1. 声の大人エレベーター「黒ラヂオ」
  2. Session12:俵万智×松尾スズキ..
2023-07-10 22:38

Session12:俵万智×松尾スズキ(後篇)

モノ作りの幸せと不幸せ、とは? 

深くないようで深い、いい加減なようで意外と真面目なトークセッション。前回に引き続き歌人・俵万智さんと作家・演出家・俳優の松尾スズキさんが登場。今回は短歌と戯曲、それぞれの着眼点に始まり、2人にとっての幸せとは?また好きな事をプロとして仕事にする人が抱える、モノを作ることの幸せと不幸せとは?さらに夢中になることがある人生についても、それぞれの想いがたっぷりと語られています。  


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ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。

サマリー

物を作る仕事をしているとき、作品が届いたときは幸せだと思います。大人になると、幸せや人間について考えるほど、ますますわからなくなります。AI技術の進歩やそのマーケティングの影響について考えています。手軽に手に入る幸せを感じることが本当の幸せのように思えます。最も具体的な幸せの形は、静岡への旅行で静岡の居酒屋でビールを楽しむことです。

物作る仕事の幸せ
物作る仕事をしてると、やっぱりその自分の作品が届いたって思える時は幸せだよね。
そうですね。 うん。
私もその、私の作った歌を、がもう自分からの手が離れていって、誰かの心に寄り添って、何かこう、お守りみたいにしてるって言われたりすると、すごい嬉しい、幸せだなと思うし、その歌も幸せだなと思う。
大人とは、幸せとは、人間とは。
人生のあれこれが聞けば聞くほど、ますますわからなくなる。
深くないようで深い、いい加減なようで意外と真面目なトークセッション。
声の大人エレベーター、黒ラジオ。
前回に続いて、歌人の俵万智と、
作家、演出家、俳優の松尾スズキがお送りします。
はい、後編もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
単歌を、その作り上げていく過程っていうんですか、そういうのって、そういえば長いお付き合いですけど、いつでも聞いたことがなくて。
確かに。だって、普段ご飯食べてこんな話しないもんね。
しないですね。
だからいい機会だなと思ってる。
急に優しいなって話になるじゃないですか。
確かに。
人間とは何か
歌の作り方は、私はもう本当作り始めた頃から割とシンプルで、何かしら心が揺れるっていうかな。
あっと思った時に立ち止まって、揺らしてくれたものは何だろうっていうのを言葉で探して捕まえていくっていうのが基本で。
それは情景とか。
そうね、本当にちょっとした、今日トマトが安い、もう夏が近いのかなみたいな、そんなことから。
もちろん大きな人生状のことを歌うこともあるけれども、何かしら心が揺れるっていうのが出発点で、それを言葉で探すっていう感じかな。
要するにこの忙しい日々の中で、そういう立ち止まる時間が生まれるっていうのが歌を作ってて一番いいこととも言える。
僕もでも立ち止まりはするんですけど、いろんなことに引っかかりはするんですけど、それがやっぱりそこらへん広がっちゃうんですよね。
いろんなものをくっつけてくっつけて。
だから松尾さんは技曲に向いてるし、私は歌に向いてるのかなと思う。
やっぱり表現って相性があるよね、その表現手段と自分との相性っていうか。
そうなんですよ。僕は漫画が志してた頃にずっと4コマ漫画を描いてたから、本当は短いの得意なはずなんですけど、
1コマはやっぱりプロとして採用されてないんで、やっぱりその短いのむずいんですよね。
サラダ記念日とか、基本的なところに戻っちゃって申し訳ないんですけど、ああいうのってやっぱりサラダ食ってあって思うんですか?
いや、豚グラを言うとサラダではなかった。
サラダせんべいとか。
え?いやいや、サラダでさえなかった。
きっかけは、ボーイフレンドに鶏の唐揚げを作った時に、ちょっとカレー味にしてみたらすごく喜ばれて、その工夫を気がついてもらえて、喜んでもらって、今日記念日だなって思ったっていうのがそもそも。
なるほどな。
でもやっぱり唐揚げだとちょっとヘビーっていうか。
唐揚げ記念日だとあんなに売れないでしょうね。
