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気になる特殊職業の世界。初めまして、今回からこの番組のパーソナリティを務めます、竹村由紀子です。
この番組では、普段身近に、なかなか会うことのできない職業の方にスポットライトを当てていきます。
今回は、犬の散歩で大金を稼ぐ、ニューヨークでそんな夢のような仕事をしている、ジェンさんにお話を伺いました。
1日に10頭くらいの犬を散歩させています。
大概のクライアントは、自分が働いている日中に、自分の犬を散歩させて欲しいと思っているので、
午前11時から午後3時くらいの間に行って、近所を犬と歩きます。
1回に連れて歩く犬は、多くても3頭くらい。ニューヨークの犬の散歩屋は、一度にたくさんの犬を連れて歩くことが多いけど、
私は逃げ出した時とか、何かあった時にちゃんと対応できるように、多くは散歩させないの。
私のクライアントは、ペットを自分の子供のように思っている人が多いから、私もまるでベビーシッターみたいに、最新の注意を払って相手をしているの。
私の価格設定は、30分の散歩につき、2500円から3000円くらい。
安い人だと1500円くらいの人もいるから、それよりはちょっと高いかな。
クライアントによっては、時給1万円以上もくれた人がいて、びっくりしたこともあるけど、高収入な人にとっては、安心して任せられる相手がいるっていうことに、価値を見出しているんだと思う。
今はコロナで状況が少し変わったけど、毎年だいたい年収は900万円前後をキープしているわ。
日本でもペットホテルが犬の散歩の代行サービスをやっていたり、犬の散歩屋さんという仕事が全くないわけではありませんけど、まだまだ少数派ですよね。
ただアメリカでは、犬の散歩屋さんは60年以上の歴史がある結構メジャーな職業なんです。
1960年代初頭にジム・バックさんが脱サラして、ニューヨーク有数のお金持ちエリア、アッパーイーストサイドでビジネスをスタートしたのが始まりと言われていて、犬の散歩屋さんになるためのスクールまで設立し、
最盛期には20人以上のアシスタントを抱えて、手分けして1日に150頭もの犬を散歩したこともあるんだそうです。
ジムさんは映画俳優みたいな調子のイケメンで、雨の日も雪の日も一度に5頭以上の犬を連れてセントラルパークを散歩する姿は、81歳で亡くなるまで多くのニューヨーカーに愛されていたそうですよ。
雨の日はともかくニューヨークは冬-15度になる日もあって、吹雪の中はなかなか犬の散歩なんてできないという人も多いと思いますから、当時から犬の散歩屋さんという職業に需要があるのも納得です。
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ジムさんがビジネスを大成功させ、スクールで多くのプロの散歩屋さんを育成したことで、犬の散歩屋さんというと一度に多くの犬をリードを引いて歩いているイメージが定着しました。
ただ、時代は変わり、今回お話を伺ったジェンさんは一度に3頭までで、逃げたり危険なことがあったりしないように最新の注意を払っているそうです。
まるでベビーシッターのように、よりきめ細やかなサービスが求められているんですね。
ペットを巡る環境も市場規模も、1960年と現在では様変わりしています。
アメリカの労働省の統計によると、1960年のペットビジネスの市場規模は、現在の貨幣価値に換算するとおよそ970億円でしたが、2020年は10兆円規模となり、当時の100倍以上に市場規模が成長しています。
私もペットを飼っているんですが、仕事が忙しくて十分に遊んであげていられないなって思っている時は、罪悪感を感じてしまうこともあります。
ジェンさんみたいな人が近くにいたら、出張の時とかペットホテルよりも安心してまかせることができるのに。
そう考えると犬の飼い主としても嬉しいし、1日10頭の犬を散歩させて年収900万円ということで、ジェンさんも楽しいし、両方ウィンウィンな関係ですよね。
職業として犬の散歩屋さんっていうのは皆さんどうですか?やりたくなりませんか?
