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2020-07-07 21:32

「ハツカネズミと人間」最終回:自分らしい学びをくれる、それが戯曲

みきさんのおすすめで、ジョン・スタインベックの名作戯曲を取り上げます。それぞれがメモしていたところがぜんぜん違うの、面白いなぁとおもいつつ。

みき(@miki_apreciar
のぞみ(@CobeAssocie

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書籍紹介(Amazonより) 一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす―からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。

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翻訳された後の日本語っていうのをすごく感じて、多分、原著で英語で読むと、英語の文脈も自分の中ではないけど、この単語を使っているってことはこういうことなんだろうな、とかっていうのがなんか、あるんやろうなっていう感じがして。
はいはい。
確かに翻訳って、翻訳対文学みたいなとこありますよね。
ある。
もうそういう、別文学みたいな。
ある。めっちゃある。
ありますよね。
翻訳、合う合わないっていうか、そうなんでしょうけど、そう訳すのが正しいんでしょうけど、なんか、うーんみたいなことはあるんですよね。
そうなんだよな。
いや、そうなんです。全然違う文脈で、その、人間の癖のことを今調べてるんですけど、口癖とか手癖とか。
はいはい。
いろいろあるじゃないですか。
ある。
で、それに関わる研究どんなのがあるのかなっていうので調べてみようかなと思って、英語での文探すじゃないですか。
はい。
そうすると、癖って直訳何なのかなっていうのを考えるときに、habit?
え、それ習慣じゃないですか。
そう、そうなんですよ。で、習慣。
癖?
習慣なんですよ。で、ただじゃあ癖って英単語で何て言うんだってググると、なんかでもhabitっぽい感じになってくるんですよね。
うん、確かに。
適切な英語の単語って出てこなくないですか。
確かに、なんか。でもなんかもうちょっとbehavior的な意味合いですよね。
だからhabitの論文を見るともっと、何て言うんですか、例えば新聞を毎朝読むとか、そういうことがhabitに入るんですけど、口癖とかってhabitかって言われると、はてどうだろうみたいな。
なんか癖って、何て言うんだろう、アンコンシャスレスポンスみたいなことだと思うんですけど、イメージ的には。
うんうんうん。
それを適切に表現することも、私が知らないのかそもそも概念がない可能性もあるわけじゃないですか。
はい。
だから翻訳ってすごい難しいなと思って。
確かに。
だからやっぱりこう、何て言うんですか、翻訳家の人も素晴らしい翻訳家の人とちょっと読みにくいなと思う人がいたり、あと通訳の人でも、異訳をどれくらい入れるかみたいなところでその人の個性が出てくるじゃないですか。
だからそういうのはすごく難しいテーマでもあり、さっきミミシさんが言ったみたいに、それ自体が一個本なんだろうなっていう感じがしますね。
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翻訳の日本語って、この日本語翻訳みたいな文章になってるよって言って通じるぐらい、ちょっと自然な日本語ではないじゃないですか。
うん、確かに。翻訳みたいな日本語って言うな。
そういう意味でももう一つの文学なのかなって思ってます。
確かにそうかもしれない。翻訳難しいよな。
最近SFの小説をよく読むんですけど、その中にも、今の国連みたいなレベルで、惑星間会議みたいなのが仮にあったとして、そこに出ていく通訳の人を主人公にしたSFがあったんですけど。
え、通訳の人が主人公のSF?
そうそう。
この惑星の言語は?
