2024-02-02 23:14

#31(中)手品の作り方(ゲスト:堀木智也さん)~手品をお金をかけずに楽しむ方法~

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※冒頭、前編、後編と言っていますが想定外で全3回になってますのでまだ続きます、

テーマ:手品をお金をかけずに楽しむ方法

お金をかけずに、と言っていますが少しずつかけることを許容していく中編になります

ついに堀木さんの「手品の作り方」に踏み込みます。

なお、「手品の作り方」のパートでは、聞き手のしゅうたが議論レベルの高さについていけなくなる瞬間があります(笑)精進します!


名著を買う/Erdnase "The Expert at the Card Table"/Royal Road to Card Magic/奇術入門シリーズ『コインマジック』/『基礎からはじめるコインマジック』/学んだら見せる/ショーを開催する/レパートリーの精査/コインマジックはコスパがよい/うるさい/銀貨は消耗品/コインを落とした音でなんのコインかわかる/サブスクに手を出そう/Enfilo(スペイン)/Sleight School (David Williamsonのサブスク)/ポン太 the Smith/Ryan Plunkett/John Carney/Derek Delgaudio/Delgaudioのショー "In and Of Itself"/手品の作り方/マジカルジェスチャー/Derren Brown "Absolute Magic"/自分が嫌いなものに自覚的になろう/大量のインプットによりアイデアの質が上がる/Helder Guimaraes "Reflections"/カーディシャンMO/堀木さんのDVD "Sprout(スプラウト)"/Tony Chang(ニューヨークのマジシャン)/解像度の上げ方・分析できるようになるには/最初に作るならパケットトリック/佐藤喜義/コインマトリクス、アセンブリ/コインスルーザテーブル 赤松洋一さんの分析『クラシック・マジック事典』

00:03
しゅうた
はい、ということで、今回はゲストをお呼びしている堀木智也さんと一緒のトークをやっておりますが、後編になります。
よろしくお願いします。
前編は前回の配信でなっているので、まだ聞いていない人はそっちを聞いてから、このエピソード後編を聞いてください。
ということで、前編の方では、限りなく無料でマジックを楽しむ方法を話しましたが、ちょっとずつお金をかけることを許容していきましょうか、そろそろね。
となると、まず何をしましょうかね。
堀木智也
まずは、コスパのいい本を買っていくということで、間違いのない本、つまり名著を買うというのが一番いいんじゃないかと思います。
とにかく、一冊を長く楽しめるというのと名著というのは、あとは同じ本を読んでいる人が多いはずなので、その人たちと知り合って読書会をしたりとか、
見せ合いをしたりとかしていくと、あまりお金をかけずに同じコンテンツでも違う楽しみ方ができるんじゃないかと思います。
これはシェーン・コバルト、この前来日したマジシャンの話なんですけれども、
マジックを彼が始めた頃に、アードネスの本を一緒に読んでいる友達がいて、一緒に互いに教え合いをしているという話を聞かせてくれたので、
そんな風に活用していただくと、いろんな楽しみ方ができるんじゃないかなと思います。
しゅうた
なるほど。やっぱりアードネスぐらいの名著であれば、いろんな人と実際に長年やっているような人も当然読んでいるし、
始めたばかりの人も多分情報として絶対に聞いてすぐアクセスできる素材なので、そこら辺を読んでやるというのは結構いいですよね。
そうですね。
でもこの名著の選び方が難しいですね。
堀木智也
難しいですね。玉石混交なので。やっぱりアードネスのThe Expert at the Card Tableとか、
ロイヤル・ロード(The Royal Road to Card Magic )とか、あとは現在だとCard Collegeとか、だいたい英語になってしまうのが申し訳ないところなんですけど、
日本語の本で1冊あげろって言われたら、やっぱり記述入門シリーズの『コインマジック』が。
しゅうた
二川先生の。
堀木智也
二川先生の。あれが結構マニアックなところから基礎まで全部カバーされているので、
あとは1冊ではないんですけど、それと『基礎から始めるコインマジック』というのを読んでいただくと、コインマジックが長く楽しめるんじゃないかなと思います。
