はい、MONO JAPANポッドキャスト オランダ初物語、今回は前回から引き続き武田昌也さんをお招きしてのゲスト回になっております。
続いて本日もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
で、そうなんです。いろいろと、昌也さんご自身のお話を聞かせていただいてきたんですが、ぜひね、知りたかったことがありまして、というのも、
昌也さんには、MONO JAPANを作った男っていう枕言葉があるのをご存知でしたか?
知らないです。
その由来をね、ぜひ私は知りたいなと思っておりますので、
あの、昌也さんでも中条さんでも結構ですので、何かこれに関してお話しいただけますでしょうか?
はい、えっと、このMONO JAPANを作ったかどうかわからないんですが、
ビジュアルはずっと担当させていただいてて、
先ほど、あの前回か、スニさんおっしゃってた2016年17年の、
ここがシルエットになっているメインビジュアルっていうのは、やっぱり
MONO JAPANの方向性を定めていく上で結構重要なビジュアルになったかなと思ってまして、
で、やっぱりその、MONO JAPANっていうぐらいなので、
やっぱりそのモノを見せていきたいっていうのがまずあったんですけど、
ただ、モノはモノなんで、そのモノをちゃんとはっきりきれいに見せちゃうと、
もうすべてがあからさまっていうか、こう、わかりすぎちゃうから、
逆にあえて見せない方が会場に来てもらえるんじゃないかなっていう風に思ったんですね。
それで、シルエットの構成にしてみたらどうかなっていうので、
中嶋さんと相談して、こういうモノを使ったシルエットの構成っていうのを考えてみました。
ただ、そのシルエットだけだと、やっぱりちょっと地味というか、面白みがないから、
その中にちょっと変な感じっていうか、不思議な感じを入れたいなと思って、
よく見ると重力がないというか、変なバランスでモノが置かれている植木鉢みたいな。
すべてが浮いているみたいでしたよね。
明らかに割れ物なんだけど、これどうなっているのみたいなものとかがあるのが、
ちょっとフックになるんじゃないかなと思って、
これは実はすごい大きいアクリル板の上にモノを置いて、真上から取っているので、
もちろんモノが落ちているわけじゃないんですけど。
今まで知らなかった、それ。
そうなんだ。アクリル板の下からライトを当てているからシルエットになっている。
かっこよかったですよね。
あれは結構、あのビジュアルとこのロゴがあるから、モノジャパンは人気が出たと思います。正直。
確かに。
結構センセーショナルでしたもんね、デビューが。
かっこいい。
実はね、このポッドキャストを始める時にも、ポッドキャストのアートカバーみたいなやつあるじゃないですか。
あれをどうするどうするって駐場さんと言ってた時に、私がそのやっぱりポスター、ポスターじゃないわ、その印刷物、フライヤーがすごい好きだったから、
それをね、検索してね、自宅にも上に行ったらあるんですけど、こういう感じのやつをこれアウトカバーに使いましょうよ、かっこいいし、
ってシルエットが浮かんでるやつを駐場さんに送ったんですよ。
そうしたら、これはダメなのよ、写真家の許可がないとダメなのよ、って言っていいのかな。
デザイン物に負担というものがありましてですね、申し訳ないんですが。
ありがとうございます。
でもね、モノジャパンを生み出す時にね、
オランダってやっぱりグラフィックデザインが強い国なので、その中でどういうふうに出していったらすごい素敵とか、
あと私たちが見せたい世界観っていうのを伝えれるかっていう話を共感してもらえて、
実際デザイン的に能力がある人じゃないとダメなんでしょ。
モノジャパンが存在する前は、同じ美意識とか目指している世界観をわかってもらえるオランダ人はいなかったんですよ。
だから、まさやくんはそういうお仕事とか背景してたし、まさやくんのデザインが私すごく好きだったので、
お話をして、まさやくんにも面白そうじゃないですか、みたいな感じで共感してもらえて、
ロゴも作っていただいて、ロゴがかっこよくて感激して、
かっこいい、ロゴ。
タイムレスですよね、このロゴって。
そうですよね。
このロゴ生まれた後で、数々のコピーが出たんですよ。
そうなんです。
本当に。
そうなんだ。
でもね、私たちはオリジナルが凄い出来が良くて、コピーのやつは全然かっこよくなかったから、無視しようって訴えたりはしてないんですけども。
まさやくんにお話しする時も、2016年とか15年の日本のクラフトとかね、紹介される時って、
日本国内では、凄いオシャレな奥様が、ナチュラルなライフスタイルの中で、
