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2021-09-07 22:44

みじかい髪も長い髪も炎 #2:あまりにも夏とても夜

第23回歌壇賞受賞作家の第1歌集。

  • 気に入った歌を語り合う
  • 卵はなぜ12個?
  • 喉を溢れない夜の川
  • あまりにも夏とても夜

みき(@miki_apreciar
のぞみ(@Nozomitnk

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書籍紹介(がたんごとんより)

平岡直子さん、待望の第一歌集『みじかい髪も長い髪も炎』。 銀で箔押しされた、縄のデザインが、上品さもありながら少しロマンチックであり、神秘的な印象です。

  • すごい雨とすごい風だよ 魂は口にくわえてきみに追いつく
  • 手をつなげば一羽の鳥になることも知らずに冬の散歩だなんて

言葉ひとつひとつは知っている言葉、特別ではないはずなのに、驚くべき飛躍で、どこか違う世界に迷い込んだよう、それでいて、心の1番奥深く、繊細な部分を鷲づかみにしてしまうようなドキドキ、刺激でクラクラします。

  • わたしたちの避難訓練は動物園のなかで手ぶらで待ち合わせること
  • 三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった

動物園のなかで手ぶら、なんて、すごく気の抜けた状態な気がするけれど、それは命の危機に隣接する事であったりする。三越のライオンが見つからない事が、言葉が壊れて反響するほど、心を砕く事だったりする。生きることは、すごく恐ろしくて、反面、すごく素晴らしい。そして簡単ではないけれど、美しい。

  • どの朝も夜もこうして風を受けあなたの髪が伸びますように
  • ねえ夜中のガードレールとトラックのように揺れよういちどだけ明るく

生きる中の、刹那よりも短い一瞬を見逃さないようにな鋭い感覚の中で、永劫に続く何かに触れられる気がして。すごく近くで会話をしているのに、どこまでも遠くが見える気がします。

