TCGの30周年に向けて
sasakill
今年、2023年は、トレーディングカードゲームが生まれて30周年という記念すべき年です。
私が昨年、メディアヌップというポッドキャストを始めたときに、私が愛するこのトレーディングカードゲーム、特にマジック・ザ・ギャザリングというタイトルについて、
当時、今すぐ特集を組みたいと思っていたんですけれども、1年待てば30周年という記念すべき年になるということがわかっていたので、
今年になるまで、実は温めて撮っておきました。そしてその温めていた分だけ、とっても豪華なゲストを今回お招きすることができました。
というわけで、記念すべき101回目の配信はですね、マジック・ザ・ギャザリングのプロプレイヤー、高橋優太選手をお招きした回になります。
プレイヤーとして、コレクターとして、非常に深いお話が聞けると思うので、私もめちゃくちゃ楽しみにしています。どうぞお楽しみください。
メディアヌップ、こんばんは、佐々木優です。
今日はですね、素晴らしいゲストをお招きして、私が聞きたいこと、そして皆さんに知ってほしいなと思うことをどんどんお話を掘り下げて聞いていきたいと思います。
というわけで、早速お招きしてみたいと思います。高橋優太さんです。
今日はよろしくお願いします。
高橋優太
よろしくお願いします。カードラッシュ所属プロのマジック・ザ・ギャザリングプロ、高橋優太です。
過去には2021年に世界選手権で優勝した経験があります。
sasakill
ありがとうございます。高橋さんはですね、マジックプレイヤーの中ではもう十数年にわたってトッププロという形なので、
やっている人の間ではもう説明不要の超有名選手という感じで、もうお招きするのも光栄な方なんですけれども、
今日ですね、ちょっといくつかプロフィールを私の方でちょっとご紹介しようと思っていくつか持ってきたんですけれども、
ご出身が新潟県蕾市出身。
はい。私最近蕾山城でプロジェクトをやっているので、ちょっとその話も後で聞きたいんですけれども。
はい。新潟県蕾市出身。
現在は東京在住のプロプレイヤーで、一番最初に世の中にインパクトを与えたのが2008年ですね。
国内のグランプリ連覇を果たして、これが国内では当時初めてだったんですよね。
高橋優太
そうですね。グランプリっていうのをマジックなじみない方に説明すると、1000人とか2000人規模の大会ですね。
参加者がそれくらい集まる大会で2連続で優勝することができました。
sasakill
世界でも10人いないんじゃないですか、グランプリ連覇。
高橋優太
2連覇ってなると、いないかもしれないですね。ただ世界は広くて、7回優勝とかの人もいるので、
この記録は多分破られないんじゃないかなと思います。上には上がいますね。
プロプレイヤーとしての生活
sasakill
ちなみにそれはカイブッティーですね。
カイブッティーですね。
とんでもない人いますからね。1000人規模のグランプリを2連覇ってとんでもないことなんですけれども、
それがフェアリーっていうアーキタイプで、フェアリーのアーキタイプが高谷さんの代名詞にもなっていくわけですけれども、
直近ですと、2021年の世界選手権の優勝の商品っていうんですかね。
高橋優太
得点ですかね。優勝すると自分がカードになるっていうありがたい栄光があるんですよね。
sasakill
いや、そうなんですよね。だからポッドキャストを聞いている皆さんには、今高谷さんのお顔見えないと思うんですけれども、
これニュースレターでも配信しますので、そこに選手のお写真とカード化されたもの両方並べてお見せしたいと思うんですけれども、
もう本当にカードのファンタジーの世界の中に、本当に実在する選手が入り込んでいるっていうすごくインパクトのあるカードですよね。
高橋優太
ちょっとコラ画像みたいなイラスト。よく、「何だこれ?」って言われるんですけど、自分では結構気に入ってますね。
sasakill
いいですよね。本当に一生の記念になるっていうか、しかも単に似顔絵が、自分がキャラクターになっているだけじゃなくて、
トーナメントで活躍しているっていうのがまたすごいカードですよね。
高橋優太
一緒に一回、それくらいしかないと思ったので、カードの能力をじっくり考えて、
自分で能力を決められるので、それを考えてスタッフの人に相談してデザインしてもらいました。
sasakill
いや、そうですよね。だから、高谷さんキャリアを通じて何度も有名になっているタイミングがあって、
選手権優勝もそうなんですけれども、カード館は今年ですね。発売は今年だったので、それでも大きな話題になったんですけれども、
おそらくメディアヌープをお聞きの皆さんは、まずトレーディングカードゲームってなんだろうとか、
その状態だと思うんですけれども、そこからさらにそのカードゲームのプロって一体どういう方なんだろう、
どういう風に暮らしているんだろうってイメージが湧かないと思うので、まずその辺りからですね、
面白い話をお聞きいただけると思うんですけれども、高谷さんの自己紹介として、
