例えば30%以上取ることはあまりないんですけど、20%とかっていうのは全然あるっていうところですよね。
聞こえてないんで全く同じこと言うかもしれないんですけど、長い目で見ると、VCはコモディティ化との戦いをずっとやってるなと思っていて、
70年代くらいにアメリカで始まった時は、そもそもこのリスクキャピタルってもの自体がなかなかない時代なので、
投資家側が厳しいタームを入れたりだとか、そもそもこのスタートアップエコシステムというもの自体があまり発達してないから、
どうやったらスタートアップを大きくしたらいいかもわからないみたいな中で、ベストプラクティスとかノウハウとかを持っているVCが割と指導するみたいな感じで入っていってたと思うんですけど、
そこから50年経って圧倒的にそこが変わってきていると思っていて、リスクマネー自体は完全にコモディティですと、
お金自体はあっちこっちあるし、多分経済全体に占めるスタートアップ投資比率とかっていうのもすごい増えてきていますみたいな中で、
じゃあそのVCとしてどうやって差別化していくのみたいなのが、過去多分ドットコンバブル、特にはじけてから20年くらいすごく起きていることかなと思ってまして、
まず最初はそこって投資できる金額を増やしていくみたいな感じで、ファンドの規模が大きくなったり、グロースキャピタルみたいなのが出てきたり、
あとアンドリー・センが始めたようなプラットフォームチームみたいなのが出てきたり、最近の多分これから触れるかもしれないですけど、
それすらもうみんなコモディティになってきているんで、じゃあ次はなんだ、次はなんだみたいな感じで、
多分今後も今割と最先端と言われているものが数年後には多分コモディティになっているんだろうなみたいな、ずっとそのコモディティ化との戦いをやっている感じがします。
これって一部のマーケティングの一種と近しいものだと思ってまして、マーケティングって大体誰かがやるとみんなコピーし出すので、
それでコモディティ化して次のステップに行くっていう、その続きがあるかなと思うんですけど、
じゃあ今日に関してはプラットフォーム化とかグローバライズとか、いろんなパターンで、
あとメディアファンドとかいろんなパターンの、よく言われる次世代VCみたいなパターンがあると思うんですけど、
じゃあどこから行きましょうか、プラットフォームからいっちゃいますか。
じゃあプラットフォームに関しては、ファーストラウンド、キャピタルとかアンドリュース・ホロウィッツが割と普及させた手法ではあるんですけど、
より大きなチームを抱えてベンチャーキャピタリストだけではなく、採用でしたりマーケティングでしたり、
いろんな面で投資先に対してバリュー提供をするという、そういう体で一応チームを組んでいるVCさんが増えていますと。
一応このプラクティス自体はここ10年間でかなり増えましたと。
その中で今後のことを考えますと、そのプラットフォームのサイズってどんどん大きくなるのか、
それとも同じぐらいになるのか、それとも縮小するのかというと、どんな感じでこれから変わってくると思います。
僕は各ファンドのメニューがより厳選化されていくって感じだと思っていて、
実はアメリカでプラットフォームチームサミットっていうのがあって、こういうカンファレンスのプラットフォームチーム向け版、
プラットフォームチームって今鉄郎さんが言ってたみたいなVC組織に所属していて、
投資ではなくて投資先の支援をする人材採用とかビジネスディベロッパーとかマーケティングとか、
このファンクションプラットフォームチームって呼ぶんですけど、
そういう人たちを集めたカンファレンスってのがあるんですね。
僕5年ぐらい前に初めて行ったときはニューヨークで100人150人ぐらいしか来てなかったんだけど、
1、2ヶ月前に行ったときは800人とか1000人ぐらい来てるぐらい、それだけたくさんプラットフォームチームの人たちがいますと。
なんだけど彼らと話してると、各ファンドやっぱり自分たちが強みとするものをより専用化させていこうっていうのがあって、
人材とか例えばあると、スタートアップからすると何社かから投資を受けていて、
全員人材採用を手伝いますみたいなよりも、
うちは人材採用をやらないけどマーケティングを手伝いますとか、ビジネスディベロップを手伝いますとか、
いろんなファンクションを持っているVCに投資してほしいって思うはずなので、
そういう意味ではVCは自分たちのファンドはタレントに特化するとか、
マーケティングに特化するとか、
そういう特化型プラットフォームチームみたいなものになっていくのかなとは思っています。
それこそ最近ですと、もしかしてAIファンドみたいなのが出てきた中だと、
実際GPUをVC側が自らかき集めて、
そのクラスターをスタートアップに提供するみたいな、
そこもスペシャライズしたファンドっていうのも出てきてますよね。
それですごい面白いファンドにこの前出会って、
トロントにあるラディカルベンチャーズっていう名前のAI特化型ファンドなんですけど、