地球代表を、例えばなんちゃら星代表、なんちゃら星代表、なんちゃら星代表っていうのが集まっている惑星間会合みたいなのがあって、そこに出ていく地球人の大使の横について通訳をする人が主人公っていう話があるんですけど。
面白い。
その翻訳の難しさというか、そもそも言語だけの問題じゃねえよなっていうことが通説に伝わってくるSFなんですよ。
あー。
確か背景とか文脈?業と業の淡いにあるようなことですよね。
っていうこととか、例えば日本人ってめちゃくちゃ雨の名前をたくさんつけてるとかあるじゃないですか。さみだれ、霧雨とか。
あー、はいはい。
それってそもそも対になる概念が他の社会にあるんだっけとか、いうふうになると翻訳の問題じゃなくてそもそもの認知とか観察とか社会文化の話になるから、翻訳だけのイシューじゃないじゃないですか。
うんうん。
単純に霧雨をこういう雨ですって訳したらそれはそれっぽくなるのかどうかとか。
うんうん。
いやなんか難しいな、翻訳ってっていうのをSF読んだりしながら思うんですけど。
そうですね。そうですね。
いろんなことを気づかせてくれる小説だったなあ、このスタインブック。
そうですね。
1個これどう思いますかって聞きたいのが、レニーとジョージが友情で結ばれてるみたいな感じの描かれ方なんですけど、
なんか私これは本当に友情なのかなっていうのは、私最近ちょっとすごい暴力について考えてるからあれなんですけど、結局友情っていうのは与え合いで成立する関係なんじゃないかって思ったときに、
レニーとジョージって与えてる部分もあるかもしれないけど、どっちかって言ったら奪い合ってるような感じもちょっとあるなって思ってるんですよね。
レニーはジョージの時間とか可能性を奪ってるし、ジョージはレニーの思考っていうか行動を規定しているっていうか、自主性を奪っているようなところがあって、
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そういう暴力を何か奪うことって定義したら、お互い一応奪い合いながら生きている関係じゃんって思うようなところが、その暴力目線で読むとあって、
それね、ジョージがラストで自分の手で終わるっていうことによって、その暴力から解放されたっていうような読み方もできるなって思ってますね。
なるほど、はい。
暴力の連鎖から。
全然そういうふうな視点で読まなかった、はい、なるほど。
奪い合っててもネガティブな感情、お互い一緒にいることがネガティブな感情はなかったわけだし、多少与えているところもあったと思うんですけど、
私はあんまりピュアな素敵な友情の二人組とは思えなくて、ちょっと歪んだ関係性だなって思ってたんですよね。
どう思います?
友情をどう定義するかとかって話かもしれない。
なるほど、なるほど、友情かか、そうか。
シンプルにただの友達とは言えないというか、二人の関係性を。
奪い合って依存してるから。
普通に見るとお互いに得意なこと苦手なことがあって、体がちっちゃくて賢いんだけどなかなか力を発揮できないから、
ジョージはそんな感じだからレニーに頼って、そうすると二人合わせると凸凹がはまって、農場みたいなところでもうまく働いていけるみたいなことなのかもしれんが、
それは奪い合いというか、俺はあいつのこの能力が欲しいんや、やるとうまくいくんやっていうのをお互いにやり合ってるっていうような構造にも読めるっていうことですよね。
そうそうそうなんですよ。
なるほど。
実際ただ一緒にいることによってお互い救われてるから一緒にいるっていう意味では確かに友情が成立してるかもしれないんですけど、
やってること自体は奪い合いだなって思って、与え合いにはなってないなって思うんですよね。
難しいっすね。難しいな。
っていうのがすごい気になった。
素敵な男の友情ものとは読めなかった。
確かに自分がこれを読んだ時に素敵な男の友情だなって思ったかでいうと、思わなかったかもな。
唯一綺麗な関係性みたいに描かれてたその主人公の二人のペアですら奪い合いで依存しているっていうところが、
全体的なやるせなさとか暴力的な世界観を抑えてるなと思いましたね、私は。
なるほど。最後のシーンを自分で今思い浮かべた時に、どっちとも読めるなって思ったんですよ、今。
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何かというと最後の最後、思いっきりネタバレになるからあれですけど、
ジョージって究極的にレニーから奪い去るものがあるわけじゃないですか。
はいはいはい。
いえいえ、それってよく考えると、夢を夢のまま描いたまんまその状態であるっていうことを、その状態のまま追われる機会を与えてるとも読めるわけじゃないですか。
そうそうそうそう、私がそう読みました。
校舎っぽく読んだってことですよね。