歌にはちょっとしづらかったから、でもそのもともとの、こんなささやかなことでも喜んでもらえたら記念日って思っちゃうっていう、それってやっぱり行為ですし、思ったっていうことを歌にしたいっていうことから言葉探しが始まって。
じゃあちょっとヘビーだからサラダサブの、メインディッシュじゃないサブで記念日ってできたらよりいいかなとか。
で、サラダ記念日だったらじゃあ何月何日がいいかなって考えた時に、野菜が元気になる6月か7月か。
で、サラダのSと7月のSがまた響き合うからさわやかでいいじゃんみたいな。まあ音はすごく大事なのね、単価の場合。
で、7月、じゃあ何日しようかなって思った時、七夕だとちょっと月過ぎるというか、七夕でもバレンタインでもクリスマスでもない日を記念日って思えるのがいいわけだから。
で、1日前にしたってな感じでだんだんできてきます。
本当にすみません、100万回言ったであろうことをまた言わせてしまって。僕は本当に基本の気をわかってないんでね。
でもその最初の心の揺れっていうのは自分の感じたもので。
でも恋愛の歌が多いよね。
だからその恋愛の歌はでもまあぶっちゃけそのままでは出せないことがほとんど。今言ったように。
本当本当。だからその手を買い品を買い、ドレッシングに凝ったり盛り付けに凝ったり器を変えたりしてようやく人様に見てもらえるものにはなる。
そうですね、相手のこともあるしね。
そうそうそうそう。だから私の歌を見て全然違うやんって思ってる男性もいるでしょうし。
まあ中ではそのまんまやんけって思ってる人もいるかもしれないし。
それで言うと、子供の歌は刺身で出せるっていつも言ってるんですよ。
子供はもう素材としてすごくフレッシュで面白いから、そのまんまあまりごちゃごちゃしないで塩ぐらいかけてパッと出せばいいっていう感じかな。
私、子供の歌に関してはほぼ100%かわいい、大好きしか歌ってないから。
本当はもっとしんどいことの方が9割ぐらいあったけど、私基本歌にするときって、9割嫌なことあっても1割楽しいことあったらそっちを言葉で残したいって思う方なので。
だからね、ポップなんだよね。
だってほら、増野浩一くんってよく自分をひげするような単歌をよく読むじゃないですか。
あの人も恋愛の単歌多いけど、恨み節が多いもんね。
毎日のように手紙は来るけれど、あなた以外の人からである。
まさにね、光と影。
両方の人と僕はお付き合いがあるんだなと思いますけど。
基本私はそうですね、せっかく言葉にして残すんだったら、嬉しいことやプラスの感情を言葉にしておきたいって思うし、もちろんでも失恋の歌も作りますけれども。
でも表現してていいなと思うのは、失恋というマイナスの感情も単歌にするとプラスの作品としてのお土産となって帰ってくるっていう。
転んでもただで起きねえぞっていうことだよな。
絶対負けない人じゃないですか。
松尾さんはどんなして技曲っていうか書いてるのかしら。
僕もだから、技曲を書いて生きていく人になるなんてまず思ってなかったわけじゃないですか。
でも最初はモノマネですよ。
塚光平さんっぽいものを書いてみたりとか、完成はしないんですけど、こういう書き出し、野田さんこういう書き出し、からさんとか、そのなんか雰囲気だけ真似ていろいろ書いてみるんですけど。
でも一番技曲が自分に向いてるかもしれないって思ったのは、それで僕サラリーマン辞めて、イラスト描いてた時に同時に漫画家になりたいっていうんで、漫画ばっかり書いてたんですよね。
で、いろんな出版社に持ち込みやってたんですよ。
で、賞に応募もしたけど。
でもなんかいいとこ行くんだけど、掲載されるところまで行かなくて。
で、一番最後にガロっていう。
有名な漫画雑誌。
有名なマイナーな漫画雑誌。
そこに持ち込んだ時に、これ何、面白いんだけど何が言いたいのかわからないねって言われて、そういう雑誌じゃないの?ガロってって思って。
ガロに拒絶されたら終わりだなっていう。
そこで技曲っていうところに舵が切ったんですよね。
それ何でかっていうと、学生劇やった時に結構受けるんですよ。
僕の場合は板に乗せた時に笑いになるっていうのが基本で、最初は笑いばっかりやってましたね。
今でもほぼ。
笑いは大事にしてるよね。
ほぼほぼ笑いなんですけど、そこに、本当はね、純粋に笑いだけの舞台とかも初期の頃はやってて。
でもやっぱね、それだけで勝負してると、やっぱ芸人さんとかにはね、かなわないんですよね。
