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こんにちは、パリのアパルトマンからお届けします、フリーランスのSAKIです。
このラジオでは、私SAKIがパリ生活やビジネス、読書で学んだことを毎朝10分間配信しています。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は休日ということでね、ちょっとゆったりとした話をしたいなって思ってます。
寝る前に、最近ちょっと頭が回転しすぎて、寝れないって話をちょくちょくしてると思うんですけど、
もうちょっと寝るのを諦めてですね、この時間本読もうって思ったんですよ。
仕事するほどの体力は残ってないけど、でも寝れないっていうこの時間って、
本、特に小説読むのにぴったりだなって、身を沈めていく時間として、ぴったりだなって思いました。
ビジネス書とか読んだらね、また頭がギュインって回転しだしてきて、
たぶん、徹夜沙汰ぐらいになっちゃうんで、小説がそういうのすごくいいかなって思いました。
で、私ちっちゃい時から本をすごく読んできたんですよ。
で、特に小説。
で、なんか読みすぎて、小学校の時とか友達に、
さきちゃんってすごい、いつも図書館におるよね、住んでるみたいな、
を言われたことがあるぐらい、図書館にこもって本を読んでて、
で、特にその事業を始めてからは、ビジネス書の割合増えましたけど、
特に小説を読んできたって感じなんです。
で、今日は私が一番好きな作家さん特集みたいな感じにしたい、したいです。
あの皆さん、西かな子さんってご存知ですか?
あの女性、日本の女性の作家さんで、小説をメインに20冊ぐらい出されてるんですけど、
有名なところで言ったら、映画化された黄色い像とか、
平成26年に直木賞、さらばっていう本で直木賞を取ったりとか、
そういうヒストリーがある方なんですけど、
どの本もなんか、おすすめすぎて、
私は全部持ってて、ハードカバーで。
で、何冊かパリにも持ってきてるんですけど。
いっぱいおすすめなんですけど、
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ちょうど今日は寝る前に、寝れなくて読んだ短編を紹介したいと思ってます。
これは一冊の本っていうよりかは雑誌かな?
クイックジャパンっていう雑誌で、
その去年ぐらいに西かな子さんの特集をやってたんですよ、この雑誌で。
そこに書き下ろしで短編の小説がついてて、
すごい短いんですよ、18ページとか。
これちょっと読もうかなと思って読んだら、やっぱり西かな子さんいいなって思ったんで、
ちょっと紹介したいなって思いました。
この本を、書き下ろしの小説、アメ男って言うんですけど、
これを紹介する前に、この方の作風なんですけど、
人間をすごい描いてる人なんです。
どういうことかって言ったら、
希少転結というストーリーに頼った本ではなくて、
日常を書いてるんですけど、その中で登場人物一人一人に寄り添って、
その人の心の内、特に自意識ですね、
自意識に寄り添って、すごい丁寧に掘り起こして書いて、
っていう感じなんですよ。
このアメ男っていう本を読んで、雰囲気をつかんでもらったらと思うんですけど、
好きなところは、一言ではちょっと言い表せないんですけど、
無理矢理凝縮するとすると、この方って否定しないんですよ。
誰も否定しないんです、西かな子さんの小説って。
本の中には登場人物がいっぱい出てきて、
個性的な人とかね、変な人とかもいっぱい出てくるんですけど、
生まれとか性別様子、考え方、どれをとっても、
ありのままのその人を受け入れて、そのままでいいやんっていうような、
肯定する人なんですよね。
今ってみんなが発信できる時代になったりとかしてるからこそ、
否定が社会にあふれてると思うんですけど、
その中でもこの人は本当に本気で、
熱血で向き合って、否定をしないっていう姿勢なんですよね。
そういう人たちがいっぱい出てきて、
そういう人たちがいっぱい出てきて、
熱血で向き合って、否定をしないっていう姿勢があって、
すごい好きなんですよね。
肯定の力をすごい持ってて、
だからといって成人っぽい書き方でもないし、
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大阪の方なんですけど、すごい面白おかしく書いてて、
くすっと笑えるところもめちゃくちゃいっぱいありながらも、
愛があって肯定っていうのが前提としてあるので、
すごいあったかくなります。
でも大それた感動して泣かそうとか、
そういうふうにはしてない本なんで、
疲れてる時とかも読んで元気になれるし、
あったかい気持ちになれるし、
っていう感じの作風なんです。
だからすごい好きで、
よく読んでますね。
元気な時も元気じゃない時も、
どんな状態の時も読めて、
勇気をもらえるとか、心が動くっていう本って、
結構すごいなって思うんですよ。
小説って特にね、固めたくないなって、