普段のルーティンというか、あるいはシーズンでトーナメントなんか動いていると思うので、
どんな風に練習したり過ごされているか教えていただけますでしょうか。
高橋優太
まず私がカードラッシュっていうカードゲームを販売している会社にスポンサーを受けてまして、
そのスポンサーのメディア媒体で、1週間に1回コンテンツをアップロードしているというか、記事を書いているんです。
その週間連載みたいな感じで毎週攻略情報を発信していますね。
それで、今何が流行っているだとか、これが高くなったり安くなったりしているとか、そういうことも書いたりします。
sasakill
いわゆるライターというか、攻略記事だとか新商品紹介みたいな、その辺りが自分の仕事の一部になっているってことですね。
高橋優太
そうですね。その好きなゲームをもっといろんな人に知ってもらうっていうのが僕の仕事ですね。
sasakill
その中にさらに大会が混ざってくるってことなんですね。大会の練習。
高橋優太
そうなんです。プロツアーって名前の通りプロのツアーなんですけど、3ヶ月に1回くらいのペースで、
海外の大会で参加者が多分200人から250人くらいしか出れない、プロのみ出れる大会があるんですね。
そのプロツアーに向けた練習は大体大会の1ヶ月くらい前から集中して始めまして、
その1日10時間くらいの練習をずっと続けていきますね。
sasakill
1日10時間を1ヶ月って言うと最長30日くらい?
高橋優太
そうですね。大会の規模にもよるんですけど、プロツアーとか世界選手権といった
プロの練習方法とチーム編成
高橋優太
レベルの高い大会は本当に練習しないと全然勝てないので、相手のレベルも高いんですよ。
なので自分と同様にプロツアーに出る日本のプロたちとチームを組んでオンラインミーティング、
今こうやってる形に近いんですけど、通話アプリだとかを使って会話しながらみんなで練習します。
sasakill
チームっていうのは大体何名くらいなんですか?
高橋優太
チームっていうのは大体6人から10人くらいですね。
日本でも大体それくらいの人数しかプロツアー出れなくて、何かの大会で勝つだとか、
オンライン予選を15勝2敗とかじゃないと参加できない、かなり敷居の高い大会なので。
sasakill
かなり厳しいですよね。
高橋優太
かなり難しいんですけど、そこを勝ち抜いてきた人たちと協力して、お互いに情報を共有したり、
テストプレイ、お互いが練習でぶつけ合うみたいな形で、それを毎日続けていきますね。
sasakill
それは昔から変わりませんか?
例えば2000年代からずっと活躍されてると思うんですけども、
最近だとMTGアリーナみたいなオンラインでいろいろできるものが増えてると思うんですけども、
練習のスタイルっていうのはやっぱりチームで集まってやるっていうのは昔からそういうやり方?
高橋優太
このチームで集まるっていう練習方法はコロナ後にかなり確立されたやり方です。
それまではみんなで音声アプリだとかZoomとかもそうじゃないですか。
コロナを受けに活発になって見直されたというか。
そこでこれが一番効率いいねっていうことになって、
集中してオンライン上で会話しながら練習するようになりました。
それまでは現実の紙のカードゲームで実際に会議室借りて集まったりするやり方だったんですけど、
でもそれもちょっと曖昧というかあまり管理できてなかった部分がありましたね。
sasakill
じゃあやっぱりコロナの影響と言っていいのか、
それともオンライン会議システムの普及の影響と言っていいのかわかりませんけども、
オンライン環境がもたらした変化と練習法の効率化
sasakill
効率的なツールができて、より長く深くというか、
あるいはPC上でデータとか分析したり記録もしやすい状態で、
効率的に練習ができるようになってきている。
高橋優太
今佐々木さんがおっしゃったことの後者に近いですね。
オンライン会議ツールの普及により、より情報の管理が楽になりまして、
有力な選択肢がAとBとCがあったとして、
AはBに有利、BはCに有利、CはAに有利みたいな、
そのジャンケンみたいな形がよく発生するんですね。
ここもうちょっとデータを細かく取ろうだとか、
Aの細部を変えると、実はBとC両方に勝てるようになったりだとか、
そういった試みを何十試合、何百試合と繰り返して、
データを見ながら調整していく。
sasakill
なるほど。
高橋優太
かなり仕事みたいなことをしています。
会社員がやっている分析の仕事みたいなのをみんなでやっています。
sasakill
仕事というか、もちろんプロというか、競技レベル、トーナメントシーンで、
ものすごく勝ち抜いた世界の数百人だけがやる大会ですから、
それぐらいやると言われても納得感しかないですね。
高橋優太
逆にやらないともう曖昧なデータのままでいくと、
自分たちが想定していなかった事態に巡り合って、
自分はAを使うんだけど、
あれ、このA、新しく出てきたDにすごく不利だっていうことが発生したりするので、
