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けんすう
はい、というわけで本日も始まりました。企業家の方々に、この知識を知っておいた方がいいよ、みたいなことをわかりやすくお伝えする、ハイパー起業ラジオですが。
前回もちょっと言いましたが、ジャパンポッドキャストアワードというものが今やっておりまして、日本一のポッドキャストを決めよう、みたいなやつなんですけれども。
今、投票をしていて、12月2日から1月10日までですね、投票期間らしいので、我々対象を取りたいなと思っているので、ぜひとも投票をお願いいたします。
尾原
はい、上位20作品が投票数で決まるので、あなたの一票で結果が分かれるということなので、ぜひ投票をお願いします。概要欄に詳細書いてあります。
けんすう
はい、というわけで、本日のテーマに早速いきたいなと思うんですけれども。今日はショート講義編なんですよね?
尾原
そうですね。前回のペルソの編が非常に好評だったので、前後編となってますけれども、基本的には前編で、みんなが知っているようで知らない知識に関して、ギュッと20分から25分くらいでお伝えして、
後編はいつものように、「オバラ、こんなにこのこと大好きなんだ!」っていう暴走するっていう前後編でございますね。
けんすう
そのテーマがなんと、価格。いやー、これはめっちゃ知りたいんですよ。
尾原
そうなんですよね。
けんすう
価格決めるのめっちゃ難しいですよね。
尾原
だから特に日本の場合は価格を設定するときに、どうしてもヘトヘトな安売り商売にならないかっていうところの、低く勝手に見積もっちゃうところがあるので、「いや、そうじゃねえんだよ、価格ってのは。」っていうところの話を今日はしたいと思います。
けんすう
いや、めっちゃ分かります。僕も価格の提案とか交渉の場に来ないでくださいとも最近は言われるようになって、僕全部タダにしちゃうんですよ。
尾原
そうですね。我々もその傾向が強いですね。
けんすう
そうなんですよ。
尾原
相手のことが好きだからとか、業界を良くするためだったらとか、いや僕にとっては全然苦にならない仕事なんで、やっときますよとか言いがちですよね。
けんすう
そうですね。マジでインターネットがフリーミニアム文化もあるし、初期のインターネットは無料で提供するのがいいよねみたいな、そういうのがあったからっていうのもあるかなと思うんですけれども、どうやっていい価格をつければいいのか本当に分かってないです。
尾原
でもね、まさに今言われたような、やっぱりインターネットはフリーミニアムとか、無料で配った方がいいっていうものがあるっていうのは、これがこれで特徴なので後編で話しますけれども、まずはやっぱりお客様が喜んで高いお金を払ってくださるなら、きちんといただきましょうよっていうところの価格設定の仕方、たった2つの掛け算を知ってるだけで大丈夫っていう話をするんですけれども。
まず大前提としてですね、これはもう普通に価格のことを勉強すると見失っちゃう罠ってやつが2つあってですね。一般的に価格を決めるときの経済とかの教科書に載ってるものが、需要と供給のバランスってやつがあるんでしょう。
けんすう
知ってる。
尾原
要は需要が減れば。
けんすう
需要が減れば供給が上がる。違う。
尾原
そうですね。需要の量と供給の量のバランスの中で値段は決まっていて。
けんすう
僕は経済学部なんで。
尾原
供給が変わらないけれども需要が減れば、要は売りたい人が増えるので価格が安くなるし、一方で供給の量が変わらないけれども需要の方が増えると買いたいっていう人が増えるから値段は上がりますよねっていう話なんですけど。
それそれ。
けんすう
これね、やめた方がいいんです。この考え方。
尾原
これダメなんですか?
これね、一番大事な要素が抜け落ちてるんですよ。
誰が欲しいんだっけ。
その欲しいものを誰が提供してくれるんだっけって概念が広くなりすぎるんですよ。
これね、後で説明して納得がいくようになるので、ちょっと置いといて。
あともう一個、価格設定の罠が一般的には価格設定の仕方って3つあるんですね。
尾原
一つ目はコストプラス法。
けんすう
コストプラス法。
尾原
これを作るのには1万円かかるので、流通経費とか最低限5%は儲かりたいから、じゃあ価格は1.5倍にしておきましょうみたいな。
けんすう
そうですよね。
尾原
あともう一つが競合調査から価格を設定するっていう、ライバルがいくらで売ってるから、うちはいくらで売りましょうってやつですね。
けんすう
わかる。
尾原
この2つやめろ。
けんすう
ダメですか?
