転職と新たな挑戦
この番組は、中小小売企業の取り締まり役経験のある2人が、そのリアルについて緩くお話しします。
人事にじくわしを負いたジェネラリスト、私、砥部有利が、2度のM&A経験がある連続企業家、樋口幸太郎さんに話を聞いていきます。
既に小売企業を経営している方、これから小売ビジネスで企業を考えられている方に役立つ情報を楽しく語っていきます。
リテールトーク40回目になりました。よろしくお願いします。
お願いします。
40回ですよ。
いや、やりましたね。
うん。
ちょうど1年、まだ経たないぐらいですかね。
すごい、1年で40回ちょい行くわけですね、すごい。
今日はですね、売上20億円規模の小売企業の月次決算フローをストアレコードで構築した話っていうのを聞いていくんですが、
樋口さん、私、やっと転職をしまして。
おー、お話になってましたもんね。
そうなんです。転職することと間の期間に免許を取るみたいな話はしたんですけど、ようやく新しい企業に勤め始めました。
株式会社ハープっていう会社なんですけど、前職のデジタリフトはデジタルマーケティング支援の会社だったので、ECKのご支援もあったから、
日口さん、ビズジムさんとの親和性はなくはないっていう感じだったんですけど、
ハープ採用の会社なので、いよいよ関係がなくなりましたというか。
いやいや、うちもSaaSの会社になっていきたいなと思ってるんで、小売企業は一緒っていう認識です。
SaaSっていう共通点が新たにできたということで。
ハープさん使うぐらい媒体を増やせるとうちもいいんですけどね。
そうですね。媒体だとエージェントさんもですし、宣伝みたいになっちゃうけど、ガツガツエージェントさんと契約してなくても、勝手に契約してないエージェントさんから入ってくるみたいなのとかも今あるので。
月次決算フローの課題
また今度紹介します。
本題に行きますが。
今日は売上2兆億規模の小売のアパレルの会社さんで、コンサルティングで月次決算のフローを構築しましたっていう話になります。
めちゃくちゃ面白そうです。
クライアントさんがアパレル雑貨を中心に年少数千万から3億規模のブランドをいくつも持ってるみたいな形なので、各ブランドに担当者がいるっていう形なので、業務のフローが各ブランドで結構違ったりして、
そこもフローのポイントだったっていうような感じですね。
多分最初どういう状況だったんですかから聞いた方がいいですかね。
月次決算もちろん占めてなくて、いわゆる現金主義で計上しちゃってるっていう感じなので、
仕入れに関しては現金主義で、支払ったらそれを仕入れとするみたいな形で、本来は発生主義って言われる、支払うことが決まった段階で計上しましょうっていう形なんですけれども、
支払ったものを仕入れとして計上してたんで、月次のあらり率なんてあってないようなものみたいな形。
タイムリーに儲かっているのか儲かっていないのか全然わからないというような感じです。
で、いわゆる棚卸し資産も年度末の棚卸し資産も平均減価法って言われる、この減価をちゃんと計算して平均値取るみたいな、上場企業でも一般的にやっている計算方法ではなくて、
売価還元法って呼ばれる、一定の比率、売上上台に対する25%を減価とするみたいなものすごくしっくりした計算方法でやっていて、
当然ブランドもいくつもあるので、ブランドごとによってこの値入れの率が違うので、ざっくり25%かけるともう全然ぶれちゃうみたいな計算方式でやってましたと。
で、いくら儲かっているのかざっくりとしかわかんないので、仕入れを責めていいのか、広告制でいい、もっと踏んでいいのかっていうことがあんまりわからないというようなところで、
ちゃんと利益管理をして、投資すべき時には投資をして、守る時には守りましょうみたいな、そういったところを見える化したいというところから、本当に一緒にフローを構築していきましょうというのをやらせてもらいました。
あんまりよろしくない状況であることはわかるんですけど、そうなっちゃうのも理解できるなと思うのが、知見がないとか、経理と現場が連動できていない体制だったりすると、そうなっちゃうのはすごいわかるなと思いました。
企業さんによると思うんですけど、このケースというか、このプロジェクトはどこをゴールに設定しているんですか?