そういった見落としをなくすために膨大な練習量でカバーするといった形ですね。
sasakill
なるほどですね。
マジック・ゼキャザリングの世界だと、
情報格差の是正によって変化したデッキ構築の戦い
sasakill
すごく有名な、もう25年ぐらいまでだと思いますけど、
落とし格子事件みたいな。
高橋優太
落とし格子事件。
これは聞いている人には伝わらないかな。
sasakill
でも一生懸命伝えようと思うんですけど、
当時はインターネットはあった。
1998年とか97年とかだと思うので、
インターネットは当然あったけれども、みんなが使うわけではない。
高橋優太
パソコンがまだ普及していない時代ですね。
普及していない。
sasakill
かつ、インターネットを使っている人の間でも、
日本と海外とか英語圏と非英語圏の間で情報格差があったり、
あるいは同じ英語圏でも研究が進んでいるチームのとこだけで
発見されているノウハウみたいなものがあるみたいな、
そういうのがあった時代だと思うんですけども、
その時は特に日本のチームがうっかり見落としていた、
落とし格子の戦略みたいなやつで、
高橋優太
姉妹で負けた。
sasakill
負けたっていう事件が、
つまり情報格差によって国ごとというか言語ごと負けているという状況が
発生しているっていうやつがあったんですけど、
今はもうそんなレベルの大きな見落としはほとんどない。
高橋優太
ほとんどないですね。格差はかなり是正されたというか、
参加者の上位ラインでいったらもうほとんどデッキの選択とかは
2回やったもんになりがちですね。
それが、例えば2022年の世界選手権ですと、
使用者のデッキが70%一緒だったんですけど、
それはみんなが同じ考えをしたからこそ、
同じものを使おうとして、
70%、10人いたら7人が同じデッキを使うとかになりましたね。
sasakill
いや、私この辺りから、
もしかしたらディスな置き去りで聞いてみたいんですけども、
私こう、古の昔からのマジックファンなので、
昔の感覚でいうと、
情報格差っていうのは、
悪い意味で言うと格差っていうふうに言葉が響きますけども、
よく言えば、研究頑張った人たちが事前の戦い、
つまり大会が始まる前のデッキ構築の戦いとか、
戦略選択の戦いで有利に立てるみたいなことが
あったんだと思うんですけども、
高橋優太
それはとても同感ですね。
戦う前から試合が決まってるっていうか、
確か格子の言葉にもあるんですけど、
戦うまでの過程こそが戦いなんです。
どれだけ準備をして見落としがなくなったほうが、
実際の試合でも勝つというか、
98年から2000年代って同じプレイヤーが何度も、
カイブッティーとかジョン・フィンケルとかがたくさん勝ってるんですけど、
やはり彼らのデッキって、他とは群を抜いて、
レベルの違う強さなんですよ、当時の。
sasakill
大会始まる前にレベルの違う強さのデッキに到達してるって、
TCGのプロの研究方法
sasakill
めちゃくちゃかっこいいと思って見てたんですよ。
高橋優太
それだけ練習してるってことですかね。
sasakill
しかも、プロツアーというか診断が発売されて、
2ヶ月後とかに出るプロツアーだと、
実はまだ研究が極まってなくて、
その時優勝したデッキが、その後草の根を含む大会で、
さらにブラッシュアップされて、数ヶ月後に完成されていくみたいな、
やっぱ当時の雑誌とか雑誌メディアとか溢れて慣れてたんで、
今は本当もう研究がものすごく進むってことですよね。
ご質問してみたいのが、そうなった時に、
プロ同士の間で差をつけるものって、
昔と違うくなってるわけですよね。
事前の戦いでの差が小さくなったんで、
何が勝敗を分けるようになってきたのか。
高橋優太
PCGのデータを全部検証するって膨大な時間が必要なので、
どこが差が出るかっていったら、
結局は人数と、あと同レベルの人がどれだけいるか、
高レベルの人がどれだけいるか、
これも結構重要かなって思いますね。
sasakill
つまりチームで研究する時に、
そのチームメンバーの質というか研究の質と量を
どのくらい高められるかってところに差が出ていくってことですか。
高橋優太
そうですね。どうしても10人とか20人のチームになってしまうと、
全員がものすごく上手いとかではないんですよ。
だからそこを分担する必要があって、
新しい分野を発見するのが得意な人だったり、
逆に今ある武器を研ぐ、今あるものをどんどんブラッシュアップしていく人だったり、
あともう一人必要なのはチーム内の雰囲気を良くする人。
sasakill
それも必要なんですね、やっぱり。
高橋優太
どうしても人が10人くらい集まると、
意見の違う人も同士でぶつかったりして懸悪な雰囲気になったりするので、
そこを和ませる人とかがいるとチームのバランスが良くなりますよね。
TCGプロのチーム戦略
sasakill
めちゃくちゃ面白い。
そのチームの貢献って、
例えばプロツアーとか世界選手権の結果ではなかなか個人の名前って現れてこないですか?