そういう類の本だと思うんですよ。
これはこういう本で、こういう感じですみたいなのを、
言語化してしまうと面白くないんで、
書評みたいな感じは少なめにしたいんですけど、
でもそれ何も言わなかったら意味わからないと思うんで、
ざっくり言うとそんな感じですね。
小説の面白いところって、
想像する余韻があるところとか、
余白があるところが楽しいと思うので、
あんまりね、固めすぎてしまうと、
小説の良さっていうのが消えちゃうんで、
歪んじゃうんで、あんまりね、
こうこうこうですみたいなのは言わずに、
ちょっとこの本の紹介をしたいなと思っています。
アメ男ってどういう本か、どういう作品かって言ったら、
登場人物男の人で、名前の通りアメ男だと、
イベントの時にどうしても雨が降ると、
そういう感じの方が主人公なんですけど、
ちょっと1ページだけ読みますね。
本の雰囲気をちょっとできたら紹介したいなと思ってるんで。
冒頭からちょっと1ページだけ読みますね。
やっぱり雨が降った。
もういい加減慣れてるはずなのに、
毎度きちんと落ち込むことに落ち込む。
昔からここぞという時はいつも雨だった。
覚えている限り幼稚園の卒園式も雨だった。
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小学校の入学式も卒業旅行も成人式も雨だった。
天気予報でいくら晴れだと予測されても、
当日になればみるみる雨雲が出て、
ああと思う頃にはぽつりと始まる。
傘をさすのを迷うような霧雨の時もあれば、
目を覆いたくなるような豪雨の時もあり、
トリッキーな時は晴れているのに雨が降る。
雨男と呼ばれるようになる前に自分でそう思っていた。
大事な時にこれだけ雨が降ったら、
雨男中の雨男だ。
当然みんなにも迷惑をかけた。
家族や友達と出かける時、
しかも登山や花見、フェスなど、
野外の時には必ず雨が降った。
3度目ぐらいまでは、
お前って本当に雨男なんだな。
そう笑っていてくれたみんなも、
4度、5度と続くと、だんだん黙りがちになる。
気配を察して、
いつからか集まりに参加するのを遠慮するようになった。
最初は野外のイベントだけだったけれど、
気を使っていると思われるのが嫌で、
屋内の集まりも理由をつけて断るようにした。
そうしたら連絡は簡単に途絶えた。
それからずっと一人でいる。
僕は29歳だ。
こんな冒頭で始まるんですよ。
今言った通り、ひたすら雨降って、
雨降りすぎて気まずくて、人と添えになったみたいな。
そういう人が主人公なんですよ。
しかもこの人の名前は春男っていう、
皮肉な名前らしいんですよ。
その後続くのは、雨が降るのが嫌だから、
窓のない経理の仕事に、窓のない会社で働ける経理の仕事に就いたらしいんですね。
毎日仕事をしているけれども、牢獄みたいな空間で、
毎日お金を数えて、振り込みを確認しみたいな感じ。
雨男っていうのはバレないけど、
なぜか日光を浴びないからなのか、体調を崩しやすくなって、
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朝も起きれなくなって、ついに会社に行けなくなったと。
会社を休むことになったらしいんですね。
最初の1ヶ月はひたすら寝てたらしいんですけど、
寝すぎて飽きて、その状況に。
だんだん外に出ていく欲求が出て、
で、ちょこちょこ外に出ていきだしたら、
ついに旅に出ようって思ったらしいんですね。暇だから。
で、どこに行ったかっていうと、カウワイ島というところに行ったらしいんです。
行った理由は、世界で一番降水量が多いから、
どうせ雨降るんだったら、土砂降りのところにそもそも行こうみたいな感じで、
そこを選んで行ったらしいんですね、春男さんは。
で、行ったらやっぱり雨だったらしいんですけど、
ここが降水量多い理由って、スコールが多いかららしいんですよ。
つまり、ずっと雨が降っているわけじゃなくて、
普段は、バーっとスコールが降って、
病んで、その後はカラッと晴れているみたいな感じだから、
降水量は多いけれども、ずっと雨なわけではないという地域らしいんですね。
ただ、なんか、この人が行ってからずっと雨で、
で、なんかやっぱりかみたいな気持ちになって、
俺が来たから雨降ったんや、みたいな。
で、ごめん旅行に来た人たち、みんなに謝りたかったみたいな。
そういう感じで、なんか心がまたギュッてなっちゃったみたいで、
リフレッシュのために来たけど、療養に全然なってないと。
で、さすがにちょっとこう、
何も感じないからやばいなと思って、
その島をちゃんと回ろうと思って、
タクシーをチャーターしたらしいんですね。
で、その人、その運転手さん、来てくれた人は、
ちょっと日本語が喋れる、そこの現地の女の人やったらしいんですよ。
がたいの大きい、よく笑う明るい人だったらしいんですね。
で、なんか、キャサリンです、みたいな。
で、その人と一緒に、タクシーでいろいろ回ってたんですけど、
