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2021-03-19 06:39

【おはなし回】『フレデリック』

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Kon
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Host
『フレデリック』
出版:好学社
作・絵:レオ=レオニ
訳:谷川俊太郎

***

みんなが冬を越すために
一生懸命はたらいているのに
フレデリックはいつもぼーっと立ったまま

そして、長い長い冬がやってくると
フレデリックは…

***

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00:05
みなさん、おはようございます。
このゆるラジチアプップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに、朝のほんのひとときをお届けします。
はい、今日のお話は、【フレデリック】です。
出版・工学者・作・絵・レオニー
略、谷川俊太郎
それでは、お届けいたしますね。
フレデリック
ちょっと変わった野ネズミの話
牛がブラブラ歩いている
馬がパカパカ走ってる
そんな牧場に沿って古い石垣があった
苗にもサイロにもほど近い
その石垣の中、おしゃべり野ネズミの家
けれど、お百姓さんが引っ越してしまったので、
苗は傾き、サイロは空っぽ
その上、冬は近い
小さな野ネズミたちは、
とうもろこしと木の実と小麦とわらを集め始めた
みんな、昼も夜も働いた
ただ、フレデリックだけは別
フレデリック、どうして君は働かないの?
みんなは聞いた
こう見えたって働いているよ
と、フレデリック
寒くて暗い冬の日のために
僕はお日様の光を集めているんだ
そしてまた、フレデリックが座り込んで
牧場をじっと見つめていると
みんなは聞いた
今度は何してるんだい、フレデリック
フレデリックはあっさり答えた
色を集めてるのさ
冬は灰色だからね
またある日、フレデリックは半分眠ってるみたいだった
夢でも見てるのかい、フレデリック
みんなは少し腹を立てて尋ねた
違うよ、僕は言葉を集めてるんだ
冬は長いから話の種も尽きてしまうもの
冬が来て雪が降り始めた
5匹の小さな野ネズミたちは
石の間の隠れ家にこもった
はじめのうちは食べ物もたくさんあった
野ネズミたちはバカなキツネや
03:00
まぬけな猫の話をしあった
みんなぬくぬくと楽しかった
けれど少しずつ木の実や草の実は減っていった
わらもなくなった
とうもろこしも昔の夢
石垣の中は凍えそう
おしゃべりをする気にもなれない
その時みんなは思い出した
お日様の光や色や言葉について
フレデリックが言ったこと
君が集めたものは一体どうなったんだいフレデリック
みんなは尋ねた
目をつむってごらん
フレデリックは言った
君たちにお日様をあげよう
ほら感じるだろう
燃えるような金色の光
4匹の小さな野ネズミたちは
だんだんあったかくなってきた
これは魔法かな
色はフレデリック
待ちきれなくなってみんなはせがんだ
もう一度目をつむって
そしてフレデリックが青い朝顔や
黄色い麦の中の赤いケシや
のいちごの緑の葉っぱのことを話し出すと
みんなは心の中に塗り絵でもしたように
はっきりといろんな色を見るのだった
じゃあ言葉はフレデリック
フレデリックは咳払いして
ちょっと待ってから
舞台の上の俳優みたいにしゃべり始めた
3月に誰が氷を溶かすの
6月に誰が四つ葉のクローバーを育てるの
夕暮れに誰が空の明かりを消すの
誰が月のスイッチを入れるの
それは空に住んでる4匹の小さな野ネズミ
僕と君そっくりの
春ネズミ夕立ちを降らせる係
夏ネズミ花に色を塗る係
秋ネズミくるみと小麦の係
そして最後は冬ネズミ
小さな冷たい足してる
季節が四つでよかったね
一つ減ったらどうなることか
一つ増えたらどうなることか
終わるとみんな拍手喝采
驚いたなフレデリック
君って詩人じゃないか
フレデリックは赤くなってお辞儀をした
06:03
そして恥ずかしそうに言ったのだ
そういうわけさ
おしまい
いかがでしたでしょうか
このフレデリック
音声配信者みたいですね
言葉でみんなを想像させる冬のね
この閉塞感から色をつけるような
その描写がとても素敵だとそう感じました
それでは今日もお聞きくださりありがとうございました
こんでした
ではまた
06:39

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