高橋優太
そうですね。予想することはできるんですけど、
まずはデータを集める人、データを分析する人、
あとチームの仲を良くしてくれる人、この3種類がバランスよく必要ですね。
自転車レースとかF1みたいな、
F1はドライバー1人だけど自転車は調子が良い人の最後に勝ちにくくなりますから、
sasakill
個人なんだけどチーム戦っていう感じなんですね、そのプロツアーレベル。
高橋優太
一人で、僕も昔は一人でやってた時期もあったんですけど、どうしても情報量に差があるというか。
あと人間的に良い人であることも大事で、良い人じゃないとより良い情報を得られないんですよ。
へー、めちゃめちゃ面白いですね、その話。
例えば人当たりが悪かったりすると、あいつとはちょっとやっていけないからって言って、
決裂したりして、情報の鮮度に差ができたりもするので、
ある程度の人格というかコミュニケーション能力、コミュニケーション能力ですね。
コミュニケーション能力があることと情報を集める力、これ繰り返しになっちゃうんですけど。
sasakill
よくある漫画でもアニメでも、ものすごい強いゲームプレイヤーがライバルで出てくる時って、
なんかちょっと嫌なやつとか、国王の天才みたいなキャラクターがステレオタイプなライバルとして出てくると思うんですけど、
現実にはそんなことはないわけですよね。
あれは多分幻想というか、物語を面白くしてくれる存在ではあるんですけど、
高橋優太
実際にはそんなにうまくいかないことが多いですね。
高橋さんの選手権優勝
高橋優太
良いやつじゃないと、やっぱり集まってくる情報も多いですよね。
いや、それめちゃめちゃ面白いですね。そういう話聞いたことなかったです。
sasakill
実はですね、メディアヌップに高橋さんゲストにお招きしたいと。
TCGの話するときの1回目には、ぜひ高橋さんしかいないと思ってたんですけども、
私忘れられないんですけど、
その月ですね、実は初版コンクールというのが。
ピアノですか?
ピアノの初版コンクールが同じ時期に開催されていて、それも毎年、
ファンの方々にお招きしてくれるので、
その時期に初版コンクールのコンクールをやったんですけども、
その時期に初版コンクールが開催されていて、
初版コンクールが同じ時期に開催されていて、
それも毎晩夜のライブ演奏があって、そこに世界選手権が重なって、
その初版コンクールでも日本人の競兵さんとか活躍されてる方が出てきて、
僕もそれを応援してたんですけども、
その同じ朝にですね、いつも朝に遅くまで見てるライブとか見返したり、
朝までライブ見たりするんですけども、ちょうどその時に高橋さんがどんどん勝ち進んで、
優勝の瞬間朝まで起きて見てたんですけども、
僕ね、スポーツ見てて本当に泣いたの初めてで、
例えばWBC野球が優勝するとか、
例えばラグビーワールドカップで日本選手が活躍するとか、
そういう大きな大会いっぱいあると思うんですけども、
僕そんなどんなあれでも泣いたことないんですけども、
この時ばかりはですね、画面見ながら本当にこう、
あまりにも泣きすぎて恥ずかしくて、朝ごはんの時間だったんですよね。
家族の前で泣いてる理由がわかんないんですよ。
本当にハラハラ泣いてて、部屋に引っ込んじゃったぐらい。
もうそんぐらい感激して泣いてたんですよ。
なんでそんなに感激してたかって、
理屈にすることはできるんですけど、
それだと僕の話が長くなっちゃうんで置いといて、
高橋さんがどんな思いで最後の選手権の座を獲得して、
最初3連敗して、ドラフトで3連敗して、
がけっぷちになった後にっていうことをよく言われるんですけども、
実は僕その前のところにすごいグッときて、
やっと掴んだチャンス、ライバルドリームから機会を得て、
選手権の党にエントリーされたときに、
ブラックロータスをそのタイミングで購入されましたよね。
高橋優太
ちょっと今手元にあるんですけど。
sasakill
ちょっと今スクリーンショット撮っていいですか。
このブラックロータスって何かっていうと、
マジックを代表するカードのみならず、
高橋監督のブラックロータス購入
sasakill
取りました。ありがとうございます。
トレーディングカードゲームを代表するカードの一つで、
高額なカードとしてスキャンダラスに話題になることもよくあるんですけども、
それはどちらかというと、
ゲームの外側にいる人間の驚き、