しゅうた
なるほど。おすすめの本もありがとうございます。
そして名著をちょっと読んで練習し始めたら、あとはやっぱり見せていくって感じですかね。
堀木智也
そうですね。自分はマジック見せないイメージがおそらくいろんな方あると思うんですけど、実際正しいんですけど、
自分が大学時代は雑貨店で年に1回か2回とか手品させてもらう機会をいただいておりまして、そこでいろいろ手品を試したりとかっていうのはしていました。
ただ見せすぎるとどんどんお金とかもかかっていくので、適度に押さえるのが重要かなとは思うんですけども、
ショーを開催しておくと何らかのレパートリーの精査することとかにもつながっていくと思うので、いい刺激になるかなと思います。
しゅうた
そうですね。これは前提、まずアマチュアというかプロの方ではない前提でもちろん今日話しているんですけど、
自分もやっぱり大学時代に実は会員制のバーで定期的に演技させてもらっていたことがあって、
03:01
しゅうた
バーというのは別にマジックバーじゃなくて普通のバーなんですけれども、2、3ヶ月に1回ショーがやれて、これもサークルの仲間たちとそこでやってたりしているんですけど、
やっぱりめっちゃいい練習になるし、次何やろうかみたいな楽しみも。
2、3ヶ月練習して持っていくみたいな、いいペースメーカーにもなっていたので、めっちゃそういう機会いいですよね。
堀木智也
そうですね。今日もそういう機会をいただきありがとうございます。
しゅうた
確かに。本当に1時間半ひたすらやっていただいて。
堀木智也
普段は絶対人前に出せないような変な手順を今日はやることができたので。
しゅうた
いやいやよかったです。ありがとうございます。
堀木智也
ありがとうございました。
しゅうた
はい、ということで定期的にショーをやったりというのも当然大事な刺激になってくるわけですけれども、
あとじゃあ実際にどんなマジックをやる?お金がかかるマジックとお金がかからないマジックがあると思っていて、
もちろんデックとかコイン買ってひたすらそれを使うというのですけど、デック優先消耗品という中でやっぱりコインマジックですか?
堀木智也
そうですね。コインマジックお金がかからない。最初に5、6枚用意してしまえば、あとは無限に練習すればいいだけなので、コインマジックは非常にお勧めです。
コインマジックをやっておくと、例えばカップ&ボールをやりましょうとなったときに、
同じような技法を使いますので、その規定の部分を共有できるので、カードよりもコインのほうがゆたり潰しが効くと思います。
それはお勧めという。
しゅうた
確かに。
堀木智也
ただいろいろデメリットもありまして、まずうるさい。
しゅうた
うるさいチャリンと。
堀木智也
めちゃくちゃうるさいのと、あと結構床に傷がつくので。
しゅうた
そうですね、確かに。
堀木智也
あと注意が必要なのが、コインは実は結構高いので。
しゅうた
そうですね。いいコインは高いし、ギャフとか言っておけばいいですかね。
そうですね。
ギャフが欲しくなると高くなるし。
堀木智也
高くつくというのと、あとコインマジックに沼にズブズブ行くと、やっぱりいいコインが欲しくなって、レアなコインを求めたりとかするとどんどん高くなるというのと。
あとこれ意外とみんな忘れがちだと思うんですけど、銀貨って消耗品なんですよ。
そうなんですか。
どんどん使っているとコンディションが悪くなっていきますので、定期的に買い直さないといけないんですけど。
そうすると、年単位で見ると実は結構ランニングコスト高いんですけど、最初の数年無料で楽しむ分には全然大丈夫かなと思います。
しゅうた
なるほど。
でもやっぱりコインね、僕も大学サークル入ってた時に、大学サークルというか大学行った時に同じ大教室の授業で、後ろの方で明らかにハーフダラ音したやつがコインの音が聞こえて、しかもその音で今の1964年じゃねえみたいな。
今のニッケルかみたいな音がわかるみたいな。
で、あれで先生に怒られるみたいな。
よくある。
大学サークル、マジックサークルあるあるかもしれないですけど。
そうですね。
ありますよね。
堀木智也
僕聞いた話だとジャンボコイン落としたやつがいるっていう話を聞いてめちゃくちゃ笑いました。
しゅうた
それめっちゃおもろいな。鈍い音で。
鈍い。
だけど音はでかいですもんね。
でかい。
おもろい。
と言いつつやっぱりコインマジックってハードル高くないですか?