何度も反芻したくなる、心に携えておきたい歌が詰まった歌集です。

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00:10
たとえば、ちょっと心に残ったやつをお互いにノートに書いてるじゃないですか。
例えば、ダウンジャケット、今転んだら12個の卵が割れてしまう坂道ってのがあるじゃないですか。
読んでた時に、12個の卵ってなんだろうってすごい考えたんですよ。
パックじゃないの? 1パック。
パックって10個じゃないですか。
12個もあるでしょ。
12個もあるけど、12個ってすごい少ないと思うんですよ。スーパーとかで。
だいたい10個か6個だと思うんですよね。
じゃあ6個×2かな。
6個×2ってなんで6個×2買うんだっけ?
2人暮らしだからかと思った。恋人と買い物行って、卵忘れたわって言って卵だけ買いに帰った。
だから手ぶらで袋とかもなくてダウンジャケットに入れて。
12個買います?
2人暮らしだから買うのかなって。
10個で良くないですか?みたいなことをめっちゃ考えてたんですよ。
ゴロじゃん?単純に10個のだと。
互換悪くないですか?
互換は悪いんですけど、互換が悪いから12個にしましたっていう単価ってない気がするんですよ。
少なくともこの単価というものを。
そんなこと気にしてたの?全く気にしてなかった。12個パックって結構よくあると思うんだけど。
12個パックの卵って見たことあります?
私基本は4個パックしか買わないです。
でも最近のスーパーで増えてるって書いてある。本当だ。
自分のスタンダードの中には12個って全然なくて。
全然気にしてなかったとこ。面白い。
なんでそのなんていうんだろう。
少なくともこのさっきみきさんが言ってたみたいに単価やってる人たちってやたら言葉へのこだわりが強いみたいなイメージみたいなのあるんじゃないですか。
かつこの本編み書店っていうこの本を出している書店って単価出すならここだよねみたいな書店らしいんですよ。
経済書出すんだったら日経から出しますとか東洋経済新報書から出しますとかあるじゃないですか。
よくわからないところじゃなくてここから出しますみたいなのがあるんですけど。
このみ書店ってそういうところらしいんですよね。
そういうところから出るものだとしたらすごいこだわっているものを書いているんだろうなっていうことは想像をしながら読んでいて。
っていうのをやると1個1個なんでこれはこれじゃなくてこっちなんだっけみたいな。
面白い。
10個と12個ね。
03:00
12個って10個じゃなくてなんで12個なんだっけとか。
例えば6個6個のこともあるかもしれないし卵っていうのは別に我々が想像する卵じゃないかもしれないじゃないですか。
例えば何か10個の卵プラスわかんないけど双子をお腹に宿してますのもしかしたら卵って表現できるかもしれないし。
もしかしたらね。
みたいなことを想像しながら読んでいるともう全然進まないですよね。
えーまじかーめっちゃ面白いですね。そんなこと全く思いませんでした。
なんかあれでした。
星飛んでにそういうシーン出てきたんですけど確か3巻か4巻ぐらいに。
読む方が勝手に読んでオッケーらしいです。
勝手にこねくり回しましょうよ。
のどみさん気になったやつとか勝手に飛んでこねしましょうよ。
絵にしやすいっていう意味ですごい良かったのはこの臓器は提供しませんとドナーカードにサインしてからキッチンに立つっていうやつ。
ありありとしていて良かったですね。
サインをして自分の臓器は提供しないっていうことを知ってその後キッチンに立つって言ったらその後ご飯を食べるわけじゃないですか。
ご飯を食べると臓器に物が入ってくるでしょ。
臓器が自分のものだなみたいなことをありありと実感した後にキッチンに行く感じとか。
臓器を提供するっていうのは非日常なことが起きた時じゃないですか脳死になった時とか。
自分が死ぬかもってことを一瞬考えてから食事っていう生命力のみなぎる行為であり日常というのに戻っていくっていう。
行動停止がすごいですね。
そうなんですよ。
でもドナーカードにサインしているところってたぶんリビングのテーブルとかでやってるわけじゃないですか。
絶対そうでしょ。保険証更新したとかそういうことでしょ。
勉強書の欄にとかそういうことじゃないですか。
こういう非日常と日常の入り乱れる感じとか。
臓器のプライベート感を認識する瞬間とか。
そういうのがグッとくる感じは私の脳でもわかりやすくていいなって思ったですね。
よく考えたら不思議な行為ですよね。
06:03
一瞬非日常で思いを馳せてまた振って戻る。
あと二つぐらいわかりやすくて好きだったのは、
観客はジャガイモと言われたジャガイモの気持ちを考えたことがあるのかっていう。
覚えてる私も。
超いいなこれって思って。
観客はジャガイモと言われたジャガイモの気持ちを考えたことがあるのかっていう。
めっちゃいいじゃんみたいな。
たぶんこれと似たようなことって、
言っていたりやっていたりすることってありそうだなと思っていて、
観客のことをジャガイモだと思ってくださいみたいなことを演者だったり、
人前で何かするときに言うことってあるじゃないですか。
その背景にあるジャガイモって大したことないですよみたいなことがあって、
そういうことを気持ち考えたことあるんですかみたいなことだと思うんですけど。
二つあって、
一個はここでいうジャガイモチックなものとして、
いろんなものを挙げつらっているシーンってありそうだなっていうのが一個。
例えば誰かを慰めたりするときに、
こんな大したことないよとか、女の子だったら当たり前じゃんとか、
