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スピーカー 2
今となってはばっかで、と思うかもしれないですけど、当時ってそこまでこの辺のリテラシーが普及してないというか、こういう悪いことに使われるんだっていうノウハウがないのでね。
そうなんですよ。
難しかったのかもですね。
スピーカー 1
そうなんです。
みたいなクーポントラブルもあって、ちょっとネタ的な話が続くんですけど、次にじゃあNetflixはですね、ユーザーを獲得する秘術みたいなことを見つけるんですよ。
スピーカー 2
秘術。
スピーカー 1
それはやっぱり当時、DVDのコンテンツって実はそんなに多くなくて。
さっき言った97年の創業の頃で言うと、全部で700種類ぐらいしかDVDなかった。
スピーカー 2
そんなんしかないんですね。
スピーカー 1
でも逆に言うと、700種類ぐらいしかなかったから、そのDVDがすべてここにありますよ、みたいなコンディションをつけることによって広げることができた。
さらに言えば、ぶっちゃけDVDも最初の頃は9割が販売で、1割がレンタルだったんですよ。
だからまだまだDVDっていうものの定着がなかったから、やっぱりDVD買える人って品質重視な人だから、レンタルっていうよりかは買っちゃうっていうのが中心だったんだよね。
っていう中で、メーカーへのクーポンテンプ作戦がちょっとうまくいかなくなった。
あとでクーポンをちゃんとコード見えないようにやって大丈夫になったんですけど、
ネットフリックスが今度何をやったかっていうと、オリジナルコンテンツをこの時点で販売を始めるっていうのをやるわけです。
スピーカー 2
この段階でもオリジナルコンテンツを作ってたってことなんですか?
スピーカー 1
はい。いわゆる98年の段階なんですけど。
知らなかった。
何やったかっていうと、実は最初のネットフリックスオリジナルはちょっと覚えてない人多いと思うんですけど、
当時クリントン大統領が大統領官邸でちょっとちょめちょめなことをやっちゃったっていう事件があったんでしょうね。
スピーカー 2
なんか不倫事件みたいなのありましたね。ちょめちょめて。
スピーカー 1
そうか、ちょめちょめもう古いのか。
スピーカー 2
令和ですよ。
スピーカー 1
そうか、すいません。
スピーカー 2
ちょっとごめんなさい。
スピーカー 1
不適切なことをやってしまって話題になったわけなんですけど、これ今でこそYouTubeとかあればもう解説動画がめっちゃ流れるみたいなことじゃないですか。
でも当時解説動画なかったわけですよ。
スピーカー 2
そうか、確かに。
スピーカー 1
なので、じゃあこういうみんなが見てあがってるコンテンツをDVDだったらすぐにプリントすることができるからって言って、
ネットフリックスは新規獲得の要としてネットフリックスオリジナルって言って、クリントン大統領の不適切なっていうものをDVDで販売するってことをやったんですね。
スピーカー 2
面白い、今だったらすぐ何か事件あったら何々について解説しますみたいなYouTuberが、もうその日のうちに出てくるあれをDVDで当時はやってたってことですね。
スピーカー 1
言い方悪いんですけど、これネットフリックスのオリジネーション、根源なところに近い話で、
いわゆるテレビでは報道しづらい政治スキャンダルを踏み込んだ形で見れますよと。
ということで、もうネットフリックス、これを新規会員の獲得のチャンスにしようって言って、10ドルで最初、正確に言うと9.95ドルで売るんですよ。
そしたら2000枚があっという間に売れまして。
スピーカー 2
いや、そうですよね。今でもこれYouTubeだと再生されそうみたいなやつですもんね。
スピーカー 1
そうなんですよ。これで味を占めたネットフリックスは、なんとこのDVDを2000円、要は日本円で言うと3円に値下げするんですよ。
スピーカー 2
おお、売れてんのに。
スピーカー 1
そう。要はネットフリックスからするとDVDの販売収入というよりかは、それをきっかけにネットフリックスの会員になってもらって、
2枚目、3枚目以降をレンタルだったり販売につなげるという方がずっと大きいわけですよ。
スピーカー 2
そういうことですね。1人当たりの獲得単価で言うとめちゃくちゃ安いってことですね。
スピーカー 1
そうなんです。それで当たり前ですけど、10ドルで買った人間はクレームしますよね。
で、慌ててネットフリックスが10ドルで買った人たちに、その2セントとの差額、9.7ドル、970円ぐらいをキャッシュバックして。
スピーカー 2
それでも2セントで売ると、もうすればするほど、もうそのDVDが売れるから簡易獲得できるみたいな状態になっちゃうんですよ。
面白い。安いですもんね。
スピーカー 1