これを聞いている方の中にワンちゃんを飼っている方もいるかもしれませんが、そんな皆さんが日々やっていることの延長線上に大金を手にするチャンスがあるかもしれません。
ジェンさんも初めはまさか犬の散歩屋さんになるなんて思っていなかったみたいですよ。
もともと医者の道を目指していて、研修で死体の解剖をしていた時、人生は短いのにもっと楽しいことを追求しなくていいのだろうかと思っちゃって、もっと日々幸せを感じたいなって方向転換をして犬の散歩屋さんになったの。
結局、医者の道に戻らなかったので、親は今でも少し心配しているんだけど。
クライアントが出張や旅行で家を開ける時は、相手の家に泊まって犬の面倒を見てあげているの。
忙しい人は出張も多いから、連日誰かの家に泊まって犬と留守番していて、コロナの前は自分の家を借りる必要がないくらいだったわ。
素敵な高級マンションを泊まり歩いて、その家のそばの行ったことがない場所を犬と探検して、そんな毎日が楽しくて大好き。
昔、よく冗談で、誰か、ただで高級マンションに住んでいいよ。うちの犬とテレビを見てくれたらお金をあげるよとか言ってくれたらいいのにって冗談言ってたら、それが現実になったの。
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私の仕事では何もニュースがないのが一番いいニュースで、退屈な家が私にとってもペットにとっても最高な環境なの。
それだけリラックスしていつも通り過ごせてるってことだから、犬とテレビを見たり普通にしてお金がもらえるのよ。
犬の散歩をして年収900万円というだけでもう羨ましいなぁとため息があもれてしまいますが、さらに高級マンションを泊まり歩いてテレビを見てお金がもらえるなんて。
満員電車に毎日揺られて通勤している私の現実とはかけ離れていて、もはや映画のようだなぁなんて思ってしまいます。
まさに夢の仕事ですよね。
もちろん仕事の価値はお金で測ることはできませんが、もしかしたらお医者さんになるより高収入なのかもしれませんよね。
そしてジェンさんが何より重視したのが、死を目の当たりにするよりも自分の好きな動物と毎日笑って過ごしたいという心からの願い。
仕事をしているとたとえ好きで選んだ職業を狙っても、責任が増せば増すほどプレッシャーが増えたり、人間関係が難しくなったりとか、いろんなストレスがありますよね。
多くの人がストレスのない環境を望みつつも、安定を捨てずに、まあこんなもんかなぁなんて耐えていると思うんですが、ジェンさんがすごいのは、食べていける保障がなくてもストレスフリーになりたい。
私は動物と散歩している瞬間が一番幸せと、それまでのお医者さんとしての安定した未来を手放して、自分に正直になったところではないでしょうか。
なかなか怖くてできることじゃないかなぁなんて思います。
しかもそれで食べていけるどころか、年収900万円以上なんてすごいなぁって思ってしまいます。
犬の散歩屋さんとして成功する極意はどんなところにあるんでしょうか。
犬の散歩屋というと誰でもできるし、それこそ高校生がバイトで引き受けることもあるので、適当にいい加減にできる仕事の代名詞のように思われていて、実際にちゃんと散歩をさせていなかったり、ちゃんと約束を守らない人も多かったの。
でも一番大切なのはクライアントの信頼だから、プロとしての自信が相手に伝わるように時間通りにきちんと来て、時間通りに安全に散歩をさせることが最優先ね。
信頼を築くためにSNSで存在感を示すのもおすすめ。
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自分の犬が楽しく過ごしている写真を見れば飼い主は安心するし、私に仕事を頼んでよかったって思うでしょ。
それに一度も会ったことがない人だって、そんな写真を見たら親近感が湧いて、いつか仕事を頼みたいって思う人もいると思う。
誰だって可愛い動物の写真は好きだから、何はなくてもやるべきね。
私の場合は医者の資格があるから、ネットで調べれば経歴がわかるし、信頼を得やすいっていうのもあるけど、
それだけじゃなくて、今はローバーとかバグっていう、ウーバーイーツみたいに近くの犬の散歩屋を探せるアプリがあるから、
そこにいい評判がたくさん載っていれば、みんな安心して仕事を任せてくれると思う。
これまでのクライアントが800以上の素晴らしい口コミを載せてくれたから、新しいクライアントもそれを読んで依頼してくることが多いの。
