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2016-11-04 19:42

第65回「質問:懲戒に該当する行為をどこまで具体化すべきか?」

第65回「質問:懲戒に該当する行為をどこまで具体化すべきか?」
弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え 法律のもとで展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えば、弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って、経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく、
ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、向井さん、本日もよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、今日も質問来ておりますので、早速ご紹介していきたいと思います。
はい。
31歳の社老子の先生の方ですね。
はい。
向井先生の放送は、社老子受験生時代から楽しく聞かせていただいております。
社長は労働法をこう使えも、読んで勉強させていただきました。
ありがたいですね。
では、本題なのですが、就業規則と懲戒の有効性についての質問です。
ある関与先の就業規則を改定する作業をしているのですが、
懲戒の項目で、特にハラスメント行為者への懲戒規定を悩んでおります。
質問です。懲戒に該当する行為をどこまで具体化すべきか。
個人的に、就業規則の懲戒項目には、懲罰を犯するなら罪と罰を具体的にせよ、
という罪刑法定主義のような思想が適用されているように思います。
そこで、我々非法律家が悩むのは、どこまで具体的に規定するのか、です。
ある就業規則テンプレートでは、懲戒に該当するパーラ行為として、
夏でもないのに扇風機の風を直接当てる、という項目を挙げておりました。
おそらく、Nファウンド事件で行われたハラスメントをそのまま規定に盛り込んでいるのだと思います。
しかし、ハラスメントは、行為者が100人いれば100通りのハラスメントがあるものだと思います。
このような個別のハラスメント例を挙げていこうとすると、膨大な量の記載をしなければならなくなります。
一方で、具体化しなければ、そもそも懲戒処分を実行することが難しくなるとも思います。
そこで質問なのですが、どの程度まで具体的に規定すれば、争いになった場合に有効な規定となるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
はい。
ということでございます。
ありがとうございます。
なんか嬉しいですね。
専門家同士のご質問という感じですか。
そうですか。
違いますか。
でもよく…
普通の働いている方は、こんな質問はしてはいけませんよ。
そうですね。
マニアックと言えばマニアックですね。
マニアックだと思いますよ。
よく公演で質問されるんですよ、実は。
ほぼ同じような内容。
同じような内容。
どこまで項目、懲戒、収容規則にかけばいいのかと。
そう。
在刑法廷主義は、この佐野次郎先生もご説明していただきましたが、
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そもそもちょっと簡単に在刑法廷主義って何ぐらいの話をしていただいてもいいんですかね。
やはり大昔から、権力者は悪いこと、権力あることをかさにきて、悪いことをしたりしてましたよね。
今までの人間の歴史で全部。
最近も、例えばアドルフ・ヒトラーとかね。
最近ですとフィリピンの大統領テルテさんでした。
フィリピンのテルテさんも、麻薬犯罪者については殺してもいいと。
いいと言ってましたよね。300万人ぐらいいるけど。
彼とテルテさんは、要するに自分は正しいと。麻薬犯罪は絶対悪なんだと。
だからそんな法律の手続きなんか踏んでたら、彼は元検察官なんですよ。
検察官、法律家なんですよ。確信犯でやってるんですよ。
彼は自分は正しいと。麻薬犯罪は絶対悪だと。社会を破滅させると。
だからこの法律の手続きとか、生ぬるい死を遅いと。その場で殺せと。
命がけの戦争みたいなもんだと。そういう理屈なんですけども。
ただ彼が、もしくは彼の部下、警察が思う麻薬犯罪者が、本当の麻薬犯罪者かわからないし。
警察にとって気に入らない、権力者にとって気に入らない人を麻薬犯罪者に仕立て上げてる可能性もあるし。
そもそも麻薬犯罪者っていろいろな人がいるから。
本当に自分も何とか再起したいんだけども、どうしても麻薬に手を出してしまうとか。いろんな人がいますよね。
でも彼は自分の価値観でやっているから文句ないと。自分は民衆に選ばれたから文句ないと。
でも結局そうやってどんどん権力が腐敗していって、自分のいいように使っちゃうんですよね。
会社でもそうだと思いますけど、それに制限をかけるっていうかな。
自分で自分悪いことをしないように制限をかけるっていうのが憲法であって。
権力者のある種の暴走という。
暴走を止めるための装置みたいなものですね。それを作ってるんですね。
それが在刑法定主義。
その中の一つに適正手続き刑事罰。刑事罰って乱用されやすいじゃないですか。
自分の政治上のライバルを落とすにはいろんな手段がありますけど、刑務所に入れるっていうのも一つの方法ですよね。
手取り映えというか。
乱用されやすいので刑事罰については特に厳しく。刑務所に入れる、罰金を課す、そういったことについては特に厳しく規制をかけようと。
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民主主義の例えば国であれば、選挙で選ばれた国会議員が話し合って決めた法律で、きちんと手続きも内容も定めて、独立した地位にある日本の裁判所が裁くと。
そういう仕組みになってるんですよね。
そうやって社会の秩序を維持してるんですけども。
会社に当てはめると、会社で悪いことをした人を刑務所に入れるかそうはいかないので、一方で会社の中で悪いことをした人を懲らしめる必要もあるだろうということで懲戒処分をすることが認められてるんですよね。
懲戒処分を行うには就業規則の根拠が必要で、権力者だから経営者は。