ただの紙がなんでそんな値段するんだって、
スキャンダラスに取り上げられることは多いんですけども、
本当にやってる人間からすると、
ある種の信仰の対象なんですよね。
ものすごく紙で数百万円しますから、
それを買うってことは何かっていうと、
そのゲームが、あるいはそのゲームを愛してる人たちが、
今後も増え続けるだろうと。
僕はこのカードゲームに一生価値を感じるだろうって思わないと、
買えないんですよね。
まさしくその通りですね。
価値というか信仰を試されるカードで、
なおかつそれを信仰する人が減らないから値段が上がり続けてるわけですけども、
普通は優勝したお祝いに自分に買うみたいな発想ってあると思うんですけど、
そうじゃなくて、高橋さんが一番大事な勝負の前とか大会の前に、
自分の覚悟を示すものとして、
ついにブラックロータス、しかもベータ、
しかもたぶん状態のいいやつだったと思うんですけども、
買ったっていうのを見たときに、
なぜ感激したかっていうと、
努力してない人間の神頼みってカッコ悪いと思うんですけども、
全てのことをやり尽くした人間が勝ちたくて勝ちたくて最後にやる祈りって、
なんかもう胸を打つんですよね。
そういう人だけが祈る資格があるというか。
高橋優太
そうですね。極限まで努力して、
ようやくそこから運の世界なんですよね。
極限まで努力しないと運までたどり着けない。
sasakill
僕は高橋さんとこういったお話しするのも初めてなんですけども、
記事とかツイッターとかノートとか、
当時で言えばダイアリーノートとか更新されていたのを読んでいて、
たまにちょっとプライベートな困りごととかも書かれてましたよね。
あの、あいのを読んで、
どういう思いで今なおというか、
2008年に活躍した後もずっとプロ辞めずにやってて、
最後どういう気持ちでこれかけてるかっていうのは、
あのブラックロータスを買ったときに私なりに分かりまして、
これはと思ったら戦いに苦労して、
もうダメかと思ったとこから全勝して、
一本も落とさなかったんじゃない?
あ、一本も落とさなかった。
最後は落としたゲームもあるか。
高橋優太
いや、落としてないです。
sasakill
落としてないですか。
11連勝です。
もう、それで朝食卓で一人で泣いている親父がいる。
ありがとうございます。
ちょっと私の話は長くなったんですけども、
あの後たくさんインタビューを受けられていると思うんですけども、
今振り返ってみて、
さっきその最後、
運までたどり着くみたいな話も出たんですけど、
今振り返ってみていかがですか?
世界選手権への挑戦と勝利
sasakill
あの時の。
先ほど佐々木さんがおっしゃっていたように、
高橋優太
ある種の覚悟。
これ、練習はもうできるだけしたから、
あとは、
このマジック、
マジックというゲームが大好きだからこそ、
マジック・ザ・ギャザリングを象徴する存在である、
このブラックロータス。
ブラックロータスを買うことで、
この、
もうマジックをやめないし、
ずっと向き合う家具。
あと、お守りですね。
そう、お守りですね。
sasakill
お守りですね。
世界選手権、
高橋優太
世界選手権に出場するまでにちょっと長い道のりがありまして、
サッカーのJ2リーグ、
ライバルズリーグって言うんですけど、
サッカーのJ2リーグみたいな、
48人で戦って、
上位4名だけが、
世界選手権の権利を得るっていうリーグ戦があったんですね。
で、そのリーグ戦加入が決まった時に、
自分のできる限り最大限の努力をしようと、
自分の中で決めました。
で、それと共に、
マジックが、
20年以上プレイしてきて大好きだし、
マジックの究極である、
パワーナイン。
パワーナインと呼ばれる、
かなり高額かつ、
強いカードがあるんですけど、
それを全部ベータで集めようと、
決めていて、
で、
そのリーグ戦を勝ち上がるごとに、
1枚ずつ買っていったんですけど、
で、最後に残ったのがブラックロータス。
これが一番高いので、
当時でも500万くらいしたので、
結構、資金用意するの大変だったんですけど、
世界選手権の権利を獲得したので、
練習して、
ブラックロータスを買えば勝つだろうっていう、
sasakill
謎の、
紙1枚にかける信仰と価値
高橋優太
自分のジンクスによる。
いやもう、
それが僕ね、
sasakill
それが胸を打ったんですよね。
ささきさん、ブラックローツ持ってらっしゃるんですか?