もうずっと雨で、タクシーで回って回ってもやっぱり雨だから、
どうしてもこう、景色を見てきれいだなと思う前に、
雨だと思って、こう、気持ちが落ち込んじゃう。
で、なんか明るいキャサリンもさすがに心配してね、
大丈夫?みたいな感じで言うんですけど、
どうしてもこう、暗くて、うん、明るい気持ちになれないと、
キャサリンにも申し訳ないみたいな、ごめんなさい、と思って、
で、なんかその暗い理由をこう、伝えようと思って、
なんか、あの、雨男が来てくれたらしいんですよ。
で、なんかその暗い理由をこう、伝えようと思って、
なんか、あの、雨男です、みたいな、言ったんですけど、
まあ、あの、その日本語では通じなくて、
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で、あの、アイムソーリー、アイムレインマン、みたいな感じで、
言ったらしいんですね。
で、まあ、キャサリンはそれで、こう、
あ、言ってる意味がわかった、みたいな、
アイムソーリー、アイムレインマン、で、雨雨、みたいな感じで言って、
で、まあ、伝わったんですけど、
じゃあ、キャサリンが、なんか、じっと、春雄の目を見てね、
で、片言の日本語で、お前に、って急に言ったらしいんですよ。
急にお前呼ばわり、みたいな。
で、なんか、その後何を言ったかというと、
お前にそんな力はない、って言ったんですよ。
日本語の片言でね。
で、まあ、その片言だったから、春雄も変換するのに時間がかかったんですけど、
ちょっと、あ、お前にそんな力はないって言ってるのかってわかったらしくて、
で、キャサリンが空を指して、で、なんか嬉しそうに、
お前にそんな力はない、みたいな、もう一回繰り返して言ったんですよ。
で、春雄は、ほんとに、そうだって、お前にそんな力はないって、
春雄も繰り返して口出し言ってね。
僕には目を降らせる力なんかないって、そんなすごい力があるわけない。
僕はそんな特別な人間ではないっていうのを、こう、面と向かってね、
その嬉しそうにキャサリンに言われて、ハッとしたらしいんですよって思わず笑っちゃって、
で、なんか今まで僕は何を大それたことを考えてたんだろうって思って、
うん、僕にどれだけの力があると思ってたんだろうって。
でも、いや、きっと僕は雨のせいにしてたんだって。
雨が降るから、申し訳ないから、そうやって言い訳して、みんなから離れた。
でも、実際僕はやっぱりただ怖かっただけだ。
で、この本人の僕が知ってたはずだと、お前にそんな力はないって。
雨はただ降るだけ、別に俺が降らしてるわけじゃないっていうのは知ってたと。
で、それをこうキャサリンにね、なんか嬉しそうに片言でポンって言われて、
なんか気づいてたけど、それを言い訳にしてた自分にパッて気づいて、
こう、初めて心が動き出したみたいな。
で、キャサリンはその大きな心の動きは別に気づかずに、
なんか片言で笑いながらね、帰ったら飲みましょうみたいな感じで、
こう、タクシーは進んでいくっていうような話なんですよ。
で、これを読んで、短い本ですけど、やっぱりいいなって思ってね。
で、これって主人公が歪んだ自意識を持っててね、自分のことを特別だって思ってる。
でも、そうじゃないって本人は分かってて、
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でも、なんかそれを縦に人と向き合うのが怖いとか、
人と関わりをしっかりとるのが怖いから、
なんか、そういう自意識の殻に閉じこもって、
人と距離を置いてきた人生だったなっていうのを気づくみたいな。
でもそれって、なんかちょっと歪んだ自意識であって、
本当にね、雨とか降らせないし、
あ、なんか、くだらないブロックがあったな、みたいなことに気づくっていう話なんですよ。
だからこれって、本当にその日常をこう書いて、
で、その主人公にそっと触れるんですけど、
主人公の気づきにも触れて、で、最後終わるって感じなんですね。
で、読んだ後、なんかやっぱりこう、なんか、
気象転結がどんどん出てきて、
なんか、めっちゃ心が激しく動いて、動かされたっていう感じではなくて、
なんかじんわりこう、なんか、あったかい気持ちになって、
ちょっとちっちゃい気づきがあって、あ、そうだな、みたいな。
で、これがやっぱ人間だなっていう風に感じるっていうのがすごい好きなところですね。
はい。
こんな感じで、西かな子さん好きすぎて、
気持ち的には30回ぐらい特集やりたいんですけど、
実際、ちょっと何回かね、何回かぐらいはまた別の本とかおすすめいっぱいあるんで、
取り上げたいなと思ってるんですけど、
こう、皆さんお忙しいと思うんですけど、
休日とかね、ちょっと時間あるときとか、
本を読むっていうのは、すごく豊かな時間だと思うので、
もしよかったら、ぜひ何か読んでみられたら、また教えてください、私に。
はい。じゃあ今日はそんな感じで、
お開きにしたいと思いますので、また明日お会いしましょう。
じゃあ皆様、良い週末をお過ごしください。
それでは。