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2024-07-18 21:19

047北原白秋「神童の死」

047北原白秋「神童の死」

先っぽ切るだけで死んじゃうかな?疑問の残るテキストですが、今回も寝落ちしてくれたら幸いです。


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寝落ちの本ポッドキャスト。 こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。 タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。 エッセイには面白すぎないツッコミを入れることもあるかもしれません。
作品はすべて青空文庫から選んでおります。 ご意見ご感想は、公式xまでどうぞ。
さて今日はですね、北原白秋さんの神童の死というテキストを読もうと思います。
北原白秋さん、多分以前1個読んだと思うんですけど、何だったか忘れました。
北原白秋さん、日本の近代史に象徴主義を定着させた重要な詩人の一人。
感能的で美的な詩風画特徴の座草文。 ふるさとへの思い出を読んだ思い出など、象徴主義を代表する詩集として、
詩集として称賛されました。 与佐野鉄管、与佐野明子、石川卓勃など同時代の詩人と交流したと。
wikipedia にございました。
ちょっともしかしたらこれも
センシティブ案件? 露骨表現を含むかもしれません。昔のテキストね、ちょっとそういうのがありますけど。
とりあえず聞いてください。 神童の死。去年の秋、小田原の近在に意外の大惨逆が行われた。
おそらくこの我が人生における悲劇中の悲劇であろう。 しかも私は未だかつてかかる神聖無垢な殺人犯を見たことがない。
清純にして無邪、真実にして玲瓏の極みのみならず、 単純無比にして深刻無比。
しかもまた無心無我の極にあって、すでに恐るべき悪魔的天才の方がお示しした、 繊維霧の如き近代の神経と感覚。
驚くべきこの犯罪はただ手もなくやっつけられた。 この素晴らしい犯人こそ当年5歳の男の子に他ならなかった。
この犯罪はさらに他に先立すべきそれ以上の犯罪を生む。 そればかりではない。
さらにまた血みどろの自殺者を二人まで出してしまった。 一家族の全滅である。
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それがまたほんのとっさ、長くて5分か10分の出来事であった。 しかも相互の愛情には差の不純もなかった。
そう愛していた。 誰一人憎むべき人間は見当たらなかった。
ただ愛ばかりであった。 しかもこの悲劇は誰一人予期したものもなければ、何一つ当初から計画されたものではなかった。
事件は突如として起こっている。 当事者は知らず、第三者から見ればこれらの犯罪者、ないし自殺者は
全く人以外のある悪魔。 それはその一家を全滅さすべくのしかかってきた凄まじい翻弄にあったか、
あるいは何らかの因果律によってその一家のとどめを刺されてしまったとしか考えられなかった。 私の家具しているディーデラの和尚さんは
前世からの約束事でしょうと破綻した。 そしてまた
因果事だ仕方がないと苦もなく諦めてしまった。 多くの人間は一体自分から見てちょっと計り知られる異常な事件にぶつかると
何もかも因縁事だと諦めてしまう。 しかし私たちはそれで決して良いことはない。
近代の人間はもっと理智的であり考察的であり研究的であらねばならない。 私が考えたところでは、全滅したこれら4人の家族の中から一人の悪人でもやはり見出せなかった。
が、ただ一つ犯人の母親がただ一言不要意な言葉を使用した。 それが全ての起因で、とにかく母親が不謹慎だったということはわかる。
しかしそれをもって母親に最上の悪を担わせることはできない。 ただ真に私が心から驚いたのは、この悲劇の主人公たる男の子の素晴らしい天才的感覚であった。
偉い奴であるとにかくその男の子は。 考えると私は全く惨憺し崇拝したくなる。
もっとも私は決して殺人を税認するものではない。 しかしその犯罪があまりに無邪気で、その犯人があまりに無心であるから、その手段だけがただ芸術的にも見え、
天才的にも神聖化しても考えられるのである。 事実を言わねばわからない。
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時は初秋。 一日清涼の秋風が空には流れても、
山間の雑木林には笹栗の伊賀がまだ青く揺れている頃であった。 ところが箱峰に近いある村落の田家に、両親と二人の子供とがあった。
子供は二人とも男の子で、兄は五歳、弟はまだ三歳だったというから、いずれも顔勢ないものである。
ところでまだその年齢が自分の片手の指の数しかない兄の方が、 ある時謝って畳の上におしっこを漏らした。
するとその旗で何かの継ぎはぎ物でもしていた母親が見とがめて、