はいはい、そうです。与えて終えた。自分の奪うことをやめたって感じですね。
関係的にずっとお互いに奪い合う関係できたものを最後与えるってことで締めたってことか。
そう。で、奪うことから解放されたから、そういう意味でちょっとある種の不幸中の幸いっていうか。
全体的に悲しいけど、そこだけはハッピーな部分みたいな風にも読めるなって思ってました。
なるほど、全然そう読まなかったな。
小説のいいとこ、そういうとこですよね。全然違う風に考える。
確かにこう、なんて言ったらいいんだろう。
いろんな思いがある中で、奪い合いによって成り立つものが友情かって言われると直感的には違う気がしますよね。
なんて言うんだろうなぁ。そうだなぁ。
奪いたくて奪ってるわけじゃないと思うんですけど、そのペアも。構造的に奪い合いながら生きていくような感じだったなって。
悪意がある奪い合いの場合もあるじゃないですか。お互いに本音と建前があって。
仕事の現場でもあると思うんですけど、表面上は仲良くやってるんだけど、心の底ではお互いにノウハウを盗もうとしあっているみたいな。
それは本質的に信頼関係のある仕事の関係と言えるんでしょうかみたいな話はあると思っていて。
本音と建前が分離しているような奪い合いの関係だったら、なんか違うなと思いながら。
とはいえ、構造的にしょうがなく奪い合っているようなものって、
強依存っぽい魚に張り付いているちっちゃい魚が食べこぼしを食べながらやっていて、
でもそのちっちゃいやつはその大きい魚の表面を取ることによって病気になることを防いでますみたいな。
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強依存っぽいのも見方によっては構造的な奪い合いだったりするわけじゃないですか。
そう考えると、それはそれで友情かどうかわからんが、ハッピーな関係ではあるのかもしれないなって思ったりしました。
でもそれは捉え方なんだろうな。
奪い合いからの解放か、そういうテーマで全然考えてなかったな。
私思ってたのは、タイトルになんでハツカネズミいるんだろうなと思ってたんですよ。
これなんでなんですかね。
もともとこの小説を書く元の詩がトゥアマウスっていうのがあるからって言われてますよね。
トゥアマウス、スタインベック的な思いを乗っけるとしたらそこにありそうじゃないですか。
ハツカネズミってどういう存在なのかとか、この詩がどういう存在なのかとか。
ハツカネズミって実はすごい奪い合う生物だったりするんですからね。
どうなんだろう。
ハツカネズミと人間って並列にあるから、私はどっちも物化される感じの効果を狙ってるのかなって私は勝手に思っちゃいました。
そういうことか。
レニーがハツカネズミを簡単に殺しちゃうし、人間も簡単に殺されちゃうし。
トゥアマウスっていう詩は、人間によって巣をひっくり返されてしまう小さな生き物の驚きと嘆きをテーマにした詩みたいですね。
そうですよね。
なるほど。
どっちもあっけなく壊されてしまうものという意味では同じみたいな。
儚さっていうことなのか。
そういうことか、そういうことなのか。
だからやっぱりその構造としてのものの中で生きていて、それに振り回されながら生きているハツカネズミだったり。
別に人間もハツカネズミっていう物については大きい単位でハツカネズミに影響を及ぼせるけど、人間の上にはまた別の構造があるってことなんだな。
なるほど。
そう考えると奪い合いの構造ってことなんですかね。
そうかもしれないですね。
人間のものを生きている社会っていうのは。
特に不景気の時は奪い合いになりがちですよね。
いや、ほんとそうだな。
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ただ、豊かな時はパイを奪い合うんじゃなくて、新しいパイを作るみたいなビジネスとかも出てくるじゃないですか。
はい。
だからそういう仕事をしていきたいですよね。
いや、ほんとそうなんだよな。
やっぱりパイの奪い合いはダサいですよね。
辛くなると、言ったらレニーもジョージもギリギリのところで生きてるわけじゃないですか。
はい。
だからそうなると、二人の関係性って奪い合いになっちゃってるけど、もうちょっと景気が良くなって、二人がもう少しハッピーな関係になっていたら、
同じような構造だけど、奪い合いじゃなくて与え合いに見えるような関係性になるのかもしれないですね。
ああ、でも確かにそうかも。世界恐慌だからってのはありますよね。
絶対日給とかすごい安いし、劣悪な生活環境だと思うから。
そうですね。
だから少し景気が、上り上司の時の二人を見たかったな。
ね。
そしたらもっと微笑ましいもので見えたかもしれない。素敵な。
そう思うと、最初にミキさんがハッとしたって言ってたキャンディがお金を渡した後のシーンって、