毎日板の上で短いもの出し物で磨かれて磨かれてっていう人たちには、僕らみたいに一生懸命稽古して、
1ヶ月半も稽古して、土日しか打てないぐらいのキャパシティでやると、経験値が詰めないというか。
そうなると、もう笑いだけだとね、持たなくなって、それでいろんな日頃影響を受けたりしたものとか見たものとか、それこそタワーさんの言う何かをふと見て立ち止まる的な。
僕の場合は、あの、淫算な事件とか、そういうものからピッとヒントを得たりもするんですけど、そういう不幸なことが笑いに変えられたらなぁとか思うんですよね。
大体松尾さんのお芝居は、その淫算だったり、人間の辛かったり嫌だったり、どうしようもなく醜いところとかをもうガンガン暴いていく。
だから、そこにでも笑いっていうかな、毒のあるものであっても笑いがあるっていうのが、すごいバランスがいいっていうか、救われる、見てて。それを笑ってしまう自分をもう一回見つめ直させられるっていうかな、そういう感じはすごくある。
だから笑いはとても大事ですよね、松尾さんにとって。
でもその、儀曲を書く、ピンとくる何かってあるわけ?その、命儀が流すだったら、やっぱりその8050みたいな、そういう社会的な。
8050もあるんですけど、母親が一昨年亡くなったんですけど、それまで8年か9年ぐらいかな。ずっと脳出血やっちゃって、ずっと福岡の病院でいたんですけど、
それを見ながら、母親と自分の関係をもう一度考えようかな、僕が結局母親を見ることになって、そうなったのは初めてのことなんで、キーパーソンって言うんですけどね。
その老人の、これからケアしていく中心人物みたいな?
前は姉がやってたんですけど、それでキーパーソンっていうのを引き受けた時に、その時ちょっと大人になったなと思いましたね、そういえば。
それは大人しかできないよ。
それでまあ、母親のこととか、行ってもね、することがないんですよ。
おしゃべりとかできないわけよね。
ないんですよ、ずっと寝てるから。
母親との、僕を生んだのはこの人なんだってことを延々考えるんですよね。
そういう中で、もし僕が演劇にもイラストとかにも出会ってなくて、
ただ酒大好きじゃないですか。ただ酒飲んだくれて、母親に抱かれ大人になってた可能性ってあるなぁとか思いながら。
なるほど。
だからパラレルワールドですよね。そういう世界観で描いてたんですけど。
なるほどね。そっかそっか、あの命ギガナガスに出てくる息子に、自分はあの人生を歩んだかもしれないっていう。
あの息子って、忘れたかもしれないですけど、イラストの専門学校に出たんですよね。
そっか。
それでドキュメンタリーの人が自分の地に来ると、その女の人の似顔絵を描くっていう。
だね、だね。そっか、そこに松尾鈴木の片鱗があったわけね。
そうなんですよね。
へー。
だからやっぱり単価もそうかもしれないですけど、僕の場合は自分が入っちゃうんですよね。
そっか。単価はもちろんほとんど自分ごとというか。
だけど、もちろんフィクションはあるんだけれども。
一番だから死儀局に近い。
あれはね。
本当にあの母親を骨にする時に焼却炉のスイッチを入れさせられたんですけど、入れますかって言われて。
幸せの心持ち
なんかやっぱりそこがメインのような気がして入れますって言ったんですけど。
あの気持ちって単価にできるんじゃないかなっていつか思ってますね。
幸せとは?
幸せ。
いや、そうね。一番最近は息子とカレー作った時かな。一緒に。
手軽に手に入りますね。
そういうささやかなことを幸せって感じられる心持ちこそが幸せのような気がする。
なんかすごく大きな幸せっていうものがあって、それを探しに行っても結局もっと大きいものがあるんじゃないかっていうふうに人は思ってしまうんじゃない。
その自分の手に入る幸せを本当に心から幸せと思える心持ちが幸せじゃないかな。
探し求めてる間って苦痛ですもんね。
僕もパッと思いつくのはサウナが昔から好きで。
サウナのこの水風呂との関係性がね、分かんないよね。
分かんない。私人生で一回ぐらいしか入ったことない。
あれはね、サウナに入るだけでダメなんですよ。
サウナに入った後にいい水風呂っていうのがあって、ものすごい冷たいんですけど、それに入った後に訪れる清涼館っていうのがあるんですよね。
その後に飲むビールのおいしさって半端ないんですよね。
そのためだけに静岡にいいサウナがあって。
静岡?