これまだできて5年ぐらいなんですけど、
AI領域だとかなり名前が知られている、
トップティアな会社にもすごい投資しているようなファンドで、
ここはジェフリーヒントンとかディープラーニングの父と言われた人をアドバイザーとして迎えられたりだとか、
あとAI研究者がいっぱいパートナーとして所属しています。
ここのプラットフォームチームの一つの支援が、
今鉄郎さん言ったみたいな、
GPUを使わせてあげるみたいな、
これはAWSとかGoogleクラウドプラットフォームとかAzureとかそういうところと提携して、
自分たちの投資先には優先的に、しかも安くそこのアクセスを提供するとか、
そういうそこに特化したファンドみたいなのが出てきてますね。
そこは結構伸びているらしい。
一方で、そもそもプラットフォームチームが本当に役に立つのかっていう議論も結構出たりすると思うんですけど、
そこら辺についてはどうなんですかね。
そうですね、僕とエメル君は多分違うスタイルで、
VCって大きく二つのスタイルに分けることができて、
一つはプラットフォームって言って人数を増やして、
マーケティングやります、採用やります、こんなことできますって言って、
何十人とチームを膨らませていくっていうスタイル。
もう一個の伝統的なスタイルっていうのは、
多分僕らはそういうスタイルで、
うちは例えば日本チームは3人で採用したいんですけど、
今のところ3人で、4人とか5人とかで、要は少数制のスタイル。
前者のプラットフォームはさっき言ったAndreessenみたいな人たちで、
後者の伝統的なスタイルはベンチマークとか、
ベンチマークってUberにも投資してたしSnapにも投資してるところで、
彼らは5人だけみたいな。
どっちも正しいんだと思うんですよね。
どっちも正しいけど、
どっちを選ぶかは自分たちの哲学とスタイル次第で、
ただ一つ、さっきサイクロの話しましたけど、
金融とかっていうのはどうしてもマクロのサイクルに影響を受けるので、
このプラットフォームの流行りっていうのもサイクルによって変わると。
だから僕らみたいなVCがファンドレイズしやすくなったら、
要はファンドサイズが上がりますと。
ファンドサイズが上がるから、
マネジメントフィーっていうポーションが増えるから、
人がいっぱい採用できるようになるし、
いっぱいVCも増えてきて、
差別化難しい、やばいみたいな。
あそこマーケティングチーム作った、うちも作ろうとか、
あそこ採用のスペシャリスト雇ったから、うちも雇おうって言って、
プラットフォームの人は増えるんですよ。
で、いい時に。
ただこのサイクルは絶対こうなるんで、
その時にはファンドが小さくなったりすると、
じゃあ人を雇えないって言っていなくなるし、
そういうプラットフォームの流行りっていうのは、
むしろVCのサイクルの中で一番顕著に現れるんだと思うんですよね。
ファンドサイズに応じて。
VCのマクロのサイクルっていうことは、
VCの競争環境にも関わるっていうことですね。
で、プラットフォームって、
マーケティングのメッセージが極めて強くて、
やっぱり言いやすいじゃないですか。
うちこんなのやってますよみたいな。
僕らはこういうことに強みがあって、
あなたに最高の投資パートナーになりますって、
いまいちよくわからないけど、
何やってますはもうウェブサイトでわかるみたいな。
っていうのがあるんで、
プラットフォームにお金があるときは流れがちっていうのもあると思うんですよね。
その中で多分一つ代表的な、
プラットフォームのもっと特殊版っていうと、
メディアに特化した、
メディアからスタートしたようなファンドですよね。
なんで、20VCのハリー・ステビングさんとかが、
これを多分すごい普及させたモデルだと思うんですけど、
なんかVCって、ここにも進化論って書いてあるけど、進化したがりがちなんですよ。
別に全てのプロフェッションって進化しないかもしれないし、
伝統的なスタイルが正しいかもしれないし、
投資って特殊で意思決定の仕方が事業会社だとかスタートアップをやってるオペレーションとはだいぶ違うんだと思うんですよね。
毎日何かしなくてもいいからっていう意味で。
ただそういうプラットフォームをやったりとかメディアをやったりすると、
どうしてもKPIを追いたくなるし、これだけビュー取れたな今週はみたいなっていうのがあるから、
思考回路としての両立がすごく難しいんだろうなって思う。
なんか進化したくなるはその通りで、
それは多分競争環境にさらされて差別化していかなきゃいけないから。
一方でコアなモデル自体は全然進化してないなっていうのもあるじゃないですか。
70年代から基本的には10年ファンドで、
あと220って言われるマネフィーニパーキャリー20パーっていうモデルも変わってないし、
結構これは自分でもやってて不思議というか、
なんでこの投資対象とか金額とかいろんなものが変わってるのに、
このモデルは変わらないのかなっていう。
その辺って変わってきた新しいタイプのモデルとかって出てきてるんですか?