木とか、そういうナチュラルな素材感のものを、自然光の中使うとか、もしくは使いたいっていうような世界観の画像が凄く多かったんですよ。
もちろんそれは素敵なんだけど、オランダでそれは共感されない画像だなと思ったんですね。
で、日本から出てくれる出展者さんにも、そのままの感じじゃなくて、
わ、なんか新しいって思って欲しかったので、もっとコンテンポラリーで、もっとアーティスティックで、エッチの立った、何か凄い新しいものを作りたかったんですよ。
っていう風な無茶ぶりを、まさやくんにし、まさやくんは6倍ぐらいのリザルトで返してきたっていう。
本当そうですね、すごいですね、アクリル板の上での撮影になったということですね、そのお話がね。
1個面白い話があって、ここ2016年のビジュアルに、出展者からプロダクトをお借りしてるんですけど、
刀が1つ入ってまして、この撮影に際してプロダクトを、遠方の出展者もいたので、
基本的には送っていただいて、スタジオに送っていただいて、それで撮影するっていう段取りになってたんですけど、
刀は重当法があるので、取扱いできる方じゃないと、この刀を運べないということで、
わざわざこの出展者の方に刀をお持ちいただいて、撮影が終わった後も取りに来ていただいて、返却するっていう。
あったよね、そういうドラマが。
ありました、面白いな。
数々のドラマが、すごい。
今回もね、前田さんの彫刻物で結構苦労があったりとかね、いろいろあるよね。
ありますね。
そうなんですね、そっか、面白いですね。
今回の、この間公開されたばっかりのモノジャパン2023のメインビジュアル。
今ね、中条さんの後ろの画像になってるんですけど、
ズームの背景画像にさせていただいてるんですけど、すごいかっこいいですよね。
これもかっこいいですよね。
めっちゃかっこいいですよね。
なんて言ったらいいの?
なんか結構、今までのメインビジュアルを見ていくと、割と変化球が多いというか、
ビジュアルとしてのパンチはあるんだけど、
そういえばあんまり直球的なことをしてきてないなっていうところにちょっと気がついて、
同時にちょっとコロナ禍で少し開催ができない年もあったりとかして、
なんか元気な感じ、エネルギーがあるような感じで、
なおかつ直球勝負みたいなことをしてみたいななんて思ってたときに、
今回中条さんとお話ししている中で、
最近日本のプロダクトだとかカルチャーがだいぶヨーロッパでも浸透してきてて、
ワビサビだとか、そういうような感覚っていうのも結構理解してくれる人が増えてきたんだよねみたいな話を伺ってて、
それはちょっと面白そうだなと思って、
ワビサビの感覚ってうまく表現できないかなと思って、
いろいろイメージしてた中で、
僕の中では谷崎純一郎のインエライサンっていう本がありますね。
あの中の世界観っていうか、少し欧米みたいにパリッと明るい雰囲気で、
薄暗い中に障子の薄明かりだったりだとか、
そういう薄暗い中に静かにたずんでいるものみたいなイメージがパッと出てきて、
これはいいんじゃないのかなと思って、
そういうイメージを元に今回考えてみました。
まさに私陰影って言いたかったんですよね。
すごく炎暗いけどぽっと明るい、
ちょっとだけ妖怪チックな感じのところもあって、
ものすごく日本っぽい、独特な日本感がある。
なんか日本っぽいんだけど、
例えばオランダって雲の間から光が差し込んで、
そこだけすごくホットライトが当たったりする綺麗な瞬間ってあるじゃないですか、
そういうちょっとダッチライト的な感じの光も感じたりして、
でも本当おっしゃる通りなんかちょっと妖怪っぽいっていうか、
なんか普通じゃない奥行きを感じる画像ですごいかっこいいと思ってます。
パッと見てアイキャッチもされるんですけど、
その後二度見三度見したくなるんですね。
面白いなと思って。
見ていただくとより面白いかなと思って。
今回出展者さんのプロダクトを、
最初に何をお借りするかっていうのをリサーチしていく中で、
結構超重技術画の橋置きがあったりだとか、
もちろん前田さんの彫刻の作品だったりとか、
あと狐のお面があったりとか、
なんかこうちょっと日本のおとぎ話じゃないけど、
日本昔話とか、
ああいうなんかちょっと不思議な世界観みたいなのが作れそうだと思って。
なおかつそういう薄暗い部屋の中で、
床の間でなんかおばあちゃん家の床の間に昔から置いてある、
よくわからないものみたいな人気が出せたら面白いんじゃないのかなと思って。
で、最初はフォトグラファーの井上さん、
井上さんというフォトグラファーに撮っていただいたんですけども、
井上さんのスタジオで撮ろうかっていうお話をしてたんですけど、
どうもなんかただそれをスタジオで撮るだけじゃなくて、
もしかしたら本当に床の間で撮ったら、