そういうのって結構なんだろう。
もしかしたらここでいうジャガイモ的なものに何かを貶めてしまったりしているとか、
ジャガイモの価値を固定しちゃってるみたいなことって、
なんかありそうな気がするなと思いつかないんだけどっていうのを読みながら思ったっていうのが一個と、
もう一個はとはいえジャガイモの気持ちなんか知らねえよって話もあるじゃないですか。
なんかこういうクレーマーいるなっていうのがもう一個で、
ジャガイモの気持ち考えたことあるんですか?って言われたときに、
いや、ないけどさ、みたいな。
よく言うみたいなのを言う人いるなみたいなのがもう一個考えたこと。
そんな言わなくたっていいじゃん。だってジャガイモだよみたいな。
しかつもう全然方向性の違うことを読みながら感じた隙間がある。
あとじゃあ最後もう一個だけ私から言って、じゃあ次ミキさんのターン。
最後はですね、朝に届くものたちは皆遠くから、来る遠くから長官が来るっていう。
朝に届くものたちは皆遠くから、来る遠くから長官が来る。
遠くからが二回来る。口に出してみるとすごく不思議な句なんですけど、
何て言うんですかね、確かに朝に届くものって大体遠くから来るなっていうのを死にじみと感じた。
なんかいいなっていう。長官が来るで最後しまってるので、
09:03
新聞ってすったところから遠くからまとめられてちゃらんちゃらんって来るけど、
朝に届くものって多分いろんなものがあって、日光の朝日の感じとかもすっごい遠くから来る感じがするし。
そう、私も朝日感じました。
遠くから来るなっていうのをすごく感じるし、朝自分が触れてるものを一個一個考えると近くから来るものってすごい少ないなと思うんですよ。
朝ご飯を食べましょうっていう時に食べるものもそうだし、長官に限らず届く情報なんかも遠くから来るものが多かったりするわけじゃないか。
朝ってやっぱりいいなみたいなのをしみじみ思った。
朝に届くものたちはみんな遠くから来るという感覚。
朝が爽やかに始まる感じがするっていうか、朝起きて日常ってめちゃめちゃ連続してるけど、連続性が一回断ち切られるような感じっていうか、
昨日からずっとあって目にするものとか、インテリアとかも朝日が差し込むと新しく届いたみたいな感覚がするなーみたいな、そんなイメージ。
なるほどね。
朝、もう一回リセット、始まるぞっていう感じがあっていいなって思いました、私は。
ちょっと引いてみてみると、長官が来てるなーっていうのを感じた時ってそんなに爽やかな気分じゃなかったりする時もあるじゃないか。
ずいぶん前の話だけど。
オールしちゃった時とか、仕事終わんねー長官来ちゃったとか、これも本当に人のどう読み解くかで全然パターンが違いそうな気もして、爽やかに届いてくるなー朝日だなーって思うこともあれば、
遠くから何かが迫りきている長官が来ちゃったーみたいな。
あー確かに、多いかもしれないですね。
短歌ってなんかあれですね、そういうギュッとした世界っていうのを感じられるやつですねー。
そうですねー。爽やかだっていうか、確かに私はリセット感をすごい感じましたね。
それは私の解釈だけど。
いやー。
昨日からあるものも全部遠くから来たみたいな感じがするっていう歌に思えた。
うーん。
なるほどなー。
さあさあみきさん、こんなトーンで、私はなんか結構わかりやすそうなやつをパッパッと選んじゃいましたけど。
いやでも私もそうですよ、基本的には。
どんなの?
でも私の好きな歌のベストは、もうわかりやすいですよ、パッって頭に来た歌なんですけど、
12:00
歯磨きの時だけ感じる指揮台があるじゃない、ほら私たちにはっていう。
覚えてるわー。あるわーって思ったもんなー。
うん。
でもなんか当たり前より歯磨きしてたけど、なんかこうぼんやり自分の顔を眺めるからなんとなく動かしてる感じ?なんか順番で動かしてる感じとか、
自分で決めてるようでちょっと機械的な感じ終わったりとかして、なんか確かに指揮者っぽいところがあるかも。
そういう風に見たらめっちゃ面白いですねって思った。
指揮者っぽいっていうのがね、いろんな台あるじゃないですか、たぶん。
うん。
その中でも指揮台っぽいっていうのは、ミシャンが言ってるような機械的っていう以外になんかどんなのがある?
あ、でも単純になんか歯磨きしてるところって、なんか指揮者っぽいかもって思っただけなんですけど、本当に。ただただ。
うーん。
なんかリズムみたいなこととか?指揮者っぽい?
右手真ん中行って、左手裏側行ってみたいな。なんか不規則性ないですよね、意外と歯磨きで動きって。
うーん、確かに。後半のホラー私たちにはっていうのあるじゃないですか、歯磨きの時だけ感じる式題があるなーっていうところから、ホラー私たちにはっていうのがなんか、これ読んだ時に噛み締めがあるなーって思いながら読んでましたね、私。
え、噛み締めがあるっていうのは?
なんか歯磨きの時に感じる式題がありますねっていうのだけでも、こう、完結してるような気もするんですよ。
そういう日常がありますね、みたいな。ホラーリズムがあってさ、みたいな。
でも別にいいんですけど、31文字の中の貴重な9を使ってホラー私たちにはっていう。なんでこれって入れるのかなーみたいなのを見てて。
でもこれがあるから考えたかも。指がけられた初めて考えてみたかも。
ホラー私たちにはか。
うん。
ホラー私たちにはかけるかなー。
いや私には絶対かけないですよ。だってなくても意味通じるもん。そういうものを私は生み出せないですよ。
こういうのねー、こういうのねー、なるほどー。
ごめんなさいちょっと歳入れちゃいましたけど、どんどん行こうぜ。
