプローチで出てきた粒子の種類を見合ってきます。
ベルツー検出器の中にはそういったいろんな違う種類のセンサーが何種類も入っていて、なので複数のセンサーのデータを後からガッチャンとして解析してやると、
起こったB中間子の壊れ方の全貌がまるでデジカメで写真を撮ったように見えるって表現することがあります。
スピーカー 2
これちょっと音だけなんで伝えられないですけど、実際見てみてほしいですね。
スピーカー 1
この辺の話って我々のベルツー実験のYouTubeのビデオでかっこいいCG使って説明してるので是非見てみてください。後でリンクを貼ってもらえると。
スピーカー 2
よく多分素粒子の研究所とかを調べるとものすごいいかつい機械の写真とかいっぱい出てくるじゃないですか。
配線だらけででっかい丸みたいなのがあって。
スピーカー 1
まさにそうです。
スピーカー 2
あれって大体さっき言ってた検出するところですか?
スピーカー 1
そうですね。我々の検出機は大体8メートル、8メートル、8メートルとかあるので、3階建ての1軒屋ぐらいのサイズですよね。
それが地下4階まで吹き抜けになっている大きな実験ホールの地下の部分にドーンと置いてあります。
スピーカー 2
すごいでかい。
そこ行ってみたら異空間感がありそうですね。
スピーカー 1
いやー本当にすごいですよ。
やっぱり見学に来られた方、皆さん間近で見るとやっぱり写真と全然迫力が違うって知ってて。
過去、いろんなドラマとかにも使われてて。
ガリレオの、福山正平さんのガリレオのドラマの撮影とかでも使われてるんで。
スピーカー 2
物理学といえばみたいな感じしますもん、やっぱり。
スピーカー 1
再放送とかあると見ていただくとわかりますけど、まさにベルツ検索の中で福山さんが仕上げてますね。
スピーカー 2
ここを高速で通ってんだって考えたらちょっと熱いですよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
でもそんだけ高速で素粒子が動いてたら危なくないんですか?事故とかじゃないですか?
溜まってる特技ですよね。
スピーカー 1
さっきも言いましたけど、粒子自体が持ってるエネルギーってそんなに出したことないんですよ。
もちろん変なことが起きてストッパーとかに当たっちゃうとストッパーがちょっと動けたりとかしますけど。
なんていうか、ドーンって爆発するとかそういうことはあります。
ビームが出てるエリアっていうのはコンプリートに壁で仕切られてるので、その外側にいればいいんです。
スピーカー 2
ちょっと行ってみたいです。
スピーカー 1
ぜひ来てみてください。
スピーカー 2
普通の人って入れるんですか?
スピーカー 1
例えば一般公開のときとかだと本当に近くまでご覧いただけますし、普段も見学っていうのは受け付けてるので、
ある程度グループで受け付けてるんですけど、
いれば我々普段の業務で見学の方に決めつけてもらえるようになります。
スピーカー 2
さっき言ってた夏の間はお休みしてるとか、そういう期間とかですかね。
そうですね。
スピーカー 1
今実はベルツー事件、長期のシャットダウン期間中でして、
大幅な改造をやるために一度2019年ぐらいから運転を1回止めて、今大きな改造をしてるんですけど、
なので今年の夏いっぱいは検出機の中の方まで空いた状態っていうんですかね。
普段は蓋で隠れてるんですけど、今結構検出機の内側の心臓部のところまで見える状態になってるので。
この夏の間に見学に来られる方は多分数年に一度しか見えない、奥の方が見える状態になってると思います。
スピーカー 2
そうですね。1回走っちゃったら全然見れないから。
スピーカー 1
ちゃんと取れてるかなっていうのを確認しています。
スピーカー 2
確かにそれをまた1個1個計算するというか、
するのも大変そうだなって思いましたけど。
スピーカー 1
そうですね。だから粒子に顔がついてないんで、
この出てきた粒子の種類が何かなっていうのは、
ある程度の確率でしか分からないですね。
これは多分9割くらいこの粒子だなとか、
そういう計算を全部してやってるんですけど。
スピーカー 2
だから1回やっただけだと、例えば1回の実験で点が1つ打てるとして、
それを何回も何回もやったら、
これは直線の一部だったんだなみたいなのが分かってくるみたいな。
スピーカー 1
そうですね。例えば、ある特定のパターンに壊れるデータを集めたいって思ったら、
いろんな他のパターンにも壊れるパターンがたくさんあるので、
いろんな中から自分が今探したいと思っているパターンのやつっぽいやつを集めてきて、
それが何回中何回あったかなみたいなのを調べるとか、
そういう感じですね。
スピーカー 2
それで割合とかを計算するっていう感じなんですかね。
スピーカー 1
それが理論で予測してたのは何パターンだったのか、
理論で予測してたのは、例えば100万回に1回起こるって予測してたけど、
データだと100万回に10回起こったら何か変なことですよね。
例えば。
そうすると何か変なことが起きてるかもしれない。
そういう感じで調べます。
今単純に回数の話だけしましたけど、
出てくる、公開してくる粒子の角度のパターンとか、
いろんなところを理論で測ると実際の実験結果との差があると。
統計的に意味がある差があると。
スピーカー 2
とてつもない量ですね。
とてつもない量。
僕すごい思うのが、
こういう理論と実験する人ってそれぞれいるわけじゃないですか。
今回はその実験からこういうことが分かるみたいな話とかで、
今でも理論をやってる人もいるわけじゃないですか。
どういう関係性というか、どう関わってるのかなっていうのもちょっと気になったんですけど。
スピーカー 1
例えばその理論っていうのは標準理論っていう、
すごい完成したっぽい理論があるっていうふうに言ったんですけど、
手で説明できないことを何とか説明しようっていうために、
拡張版の理論みたいなのはいろんな仮説があるんですね。
例えばそういうのを考えてるとか、
何百種類もある仮説の中で、
これは生き残るけど、
これは否定される。
実験結果から否定されるみたいなことを延々やっていくわけですね。
例えば標準理論で説明できないっぽいような新しい結果が見つかったら、
もう2、3日のうちにそれを説明できるかもしれないっていう新しい理論が、
ペーパーが出てきたりとか。
へー。
すごいスピード。
スピーカー 2
すごいスピードで世界中の人がやってたりしますね。
スピーカー 1
でもその理論が何かできたってなったら、
スピーカー 2
それをやっぱり実証したいってなって測定しに来るみたいな。
そんな感じのイメージですかね。
そうですね。
スピーカー 1
あとは、やっぱり理論ってすごい理想的な場合っていうか、
実験特有の、固有の事情とかあんまり考えずにやっぱり理論を作るんで、
それをじゃあ実験結果と比べるときに、
測定器の方のいろんな情報とかを組み合わせて、
実験結果と直接比較できるような、
結果を出しとかないとすぐに比べられないじゃないですか。
そういう間を橋渡しするのを専門にしてる方もいらっしゃって、
現象論、フェノメノロジーって言われるんですけど、