行ってサウナ入って、静岡の街にすごくいい老舗の居酒屋があって、そこ行ってビールあげる。最高って思えるようなことが幸せで。
それが最も具体的な幸せの形?
具体的なね。
もっと大きめなのになると、やっぱり幸せの中にアドレナリン、幸せってセロトニンだって言うじゃないですか。分泌される。
その満たされた感じ?
アドレナリンも入ってきちゃってるのに、気づかずに幸せだって思ってる瞬間ってあるような気がするんだよね。
例えば?
具体的な幸せの形
例えば芝居をやって、受けてるっていう時がすごい高揚感に包まれて。
でもその幸せって、自分が舞台見てると、客として見てると、わーってみんなでスタンディングオベーションしてる中で、
俺全然面白くないんだけどって思ってる自分がいるんだけど、周りが立ってるから感じ悪いって思われたくないんで、強制的に。
それは人の芝居でってこと?
そうそう。そこにすごい不幸せを感じるんですよね。
でも、わーって受けてても、そういう不幸せに包まれてる奴が何割かいると思うと、心がギュッとするんですよ。
複雑だな。めんどくさい。
めんどくさい男だよね。
だから自分がそういうことをするから、自分の芝居でみんながわーっと全員が立ってても、その中に1人や2人、周りに連れて立ってる奴がいるんじゃないかって考えるってこと?
そうそう。ひねくれたりとか。
でもほぼほぼみんな立ってるんだからいいよ。
でも俺は客としては不幸せだなと思いながら立って拍手してるんですよ。マスクがあっていい世の中だなみたいな。
そうかー。
でもね、物を作って発表するって、幸せと不幸せがコインの裏表みたいなとこないですか?
それはそうね。
なじられるっていう可能性も50%秘めてるわけだから。
だからそこに物を作るっていうことに関して言うと、俺らプロじゃないですか。
プロって幸せと不幸せがコインの裏表だなって感じるときはありますね。
もちろん田原さんの元で集まってみんなでワイワイ単歌をやっている資生の人たちっていうのは物を作ることがすごく幸せでいい幸せな人たちだと思うんですよ。
岡見さんも最近陶芸教室に行ってて、すごいいい器を作ってくるんですけど、この誰にも批評されない創作、すごい幸せだねって思います。
本当に自分が好きなことが仕事になっていることの幸せと不幸せは背中合わせよね。
でも僕、最近絵描いてるんですけど、初心に戻ってじゃないんですけど、コロナになってやることないときに久しぶりにアクリル画描いてみようと思って。
結構描き溜めてたら面白くなっちゃって。結構溜まったんで古典をやろうみたいなことになって、今毎日1枚ぐらい描いてるんですよ。
それがなかなか良くて、描いてるときにセロトニンなのかアドレナリンなのか分かんないものが出てるなぁと思うんですよね。
リビングで奥さんと酒飲みながらテレビとか見てるときでも、ふっとあの絵のあそこに白を置きたいって思う。
で、スーッと何も言わずに出てって、筆に絵の具つけて輪郭線のところにスッと白を置くときに幸せだなって思う。
なるほどね。だから一つあれだな、夢中になれるものがあるって幸せよね。理屈抜きに夢中になれるって。
なんかその創作的な陶芸とか単価とか絵とかもそうだし、あとほら今推し勝つとか言うけど、やっぱり好きな俳優さんとかにも理屈抜きに夢中になれる。
その夢中になれるものがある人生は幸せだと思う。
あとなんだろう、大きなことって俺言えないんですよね。あれかな、youtubeで犬と猫が仲良くしてる映像みたいなときかな。
なんと身近な可愛い幸せでしょう。
なんかね、幸せ転がってんなって思っちゃうんですよね。
でもそういう日常の中の小さな幸せに敏感でいられるっていうことはすごく幸せな状態だと思うよ。
松尾さん2回にわたりありがとうございました。
ありがとうございました。どうでした?
なかなかこんな大きな話っていうか、幸せとか大人とかっていう抽象的で大きなキーワードで会話するって今までなかったなと思ってすごく面白かった。
そうですね、あんまり漠然とした話ってしないですもんね。
そうそう、こういう機会でもないと聞けなかったなと思ったから、私としてはすごく楽しい時間でした。
作品論とかね、まず聞かなかったんで、なんで今まで聞かなかったんだって思いますけど、よかったです。
はい、じゃあまたぜひゆっくりお話したいです。
ありがとうございます。
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