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2023-09-28 09:09

7.メバルの生態②【高水温耐性と塩分濃度の関係】

メバルの生態第二弾です。 【参考文献等】 ・ 阪本 憲司, 品川 良樹 「異なる塩分下におけるメバル類の高温耐性」福山大学内海生物資源研究所報告(2019) 【Instagram】 https://instagram.com/fishpod_roku?igshid=MjEwN2IyYWYwYw== 【Googleフォーム:ご意見・ご感想・次回配信して欲しい内容などはコチラへお願いします】 https://forms.gle/b6NmWPnHCjRTYFLq7 【コーヒーの差し入れ(100円のご支援)はコチラ】

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サマリー

「メバルの生態第2弾と題しまして、水温耐性と塩分濃度の不思議についてお届けします。福山大学の純教授の研究結果によると、メバルは半分海水半分淡水の環境が最も高水温に耐えられることがわかりました。」

メバル高水温耐性の実験
みなさんこんにちは、ロクです。 さて今回は、メバルの生態第2弾と題しまして、水温耐性と塩分濃度の不思議という内容でお届けしたいと思います。
適水温は15℃前後と言われ、高水温、高い水温には弱いとされるメバル。
突然ですが、そんなメバルが一番高水温に耐えられる環境というのは次のうちどれだと思われますか?
① 海水
② 淡水
③ 半分海水半分淡水
いかがでしょう?考えられましたでしょうか? 答えは③の半分海水半分淡水という状態です。
え?なぜ?と思われた方も多いかもしれませんが、その疑問に対する答えも後ほどお話ししていきます。
さて今回の内容は、福山大学純教授の方の研究結果をご紹介していきます。
参考文献として概要欄に記載をしておりますので、興味のある方はご覧になってみてください。
まずですが、ものすごく簡単に実験内容を説明します。
水槽の中に15リットルの海水、海水と淡水を混ぜたもの、淡水をそれぞれ別に用意して、
それぞれの水槽に捕獲してきたメバルを10匹ずつ入れまして、ヒーターで加熱する。
最初は13度でスタートするんですけれども、10分ごとに水槽内の温度を1度ずつ上げていって、高温耐性というのを確認していくというものです。
最終的に26度まで上昇させるのですが、途中23度、おそらくここがメバルが弱り始める温度ということだと思いますが、
ここからは急な温度変化で弱りすぎないように、非常にゆっくり時間をかけて温度を上げていくという形をとられています。
これは非常に簡略化して説明しているので、ご興味のある方は文章を読んでいただきたいんですけれども、
非常に細かい条件を揃えたりとか、温度変化以外のストレスをメバルに与えないようにする努力が細かくなされています。
余裕のある方はぜひ見ていただきたいなと思います。
気になる結果ですが、水温26度時点で海水では生存率が2割、
海水・淡水・半々の状態では8割。 淡水では温度が上がりきる前に残念ながら全滅という結果が得られたそうです。
海水では生存率が2割、 海水・淡水・半々の状態では8割。
いかがでしょうか。想像以上に差があることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。
直感的には通常生活している環境である海水が生存率が高いと思われた方も多いと思います。
では、なぜなのか。 冒頭の問いかけの答えでもありますが、理由は浸透圧ではないかと論文では考察されています。
浸透圧というのは、濃度の異なる水を隣り合わせにした場合に、同じ濃度になろうとして濃度の薄い方から濃い方に向かって水分が移動する力のことを言います。
浸透圧による影響
実はメバルに限らず、魚は体内と周りの水の間に起こる浸透圧による影響を軽減するために、エネルギーを使って絶えず調整を行っているんですね。
前提として、魚の体には若干の塩分が含まれていて、 これは淡水魚と海水魚で違いはあるんですけれども、だいたい1%前後くらい含まれると言われています。
これに対して海水の塩分濃度は3% 淡水は0%
つまり、魚の体と周りの水の塩分濃度が違うということです。 メバルに関してご説明すると、周りの海水の方が塩分濃度が高いので、何もしないと体の水分が外に出ていってしまいます。
その水分を補給するために、口から海水を飲み込んで、 その中から水分だけを体内に吸収する。
反対に、不要な塩分はエラや尿から排出するという行動を行っています。 これは魚にとって一定のエネルギーを消費する行為のようで、
降水温で弱っている中で、周りが海水という環境だと塩分調整にエネルギーを使い果たしてしまい、結果として早く弱ってしまったのではないかと考察されていました。
ちなみに、反対に淡水魚は体に入ってくる水分を積極的に外に出す必要があるので、 大量の尿により排出することが知られているそうです。
もちろん、魚が生活しやすい条件というのは、この浸透圧以外にもたくさんあるので、 今回のその研究結果だけを見て、淡水混じりの方がメバルが住みやすいということはもちろんないと思います。
あくまで通常は完全海水化で生活をしているので、基本的にそちらの方が快適なんだと思いますが、
様々な生活環境の要素の中で浸透圧だけ切り取ってみると、特定の条件下ではこういう塩分濃度が低い方がストレスがない場合があるということだと思います。
なので、長時間淡水混じりのこういった場所にいられるわけではないとは思いますが、 思ったよりは淡水混じりのエリア、いわゆる気水域と呼ばれる河口などのエリアですが、ここは魚にとって居心地が悪いわけではないのかもしれないなと思ったりもしました。
なので、今回の実験結果を見て私が感じたのは、これは日本中あらゆる場所でメバルがベイトを追って気水域まで入ってきても全然不思議ではないなということです。
特に春先などの小型のベイトが疎上し出すシーズンというのは、 エサが豊富な河口域に入ってくる可能性が高いような気がします。
実は、メバルが河口域でベイトを捕食するというパターンは一部で知られてはいまして、 川メバルで検索するとそういった記事も出てくるんですけれども、
正直個人的な見方としては、特定地域の特殊なパターンなのではという見方をしていた面もこれまではありました。
ただ、こういった研究結果を踏まえると、意外に身近なところも含めて、広くいろんなところであり得るパターンなのかもなと考えさせられました。
特にですが、日本海側の人、私も含めなんですけれども、 メバリングシーズンは北風が強くてですね、釣りができる場所がかなり限られることも多いです。
河口というのは波の影響も比較的少ないので、開拓できればかなり大きな武器になるのではないかなと思いました。
私も実際に今シーズンは河口でのメバリングというのもトライしてみようかなと思っています。
本当に安定して釣れるようなパターンが見つかれば、また改めて皆さんにお話しできればなと思います。
今回はメバルの生態第2弾ということで、水温体制と塩分濃度の関係性という、 またまたマニアックな内容をお話ししてきました。
たまにはこういうディープ目なお話も続けていけたらなと思っています。 このポッドキャストへのご意見、ご感想、質問などありましたら、概要欄のフォームやインスタグラムのメッセージからお願いします。
ではお聞きくださりありがとうございました。
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