おやこのガキ、おしっこしやがったな。 うぬ、今度してみ。おめえのおちんこ、これよ、このハサミでちょん切っちまうぞい。
と、しっかりつけた。 そして目の前でちょんとハサミを一つ鳴らして見せた。
兄の子はわあわあ泣いた。 だが、
このハサミでちょん切っちまうぞい、 だけは確実に耳にとどめた。鋭く。
それが悲劇の原因である。それから幾日かたった後のことであった。 父親はやや離れた裏の電源の方でしゃがんでいた。
母親は瀬戸の子流れで何か洗濯物をごしごしとやっていた。 その家の縁側にはまだ汚れきった樹板一つで兄と弟とが遊んでいた。
二人はまだ赤い毛並みの幾分か黄金の光沢をうるませたトウモロコシの その新鮮な薄い緑色の薄皮をはぎはぎ、無心に遊び惚れていた。
三歳の子は一生懸命に食べられもせぬまだ硬い琥珀の粒玉のようなその実に かじりついていた。
兄の子はまたそれを大人臭い顔をして押しとどめようとした。 弟は無気になってその兄の手を振り払おうとした。
その弾みについおしっこを漏らしてしまったのだ。 弟はわあわあ泣き出した。
この時まで兄の方は子供ながら自分はこの子の兄だという優越感と兄としての愛、 その両親の外に出ている間は自分がその家を守らればならぬという全責任等を深く感じていたらしい。
始終、兄らしい愛部と監守等をその弟の方に向けて、 その遊び惚れている間も少しも油断はしていなかった。
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自分の監視下にある弟が遅そうをしたと思った瞬間、 その弟を接管するのは自分の役目で、
それはまた母親からも喜ばれることと思ったに違いない。 いきなり弟を命かかって、
そばにあったハサミを取ると、その小さな、また可憐な、 ちょうど朝顔のつぼみのように尖ったひくひく動いているそのおちんこをいきなりちょんと切り落してしまった。
根元からちょんとひとつ。 すべての母親が確かに不謹慎であった。
まだ神のような純潔白紙のような子供に滅多なことを言うものではない。 そこは子供である。
兄の子は弟のおちんこをちょんとひとつ切り落すことが、 それほどの一大事とは思いがけなかったに違いない。
ひとつ接管して、たしなめたら、それはそれで済んで、 また一緒に面白く遊べるものと思っていたに違いない。
彼はむろん弟を愛しきっていたからだ。 またその弟が死んじまって、それ聞いたとは思いがけないことだ。
第一まだ5歳ばかりの子供に、 人間の死などという大問題が分かろうはずもないのだ。
ちょんとハサミがひとつなった。 と、
弟の小さなダンコンは、ぴょんとハズミをつけた昆虫のように飛ぶ。 弟はうんとひっくり返る。
血がシューッとその股間から吹き出す。 あたり一面真っ赤になる。
どう思わず飛び下がった兄の子はびっくりすると、 推しのようにそこらに突っ立ってしまった。
あの子から見ると、それはあまり予期しない機械ごとであった。 それはオチンコをちょんとひとつ切り落とすことは、
アサガオのつぼみをひとつちょんと切り落とすのと大した相違はなかったはずだからだ。 兄の子が火のつくように泣き出したのはややしばらくたってからであった。
しかしあの子はそれでも別段悪いことをしたとは思えなかったに違いない。 むろんそれが人殺しで非常な罪悪だとは知るはずがなかったに違いない。
弟が死んでしまったなどとは、むろんまだ知るはずはない。 ただ血を見て仰天してしまったのだと思う。
なんという無邪気な人殺しであろう。 ただならぬ泣き声をオモヤの方に聞きつけると、その母親は洗濯物を投げ捨て、
瀬戸の方から飛び込んできた。 見ると弟の子が縁側にひっくり返っている。
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何事と思って抱き上げると、その内股は血みどろである。 ハットを持って手を突っ込んだ。
その時兄の子はわーわー泣き泣き。 飛んでった弟のおちんこを拾ってそっと母親の方に差し出した。
と、 あれてめえは。
と言うと、そのまま母親もそっくり帰ってしまった。 真っ青になって。
兄の子はそれを見ると、またひいひい泣き立てて母親にむしゃぶりつく。 それを突き飛ばすように振り放すと、
むっくり彼女は立ち上がった。 その時はもう元の母親ではなかったのだ。
母親は、 ほほほほ、とたまらず声を上げて笑うと、
落ちていた小さなおちんこを拾い上げて、 弟の子の血みどろの股の間に押し付けてみた。
彼女の手も、むろん血みどろであった。 押し付けてみて、またおかしくておかしくてたまらぬかのごとく、声を笑い出してしまった。
おちんこが、おほほほ、おちんこが、おほほほ。
気が狂ってしまったのだ。
ところへ、田園から父親がぶらり帰ってきた。 なにげなく帰ってみるとこの始末である。
行転せずにはいられない。 ど、ど、ど、どうしたってんだ、え、おいこれ、おい、これ、これ思うよ、おい、サンタ、やい、じ、じ、ジロコー。
女房はただゲラゲラ笑っていた。 ジロコーはまたヒーヒーしゃくり上げた。