堀木智也
最初。
ちょっと難しいですね。
そもそもやっぱり手の形も違いますし、肌の乾燥具合とかも全然違うので。
06:03
堀木智也
そしてコインマジックの基礎と言われているものが、実際は単なるデビッドロスの癖みたいなものだったりするので、
全然それは基礎ではなくて、あるマジシャンが使っている技法に過ぎないというのが多々してあるので、
結構最初から難しいのがコインマジックの特徴というかデメリットの一つ。
しゅうた
確かに。
ただもしかすると安く済むかもしれないと。
そうですね。
今回そこが目的で喋っているのでメリットですと。
じゃあもうちょっとお金かけていくと。
コインはコインで高いのはありますけれども。
じゃあ月額定期的に払うぐらいのお金をかけていくとすると、やっぱり次はサブスクですかね。
堀木智也
そうですね。
今だと大体10ドルから15ドルぐらいでおそらく月額課金でいろいろ楽しめるのかなと思うんですけれども。
まず圧倒的コンテンツ量のエンフィロ、ダニダウルスのところが、
これはちょっとデメリットがスペイン語ができるならという条件がつくんですけれども、
それでもコンテンツの量が圧倒的で。
しゅうた
そうなんだ。見たことないな。
堀木智也
そうなんですよ。実はダニダウルスのところから出ているDVDとかが丸々配信されているので。
しゅうた
マジっすか。
堀木智也
時間だけあるのであればここが最強という。
しゅうた
そうなんですか。知らなかった。
堀木智也
そして多分あそこ算数できない人が中の人にいるので、一回登録数解除すると、
登録忘れてないみたいな感じでバカの悪いビジネスのクーポンが届くことがありますという感じですね。
しゅうた
なるほど。スペイン語ね。ちょっとそこがわからないかもしれない。
でも英語のもあるんですかね。
堀木智也
あります。字幕ついていたりすることはあるんですけど。
Dani DaOrtizのところで大体撮っているので、フランス人が英語を喋っているみたいな感じで。
ネイティブの英語ではなかったりすることが多いです。
しゅうた
逆にちょっと聞きやすいみたいなこともありますね。
そうですね。
他には何かいますか。
堀木智也
個人的におすすめなのがデビット・ウィリアムソンのサブスク。
しゅうた
これ知らなかったですね。ウィリアムソンやってるんだ。
堀木智也
そうなんですよ。Sleight Schoolという名前でやってまして、
今ちょっと僕入ってないのがあれなんですけど、
パンデミック中は火曜日か水曜日にZoomでテーマのセッションをしていたりとか。
あとインタビューがめちゃめちゃありまして。
日本人だとポンタ・ザ・スミスさんとか。
しゅうた
あ、受けてるんですね。
堀木智也
ベンさんが通訳して、ウィリアムさんがインタビューしたりとか。
あとはライアンプランケットというおしゃれなシカゴのマジシャンとかが出てたりします。
一番のお気に入りが、デビット・ウィリアムソンがジョン・カーニーとデレック・デルガウディオに初めて会った時のことを書いてる。
マジックの2人の天才についてみたいな感じなんですけど、めちゃくちゃ面白いので。
ちょっと短いんですけどすごくおすすめです。
しゅうた
ウィリアムソンとカーニーほぼ同世代ですよね。
堀木智也
そうですね。結構年近くて。
デレック・デルガウディオは自分が信じられない、絶対できないと思ってたことをやってるみたいな感じで。
彼は結局マジックに留まらずにパフォーミングアーツ側に結構行ったと思うんですけど。
その時の家庭の話もちょっと書いてる。
しゅうた
気になるな。実は私デルガウディオのIn and Of Itself 生で見に行ったんですよ。
09:02
堀木智也
超うらやましい。
しゅうた
あれめっちゃ衝撃で。完全に当時のデルガウディオのイメージが、それこそギャンブリングだったりとかカードのスライドのイメージでいったら。