いや、持ってないです。
高橋優太
きっかけが、
sasakill
ないというか、
高橋優太
やっぱりこう、
sasakill
試されますよね。
試されますね、はい。
紙1枚に500万円ですかね。
高橋優太
やっぱり私はそこを超えられてないですね、
sasakill
そういう意味だと。
普通の人は、
あまり超えられないというか、
高橋優太
頭のネジがちょっと外れていない、
なかなか難しいところがあると思うんですよ。
白枠って言って、
sasakill
安いバージョン、
若干というか、まあ安いバージョンなんだけど、
それじゃあ嫌なんですよ。
それじゃあ嫌なので、
そしたら余計に買うことになっちゃうんで、
いきなり黒いのしか欲しくないので、
余計試されて。
白枠だと一応200万円くらいなんですけど、
そうですね。
高橋優太
それはささきさんとしては、
ちょっと好みではないということなんで。
好みではないので、
私の場合は、
sasakill
自分がやっている事業が、
何かうまくいった記念、
あれはうまくいった時に、
競技とゾーン
sasakill
何かやるっていう、
そういうものなんですね、
私にとってはね。
はい。
私にとってはというか、
これは聞いている人が何を言っているんだろうと、
思っているかもしれませんが、
そういうものなんですよね、
なんか。
Black Lotusはやっぱり、
パー9の中でも特別というか、
いや、だから、
そうですね、
いかにかけているかっていうのが、
画面からも、
その事前の、
あれからも伝わりましたし、
画面の中で、
当時はコロナだったので、
いわゆる、
高橋優太
オンラインですよね。
sasakill
オンラインでやって、
それぞれのプレイしている環境なんかが、
画面で映ったんですけど、
普通だったら、
多分仲間が駆け寄って、
ドア上げしたいとか、
あれするところだと思うんですけど、
部屋で一人でガッツポースしているシーンとか、
戦い抜いたわけじゃないと、
さっきの話で分かったんですけども、
とはいえ、
でも辞めずに、
このチャンピオンの座を目指して、
駆けてきたって事に関しては、
自分が責任を取るしかないというか、
孤独な、勝ち取ったそういう感じがしても、
すごいね、
高橋優太
いや、涙が止まらなかったですね。
sasakill
ありがたい事ですね。
2回ぐらい、2,3回見返してましたね、
高橋優太
あのゲーム通じて。
僕も2,3回見直しました、
sasakill
自分の技を見て。
高橋優太
大きくて、その日は、
なんか、
泣いたり眠ったりを繰り返してましたね。
sasakill
いや、またゲーム展開自体もいいんですよね。
あのイゼット・ドラゴン。
もうなんか、
全部揃えて楽奏して飾ろうかと思うぐらい、
思い出深い、
デッキでした、僕も。
それで、
その競技について掘り下げる中で、
ゾーン体験みたいな事ってご経験あるんですか?
ゾーンです。
極度の集中状態で。
やってみたいと思ったんですけど。
高橋優太
ゾーン体験ですね。
そんなに数が多い訳じゃないんですけど、
集中力が極限まで高まると、
なんか、音のない世界に入るんですよね。
音が聞こえないというか、
周りの音が気にならなくなる。
自分と相手と、
試合の盤面だけが、
頭の中に入ってきて、
ただ、音のない世界でも、
相手がプレイする内容から、
相手の言葉や、
相手の考えている事が伝わってきます。
それはテーブルトップとか、
sasakill
オンラインとか関係なくですか?