そうなんです。実はそのDVDって、1枚の原価って実はもう100円以下で、大量に購入すると1枚に3、40円みたいなものになるから。
でももちろんDVDってビデオのダビングと違って、コンピューターによる印刷なので、印刷のコストの時間とかも安いんですよね。
だからそこまで、おそらくですけど、送料含めて持ち出しで500円とか1000円いかない範囲で新規会員が獲得できるということで、ネットフリックスは最初のオンライン文春だったっていう話なんですよね。
スピーカー 2
そうですね。スキャンダラスなもので集客をして、それを獲得単価で見ると安いからどんどん広げていくっていう。
スピーカー 1
なんですけど、ここからまた起こるんですよ、事件が。
スピーカー 2
Purdue Virtual Realization
スピーカー 1
ですね。
価値が実質的に変わるっていう話で。
要はもうネットフリックス的に言えば、アマゾンがもう販売の方に参入してくるからレンタルでしか生き残れない。
レンタルで生き残るためには1個1個に対して金額を払ってるっていうことをやってたら、やっぱりもうユーザーのノリがついてかないから月学生に掘り込むんだっていうことで、逃げた上で参入したわけですよ。
でも面白いのが、逃げてみたらユーザーが求める価値がガラッと変わっちゃったってことなんですよね。
つまり何かっていうと、月学生になると借りなきゃ損になるじゃないですか。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
そうすると借りなきゃ損っていう風に変わると、見る動画変わるんですよ。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
そうやって掘っていくと、借りっぱなしでもOKだから、何回もずっと見てたらいいっていう。
ミュージックビデオだったりとか、環境的なビデオみたいな方がニーズがあったりとか。
スピーカー 2
なるほどね。流しっぱなしでもあんま見なくてみたいなこともできるわけですね。
スピーカー 1
価値になってくるし、さらに言うと一番でかかったのが、もう一つの監督作品を全部見るとか。
スピーカー 2
いやーわかる、なるほど。でもこれ確かに月学生でないとやらないことかもしれないですね。
スピーカー 1
そうなんですよ。だからやっぱり今までは借りたり数でお金を払ってると、できるだけ早く返さなきゃいけないから。
できるだけ早く見なきゃいけないって焦らされるように見るみたいなことが月学生になると、もう一定金額借りてるから。
だったらもう見たいときにゆっくり見ればいいよということで、実はゆっくり見るっていうような需要っていうものの価値が見えてくるって話だったり。
本当はこの監督作品を全部見たいっていう欲望はあるんだけど、1本いくらっていう形になってると、
この人のデビュー作確かに見たいけど、この人のために1本300円わざわざ払うか?って思ってたものが、
いやいや、同じ月学だったらもう見て返して見て返してってやることによって、早く全部見た方が得じゃんっていうふうに変わるわけですよね。
だからこういうふうにビジネスとして考えると、単発で払う値段、個別課金から月学で払うサブスクリプションに変わっただけでしょって思うかもしれないけど、
実はお客さんが求める価値っていうものが実は変わっていくんだよ。
そういう価値ってものを細かく分解して見てて、実質的にお客様は何の価値を求めてるんですかっていう価値の実質化のことをバリューバーチャライゼーション。
バーチャライズとバリューっていう言い方をするんですよね。
スピーカー 2
でもさっきの話で言うと、やっぱり1本1本だと最新作の話題作を見ようってなって集中しちゃいがちだけれども、
月学制にすると結構バラけてロングテール的な見方もされるので、在庫の管理とか、要は最新作は100本最初に用意しなきゃいけないけど、
1ヶ月経つと見られたくなるから無駄になっちゃうみたいなことも解消するとか、いろんなことがドミノ倒しのように起こる感じになりますよね。
スピーカー 1
そうなんです。かつ大事なことが、初回で言ったエマージェントストラテジーみたいな話で言うと、結局ロングテールなものも見なきゃ損に変わるので、
そうするとむしろ新作っていうものの揃えてますよっていうことよりも、あなたの全部見たいをうちはカバーできますよっていうふうに必要な価値が変わってくるから、
じゃあそれをやるためにレコメンデーション、あなたは次見たいのはこれですよねっていうふうな推薦をできるようなレコメンデーションシステムだったりとか、
そのためのDBを抱えていきましょうっていうふうに必要な要件も変わってくるって話なんですよね。
スピーカー 2
なるほど。バリューバーチャライゼーションって、要はお客さんの価値が変わったときに、これが価値なんだっていうのに合わせていろんなサービスのアップデートとか、サービス内容を変えるみたいなことをするみたいなのであってますか?