だから就業規則に書いてある懲戒規定に縛られると。
太宰系法廷主義が同じような考え方が適用されると言われてるんですよ。
なるほど。
ところがですね、すごい行き過ぎの就業規則が多くて、それこそこの先生もご指摘されたですね、扇風機を体に当てるなとかね、夏でもないのに、そこまで書いてあるんですよね。
なるほど。
遠藤さんはどう思います?その就業規則を見て。
いや、もはやどう生きていいかわからないですよね。
じゃあ夜行だったらいいのかとかね。
うちははいいのか。
うちははいいのかとかそういう話になるので。
在刑法廷主義って例えば一番問題になるのは刑法だから、刑法の条文を見ると犯罪で一番重い犯罪っていろいろありますけど、やっぱり殺人ですよね。
日本国刑法を読みますと、僕も久しぶりに読みましたが、199条を読むと殺人について規定がありまして。
なんて書いてあるかというと、人を殺した者は死刑または無期もしくは5年以上の懲役に訴するって書いてあるんですよ。
なるほど。
すごい簡単でしょ。
首を締めて殺すなとか、毒薬を飲ませて殺すなとか、突き落として殺すなとか、一切書いてないですよね。
人を殺した者は死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役に訴すると。
要はその細かい手段については解釈でやるわけですよ。
目的は人の命というのはかけがえのないものだから、それを侵害する人間については原罰を処すると。
少なくとも5年以上、一番重くて死刑。
そういうルール。あとは解釈に委ねると。
世の中は変化するし、事例も各種様々ですから。
懲戒規定も同じで、これは何のために扇風機を当てるのか、目的は何かと言ったら、パワハラですよね。
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同じ職場で働く人に対して人間関係とか職務上の地位を濫用して、業務の指導とか業務に関連する適正な範囲を超えて
何か精神的とか肉体的苦痛を与える行為をやめたいわけでしょ。
それかけば十分ですよ。
クソのぐらいの中傷とか。
全然問題ないですよ。
全然問題ない。
常識であとはやるから。
そこは解釈に委ねる。
全然問題ないですよ。
僕14年間弁護士やってきて、懲戒規定が曖昧だとか、そういう理由で懲戒処分が無効になったことは一回もないですよ。
うちの事務所の弁護士に聞いても同じで。
重要なのは証拠が無い。
もしくは重すぎる。
例えば扇風機当てた。
扇風機当てたっていうのは1回なのか、もう100回やってんのか違いますよね。
1回当てたぐらいで解雇していいのかとかね。
出勤停止だったらいいのかとか、重すぎるか軽すぎるかそれは争われますし、
証拠が無いと。本人はあれ当ててないと。
俺じゃないと。
扇風機のそばで、
今日なんか10月1日ですけど、
今日は8日ですよね。
暑いじゃないですか。
もう秋なんだけど暑いから、進んでただけだと。
全然部下に対して嫌がらせしてないと。
色んな言い訳があるから結構証拠が難しいんですよね。
だからご質問のような心配は無用で、
結局何をさせたくないか会社でこれを定めればいいので、
もっと抽象的なレベルの規定で全く問題ないですよ。
いわゆるテンプレートにあるようなネット上に回ってるようなものでも全然問題ないと。
あとは社内のルールですよね。
扇風機当てるっていうのはちょっと例としてはやりすぎですけども、
よく講演で言うのは、
社内不倫は懲戒開庫。
こういう修行規則は有効ですかと。
どうなんですか。
社内不倫は懲戒開庫で有効かどうか。
なんという質問。
例えば規定でその会社の方針で、
社内不倫は懲戒開庫だと。
社内不倫というものが法律上どういう解釈をされてるかが分からないので、
なんとも僕は言えないんですけど。
僕は言えちゃったけど、
どうなんですかそれ。
ズバリ回答で言うと。
有効になることもあるんですよ。
どういう解釈ですか。
有効にならない会社となる会社が、
なる事例とならない事例が同じ規定でも。
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それは何が違う場合ですか。
バス会社が多いんですね。
観光バス。
どういうことですか。
遠藤さんも昔。
それは聞いてない。
昔子供の頃遠足とか観光バス乗って。
バスガイドさんとか。
バスガイドさんいるでしょ。
バスガイドさん女性が多いでしょ。
多いですね。
しかも若い人が多かった。
多かったですね。
運転手さんは男性でしょ。
ずっと遠足も一日かかりで一緒でしょ。
だけどバスガイドさんもずっと一緒に子供についてるわけじゃないから、
二人っきりになる時が多いんでしょうね。
それでだんだん仲良くなって、
そういう関係になってですね。
何の番組でしたっけ。
すごい方向に行けてますけども。
そういう事例がすごく多かったらしいんですよ。
結局、結婚してる男性が多いので、
女性が退職しちゃう事例が多かったんだと思うんですよね。
それで観光バスの業界に、
観光バスの業界で決めたのか分からないけども、
観光バス会社としては、
社内不倫は禁止だと。
それに違反した場合は解雇。
厳しい処分で臨むと。
事業継続維持とかにお金が生まれるという観点も成り立つわけですね。
有効と無効の裁判例があって、
有効の裁判例と無効の裁判例の差異は、
僕が調べて考えるには、
未成年の女性の場合ですね。
未成年の女性が既婚の男性と不倫をして、
かつ妊娠中絶をしてしまった事例なんかは有効になってましたね。
懲戒解雇。
だから、そんなとんでもない個人の自由じゃないかっていう内容であっても、
内容と会社の特殊業種によっては有効なんですよ。
だから、テンプレートを使っても意味ないんですよ、本当はね。
その会社内のルールがあるから1000匹。
だから、何ていうのかな、
就業規則だけでは解決できないんですよ。
この方がおっしゃっている通り、
ハラスメントはある種、行為者が100人いれば100通り存在しちゃうので、
一個一個規定するよりも、大きく抽象的なものを用意して、
その都度、業種だったり業界だったり状況に合わせての解釈をしていくということでしかない。
全然裁判官大雑把ですよ。
それで、罪刑法定主義って現実はこうだから。
人を殺した者は、死刑または無期、もしくは5年以上の懲役に処するだから、
日本語で言ったらもう、何文字ですか?