正直それはショーのワンパートで。とんでもない、なんか頂上現象みたいなショーだったんで。
今はもうちょっと終わっちゃって見れないですけれども、あれはちょっと衝撃だったんで。
このインタビューあるならちょっと気になりますね。読んでみたいなと思いました。
あとは手順はちょっとお金かけ始めると明朝を買う、コインマジックをやる、サブスクやり始める。
サブスクで言うとシェーン・コバルトがね。
来てますよね。
で、シェーン・コバルトはあと最近、最近というか僕はだいぶ前から入ってますけど全然見れてなくて。
最近でも検索をすると特定のテクニックの解説とかを結構がっつりやってくれてたりして。
そうですね。
それが結構見ながら、昔のやつを見て、こんなやり方あるんだとか。
そうですね。
めっちゃクレジットとか詳しいじゃないですか。
堀木智也
はい。
しゅうた
それがすごい勉強になってますね。
面白いですよね。
あと超長いエッセイ買ってましたよね。
堀木智也
そうですね。僕エッセイ大好きでずっと楽しみにしてるんで、ちょっとこの前来たときにもっとエッセイ書けやって言っときました。
しゅうた
いいですね。
最近多分、まだ読んでないですけど靴とか書いてましたよね。
堀木智也
そうですね。だいぶ前にも書いてたやつの焼き直しなんですけど面白かったです。
しゅうた
なるほど。ありがとうございます。
これはよく言われる手品をあとは自分で作るという感じですかね。
堀木智也
はい。
しゅうた
ちなみに手品って、僕全然作れないんで、どうやって作ってるんだっていう感じなんですけども、
堀木さんいろんな創作をなさってるんで、せっかくならそこを聞けたらなと思うんですが。
堀木智也
説明するの難しいんですけど、まずどのレベルで作るかみたいな話になってくるんですけど、
それはちょっと一旦置いといて、自分の場合ですけど、あんまり文章を書くのとそんな変わらないっていうのが個人的な感覚で。
それをちょっとゴリゴリ言っておくと難しいので、もうちょっと具体的に言っていきますと、
自分は手品の作り方のパターンをどんどんたくさん作って、そのパターンに沿って大量にサンプルとして手順を作って、
その中から良さげなものを直感で残しているっていうのがずっとやってることです。
例えばマジカルジェッシャーを大量に作って用意できるパターン、見つけ方を見つけて、
そのマジカルジェッシャーが最も魅力的に見えるシークエンスは何なのかっていうのを自分の頭で考えて、
それに肉付けしていくような感じで。
マジカルジェッシャーってここでおっしゃってるのは、例えば指鳴らすとかそういうのってことですか。
あとは筆でコインに色をつけるみたいな。
しゅうた
なるほど、マジックが起きる瞬間を示す動作。
なるほど、そうすると筆で塗るやつだとカラーチェンジが起きたりだとかっていう。
それが一つの作り方ってことですね。
12:02
しゅうた
パターンを見つけたら大量にサンプルができると思うので、そこから頑張って手順を作っていくっていう感じですね。
取っ掛かりをまずは見つけて、それさえ、さっきおっしゃった作り方ですね。
フォーマットみたいなのを作ってしまえば、あとは一応組み合わせたりとか機械的に作っていくという感じですね。
堀木智也
あと自分は技法が大好きなので、普段から結構技法は練習してたりするんですけど、
使えない技法を大量に取得しておくと、こういう作り方を一個用意すると、それらが使える可能性が生まれて楽しい。
しゅうた
なるほど、使える可能性もそうだし、あの時の練習したあれ、これ使えるんじゃね?みたいな。
そうなんですよね。
なるほど、面白いですね。
堀木智也
そんな感じの作り方を僕はしております。
あとはパターンの話で言えば、例えば現象をゆっくり起こしているように見せるにはどうすればよいのかっていう問いみたいなものをまず。