言ったらフッて湧いたようなものなわけで、誰もアンハッピーにならない奪い合いじゃない構造がそこに突然ポッて生まれたわけじゃないですか。
それでしたね。だからたぶん私はすごい胸を垂れたんですね。
暴力嫌だ、奪い合い嫌だって思いながら読んでたから、ここだけこう、そうそうだ、すごい、そういうことですね。
スタイン・ベックはよく書いてますね。お前誰やねんって話ですけど、スタイン・ベックは上手く書いてるんですね。
本当に人間を描けてる。本当に80年前の人と思えない、たぶんこういう人いるっていう人を描いてますよね。
ねー、洞察なんでしょうねー、そういうことなんだろうね。
いやー、なるほどー、このトゥーアマウス、今私もう日本語の訳してもらった版を読んでますけど、なんか、なんていうんですかねー、この、いい詩ですねー。
なんか私のこの文庫のあと書きに7節だけ載ってるんですけど、読みます。
ハツカネズミと人間のこの上なきくわ立ても、やがての地には狂い雪、後に残るはただ単に、悲しみ、そして苦しみで、約束の喜び、消え果てぬ。
ちょっと耳で聞いたらあれかもしれないですけど。
この小説。
うわー、っていう感じしますね。
約束の喜び、消え果てぬ。
切ない。
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そうですかー、そうですかー。
いやー、小説を読むっていうのもいいですね、なんか、なんていうんだろう。
だいたい本について話してみようってなると、YouTubeチャンネルとか見ると、なんか、あなたの作業効率を10倍にする何か、みたいなやつじゃないですか。
そういうの嫌なんですよ。
突然のディス。
突然のディス。
いやー、でもなんかこれはすごく、なるほどなー、うきさんの視点を聞けてめっちゃ良かったっすねー、そうかー。
私ものどみさんの視点が聞けてめっちゃ面白かったです。
やっぱり、人は自分の文脈で文章を読んだり。
そう、めっちゃ読むんだなって思いました。
人の話を聞いたりしてるんですね。
そうですね、これからもバイアス、自分の視点は常にバイアスがかかってるってことは忘れちゃいけないです。
いや、ほんとそうですね。いや、ほんとそうだけど、でもバイアスを持ってるからこその価値なんでしょうね、自分なりの見方とか。
そうそう、ただ、そうですね、バイアスをなくそうっていうか、バイアスがあることを忘れちゃいけないなって。
ねー、ほんとにねー、ほんとそうなんだよなー。
なんかこれいうのって、読むと自分の中から何を染み出してくるかを観測しなきゃいけない系の本ですよね。
うーん、そうですね。
いやー、面白かったなー、これ。
次何にしますか?
次何がいいですか?
またのぞみさんのターンですよね。
私のターン、何にしようかなー。これどうですかっていう提案なんですけど。
はいはい。
あのー、エイリッシフロムっていう人が書いた。
あー、あの愛、愛と。
愛するということ。
愛するということか。
愛するということ、どうですか?
あ、いいと思います。
だって私それ、あのー、18歳の時に、無体証明の会社でバイトしてたんですけど、そのバイト先の社長からも勧められました、それ。
でも読んでなかったけど。
18、18の女の子に愛するということを勧める社長はなかなかすごいですね。
まあ、卒業前、21くらいだったかもしれない。
いやでも、なかなか、なかなかの。
はい。
だからちょっと、18年越し?
はい。
くらい、約10年越しに読むか、社長のオススメにもある本を。
あのー、思いとしては、ちょっとこう、暴力というか力をみんさん感じているようなので。
ちょっとこう。
勝手にね、勝手に感じているだけですけど。
対極にあるとよくみなさんが言う愛を、愛をテーマに。
はいはいはいはい。確かに。いいですね。
私も改めたら、ちょっと愛するということを見てみようかなと思っているので。
あ、確かに。あ、じゃあ次は愛するということでしましょう。
ぜひそうしましょう。
はい。
なんかいい感じに1時間半くらいですね。
そうですね。なんか意外とこんなに薄い本、話すことなかったらどうしようと思ったんですけど。
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寄り道しながらいっぱい話せましたね。
ぜひあの、チョコレートドーナツも映画見てみてください。
わかりました。
今まで見た映画の中でトップ5に入るくらい衝撃的かつ。
あ、そうなんですね。
いいというか、いろんな、何て言うでしょう、何かをくれた本でした。
うーん。じゃあちょっと見てみます。
ぜひぜひ。
はい。
じゃあそんな感じでまた読んでやりましょう。
はい、じゃあまた。はい、次回は愛するということで。
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