スピーカー 1
そうです。だからバリューバーチャライゼーションで大事なのは、お客様がなんとなく提供者が思ってる価値以上に他の価値を求めてるものがあって、そのお客様が実質的に求めてる価値をちゃんと分解して当てていきましょうってことなんですよね。
例えばわかりやすい事例で言うと、MBAとかってあるじゃないですか。MBAって何の価値を求めていってる?
スピーカー 2
学習で提供されるコンテンツを知って知識になるみたいな感じですかね。
スピーカー 1
っていうのが表面的な価値じゃないですか。
でも実質的な価値って、いや俺ハーバード出身だからっていう肩書きを求めてる人っていうのもあったりするし。
スピーカー 2
確かにね。
スピーカー 1
これハーバードインサイダーだからって言って、ハーバードのMBA同士だからアクセスできる人脈みたいなものにつながることができるよね。
さらに言えば、大体MBAは社会人が行くケースが日本人の場合多いので、MBA行ってる2年間、今までがむしゃらにやってきたから、一旦小休止して自分のキャリアを見直す2年間を欲しがるっていう場合もあるよね。
スピーカー 2
なるほどね。何にもせず2年間過ごすわけにもいかないけれども、MBA通ってますって言うと、キャリアの断絶がないけど考え直すきっかけの機会にはなると。
スピーカー 1
自分の価値を上げながら自分のキャリアを見つめ直す機会にもなるっていう風に。
こういうふうにMBAを表面だけ捉えちゃうと、高度な学習をするっていうことですよねっていうふうに見ちゃうんだけど、実質的にお客様が求めている価値って他の部分にあって。
それがテクノロジーの変化によって実質的な価値の方が実は重きを置かれるみたいなことが置かれるわけですよ。
スピーカー 2
これもっとしょぼいというか身近な例で言ってしまうと、カラオケボックスが歌う場所として提供してたけど、よくよく使われ方を見ると子供を連れたお父さんお母さんが集まる場所として使われてる。
なぜなら子供が騒いだりしても大丈夫だから。なのでじゃあフードメニューを充実させて子供が食べやすいものをたくさん用意してパパママプランみたいに作るといいよねみたいに変えていくとかこういうのも。
スピーカー 1
そうですよね。
そういうのも実質化です。
スピーカー 2
すごい理解しました。
スピーカー 1
こういう時の実質化の大事なところが、結局カラオケ屋さんというもともと音を出して騒いでも大丈夫な個室っていう機能が子供を連れて子供が騒いでても他の人に迷惑かけないっていうことで実質価値の方が価値が上がってきたみたいな話だったりとか。
あともう一つカラオケ屋の事例で言うと、もともとカラオケを楽しんでた高校生ぐらいの人たちがカラオケボックス自体が10年経ってきてカラオケの個室をコミュニティとして捉えてる世代が子供を持つようになったので自然に彼らの居場所が子供とワイワイする場所になったっていう風に。
その実質的価値のどの価値が重きを置かれるかっていうのはテクノロジーだったりそのライフスタイルの人の年齢だったり時間によったりもするわけですよね。
こういうことをそのテクノロジーが変わっているのに、世代が変わっているのに自分の前の提供している価値で売り続けるとチャンスをロスるって話なんでしょうか。
スピーカー 2
これ面白いですね。例えばサブスクだろうといわゆるD2Cと呼ばれるようなオリジナルの商品も昔は難しかったけど今はもうクレジットカード決済のストライプみたいなサービスがあるから実装がめちゃくちゃ簡単ですとかになると一気に売れるようになる。