そんなに正直出てなくて、
唯一言うともう少しインキュベーション型とかベンチャースタジオモデルとか、
いわゆるVC自らが企業に入って、
そうするとより高いパーセンテージを取れたりとか、
でもVCの終わりのビジネスモデル自体は基本的に変わってないですし、
そもそもキャリーっていう言葉自体も鯨を狩りに行く時からあったものだったので、
19世紀とかですよね。
19世紀とかからあるので、
そこはもう数十年どころか数百年変わってないっていうところですよね。
一方でいろんな形でVCたちは新しい領域に入ろうとしてたりする中で、
一つオプションとして必ず出てくるのが海外展開ですよね。
それこそ日本ですとアメリカ、
日本ですと東南アジアとかもありますし、
最近ですとアメリカのジェネラルキャリストがインドのVCを合併して、
事実上買収ですよね。
彼らがそこでインド展開をより強化するみたいな、
そういうグローバライズする動きって今後どんどん増えていくのか、
それとも、そもそもDCM Venturesも3拠点でやってるわけなので、
それの大変さとか苦労する部分ってめちゃくちゃあると思うんですけど、
でも逆にすごいベネフィットするところもあったりすると思うので、
そこのプロコンとかって何か説明とかできますかね。
僕らはDCM Venturesっていうのはシリコンバレーのメンローパークっていうところに拠点があって、
メンローパークっていうのは本当に伝統的なVCがみんな集まってるちっちゃい街で、
サンドヒルロードっていう道があるんですけど、
そこがいわばVCのウォールストリートみたいな感じで、
セコイアがあってアンドリッセンがあって、ちょっと向かい合ってるんですけど、
それでクライナーがあって、グレイロックがあって、
うちがあって、30社くらい同じ道にあるんですよ。
そこに僕らの拠点があって、中国の北京にオフィスがあって、東京にオフィスがあるっていう中で、
グローバルにやることの良さからスタートすると、
やっぱり他の国でどういうことが流行ってるとか、こういうモデルがあるんだっていうのはわかるから、
これ日本でできるねっていうのは正直ある。
例えば僕らのケースだと、リンクエルっていう遠隔診療で、
クリニックフォアっていうのを運営してるんですけど、
ピル売ったりとか、AGAの薬売ったりしてる会社、間接的に。
そこは僕らがアメリカでヒムズっていう会社に投資をしてて、
あれ、これ一緒じゃないんだみたいな。
日本でもみんなそういうふうにやっぱりハゲたくないとか思うし、痩せたいって思うし、
そういうクリニックで待ちたくないっていう人間の基本的なデマンドとしては一緒だから、
じゃあ日本でもいけるねっていうヒントはいっぱい転がってるっていうのが良さの一つで。
難しさっていうのがすごくいっぱいあるんですよ。
難しさはわからない。他の国のことは極論。絶対にわからないと思うんですよね。
例えば僕ら日本にいて、日本のファウンダーと会ったら、
この人新卒リクルートなんだみたいな。わかるじゃないですか。
新卒中国企業言われても、つまりどういう人なんだろうとか、
なんでその人の人となりを理解するのに、2ステップ3ステップ必要になるんですよね、
企業家の理解も。言葉ももちろん英語で通じるとしても、やっぱり微妙なニュアンスとかっていうのは
本当に僕ら人を見る仕事なんで、難易度は明らかに高い。
僕らは同様に、このモデルいけるよねっていうのって、
そこで暮らしたことがあって、
たぶんここでもグローバルにいろいろビジネスやってる人見てると思いますけど、
そこのユーザーにならないと、微妙な違いってわかんないんですよ。
ていうことでグローバルに、僕らグローバルに投資してるんだけど、チームとしては。
中国の投資は中国人だけしか見ない。
日本の投資は日本人だけしか見ない。
アメリカはアメリカだけしか見ない。
なぜならばわからないと思ってるから、僕らは。
だから困っていうか難しさなんだと思う。
それこそGCPとかもそこのグローバル化っていうオプションってずっとあったと思うんですけど、
そこまで踏んでない理由ってあるんですか?
理由は二つあって、
一つはアーリーステージはローカルビジネスだと思ってるので、
僕らが海外に行って本当にそこで頑張ってやろうと思うと、
たぶん10年とかかけて根を張っていかなきゃいけないと思うし、
たぶんローカルのチームも採用していかなきゃいけないだろうし、
すごい複雑性が増すなっていうのが一つと、
もう一個が純粋な思いみたいな部分で、
やっぱり日本人として日本のエコシステムに投資をして、
日本からイケてる会社を出していきたいっていう、
そういう思いから来てるとこですね。
だけどなんかそれこそ去年とか結構あちこち行ってて、
ヨーロッパ面白いなと思ったんですよ。
ヨーロッパは基本アーリーステージはローカルVCが強い。
北の方にはクレアンダムっていうのがあったりとか、
あとはイギリスにはアトミコとか、
元ベンチマークの今ボルダートンとか、
フランスとかドイツにもローカルの人たちがいるんですけど、
やっぱりミドルレーターステージになってくると、
グローバルファンドみたいなのが入ってくるっていうのがあって、
もしかしたら日本とかも将来そうなっていく可能性あるかもなと。
日本って今までってある意味アーリーステージしかなかったんで、
だからローカルの人たちは強かったんだけど、
多分今後、それこそこの前のスマートHRみたいに200億調達しますとか、
そういうのが出てくると、
グローバルの投資家がそのレイヤーから入ってくるっていうのはあるかもしれないなと思うから、
そこの住み分け、アーリーとグロースの、
アーリーはローカル、グロースはグローバルみたいな、
そういう風になっていくのかなと思ってます。