高橋優太
関係ないですね。
世界選手権決勝戦で、
フランス人のジャンさんと試合したんですけど、
その試合はまさしくそうでした。
相手が上手いからこそ、
ここはこう考えているなっていう、
思考が伝わってくる感じですね。
sasakill
それと、もう一つ、
高橋優太
10年くらい前の、
神のマジックでの出来事なんですけど、
sasakill
お互いに、
高橋優太
1ゲームずつ勝利して、
これから3本目が始まるっていうところなんですけど、
人間的成長
高橋優太
残り試合時間は5分しかなくて、
sasakill
5分しかないと、
高橋優太
お互いが超スピードでプレイしないと、
終わらないんですよね。
その時に、
相手が来て、
sasakill
5秒くらいでお互い、
高橋優太
ターン終了、ターン終了ってやってたら、
極限の集中力が発揮されて、
5秒で正しいプレイがずっとできたんですよ。
sasakill
それは逆に相手も、
かなりそれに応えるレベルでやってきたから、
高橋優太
相手もすごい早くやってくれて、
だからこそ、5分間で試合が終わって、
勝利できました。
MTGアリーナのコミュニケーション
sasakill
それもかなりギリギリの、
高橋優太
大会の良いところでしたね。
でも終わった後は、
足が震えていて、
sasakill
椅子から立ち上がれない経験でした。
高橋優太
椅子から立とうとしたら、
崩れ落ちるっていう経験をしました。
sasakill
その時もそうですし、
世界選手権決勝の時もそうなんですけど、
相手の思考が流れ込んでくるって、
その時どんな感覚なのかってことと、
あとゲームが終わりますよね。
ゲーム終わった時に、
ゲートはどういう感じになるんですか?
高橋優太
終わった後、
ゾーン体験した相手とは、
本当に親友のような感じになるんですよ。
お互いに分かり合えるっていうか。
sasakill
オンラインのMTGアリーナでやってると、
ゲーム終わった後に、
デッキ片付けながら雑談する瞬間みたいなものが、
テーブルトップだとありますけども、
そういう瞬間がなくても、
その状態になる?
高橋優太
なりますね。
まさしくそうで、
お互いエモート機能っていうのがあるんですけど、
やるなとか、
しまったとか、
そういうコメントができるんですけど、
それのやり取りで、
いいプレイ、
君いいプレイだねとか、
今やられた、
sasakill
といったコミュニケーションがよく取れて、
高橋優太
もう本当にガンダムのニュータイプみたいな感じ。
sasakill
本当そうですね。
僕今、逆襲のシャアを、
逆襲のシャアというか、
ガンダムのことを思い浮かべてましたけど、
完全にその世界の話ですね。
このゾーン体験を、
高橋優太
普段から自分で自由に出せれば、
いいんですけど、
なかなかこれは難しくて、
自分でスイッチ入れることができたら、
もう、
世界最強になってしまうのかもしれません。
sasakill
さっきおっしゃったように、
代償があるわけですよね。
高橋優太
立てなかったり、
椅子から立ち上がれなかったり、
すごい消耗しますね。
そういう感じです。
sasakill
そういう、
高橋さんがプレイヤーとして、
覚醒したっていうか、
自分が、
1個、2個レベルが上がったなと思う時って、
振り返って、
何かあるんですか?
あの時、自分は1個ネクストレベルに上がったみたいな。
やっぱり、
ライバルズリーグ
2020年か2021年にかけてあった、
ライバルズリーグですね。
1年間、
世界中から集められた競合48人と、
ずっと戦うわけですよ。
中国の古毒ってご存知ですか?
わからないです。
虫、虫、虫、虫、毒って書いて、
戦士の名前じゃなくて、
古毒。
1つの壺に、
ヘビとかサソリとか、
毒虫をたくさん入れて、
漫画で読んだことあります。
残った1つが最強の毒になるってやつなんですけど、
高橋優太
それに近くて、
1つの壺に48人の戦士が入られて、
そのうち4人しか出てこれないわけです。
成長とストレス
sasakill
それは、
よっぽどすごい毒を食ったっていうか。
高橋優太
そうですね。
戦い合い、殺し合い、
この言葉はちょっと不適切かもしれませんけど、
その死闘により、
自分のスキルっていうのがかなり磨かれましたね。
相手が強いからこそ、
自分も強くならないと、
食われてしまうんですよ。
食われないためには、
自分が相手を食うしかなくて、
弱肉強食の世界です。
sasakill
すごいな。
だから単にライバルリングから、
優勝まで勝ち上がっただけじゃなくて、
ライバルリングで揉まれたが、
故に勝つことができたって、
言い換えることができるわけですね。
そうですね。
高橋優太
あの1年で飛躍的にレベルが上がったと思います。
自分のレベルが、
例えば、
マジックズギャザリングのレベルが
当時60くらいだったとすると、
周りの平均値が70くらいで、
sasakill