ゴールはですね、発注、納品、月末、棚卸し資産の正確なデータをまず保存しましょうと。で、月次の決算をご営業日で占められるような状況にするというのを目標にしましたと。
で、業務フローから整備しないと、これどうにもこうにもならないという形だったので、発注の業務フローから整備しましょうみたいなところをやりましたと。
で、先ほどですね、問題意識は結構強く持ってくれていたので、取り組み自体はスムーズに進んだなという感じでした。
で、まず業務フローから発注をどうやっていてみたいなところから紐解いていってやったんですけれども、まずはスプレッドシートをベースに正しいデータを残していきましょうみたいな形でやっていたんですけれども、
結構売上2兆億で単価もすごい高いわけではないので、結構データ量が多いっていう会社さんだったので、スプレッドシートの限界がすぐ来るなと思ったので、
ストアレコードを早めに導入しようみたいな形でご提案していって、最終的にはストアレコード上に全てのデータが入るようにしましょうみたいな形でご提案していましたと。
で、本当ストアレコードに必要なデータを保存しておいて、発注、納品、売り上げ、仕入れみたいなところを全部いつでも振り返りができるような状態を目指してやりましょうみたいな感じでやってました。
棚卸しとその管理
経営人、手口さんにご依頼が言っている時点で経営人の理解を言ってやるのかなと思うんですけど、そこの理解とそこから現場の協力、両方がうまく得られないとなかなか進まないでしょうね。難しそうですね。
これもう他社さんもそうなんですけど、そうなんですよね。経営人はやりたいけど現場はやりたくないっていうケースと、現場は価値を感じているけど経営人が感じてないみたいな両面あるので結構難しいなと思ってますね。
そうですよね。具体的にどうやって進めたのを聞きたいんですけど、発注納品管理からやって、商品マスターを整えて直しきちっとやって、データを取れるようにするところがスタートみたいな感じですよね。
そうですね。全ての起点が発注所だったので、発注所をもとに発注して、その後にそのデータをもとに商品登録、商品マスターを作っていくっていう形だったので、発注のフローから入りましたと。
結論はものすごい大変で、中国とやり取りするのでスプレッドシートじゃなくてExcelでやってましたと。冒頭ちょっとだけお話しした通り複数のブランドがある会社さんだったので、7ブランド、10までいかないぐらいのブランド数で各ブランドのExcelのフォーマットが統一されていないので、どこのセルに何が入っているかが一緒ではない。
担当者がこれ入れとかないとみたいなので、継ぎ足し継ぎ足ししているので結構これは大事なんですとか、これがないと指示が伝わらないんですみたいなのがかなりバラバラでしたと。
そこに関してはちょっと僕自身が入ってもわからないところがあるので、その発注書のフォーマットを統一する部分というのは先方にお願いして、僕の方では吸い上げていただいたものっていうのをベースにスプレッドシートを作成して、ストアレコードにアップロードするCSVが発注書を入れたら自動で出てくるみたいなところを作ってご提供したというような形です。
発注書のフォーマットが統一されていないって、各ブランドがあって会社が統合してみているとかじゃないと自然とそうなっていくんだろうなっていうのを容易に想像できるというか、このフォーマット使いなよって解釈仮にあったとしても、多分現場がやりやすいように独自の項目が増えたりとかカスタマイズされていっちゃいますよねきっと。
いやそうなんですよね、ここのグリップを前職の時僕はかなりやっていたというか、このフォーマットでやってください、要望を聞きます、追加したいならこうやってやりましょうみたいなのを結構音頭を取ってやっていたので、そういう方がやっぱりいない会社さんが多いなと思っていて、
本当しっちゃかめっちゃかじゃないですけれども、写真があったりなかったり、素材情報、品質、脳品質の注意事項がいろんなところに散らばっちゃっていて、みたいな形で結構大変そうでしたと。
そこはでも課題というか問題意識は持っていただいていて、もうすでに限界に来ているみたいな形だったので、そこは要望をヒアリングで吸い上げて、現場の方も今のままだと相番破綻するよねっていう意識だったので、結構順調にやってくれたなという感じでした。
担当者の方が発注書のフォーマットに入力したら、ストアレコードにあげる用のCSVが自動的に別シートに吐き出されるので、それをCSVでダウンロードしてあげるみたいなところまでを一連のフローとするみたいな形にしてもらいましたと。
通信のご営業日までにストアレコードの発注金額と発注予算を照らし合わせて、差異がないかどうか確認してもらうというようなところのチェックまで含めて、抜け漏れないような体制も先方にちょっと整えてもらったという、そんな形でした。
発注がそれで、納品管理にも課題があったんですか?
