犬のトレーニング法
こんにちは、横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
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少し間が空いてしまいましたが、今日は、やめてほしい行動をやめさせるための7つの方法の続き配信をしたいと思います。
カレンプライア庁、うまくやるための強化の原理、この書籍の中で紹介されている7つの方法のうち、
犬から子供から旦那さんまで汎用できる抹殺法、検証法、消去法と3つの方法とその事例をご紹介いたしました。
今回は4つ目の方法、対立行動法のご紹介となります。
この対立行動法は何かというと、やめてほしい行動の代わりに、この行動と一緒に行うことができない行動を対象にとってもらうということになります。
これは犬のトレーニングにおいて実によく使われる手法です。
例えば、食事が並ぶテーブルの上にジャンプをして手をかける中型犬がいるとしましょう。
今までの方法の例で言えば、
抹殺法での解決、犬を閉じ込める、放り出す、安楽死させる、
検証法での解決法、犬を叩く、蹴る、叱りつける、
消去法での解決法は、犬がそこにいないかのように虫を吸い続けるということになります。
それでは、今回の対立行動法ではどうなるでしょうか。
その答えは、テーブルの上に食事が並んだら、
クレートに入る、マットの上にお座りをする、
テーブルの下で伏せるように教えるという解決法になります。
上記の方法はどれも、テーブルにジャンプして手をかけるということが物理的にできないような、
この行動と対立する行動を犬に教えるというトレーニング法になります。
そんなことを言ったって、テーブルの上に集中している犬は、
伏せもハウスも座れも聞いてくれませんよという方、
それはトレーニングの段階をすっ飛ばしているからです。
犬のトレーニングを組み立てる際には、まず段階を分けます。
飼い主さんが問題だなぁと捉えているシチュエーションは、最終のクリア目標、
つまり現時点で言えばレベル100のところにあるわけです。
では、この犬はどのレベルまで落とせば、
テーブルを前にしても伏せやお座りやハウスができるのか。
まずは理想と現実の境界線を引くために、少しずつテーブルの上にある誘惑物を取り除き、
犬が望む程度の誘惑であれば、人の指示を聞けることができるのかを確認します。
例えば、おいしそうな匂いのするラーメンが乗ってきたら、
言うことは聞かないけれど、マグカップに入ったコーヒーであれば、
テーブルの近くでお座りができる、というようであれば、ここからスタート。
コーヒーとマシュマロなら?コーヒーとトーストなら?
と、少しずつ誘惑のレベルを上げていきます。
この際に徹底しなくてはならないのは、低いレベルの誘惑でも、
克服できたときは必ず褒めて報酬を与えること。
犬にとってこのゲームは、食べたい気になるいい匂いのする食べ物がいくら並べられても、
テーブルの下でお座りをしていれば、自分にとって最高の報酬が与えられる、
というルールであり、それを理解してもらうことがこのトレーニングの重要なところなんです。
対立行動法の応用
犬のトレーニングでは、かつては罰を与える原子砲が積極的に取られていましたが、
現在では遥かに両立しない行動を代わりに教えて褒められる体験をさせて覚えさせる、
というこの対立行動法が積極的に取られるようになりました。
この方法は、犬のトレーニングのみならず、人の行動修正のための行動療法にもよく用いられます。
例えば、子育てのシーンでは、壁や床に落書きする子ども、
これを叱る代わりに、自由に書いていい黄板の用紙を床一面に広げたり、
水で流すと消えるクレヨンを与えてお風呂場で自由にお絵かきしていいよ、
ただしお掃除は自分たちでしてね、と提案します。
寝なさい、と何度言っても聞かない子どもに対し、
時間になったら一緒に寝室に行き、消灯して自分も横になって音を消します。
エレベーターに乗るとすべての階のボタンを押すいたずら好きな子どもに対して、
階段を何秒で上がれるか競争だ!
30秒以内に着いたら、おやつに好きなものを買ってあげるよ、と提案する。
こういった感じです。
旦那さんやパートナーに使うとしたら、
会社から帰宅したらすぐに床に横になってゲームを始める旦那さんに対して、
玄関のドアが開いた瞬間に出迎えて着替えを渡し、
お風呂場まで腕を組んで連れて行く。
お風呂に入るまでさりげなく脱衣所の出入り口を塞いでおく。
出かけるときにはいつも鍵が見当たらない、と探し始める旦那さんについては、
帰宅したときに鍵をかける場所を決めておく。
かかっていなかったら家族全員で鍵かけてないよ、とチェックする。
ちなみに我が家では玄関ドアにマグネットで鍵を取り付けるようにしてから、
鍵探しが一切なくなりました。
つまり、やめてほしい行動と両立できない行動を提案、
教えてその行動をとったときの結果に対するポジティブな成果を約束するということになります。
この対立行動法を使うときの注意点は、
強制せず、あっちの方が結果的に良くないお互いに、というメリットをきちんと提示し、
相手に選択させたように見せること。
そのためには対立行動を選んでくれたときのメリット、つまり結果をよく見せておく必要があります。
特に犬や子供に対しては、それが明確に作用します。
相手がこっちの方が楽だし、メリットが多いからこっちにする、と選択してくれたときは、
大いに盛り上げて褒めまくります。
これは犬も子供も旦那さんも一緒。
どうですか、対立行動法。あなたもやってみたくなったでしょう。
次回は5つ目、6つ目の方法、合図法と多行動法についてお話ししようと思います。
それでは今回はここまで。最後まで聞いていただきありがとうございました。