それを達成している手順っておそらくマジックの歴史上いくつかあると思いますので、それを調査しまくってパターン分けをまたしていく。
例えばこの状態の時には実はこうなっているみたいな。いくつかのパターンを分けて、自分が好きな手順はいくつかあるんですけども、それに当てはめた時にゆっくり起こったらどうなるかっていうのをやっていくみたいな。
ああ、だから既存のプロットに対してその時持っている問いを当てはめると。
どうなるかっていうのを思考実験みたいな感じでゴリゴリやっていく。
しゅうた
面白いですね。既存のプロットの違和感みたいなものを解決していくんじゃなくて、問いがもうちょっと大冗談の問いが先にあって、そこにプロットを当てはめていく。
堀木智也
そうですね。
しゅうた
なんか不満なところを解決するんじゃなくて、これどうしたらいいんだろうっていうところから当てはめると。
そうですね。
堀木智也
ああ、面白い。
このやり方で手品を作ると面白いことがありまして、自分が作った手品によって既存のプロットの見え方が変わるんですよ。
ん?
要はその批評みたいな感じで。
はいはいはい。
自分の手品が例えばすごく現象がゆっくり見えるとしたら、元の現象は今までこれの現象の置き方が普通だけど、これは実はその現象の置き方として早かったんだっていうことに気づく。
ああ、確かに確かに。
そんな感じで自分の作った手品によって他の手品の見え方が変わる瞬間というのが、こういう問いを立てる作り方の面白いところかなっていう。
しゅうた
なるほど。
それってちなみに今日やったものだと、コイン貫通するやつですか。
堀木智也
ああ、そうです。
しゅうた
ああ、なるほど。
ちょっと具体的にはあまり言わないようにしますけれども、コイン貫通も貫通をゆっくり見せるっていう考え方だってことですね。
そうですね。
ああ、なるほどな。ただそれを考えたところで、あの手法にたどり着いているのが結構個人的にはすげえなと思いますけど。
そこはやっぱり時間をかけてやるしかないので、ただ方向性が明確なので、割とそんなに使える手法ってそういう方向性で手品を作ると多くないので、実はそんなに大変ではない。
でもその作り方とあれですね、問いの立て方が超重要ですね。
堀木智也
そうですね。
しゅうた
この問いによってはもう全く違う、さっき受ける印象が変わるっておっしゃったんですけど、本当に新しいプロットの誕生に近いものがあるかもしれないですね。
15:10
堀木智也
そうですね。いろいろ面白いやり方ができると思うんですけども。
しゅうた
確かに既存のものだと、それこそジョーカーがサンドイッチされるやつが一瞬でサンドイッチされるか、いわゆるプログレッシブって言われるようなゆっくりサンドイッチされていくみたいな差分がありますよね。
そうですね。
なるほど。
堀木智也
そこにバリエーションが生まれると手品の表現もっと幅が広がって楽しいんじゃないかなと自分は思っているので、まずその問いを見つけるというのが大切かなと思います。
しゅうた
そうですね。その問いの見つけるセンスが。やっぱりその問いに至るには大量にいろいろ学んだりアウトプットしたりっていうところが関係あると思うんですけども。
堀木智也
そうですね。まず大量にインプットしていくと自分の好みの傾向みたいなのがわかってくると思うので、そこから自分の好みを自覚して、例えば自分はあんまりカニバルカードって好きではないんですけど、
もしゆっくり消すことができたらとかそういう組み合わせがあると嫌いなマジックが好きになったりとかもいろいろありますので。
しゅうた
さっきの問いも、なんで嫌いなんだろう?もしこのマジックがこう変わったら好きになるのにっていうのがもしかしたらその問いの取っ掛かりかもしれないですね。
堀木智也
そうですね。おっしゃる通り。デレム・ブラウンのちょっとマニアックな話なんですけど。
しゅうた
基本99%くらいマニアックだね。