私みたいなフリーランスだと、企業のように広告でいっぱいお金を使ったりはできないから、アプリが私の宣伝をしてくれるのは本当に助かる。
アプリ経由で仕事をすることで、2割から4割くらいの手数料を取られるんだけど、それを考えても、ただで宣伝をしてくれるって大きいわ。
日本にはまだ近所の犬の散歩屋さんを探せるアプリは上陸していませんが、
アメリカではローバーとかワグなど人気のアプリが続々と登場していて、ヨーロッパにも進出しているんです。
ジェンさんのお話の中でも、ウーバーイーツみたいにレビューを読んで近くの犬の散歩屋さんを簡単に見つけることができるアプリはとても人気で、
中でもこうしたアプリの先駆けとなったローバーは、世界14,000都市で20万人の犬の散歩屋さんが登録しているそうです。
こうしたアプリやSNSで自分を売り込んで、まるで夢のような生活をしているジェンさん。成功の仕方がとっても今っぽいですよね。
ジェンさんのインスタを見ていると、かわいい動物のくつろいで様子がいっぱい載っているんです。
笑っているワンちゃん、遊んでもらっているネコちゃん、雪の中を走っているワンちゃんもいるんですよ。
これを見たら、この子たちの飼い主さんも安心するだろうなぁって思います。
依頼するクライアントにとっても気兼ねなく仕事に集中できて、ペットも楽しめていいことづくめだなぁと思いました。
時代を経て、ペットが子供のように大切にされる存在になったことも、ジェンさんの成功を後押ししていますよね。
私が子供の頃はお母さんの仕事って自分でやるのが当たり前で、ベビーシッターとか家事の代行サービスとか、そういうのを気軽に頼める雰囲気ってなかった気がします。
お金を払ってお手伝いを頼むのは本当のお金持ちがすることで、お母さんたちも誰かに頼むこと自体に罪悪感を感じてしまうような、そういうイメージがあったと思うんですよね。
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ただ今は、お掃除とか、週末のお料理の作り置きとか、子供のお稽古ごとの送り迎えとか、手頃な価格でアプリで簡単に頼めるサービスがいっぱいあって、利用する方も罪悪感なく手軽にお手伝いを頼めるようになってきた気がします。
私の周りでも、ベビーシッターを頼んでまでやりたいことなんてないと思っていたけど、短時間でも頼んで自分の時間が持てたことで気持ちのゆとりが全然違うんだよねって言って、アプリでベビーシッターのサービスを利用している友達が結構います。
2020年4月に総務省が発表したデータによると、日本の中学生以下の子供の数はおよそ1512万人で、犬や猫の飼育等数は推定およそ1857万5千匹ということで、今はペットの数の方が子供の数よりも多くなっています。
ベビーシッターを探すアプリ以上に、近い将来犬の散歩屋さんを探すアプリの方が人気が出るかもしれませんよね。
日本でも年収900万円の犬の散歩屋さんは果たして誕生するんでしょうか。
これを聞いてチャレンジしようかなーなんて思っている方がいたら、私も嬉しいなと思います。
隙間時間のアルバイトとかね、私もしてみたいなーなんてちょっと思っちゃいました。
さあ、今回ジェンさんにお話を色々と伺ってきましたが、彼女の魅力って本当にシンプルで、時間通りに行って誠実にペットの面倒を見る。
トラブルが起きないように一度に2,3頭だけ散歩させて、そのペットに集中する。
相場1500円の時給のところ2500円って設定しているけれど、極端に高い金額に変えたりしないし、
まあ泊り込みでも一晩中時給を請求する人だっているけど、彼女はそういうことはしなくて、
一晩5000円とか、無理なく継続できる良心的な価格設定をする信頼関係を一番に考えるとか、すごく顧客ファーストなんですよね。
特別なことじゃなくて、もうベーシックなことをきちんとやるっていうところがすごい印象的でした。
普通のことを誠実にして大金を稼ぐなんて本当にすごいなぁと、
ニューヨークで夢のような日常をしているジェンさんのお話を聞いて、
なんか素敵な絵がとっても頭にいっぱい浮かんで、素敵な日常を垣間見ました。
ジェンさん本当にありがとうございました。
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気になる特殊職業の世界、次回もお楽しみに。
お相手は竹村ゆき子でした。
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