人を殺した者しか書いてないから、6文字?7文字?
そのくらいですか?
これで罪刑法定主義OKですよ。
だから、ちょっと誤解してるんじゃないかなっていう気がしますね。
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それよりもっと重要なことは、本当の会社のルールを書いて周知してもらう。
これが重要ですよね。
この懲戒に関するルールに、罪刑法定主義はそもそも適用されるって言い方がいいんですかね?
罪刑法定主義ではない。
関係ないわけですよ。
関係はあるんですよ。
懲戒規定にない非行為については処罰できない。それはその通り。
それはその通り。
ただそこを、例えばどんな感じですか?
どんな感じくらい書いておけば、これちゃんと調べなきゃ。言いにくいですかね?
いや、そんなことないですよ。別に普通の雛形で全然問題ない。
全然問題ない。
どんな感じなんですか?仕事上、人権を。
最悪、会社の秩序を乱した場合っていう情報があるから、想定しないことが起きても、そういった情報で対応できるんですよ。
なるほど。会社の秩序を乱すような行為があった場合ぐらいでも、罪刑法定主義はある種、機能すると。
あとは内容ですよね。本当に会社のルールになってたかはですね。
さっき言った職場の不倫の問題も、おそらく社内で問題になっててダメだっていうのは、相当口酸っぱく新入社員研修とか、
研修をやってられた人ですよね。男性運転手とかにも。
だからルールにはなったってことは認めてくれてると思うんだけど、ひな形で単に書いて、
従業員全然興味ないのは、それはルールになってないから、独自のものを作るのはいいんだけど、やっぱり周知しないとダメですよね。
なるほど。文言があったとしてもそれが周知されてなかったり、文化として浸透してなかったりするんであれば、あんまり逆に機能しないし、
文章なくてもそういうルールがあるような感じであれば成り立つ可能性もあるわけですね。
そうです。例えば、前ニュースレターでお伝えした案件で、パワハラを処分する条文がなかったんですよ。
深刻なパワハラ問題が起きて、条文を見たらセクハラを処罰する条文しかなかったんですね。
ところが、会社が困っちゃって、どうしようどうしようとなって、セクハラの条文とその他全各号に準ずる自由みたいな包括条項ってあるんですよ。
具体的に列挙してないけど、同じように会社の秩序を乱す行為みたいな。
それらを合わせ技で処罰したんですけども、それは有効で、何でかというと裁判所は、同じハラスメントだとセクハラとパワハラも。
パワハラ公衆をこの会社はやっていて、どこまでやっちゃいけないという、そういう事実上のルールがあったと認定してるんですよね。
僕と感覚は同じで、条文よりも本当に会社のルールになってるのかっていうのが重要ですよね。
先生、本当に非常におっしゃる通り悩むところだと思うんですけども、それほど神経質にならなくても、
18:05
本当に会社のルールにするためにコミュニケーションをお客様ととっていただくことが必要かなと思いますね。
ちなみに先ほど最後にニュースレッターという話が一瞬出てましたけども、
向井先生のニュースレッターを読むには、普通に登録すると読めるんですか?
私のホームページから登録できるので。
メルマガって意味ですか?
メルマガですね。毎月発行してるので。
そういう内容が書いてあるんですね。
名刺交換した方には送ってますけども、うちのホームページから登録もできますので。
なるほど。そちらの方で見るとそういった情報が入ってくるわけですね。
ぜひこういう方、特に活かしていただいたり、もうすでに登録されてるような気もしますが。
そうですね。
ぜひ活かしていただけたらなと思います。また何かご質問ありましたらぜひお寄せいただけたらと思います。
本日もありがとうございました。
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