堀木智也
特にマニアック。Derren BrownのAbsolute Magicという大好きな本がありまして。
しゅうた
手に入らない。
堀木智也
1回渋谷のまんだらけに売ってたらしいんですけど。
7千円くらいで。それは置いておきまして。
彼がマジックのスタイルの作り方の話をしているときに、自分の好きなものっていうよりもまず自分がやりたくないことを決めていくのがいいんじゃないかみたいな提案をしていて。
確かに自分が好きなものを自覚するのって難しいですけど、これ嫌だなって思うことの方が記憶として残ってますし、自覚することが簡単だと思うので。
しゅうた
そういうところから嫌いによって自分の好きを、輪郭を見つけ出すみたいな感じのことがインプットしていくときに発生します。
面白いですね。人間消去法、いろいろオプションがある中でこれって決めるよりは消去法の方が得意、得意というか人間の特性として得意だったりしますもんね。
堀木智也
面白いな。
自分の場合なんですけど、インプットの量を爆発的に増やしたことで、明確に出る間の質が良くなった。
自覚がありまして、なんでかなっていうのを考えたときに、アイディアっていうのは思い浮かぶものだったりとかそうじゃなかったりいろいろあるんですけども、
手順に落とし込むときに、手順の特定の課題を解決するとなったときに、1個の課題に対して1アイディアだとあまりにもコスパが悪いというか問題が残りすぎてしまうので、
課題をまずピックアップというか抽出して、それを一手に解決するアイディアを求めるようになる。
しゅうた
おお、一手に。そんな夢のようなアイディアが出てくる可能性があるということですね。
18:00
堀木智也
そうですね。そのためには、自分の手順の課題を多面的に捉える必要があると思うんですけど、
その多面的に捉えるための視点を得るには、やっぱり大量にインプットをするというのがまず自分の中では大切だったということですね。
しゅうた
このインプットを大量にするというのを聞いて、基本的にはかなり論理的に解決しに行こうとしてますね。
そうですね。
こういった課題を問いに当てはめるときに、当てはまるものがないか、ある手法を当てはめて、ダメだったら次で、
でも多分これ惜しいのになってなったら、またそこからリサーチが始まっていくんですよね。
そうですね。
はあ、面白いな。
堀木智也
自分が影響を強く受けた本の一つとして、ヘルダー・ギマレスのリフレクション。
あれのカードアクロスのところで、カードアクロスの構造を図式化していくというのがあったと思うんですけど、
あれを大学生のときに受けて衝撃を受けまして、
それで当時仲良かったMOさんというカードマン、カーディシャンの方がいらっしゃって、
彼がパケットトリックの面構成をするのが異様に早かったんですよ。
その作り方を、自分はコインマジックに転用できると思ったんですよ。
コインマトリックスは、カードを置くときとカードをめくるときに技法のタイミングが2回あると。
それを全パターン試して、最もマジシャンにとってクリーンに見えるタイミングがどれかというのを探って、
作ったのがスプラウトのマトリックスだったんです。
しゅうた
めちゃくちゃ論理的ですね。
堀木智也
結構あれは論理的に作った方だと思います。
しゅうた
面白いし、ちょっと今聞きながら、めっちゃレベル高いんで、
私は聞き手としてちょっとふさわしくないんじゃないかとすら思い始めたんですけど、
リフレクション図は読んだんですけど、日本語にもなってますよね。
そこまでの感動とそこからの思考に至らなかった。
自分を今恥じながら聞きましたけど。
でもすごいですね、やっぱりマトリックスのその瞬間2回あるから、
いずれかとか両方なのかとか、使えるところを全部モーラ的に試していくっていうのがめちゃくちゃ論理的ですね。
面白いなあ。
堀木智也