よりその空気感が出るんじゃないのかなと思って。
僕のうちの葉山の近くに、
友人が小民家でお店をやっていまして、
その方にちょっとお願いして、
お店を貸していただいて、
そこのところまで撮影をさせていただいたら、
もちろんその光はライトで作ってるんで、
自然光ではないんですけど、
建物とかが持ってる空気とかが、
なんとなくそういう雰囲気を醸し出してるんじゃないかなっていう、
そこはもう本当に非常に感覚的な世界になったんですけど、
そういうのもあって、
すごくうまく全てはまったなっていう気がします。
納得。
その奥行きはやっぱり、
小民家の持つ空間の強さというか。
面白いですね。
オランダでは存在しない画像が生まれたと思ってるんですよね。
明らかに異物。
そうですよね。
だからすごい目立つんじゃないかなと思って、
今からでもポスターとかどんどん吸いたいなとかね、
いろんな感想が止まらない感じなんですけど。
すごいですね。
でもなんていうのはやっぱり、
世界観を作り上げていくときの、
源となるいろんなインスピレーションがあるじゃないですか。
それを政谷さんご自身の中から、
いろんなところから引っ張ってこられると思うんですけど、
それが内在されてるってことはやっぱりかなり、
映画をよく見られてたりとか、
本をたくさん読まれてたりとか、
自然の中に長くいたりとか、
すごいいろんな体験、経験、
それらが政谷さんの中にあるから、
そういう世界観にどんぴしゃと、
作っていけることができるんだなというふうに、
今聞きながら感じました。
いいですね。
そうですね。
でもやっぱりそういう部分を、
なんていうんだろう、
理解、中条さんはすごく理解してくれるので、
やりやすいなっていうのはありますね。
なかなかそこを理解してくれない場合もあるので、
こっちがいくらこういうストーリーでこうだって言っても、
いやいやいや、私が求めてるのはこうだっていう風になる場合もある。
割と中条さんとはそこら辺のフィーリングはありますね。
なんかこう、全然違うんだけどみたいなことはあんまないですよね。
ないです。
相性がいいんですね。
なんかすごい信頼してます。
いいですね。
何やったっけ、なんかちょっと今、
ちょっとジーンと。
どこまでやったっけ。
どこまでやったっけ、あ、そうそう、ですから、
お風呂入ってますもんね、一緒に。
そうなんですよ。過去のお風呂写真がいっぱいありますからね。
そうですね。
ロイドホテルが名物なアートディレクターのスザン・オクセナーさんっていうね、
オランダ人で有名な方がいて、
その方がモノジャパンでいろいろな出展者さん、わざわざ日本から来ていただく、
しかも寒い時期にわざわざオランダみたいな寒いところに来ていただくんで、
露天風呂を用意しよう。日本人はお風呂でゆっくり入りたいでしょうって言って、
で、ホテルの横にお風呂を用意してくれて2つ抱きしめるみたいな。
え、それどういうこと?
そうなんですね。
すごい。
で、みんなお風呂に入りたい方は水着持ってきてくださいねって言って、
みんなでお風呂入るみたいな。
なかなかないですよ、たぶん。
ないよね。
こうやって言ったらエロい感じに聞こえるんですけど、そんなことなくて、
みんなうわーっていう感じで勢いよく入って、
今日も疲れたねーなんて言いながら、
すごい楽しかったですよね。
あのロイドホテルの隣で、あそこで。
面白すぎる。そうなんですね。
みんなでね、お酒飲んで入って乾杯したりとか。
最高じゃないですか。
スザンヌさん最高やね。
スザンヌさん最高でした。
そう。
このぐらい出展者と主催者の距離が近いっていう。
物理的にも近い。
裸で。
物理的に近かったよね。
裸と裸の付き合い的な。
ほんまや。
でもね、ロイドじゃなくてそういうのはできなくなったんでね、
それはちょっと残念なんですけどね。
そうですね。
そういうちょっとね、
弾けた経営者が少なくなるっていうのは寂しいことですよね。
そうですね。
なるほどね。
そっか。
マサヤさんからすると、
今後のモノジャパンってどんな風になっていくかな、
というかこう発展していったらいいなとか、
そういうのって何かありますか。
いやもう実は結構もう既に取り組まれてるんですけど、
例えばアーティストインレジデンスの取り組みとか、
NN生命さんとの協業とか、
日本のクラフトメーカーとオランダ人のデザイナーとか、
その逆でもいいんですけど、
そういう単純に日本から販路拡大で、
日本のプロダクトをヨーロッパで広めるっていう段階ももちろんあるんですけど、
そこから一個踏み込んで、
じゃあそういう風に日本のクラフトメーカーとオランダのクリエイターが
コラボレーションして、
新しい別のプロダクトができるみたいな方向性っていうのは、