納品に関してはもう知ってないみたいなもので、納品されたら納品されっぱなしみたいな感じでした。発注との紐付けをして、発注さんがどれだけあるかみたいな管理は全くしていなかったというような、そんな形でした。
変更点としては、発注書を元に先方がここに入力してくださいね、みたいなそういうフォーマットにして、そこが連動して発注のデータと納品のデータが紐付けるように先方が入力した内容を元に。
そこが紐付くと、納品のCSVとしてシートが別にあって、それをダウンロードしてストアレコードに上げると、納品と発注が一対一で紐付いて、発注さんがどれだけあるかみたいなところが管理できるようにしたという、そんな形にしました。
発注と同様に、月末ご営業日が過ぎたタイミングで、先方からもらった出荷明細とストアレコードの納品データを付け合わせて、先方が認識している納品とこっちで認識している納品にずれがないかというのを確認するという、そんなフローにしました。
発注納品がうまくいったとして、たぶんここが一番大変なんじゃないかなと私は思うんですけど、大事だし一番大変なのは棚下ろしじゃないですか。
在庫はネクストエンジンとZOZOやっている会社さんだったので、ZOZOの在庫2つに分かれていて、プラスあれば空中在庫の3つありました。
もちろん棚下ろしを毎月、律儀に全部カウントしてというのは無理ということで、ZOZOに入っているものは先方がやってくれているものとして正としましょうと。
ネクストエンジンに入っている分というのも委託先の相子さんがカウントしてくれている分なので、それも正としましょうと。
空中在庫については、最終的に全部追い切れないから、認識しているものを計上しましょうと。
月次の荒利率があまりぶれないような範囲で認識できればいいみたいな感じの、未上場企業らしい緩やかな管理とすることで、
ガチガチにルールで決めちゃうと本業に支障が出るぐらいになってしまうので、担当者が月少15分作業すれば空中在庫で浮いてそうみたいなSKUと数量だけ入れてもらうという、そんな管理にしていました。
そういう緩やかな管理にしながらも、ストアレコードの中って発送の売上ベースの商品売上がこうで、商品減価がこうでした。
なので理論上の発送売上の減価率と荒利率ってこうですよねっていうのが出るので、それといわゆるこの月末の棚卸し、仕入れプラス棚卸しみたいなところで計算する荒利率がずれてないということを確認するフローに変更したというような形で。
空中在庫ってなんか理論的には別に難しいことないじゃんと思っちゃうんですけど、実際結構ややこしいんですよね。
月次決算フローの構築
いいなと思ったのが、びっちり管理するんじゃなくて多少フワッとしてていいみたいなのが運用のコツとしていいのかもしれないですね。
そうですね、ルールがんじがらめにしてきっちり管理するのは目的じゃなくて、あくまで経営状況をしっかり把握するためにっていう形なので、ブレーキが少ないのであれば、
1ピースにこだわらなくてもいいですよねっていうのが未上場企業であれば特にそういった形の管理でいいかなとは思います。
空中在庫がめちゃくちゃありますとか、全職とかだと支払いをしてるんだけどまだ海の上ですみたいなもので、
仕入れは計上されてるけど在庫がなくて、それが数千万円分で荒利率がめちゃくちゃぶれちゃうみたいなときは、
これは追わないとダメですよねみたいな。持ってないことになっちゃうんで、みたいなのは結構しっかり管理しましょう。
大きいものは管理して、経営の意思決定に影響が出ない空中在庫については無視してもいいですよねみたいな管理が、
本当に未上場企業なら無難なんじゃないかなとは思います。
これここまでやって結果、月次ちゃんと締まるようになったんですか?