面白いなんてしか言ってないんですけど、すごい興味深いです。
あとは、それで大体大枠が出来上がると思うんですけど、
あとは細かい部分の調整、フィックスみたいなのは、
自分よりも年上の経験のあるマジシャンに見せて、
アイデアをもらう方がいい感じになると自分は思っていたので、
細かいところを延々と直すというよりも、まず大枠を作ってしまって、
後でどんどん調整していくみたいな方が自分のスタイルに合ってたのかなと思います。
とりあえず細かい部分の調整は詳しいやつに聞くのが一番だと今でも思っています。
しゅうた
例えば一番上手いなと思ったのがトニーちゃん。
堀木智也
ニューヨークに行った時に自分のコインズ・アクロスとかいろんな手順を見てもらったんですけど、
彼のアドバイスが一番的確でした。
まずは技法のフィックス、細かい筋肉の動きから始まって、
もしそれがダメだったら手順に戻ってタイミングを技法をずらしてカバーできないか。
すごすぎるな。
それが無理だったらコンセプトごと直したりとか、
細かい部分からどんどん直してくれたりするのですごく楽しかったですね。
しゅうた
トニーちゃんも堀木さんもそうだと思うんですけど、
21:03
しゅうた
この言葉が正しいか分からないですけど、解像度が高いですね。
堀木智也
そうかもしれない。
しゅうた
トリックを見て筋肉をここ直せとか、手順をここ直せって言えるって、
そこまで分解できてるわけじゃないですか。
分析っていうのかな。
それはどうやって身につけるんですか。
堀木智也
自分の場合は、さっきオフの時間でお話ししたんですけど、
野球やってた時にケガをしまして、
それでリハビリの時に理学療法の人とかに習ったりとか、
あと自分前の職場が病院だったので、
整形外科医の先生にちょっと話を聞いたりとかしたこともありました。
しゅうた
体の使い方はそういうところで。
堀木智也
そうですね。
しゅうた
インプットというか経験があって、
そういう分析の切り口を持ってるってことですね。
はあ、面白いな。
堀木智也
最初に作るのがオススメっていうのがありまして。
しゅうた
確かに。じゃあいざ作ろうってなった時に。
堀木智也
さっきもちょっと組み合わせみたいな話が出ると思うんですけど、
技法の組み合わせでできるものっていうのは、
自分でパターンたくさん試しやすいのでオススメです。
カードだったらパケットトリック。
しゅうた
確かに。
自分もパケットトリック昔作ったことがあって、
パズルみたいな感覚で作れた記憶がありますね。
そうですね。
堀木智也
佐藤喜義さんの本とか読みながら、
自分だったらこの技法合わないからこうするみたいな、
入れ替えからまず始めるのがいいんじゃないかなと思います。
コインはやっぱりマトリックスアセンブリ系が作りやすい。
しゅうた
そうなんですね。
その印象全くないけど。
堀木智也
あともう一つがコインスルーザテーブルですね。
赤松洋一さんがクラシックマジック時点で
コインスルーザテーブルの技法を分類して、
いつその技法をやることによって
誰の手順になるかみたいな分析をしている。
すごい。
松田道弘さんのクラシックマジック。
ありますね。
あれに乗ってるんですけども、
あれを見ていただくのがまずそのトリックの
構成の一助になるんじゃないかなと思います。
なるほどな。
しゅうた
いやいやちょっとめっちゃ。
大丈夫ですかこんな話。
無料で聞かせてもらってくらいの。
堀木智也
めっちゃおもろいな。
触りの話なので。
しゅうた
いやいやすごい面白いです。
ちょっと今いいところで区切れそうなので
一旦ここでまた区切って
前編後編で終わるつもりだったんですけど
もう一本最後話を聞いて終わりたいと思います。
それではまた次回お会いしましょう。
23:14

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