尾原
ダメです。圧倒的にダメです。
なぜならば、コストから計算して、じゃあうちは5%儲かればいいやっていうことをやってると、
結果からコスト勝負、安さ勝負に陥るから。
けんすう
なるほどね。
尾原
だったらうちは3倍売れるようにするから、1個の利益は3%でいいんですみたいな人が出てくるわけですよね。
けんすう
はいはいはい。
尾原
もう1個は競合調査も一緒で、結局自分のライバルに価格を寄せにいくってことは、
そのライバルが、お前がうちの価格に合わせてくるんだったらいいよ、うちのもうちょっと下げてやるからって言って、
これもまたライバルとの価格を下げ合戦に陥るんですよね。
じゃあ、この今言った需要と供給から考えるのやめた方がいいぜ。
コストプラス法だったり、競合調査価格から設定するのやめた方がいいぜっていうときに、
価格を決めるために一番大事なのは、オバラが聞いたユダヤの教え。
けんすう
なんかすごそう、ユダヤの教え。
尾原
ご存知のようにオバラは世界中いろんな方々とキャッキャビジネス開発をしてるんですけれども、
当たり前のようにユダヤの方とお仕事する機会多いんですよね。
楽天で執行役員させていただいたときに、バイバーっていうイスラエルのLINEみたいな会社を買収させていただいて、
買収後の投稿させていただいたりとか、イスラエルのディープテックって呼ばれる技術めっちゃ使ったベンチャーをどうやって広げていくかみたいなことをしてるんですけど、
そのときシンプルに、ビジネスパートナーで、世界中の不動産とスタートアップ投資でめちゃめちゃお金儲けしてる人がいて、
なんで○○さんって、特にユダヤ人の方々って常にビジネス成功するんですかっていうシンプルな質問をしたんでしょう。
その答えが何だったか。困らないからだったんですね。
けんすう
困らないから?
尾原
おばら、ビジネスで儲かるっていうのはどういうことかっていうと、こっちが困ってなくて、相手が困ってるときっていうのが大事なんだと。
相手が困ってたら安く買い叩ける。買い手が困ってたら高く売りつけれる。
だからビジネスっていうのは、こっちが困らない状況に常に成功っていうことが持続的に儲かることで。
だからおばら、お前は俺を困らない状態にし続けてくれるんだよなっていう。
けんすう
面白いですね、なるほど。自分が困ってなければ高く売れるし安く買えるでしょっていうことですね。
尾原
ここはユダヤ人的なちょっとだけの黒魔法があって、結局こっちが困らない状態にいると、相手を困る状態に相対的に追い込めるからだっていうのももちろん含むわけですよね。
つまり相手が困るって何かっていうと、相手の選択肢を減らすってことなんですよ。
けんすう
なるほどね。はいはいはい。
尾原
つまり僕らしか売ってくれる人がいなかったら、
いやいいよ、俺普段は5万円で売ってるものだけど、俺は1万円しか払えないけどね。
いいよ、他に買ってくれる人いれば他の人に行けばいいんじゃないですかって言われたら、いいなりで1万円で売らざるを得ないし。
けんすう
確かに。よく言うね、砂漠で水を売ってる人がいたらどんなに高くても買うでしょみたいな話ですね。
尾原
そうなんですよ。
おっしゃるように今度困ってる人は高くても2日間歩けばその水は100円で売ってるかもしれないけれども、
まさに砂漠でもうあと1時間後に水飲まなかったら死んじゃうみたいな状況だったら100万円でも買ってくれるよねっていうことなんですね。
つまり何かっていうと価格っていうのは相手にとってのベネフィット、便益かける相手にとっての独自性、他に手段がないかっていうこの便益かける独自性で価格が決まるんです。
けんすう
便益かける独自性。
尾原
つまり何かっていうと便益っていうのは相手が買ってくれる理由がなければ買ってくれないよね。
独自性っていうのはうちから買ってくれる理由は何なんですか。
他で買わない理由は何なんですかっていうことですね。
そうなった時に大事なことって、当たり前ですけど相手にベネフィット便益がなければ買ってくれないけど、
みんな相手にとっての独自性ってところをちゃんと深掘るってことを意外としない。