ホラー私たちにはってあって、日常と出会い直す感じがあって好きだなって思いました。
これ結構後半にあるんですよ。声の歌でやられてた時にこういう生活の歌があって好きってなりましたね。
15:06
あとは、夏の景色を切り取っている歌とかも好きで。
あまりにも夏、とても夜、一匹のコカネムシが洗濯を見ていたっていう、なんかかどっかであったんですけど、
なんかすごい生活を感じていいなって思いました。
すっごい暑くてムシムシした夜に、洗濯機のそばにコカネムシがいたんだろうなっていう感じ?
もしくは洗濯物干してる時とかにいたんだろうなっていうのがありあり浮かんできて、いいなって思いました。
とても夏っていうのって日本語的には、
平子さんの有名な三越のライオンの、三越のライオン見つけられなくて悲しいだった、悲しいだった。
悲しいだったっていうのって日本語、警察的にはアウトっぽい表現じゃないですか。
たぶんとても夏っていうよりも、とても夏って教科書的な日本語的には言うのかな?
あまりにも夏、とても夜、言わないと思います。
あまりにも夏、とても夜。
とても夜っていうのが、あまりにも夏、とても夜っていうのがすごい伝わってきますよね、感覚的に。
この入りのあまりにも夏、とても夜だけで、もう好きだもんな。
うん、わかる。
もう後ろ何来てもいいもんな、もう。
あとは、これも好きだな。
いろいろ種類があるじゃないですか。
もっと自分のためだけの歌もあるし、景色を切り取ったような歌もある。
いろいろあったと思うんですけど、自分のための歌って感じがしたやつがあって、
私を私の戦利品だという時に、喉をあふれない夜の川。
っていうのが後半の方であって、
私を私の戦利品だという時に、喉をあふれない夜の川。
これは、私的にはすごい、自分をめちゃくちゃ肯定する気持ちと、不安でたまらない気持ちが同時にあるような感じがして、
わかるっていうか、そんなに常にずっと自信満々でいられないし、
でも別に私は私らしいみたいな、そういう感覚がめっちゃわかるなって思って、
私はそういう風に読んで好きだなって思いました。
へー。
これは読んでも私は何もわからないと、何もわからないなっていう。
18:05
あったことさえ覚えてないもんが。
でも読者にはご得の自由があるから、言いますけど。
喉をあふれない夜の川っていうのが、あふれそうになる時もあるんだけど、
今あふれてませんみたいな感じがする。
へー。
喉をあふれない夜の川、喉をあふれない夜の川。
なんか悲しい気持ちとか不安な気持ちとかって喉から来ません?
あー、そういうこと。
そういうことか。
だから私は私の蛇、私は私のものですって言ってる時に、
そういう何か使える感じとかはないですっていう。
でも別に何か使えるような夜もありますみたいな。
なるほどー。
っていうことだと思った、私は。
三井さんの素晴らしい喉アンテナですね、それは。
今の私、喉に対する身体感覚が自分は全くないんだっていうことに気づきました。
今三井さんの話を聞いていて。
喉に来るっていうことが。
なるほどー。
なんか喉に使えたことないですか?
あんまりないかも。
あんまりない。
どっちかっていうと胸に使えるぐらいのことがあるんですよ。
どっちかっていうと胸感覚が身体的に。
喉をあふれないって言われると何残っちゃうみたいな。
なんか吐きそうなのみたいな。
夜の川だし液体だしみたいな。
そういうことか。
私はそうだと思った。
言いたくても言えない時とか、これ以上喋ったら涙出るかもみたいな時とか喉がやばい。
なるほどですね。
この感覚のアンテナ、さっきのあまりにも夏とても夜っていう時に、
例えばあまりにも夏っていう表現を理解というか、ちょっと腹打ちできる人できない人いると思うんですよ。
今までどんな夏を過ごしてきたかとか。
一生、南極にいた人にとってのあまりにも夏っていう夏ってちょっと違うんたりするじゃないですか。
今の喉をあふれないっていう時の喉感覚っていうのは、
もうちょっとハードルの高い身体感覚ですね。
面白い。
喉ね。
私は喉感覚の人なので、そういうことなのかなって思って。
21:00
面白いですね。何回も繰り返し教室なんですけど、
さっきの星トンネルの中にも区間をやると、それぞれの人が書いてお互いに投票していく時に、
こんなことを読みましたっていうのを言ってくるんですよね、一人一人。
で、その時に自分はこんな風に感じたっていうのが当然周りの人とは違うわけですよ。
そういうのがいいですね。
単価でやれるといいなと思ったら、みきさんが言うように喉感覚全然なかったんですけど、
今確かに考えてみると喉トレの物事を感じる時はありそうだなっていう感覚を持つことができる。
これはこういうのはあれですね。2人じゃなくて10人ぐらいでやるのがいいですね。
そういう本を読みながら、これ良かったですね、3つ選んでみたいなやつを。
単価とか詩はそうなのかも。
みきさんには超ハマるけど、私はよくわからなかったですねっていうものも多分お互いがああっていうものもあれば、
私だけのものも多分あると思うんで、そういう楽しみ方ができるのが、
詩と言われるもののある種の良さなのかもしれないですね。
こういう風にやると一人一人の解釈の違いが際立ちやすいですよみたいな、
ワークショップ運営手法に近いようなものがある気がしますよね。
そうですね。
こういう見せ方するといいよとか、こういう出し方するといいよとか、
こういう人の単価を読むのがまずは一番基礎としていいよみたいな。
確かに。
22:44

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