すごく僕はいいなと思ってて、
もう既に進行してたり形になってるプロジェクトもあると思うんですけど、
これが多分今後もっと加速していくんじゃないのかな、
っていう気がしてるのと、
あと同時にヨーロッパで日本のプロダクトだとか、
日本のカルチャーっていうのに理解が深まっていくと、
多分日本の方に行ってもインバウンドとして、
今まで例えば日本に遊びに行ったら、
まずは東京、大阪っていうところから、
多分どんどん興味が地方のクラフトメーカーだとか、
地方の産業っていう方に興味が向いてきて、
東京はもう前回行ったから今回はなしで、
例えば今回はどこそこのクラフトメーカーに会いに行こう、
みたいな流れができてくるんじゃないのかなっていう気がしてて、
そうなると本当に日本のクラフトメーカーにとっては、
すごくいい状況っていうか、
ちゃんと自分たちがやってる仕事を見に来てくれる。
今まではオランダに自分たちの作ったものを見せに行く、
売りに行くっていう流れだったのが、
それが向こうでヨーロッパで理解が深まることで、
今度はヨーロッパの人たちが自分たちに会いに来てくれるっていう風になるのが、
一番理想だなっていうふうに思います。
そうですよね。
地方の行政の方もね、
そういうクラフトツーリズム的なのをサポートするとか、
そういう風な流れになって、
ちゃんと現場を見せつつ、
ツアーの際の時間もちゃんとペイされて、
人とかお金とかがちゃんとそういうところまで行き渡る、
みたいなことができたらいいですよね。
やっぱりやっていきたいですよね。
なんかそんな可能性しか感じないですね。
本場に単純やから、本当そうだわと思いながら聞いてましたけど。
できたらいいわね。頑張ります。
長谷川さん今年も、ごめんなさい。
毎日新聞さんがサーキュラーな展示っていうのを言ってて、
たぶん今僕が言ってたことも、
そういう大きい意味ではサーキュラーっていうか、
物を返して循環していくみたいな、
それこそ本当にモノジャパンが描いてる、
一番大きいビジョンかなっていう気がします。
すごいちゃんと言語化されたその言葉を聞くと、
すごいピチッと頭の中にピチッと入る感じがしますよね。
長谷さん洗脳されてますね。
ですよね。
いい感じに洗脳されてきてますね。よろしくお願いします。
洗脳って何?
そうなの?だから長谷さん今年の9月もじゃあいらっしゃるんですか?
行きたいなって思ってるんですけど、
なかなかギリギリになるまでスケジュールが決められなくて、
行くとは断言できないんですが、
行きたい、かなり行きたいですっていうことだけお伝えします。
ぜひ来てください。
来てほしい。
本当コロナで2,3人行けてないから、
おそらく状況も変わってるだろうし、
新しいスタッフの方々と直接お会いしたことのない人もいるので、
一回ちょっと見たいなと思ってます。
今年もいいチームですよ。
ぜひぜひ。
結構AMS変わったよ。
来ないと。
行きたいな。
一応ですね、私からの質問はこれくらいかなって感じなんですけれども、
もしまさやさんの方から何かお伝えしておきたいこととか、
もしあればおっしゃってください。
多分後半モノジャパンの話ができたのでよかったなと思う。
前半自分の話しちゃったんで恥ずかしいから、
もうちょっとモノジャパンの話をしておきたい。
何で、自分にしたんじゃない?
奥ゆかしい方なんですね、まさやさん。
そもそも僕が何でモノジャパンを探ることになったかっていうお話で、
ありがとうございます。
中将さんとの最初の出会いが、
共通の友人で小山田正明くんっていうアーティストがいて、
彼がアムステイダムでオープンステップジャパンっていうイベントに関わってるっていうお話を聞いて、
面白そうだなと思って遊びに行ったんですね。
それを主催してたのが中将さんで、
そこでそれが初めての出会いで、
ただその時はクラフトの話だとかは別にしてなくて、
お互い存在は知ってるけど、
特に一緒に何かやるみたいなことではなかったんですけど、
ちょうどその時僕が別の仕事で、
京都の共有禅の取材に行ったんですね。
共有禅がどうやって作られてるのかっていうのをずっと見て、
職人さんのお話とかを聞いてた時に、
共有禅って全部工程が30日間あって、
それを一個一個専門の職人の人がやって、
どんどんバトンタッチしていくっていう、
かなりの工房を回るんですけど、
その時に工房行く工房が、
全て恒例の職人さんしかいないんです。
ある工房で一番若手の職人さん、
俺が一番若手だよって言ってた人が70歳なんですよ。
その方はキャリア40年で、
工房に住んでるみたいな生活を40年続けてる方が一番若手っていうようで、
これはこのままだと産業として、
もういつか終わってしまうんじゃないか。
いつかっていうかもう本当に、