けんすう
だから競合と比べた時に値段ぐらいしか差別化しないから安売りになっちゃうみたいな。
尾原
でももっと大事なことは相手にとっての独自性なんですよね。
相手にとって他の手段が選べないっていう風になってくればなるほど価値は取れるわけです。
けんすう
自分がこれ独自性って言っても相手からしてみたらあんま変わんないんだけど、だったら当然意味がないってことですね。
尾原
だから有名な例で映画でこのペンを売ってみろっていうエピソードがあったりしますけれども、
わかりやすい話で言えば密室の中で相手のペンを取り上げて、今サインしてくれたら君には10万ドルのボーナスがあるよと。
もちろんサインしたいです。じゃあこのペン3万ドルで買ってくれるって言うとみんな喜んで買いますよね。
つまり何かっていうとみんなビジネスとしては相手がなぜ買ってくださるのかっていう価値とかベネフィットのところに注目行きがちなんですけど、
実はコントロールできるのは独自性の方なんですよ。
けんすう
なるほど。確か便益は意外とそんなに工夫ができないというか。
尾原
コピーしやすくなっちゃってるので便益は。やっぱり安くて品質が高いものってどんどんどんどん作られていきますから、
もちろんこの便益をどうやって発揮するのかっていうのは後半のオバラ暴走する編で、いくらでも便益も発揮できるんだぜっていう話はするんですけど。
けんすう
つまり便益は例えばその飲食店で言うとおいしくてお腹いっぱいになるみたいなのが便益だとしても、結構おいしいものって作れちゃうしそんなに変化ないよね。
独自性何かっていうとこの住宅街に一つしかない飲食店だとみんなそこに行かざるを得ないからお客さんが来てくれるみたいなこういう違いとかですかね。
尾原
例えばアザブ十番とか新宿にはですね、深夜の2時から焼肉を食べたいっていう特殊な便益があったりするわけですよね。
そうするとうちぐらいでしょ、深夜2時でこれだけの焼肉出してるお店は。でなると普段の値段の1.5倍ぐらい取っても別に構わないとかですね。
けんすう
面白い。西アザブのカラオケボックスとかって店員さんが一切入ってこないで自分で飲食物を取っていいみたいなのがあるんですけど。
尾原
ちゃんと探してますかってことなんですよ。
けんすう
なるほど、なるほど。めっちゃわかってきた。
尾原
そうなんですよ。っていうことをしっかり作っていくっていうことをやっていくと、結局価値っていうものが、その買ってくださる相手にとっての便益かけるその価値が、うち以外では手に入りにくければにくいほど価値が取れるってことなんですよね。
けんすう
なるほど。聞けばそうだなって思いますね、確かに。でも、自分で価格設定するときめちゃくちゃコストとか、今日はいくらだしなーってやってますね。
尾原
例えばさっきの件数の例で言うと、件数が好きで当たり前のようになっている、例えば漫画を書くときのセリフ作りみたいなものを文字数ぴったりで納めますみたいなことを相手に提供するじゃないですか。
それをやるときに、価値の量って相手にとってはどうかっていうと、そのセリフを文字数以内に納めることのために、編集の方って何時間ぐらい使ってるんですかね。
けんすう
例えばこれがAIを使うと、5時間時間が減りましたと。すると、少なくとも編集者の方の5時間の時給は価値が生まれてるわけですよね。
尾原
さらに言えば、それを5時間っていうものは変えることができない締め切りに間に合わす中で質を高くするっていうふうに言語化できない付加価値まで持ってるわけですよね。
そうすると、もし単なるコスト削減で時給として、仮に編集者の方が時給1万円とすると、5時間で5万円分の価値を提供してるし。
さらに締め切りの中で品質が高いものを作るっていうことで、10万円の価値を出したら、合計15万円価値生まれるじゃないですか。
さて、これは相手にいくら請求していいんでしょうかっていう話なわけです。
これがもし件数しか提供できません。3ヶ月後に他の人も提供できるようになるかもしれないけど、この3ヶ月に関しては件数しか提供できませんってなると、いくら値段取っていいと思います?
