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こんばんは、工藤郁子です。今日は、2024年3月28日、木曜日の夜です。
5回目の声日記を配信します。
これまでの声日記で、いろんな方たちに圧をかけ、声日記を始めたり、戻ってきたりする後押しをしてきたというお話をしてまいりました。
そろそろこの話題も打ち止めだろうと思っておりましたら、期待の新人が現れました。
それはですね、一緒にポッドキャスト働き者ラジオをやっているライターの山本ぽてとさんです。
身近なところから現れました。
山本ぽてとさんが始めた声日記のタイトルは、ぽて日記です。
そして初回配信がされておりまして、そちらのタイトルは沖縄の魚です。
ぽてとさんは普段は東京都内にお住まいなのですが、
ご実家は沖縄県で、ちょうど今帰省をされているんですね。
それでご家族とランチに行って、イカ墨汁という食べ物と、あとお刺身を食べたというお話をしていました。
そこから沖縄のお刺身っていうのは、一般的なお刺身のおいしさとはちょっと別のベクトルにあるおいしさがあるんだということをおっしゃっていて、その描写がとっても興味深かったです。
それで初回タイトルの沖縄の魚というものだけを見て、私はなんとなく魚を眺めるお話なのかなっていうことを思い浮かべながら聞き始めたんですけれども、
実際のところは先ほどご紹介した通り、食べる方のお魚の話をされていました。
ちょっとギャップがありましたね。
このギャップは多分沖縄を住む場所としているかどうかにかかっているのかもしれないなというふうに思いました。
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そんなですね、住む場所とか故郷としての沖縄を、実は山本ぽてとさんはエッセイとして書いていらっしゃいます。
そして踊れないガールというZINE、自主制作した本として公表されています。
踊れないガールは沖縄を舞台にいろんな人たちとの交流を回想する、思い返すエッセイ集です。
踊れないガールというZINEはいくつかのエッセイが収められているんですけれども、表題作である踊れないガールにはこんなくだりがあります。
沖縄では踊る機会がたくさんある。運動会や学芸会だけではない。地域のお祭りもあれば、結婚式もある。
それだけではない。あらゆる会が頻繁に催され、会は、かぎやで風という踊りがなければ始まらず、カーチャシーという踊りがなければ終われない。
特にこのカーチャシーが癖ものでフリースタイルダンスなのだ。踊りの形は肩より上に手を上げ、手首をグニャグニャと動かす以外、決まっていない。
それゆえに技量の差が露骨に出てしまう。しかも自由参加だ。かといって本当に自由参加なわけではない。
そして沖縄の人たちの踊りを見る目は肥えている。誰が上手くて誰が下手くそなのか一目でわかってしまう。
私はこのくだりを読んだときに、改めて沖縄って踊る文化なんだっていうことに気づかされました。
私は東京都出身なので、学芸会とか運動会ぐらいしか確かにみんなの前で踊る機会はない。
あるいはクラブとかぐらいしかないので、そうか踊る文化なんだっていうことを改めて認識しました。
でもタイトルにある通り、山本ぽてとさんは踊りが苦手だとおっしゃるんですね。
こういうことも書かれています。
私は大体人の後ろに隠れながら輪の中に入ったふりをして手首をグニャグニャする。
でも私は165センチと沖縄女性の中では長身でなかなか隠れることができない。
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腕はどんどん下がり、顔は引きつってくる。
下手くそだと思われているんだろうな、と考える。
背中のあたりがもぞもぞする。
曲が終わると拍手に包まれる。
空気が高揚している。
みんな笑顔で席につく。
私は背中をできるだけ小さく小さくしながら人の流れに沿って歩く。
そのまま歩いて東京に出てきた。
この箇所について、とある方が、まるで映画みたいな映像が浮かんだとおっしゃっていました。
踊って歩く足元だけがまずズームインされていて、そこからだんだんフレームが広がっていって
ズームアウトしていって東京の雑踏がパッと見えると、見えたと評していました。
そういう映像が浮かんでくるようないいエッセイですし、そしていい書評だなというふうに思いました。
そしてですね、私は先ほど言った通り、踊る文化の中にはいないけれど、
でも自分のことのようにも感じられました。
エッセイの中でも書かれているんですけれども、
踊れないっていうのは、その世界のリズムにうまく乗れていないっていうことだっていうことが表現されているからです。
この世界のリズムにうまく乗れないっていう経験は、きっと誰しも何らかの形で感じたりしたことがある普遍的な体験だと思うので、
そういう普遍性を感じさせる、あるいは共感をさせる素晴らしいエッセイだなというふうに思います。
そしてですね、そんな素晴らしいエッセイストでもある、
山本ぽてとさんと私がやっているポッドキャスト、働き者ラジオなんですが、
今朝、木曜日なので、最新回が配信されました。
テーマはですね、締切です。
今現在も、今なお締切に苦しんでおりますので、
締め切りとの向き合い方、いなし方、または逃げ方とか、処し方について聞きたくてですね、
書評家の倉本さおりさんをゲストにお迎えして、いろいろお尋ねしました。
いろんな名言が飛び出してきて、すごいしみたので、
こちらもぜひ、もしよければ聞いてみてください。
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では、今夜はこんなところで。
それではまた。
おやすみなさい。