これは技術の変化によって変わったところであり、それによって月額制ができるようになった途端にユーザーさんの実質的な価値がちょっと変容したりするとまたサービス買いようかみたいなことが起きていくみたいなことがいろいろ繋がって起こりますね。
スピーカー 1
だから昔はストライプみたいなものがなかった時ってコマンスっていうと、わざわざオンラインで買わないと買えないものっていうハードルが高いものしか販売されなかったけれども、ストライプみたいなものが導入されてきたりとか物流が安くなったらちょっとお試ししてみようかなみたいなことが簡単にできるようになるので。
そうするとお試し価値みたいなところの価値にフォーカスが当たりますみたいな話だったりするし。
スピーカー 2
確かにベースが出てからいろんなちっちゃいチームが作ってる素敵な商品を買えることがすごい増えたんですけど、昔はやっぱ楽天アマゾンさんはこういうよく売れるものとか家電とかしかやっぱり売れないのでそっちが強くて個人が作るようなものは弱かったみたいなのって。
そういう変化すごい最近感じますね。
スピーカー 1
そうなんですよ。そうすると、例えばさっきのMBAの話でいうと、MBAっていうのが人脈として出身者同士のネットワークが欲しいみたいなところの実質価値が強くあるから、
Facebookってある種いろんなSNSの後発なんだけれども、まずは仲間同士を絶対つながりたいってところから攻めればいいじゃんっつって、ハーバート大学のいる人間の人たちだけが入れる場所っていうことで、SNSのネットワークエフェクトが回ったりするわけですよね。
スピーカー 2
面白い。
スピーカー 1
だからNetflixの事例は逃げたんだけれども、ちゃんとデータを見てるからサブスクリになった時の実質的な価値っていうものが、この監督全部見たいとか何回もゆっくり見直したいみたいなところの価値に気づけたっていう話だけど、一方でFacebookみたいにテクノロジーができることによってMBAっていう仲間がつかまりたい価値をテクノロジーで演出すれば、
一気にネットワークエフェクト回せるんだっていうテクノロジーがあるから、実質的価値を拾うためにビジネスを作るっていう事例もあれば、やってみたら実質的価値がこっちだったって気づくのでAIレコメンデーションエンジンを作ったみたいな。
そういう実質的価値が先なのか、テクノロジーが先で実質的価値が後で見つかるかっていうのはあるけれども、変化の時のちゃんと前の価値をぼんやりやるんじゃなくて、新しいテクノロジーや新しいプラットフォームになった時には新しい価値が浮かび上がるよっていうことを忘れないってことが大事なんでしょうね。
スピーカー 2
なるほど。面白いですね。ちなみに余談ですけど、MBAの短期的なものに通って友人がいるんですが、毎日すごいパーティーがあるって言ってて。これもやっぱり人脈とかの方が価値だよねって分かった上で、求められるのは授業だけじゃなくて、ネットワーキングだってやってるんだなと思って面白かったです。
スピーカー 1
そうですね。あともしかしたら、自分がMBAのインナーサークルに入ったということを見せびらかしたいっていうマウンティング価値をバーチャライゼーションしてる可能性もありますよね。
スピーカー 2
それはありますね。今日もクラブみたいなイベントですっていう動画をその人がよく送ってきてて、それってやっぱりある意味、気持ちいいシェアしたくなるコンテンツっていうのもありますね。
スピーカー 1
そういうふうにこうやって実質的価値は何なんだっていうテーマがあれば、これだけ僕たちは話広げれるわけですよ。だとしたらなぜあなたは自分の企業の中に表面的な価値ではなくて、こういう実質的な価値っていうところにフォーカスしてやらないんですかって話してるんでしょうね。