15万円の価値がある。確かに3ヶ月だから回数繰り返せば100万円になるかもしれないけど、因数分解して話すと、1回15万円相手に価値が出てるんだから。
究極で言うと、こちらが14万円取ったとしても、相手にとって1万円分の価値が生まれるから、相手にとってはお得なわけですよね。
けんすう
そうですね。そういうことですよね。今回で言うとそこの時間っていうのは、便益なんですか?時間の節約みたいな。
尾原
便益って質の話だから量の話含まないじゃないですか。
けんすう
なるほど。
尾原
だから量の話を含めるときは、これ菅謙さんが分かりやすい言い方してて、価値は相手の変化量って言い方してる。
けんすう
菅原健一さんですね。
尾原
変化量って何?って言うと単純に言えば、相手の時間が少なくなりますよねとか、相手の売り上げが増えますよねとか、相手のリスクが減りますよねっていう量。
なるほど。
その変化のマックス量が今回の場合は、時間が減ることで5万円の価値を1回で生んで。
質が上がることによって仮に10万円の変化が起きたとすると、1回の利用で15万円の価値が埋めてるわけだから。
けんすう
なるほどね。
これ結構便益と独自性の区別というか、独自性作るのって難しくないですか?
尾原
そこが大事なので、そこは後編の暴走編できっちり語っていきたいと思うんですけど。
ただ大事なことは、価値は相手の変化量で、その変化を起こせるのは、相手から見たら僕しかいない状況をいかに維持するっていうことが、儲かりってものを作り出すことですよっていう話なんですよね。
けんすう
つまりポジションもありますね。その人と話せてるのが自分だけだったら。
尾原
そうそうそうそう。
けんすう
ああ、そっかそっか。これも独自性だ。
尾原
だからあえてここにもう一個指示を足すとすると、相手が払ってる価格っていうのは、その変化量だけじゃないんですよね。
他の相手を探すコスト。
件数が今目の前で提供してくれて、探せば他には同じ手段提供してくれる人がいるかもしれないけど、それ探すのに30万円かかるんだったら、今件数に14万払った方がいいよねっていうものだったり。
あともう一つ大事なのは、確実性ですね。
そうですね。本当に詐欺師みたいな人かもしれないし、全然実力ないかもしれないけど、それをちゃんと判断できるか。
困り顔だけど安定の品質を提供してくれるという信頼感があるんだったら、一回ハズレを引いてもう一回コストを払うよりは目の前にいる件数に、確かに15万円出るインパクトのうち14万円持ってかれるより失敗する方が嫌だからコスト払うよっていうこともあるわけです。
つまり価格というものは相手に提供する価値以外に、相手が他のものを探すための手間であったり、ハズレを引かないというリスクを減らすという安心感だったり、そういうものを含めて価格なので。
けんすう
確かにスターバックスはハズレがないことはわかってるけど、知らない街の知らない喫茶店だともしかしたらちょっと変な店主さんだったらどうしようみたいなのがありますもんね。
尾原
そこをきちんとわかっていく必要性があるっていうところが、この価格編において意外とみんなそこに頑張っているケースが少ないので、もったいないなっていう話なんですね。
ちなみにあともう1個掛け算は、相手にとってのベネフィット弁役×相手にとっての独自性っていう以外に、実はもう1個掛け算があって×理解っていうものがあるんですけれども、この×理解っていうところが実はまたハックすると奥が深いので、これはちょっと後編の暴走編に回していきたいと思いますね。
けんすう
じゃあ前編はこんな感じで、これ前編だけ聞いておくだけでもだいぶ違いそうですね。