それでいくと毎月10日までに発生主義での月次決算のフローを構築することができて、
さらに各ブランドごとの荒利率、限界利益率の管理なんかも可能になって、
今だと横並びでブランドごとの荒利率ってこうなっていて、限界利益率がこうなっていて、在庫日数がこうですよねみたいなのが見えるようになりました。
できたことによって各ブランドって伸びしろがあるとか、ちょっと広告に突っ込みすぎてて、
売り上げはあるんだけれども利益残ってないよね。しかも在庫が結構重めだねみたいなところが見える化されて、
その会社さんの打ち手というか経営の意思決定としてどのブランドに注力していくか、
どのように注力していくかみたいなところが結構はっきり見えて、結構良かったんじゃないかなと思ってます。
経営管理の重要性
なんとなく売り上げ伸びてるからイケイケでいこうとか、広告費いっぱいかけて売り上げとか取っても大丈夫でしょうと思ってたら、
意外に利益残ってないとか、意外に前年比悪いんだけれども、よくよく中身見ると限界利益率はものすごい高くて、
利益の結構大きいところをあんまり注目されてないブランドが稼いでますよねみたいなところが浮き彫りになったりして、
こういう設計であったりブランドの特性が見えてきて、本当にちゃんと正しく事業、ブランドを理解できるようになったんじゃないかなみたいな感じで思ってます。
なんか変な話だなとは思うんですけど、多分外部の人が入るからゴリッと進められることってあるよねっていうのは、
多分前、樋口さんはどっかでおっしゃってた気がするんですけど、なんかそれがわかるなと思ってて、
実際、現場も経営陣も協力的なんだったら、社内でも全然できちゃったんじゃないって思っちゃうんですけど、
外部の人がコンサルとか業務委託でも外部の方が託されるからこそ、こういう改革ができるみたいな職面がありそうだなってすごい思います。
まほどおっしゃる通りで、ここでいくと大体の会社さんがみんな問題意識を抱えているというか、認識してますと、やらなきゃいけないんだろうな、これやったほうがいいんだろうなみたいな感じで認識してるんですけど、
温度を取るっていうのが難しいんだろうなと。経営陣も現場の業務があんまりわかんないから、手を入れて売り上げが落ちちゃったり、業務効率が悪化するのは嫌だし、
現場からすると今やってる業務で回ってるから相番悪くはなるだろうけれども、自分が手を挙げて経営陣を動かして他のブランドも巻き込んで、
改革していくっていうのはちょっとやりたくないなみたいな形で、どっちも取れないみたいな状況から、こうやればうまくいきますよ、こうやれば影響なく進められるんじゃないですかみたいな形で、
外部から入った僕みたいな人間がやれるといいんだろうなというふうに思ってます。
月次が早期に締まるというゴール達成から、さらに分析とか課題抽出とかその先に進めているのが企業さんにとって大きな前進ですね。
本当におっしゃる通りで経営管理のフローっていうのが構築できたんで、月初後営業日でちゃんと締めて、10営業日までに限界利益まで出しましょうみたいな形にしていて、
そのタイミングで各ブランドごとの限界利益率と在庫日数がどうかっていうのを見て、じゃあ仕入れを増やしましょう、広告費増やしましょう、減らしましょうみたいな意思決定をできるようになったんで、ここが非常に良かったんじゃないかなみたいなところですね。
やっぱり限界利益率のなんとなくの水準と消化率みたいなところを見ながら、このブランドは反則が効いてるからもっと伸ばしましょうみたいな形であったり、
このブランド結構広告費使ってるけど利益が全然残ってないからちょっと仕入れ絞んないと苦しいかもねみたいな話ができるようになって、
本当に各ブランドごとに応じた経営の意思決定っていうのがようやく数字を見てできるようになったタイミングかなというふうに思ってます。
経営の成功はアートで失敗はサイエンスみたいな言葉があるんですけれども、成功の要因って本当にアート的なもので言語化とか再現性が難しいと。
失敗する要因って明確で、小売りでいくと仕入れすぎちゃう。
もうここの部分がかなり大きいかなと思うので、そういった事態はいらないように日々の底の管理をしっかりやる。
荒利率が落ちてきた、消化率が低くなってきたみたいなタイミングで、ブランドとしての変調をちゃんと感じて、その度にアクションしていくみたいなのを細かくやれるっていうのが、
結局、大胆に攻めることもそういう守備の体制が整っているからこそできることかなというふうに思います。
ありがとうございました。
今日は売上20億円規模の小売り企業の月次決算フローをSTARレコードで構築した話でした。ありがとうございます。
ありがとうございます。
ディテールトーク、ここまでお聞きいただきありがとうございます。
番組の詳細欄にGoogleフォームのURLがあるので、質問やメッセージはこちらからお送りいただけると嬉しいです。
番組内でご紹介させていただくかもしれません。次回もぜひよろしくお願いします。