しょうべんたりあがったからな、おら、ちょんぎっただ。 えっとびっくりすると、
はっとサンタのまたぐらをひっくり返した。 その手がわなわな表へ出した。
ど、どんだことしやがる、このちくしょう。 一時の境外と激怒とわくらんから、父親はかっとなって思わず、
ジロコーの面部をたたきつけ、ひとけり蹴っ飛ばした。
ジロコーがキャッと叫んで後ろへどたりと倒れると、 女房はまたウーンと言ったまま気絶してしまった。
あっとあわててジロコーを抱き起こすと、 打ちどころが悪かったか、その子はそのまま息の根が止まってしまっていた。
動揺して女房を抱き起こしてみると、 彼女もまた口から血をたらたら出して死んでしまっていた。
舌を噛み切ったのだ。 この思いがけない悲劇ごとの属質に、それでも彼が冷静にありえようとは誰一人思えるわけはない。
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むろん彼は逆状してしまった。 「かか、許してくれ。俺は申し訳がねえ、申し訳がねえだ。」
そのままなやや飛び込んでいって、壁にかかっていた草刈り窯で、 むちゃくちゃに腹に突き立ててしまった。
一家全滅。 これで事実は終わっている。
これで見ても一家四人すべてが善人である。 父親は頑固で、正直一途。感情が荒く野生的ではあるが愛情は深い。
母親も無教育で不謹慎な点はある。 しかしこういう女は百姓の女房としてはザラにある。
それに非常にヒステリックではあるが、それだけ確かに純でもあり、 愛情も濃かったに違いない。
子供はむろん無邪気である。もとより善悪を超越している。 そうなると果たして誰が善で誰が悪か。
私たちはまた誰を憎み、誰を生き通り、誰を罰すべきか。 おそらく最後の日が来たところで誰一人罰せられる者はいないであろう。
ただ母親が不注意だったということであるが、それも決して深く罰せられる問題ではない。
父親がまた少々粗骨だったとは思える。 しかしあの場合ではああ逆情するのも無理はあるまい。
むろんある瞬間に彼が憎悪のあまり、その子を叩き殺そうとまでは企み得る余裕はなかった。 神の目には涙がある。
ただ同じ人間の私から見て思わずハッとしたのは、 あのあどけない子供の無意識な端的行為の中に、すでに人間通友の残虐性が根深く潜在していた。
戦慄するべき一時である。私自身のことから考えてもそうであった。 私は弟が生まれると、たちまち母親の愛を占有できなくなった。
それが憎らしかった。 私は弟が母親のちぶさを我が物顔にしゃぶり、
時としては思い切り甘えて、そっくり返って腹を積んだして両足をバタバタさせているのを見ると、 思わずつかみ殺してやりたく思った。
その小さなおちんこまでが腹立たしかった。 がまた、たまらず可愛くもあった。
そんな時は弟のおちんこに飛びついていじくり回した。
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やめろ! その私よりもジロコーは鋭い。
私は彼が弟の上にのしかかって、そのちょっぴりと膨れてチクチクと尖った、 可憐な昆虫のような、朝顔のつぼみのような小さい断根を、
ビクビクと息づいているやつを、大きなハサミを開いてじっと差し寄せた瞬間の、 彼の神経の鋭さ、その沈着と大胆と、それから一息に根元からちょきんと切り落とした瞬間の神的決断と、
人間性の無意識的快感、 これを思うと恐ろしくなる。
この突き詰めた真実と直感、荘厳な性欲の方が、
恐ろしい感覚だ。少なくともキャッツは素晴らしい振動だったに違いない。 私は舌を撒いて惨嘆したがまた、震えるほど恐ろしくなった。
あの子のごとく、愛憎の念が奥深く純真で、 一途で子供ながらにも責任感が堅く、
おのずからにしてまた、闘霊としての見識も備わり、 しかも前に言ったように沈着で大胆で決断力が強く、
猛精な勢力と神秘的直感力を有している子供が、 幸いにして裏々かな天秤の下にのびのびと置いたち、
よく愛され、よく教育され、よく成長していったならば、 果たしてどれほどの素晴らしい人類的の詩人、もしくは思想家、
実行家になったであろうか。 あらゆる人間としての主悪心も確かに彼には潜在していた。
しかし彼は将来確かにそれらを制御し、 圧迫し得たに違いない。
惜しいかな、彼は無心にして彼の父親に叩き殺されてしまった。 素晴らしい奴だった。ああ素晴らしいことをやってのけた。
1998年発行 作品社
日本の明髄筆 別館85 少年より読み終わりです
3歳の子のちんちん切って死ぬかなぁ あとおちんこを連発したのでこれも
あれですね センシティブ案件します
露骨な表現を含みます入れます 何というテキストだったんでしょうか
21:07
みんな死んでしまったという話でした はいということで今日のところはこの辺でまた次回お会いしましょう
おやすみなさい
21:19

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