70を倒し続けると、
高橋優太
どんどんレベルが上がるんです。
同レベルよりも、
自分より上のレベルと戦うことで、
莫大な経験値が得られる。
RPGとかに近いんですけど、
レベル60くらいになると、
sasakill
レベル40の人をたくさん倒しても、
高橋優太
あんまりレベルが上がらなくて、
なるほど、なるほど。
sasakill
だから、
高橋優太
同レベルもしくは、
自分より上の人と練習するのが、
効果がある。
sasakill
多分、
高橋優太
ゲームに限った話じゃない気がします。
スポーツとかも、
やっぱり自分より上の人に
引き上げてもらうっていうのが、
レベルアップになる。
必要、
不可欠だと思います。
sasakill
ビジネス化だと、
コンフォートゾーンという言い方をして、
自分が心地よくいられるところでは、
成長できないけど、
ちょっと無理して、ストレッチゾーン。
ちょっと難しいところ。
でも、パニックゾーンといって、
あまりにも自分が変わらない相手と戦っても、
高橋優太
成長しない。
そうですね、多分レベル10の人が
レベル80に押さっても、
sasakill
全く何言ってるかわからない。
そういうことですよね。
で、
ランダム上がっていくっていう、
まさにそういう、
高橋優太
スポーツでも、
コンフォートゾーン、
sasakill
ストレッチゾーン、
で、パニックゾーン。
高橋優太
パニックゾーンは差がありすぎて、
sasakill
やっても何も学べないっていう。
高橋優太
よくわかりますね。
高橋さんの人間的成長
sasakill
適度にストレスがないと成長できない。
そうですね、ストレス。
こんな話言い出しちゃって、
もし使えなかったら、
カットしようと思ってるんですけども、
涙が止まらなかったり、
高橋優太
重いことがあって、
sasakill
私も岩手にいて、
大学の時仙台にいて、
その後東京に出てきて、
初めて、
草の根のテーブルトップのマジックの大会が、
毎週末開かれてるっていう、
すごい環境にいられて、
嬉しくて、
東京都内の大会いろいろ行ったんですけども、
高橋優太
僕は当時、定員してましたね。
sasakill
その時、高橋さんがたくさんいっぱい出られてて、
で、その時、
高橋さんもすごくお若さかったと、
思うんですけども、
今でも、
MTG Wikiとかに書いてますけども、
お行儀が悪かったようなことがいくつかあって、
それ、今のネットの言葉だと、
スティグマって言ったりしますよね。
ラクインっていうか、
コクインっていうか、
若い時の、
若い時の一回の失敗、
わずかな失敗が、
ずっとラクインのように残っちゃう、
高橋優太
みたいなことがあると思うんですけども、
sasakill
シャンセルカルチャー。
そうですね。
そのままの高橋さんじゃないっていうのは、
ずっと読み続けたりフォローしてれば、
分かることなんだけど、
Twitchのコメントとか、
Twitterのコメントとか見ていくと、
そういうのを掘り返して言う人もいらっしゃいますよね。
でも、
選手権優勝された時に、
人間的成長された高橋さんが、
優勝されてるってことに対して、
若い時から、
自分がね、自分が若い時から見てたんで、
すごい感慨深くなって、
それでまたね、
嬉しいっていうか、
高橋優太
佐々木さんが僕を見守ってくれていたのが、
今、知れて嬉しい。
sasakill
見守るっていうか、
そうですね。
あの、
僕当時、
どういう気持ちでいたかっていうと、
僕当時社会人だったんですけど、
高校生とか大学生とか混ざって、
毎週末に神でマジックやるんで、
その中にはいろんな人いるんですよね。
性格もそうだし、
それ性格じゃなくて単に若いから、
行儀が分かってないとか、
いろいろあるんですけど、
怒り出す大人も中にはいるんですけど、
だって自分も若い時、
そうだったじゃんって僕思うので、
長い目で、
みんなで付き合っていけばいいじゃんと思っていて、
で、現に時間経てば、
お行儀悪かった高校生の、
誰かいませんけども、
あの、
高橋優太
いや、耳が痛い話ですよ。
ちょっとこれは不誠実にしときましょう。
sasakill
はい。というわけで、
競技とゾーンと人間的成長
sasakill
前半ここまででございます。
ここまでのところで、
高橋さんに感想をいただければなと思いますが、
どうでしたでしょうか。
高橋優太
組織化された練習と、
そのコンフォートノームとかの話は、
かなり似通った部分もあるのかなと、
新しい視点でお話しかけて、
かなり面白い内容でした。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
sasakill
で、本日はここまでなんですけれども、
次回はですね、
高橋さんのもう一つの面、
カード収集家としてのお話とか、
その辺りも伺っていきたいと思います。
それではまた次回。