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2024-02-26 11:22

『能動的推論-心、脳、行動の自由エネルギー原理』ミネルヴァ書房(2022)/Active Inference: The Free Energy Principle in Mind, Brain, and Behavior.(2022)

サマリー

フリストンは神経科学者であり、自由エネルギー原理に基づいた能動的推論について述べた本『能動的推論-心、脳、行動の自由エネルギー原理』が紹介されています。

能動的推論の理論とフリストンの提案
LISTEN to books、これが16冊目の紹介になります。
能動的推論、これなかなか紹介が難しい本なんですが、カール・フリストンという方がいまして、この方が、脳の大統一理論の仮説を打ち立てたということなんですね。
神経科学者であるフリストンが提起した自由エネルギー原理、フリーエナジープリンシプル、これで全てを説明できると。脳の活動としてね、
能動的推論を行っているんだと。これだけじゃわからないかもしれないんですが、
ヒト、ホモ・サピエンスがいろいろなものを知覚する、そして認知する、運動し思考する、そして意識を持つ。
これらの活動をすべて、この第一原理、自由エネルギー原理から説明できるという大統一理論だと言われるんですね。
脳科学における、いま一番大きな仮説になってるんですね。
この本は非常に、ある意味読みやすいんだけど、ある意味読みにくい本です。
おそらく文科系の方はほとんど読める方いないんじゃないかなと。
理系の方もどうなんでしょうね。こういうのは読みやすいんですかね。わかりませんが。
とにかく自由エネルギー最小化ということの原理ですべて動いてるんだと脳はね。
そのときの脳の活動ってのは能動的推論なんだという、そういう話をするわけですね。
そこからいろんな予測とか、あと私は社会学とかも勉強してきたんですけど、いわゆるオートポイエーシスの議論とかね。
それから自己組織化とかいう議論とか、こういったことも説明できると。
さらにもっと複雑な人間の予測活動といったものも、
実はこの自由エネルギーの最小化というふうに脳が動くことで能動的な推論が行われて、
何の話してるかわからないかもしれませんけれども、
結局、自由エネルギー最小化という要請を満たす方向で動くんだという話なんですね。
これはもう私は脳科学者でも神経科学者でもないので、それを検証する術も持たないし、
そういう意欲もないんですが。非常にいろんなこと、
これまでいろんな社会学のモデルとか社会理論のモデルとかで言われてきた、
自己組織性とかオートポイエーシスとかっていうことも、
これも理系の自然科学の領域から輸入されたものなんですが、社会科学の中にね。
こういったことも、ほぼいろんな疑問が説明がつくなという、
これでいくとね。ということで、とても魅力を感じているということなんですね。
この本を私がこなして紹介することはできません。
できません。今勉強している最中です。
なんとか消化してから紹介しようと思っていたんですが、
消化し終わる頃には紹介できずに、私の命が、寿命が消化されてしまうという感じもしたので、
脳の活動と自己組織化
思い切って紹介してしまおうということなんです。
このカール・フリストンの自由エネルギー仮説に基づいて、今いろんな検証が進んでいるということですね。
この本自体はフリストンはそんなに書いてなくて、むしろその仮説を受け止めて、
トーマス・パーという人とジョバンニ・ペッツーロが書いてるやつなんですね。
これはもう本当に領域多岐に渡ってるんで、細かい中身は紹介しません。
もし興味ある方はAmazonのリンクを貼っておきますので、
そこで目次とか解説とかレビューとかある程度出てますので、それを見ていただくのと、
あとはやっぱり脳の大統一理論ということで検索すると結構引っかかってくると思います。
とにかく人間のホモ・サピエンスの心や脳や行動の動き、
これまで心理学や社会学で取り上げられてきたことがら、
こういったこともすべて脳の自由エネルギー原理で説明がつくと。
そのときの中心概念がこの能動的推論、アクティブインフェレンスって言うんですけどね。
アクティブインフェレンスって言うんですけども、そういうことで説明できるということです。
英語のタイトルがアクティブインフェレンス。
これで心から脳から行動からすべて説明できるという話なんですね。
これ2022年に出て、それがその年のうちに日本語にも翻訳されて、
おそらくこの領域に興味関心を持っている方は、
これをまずは消化して、理解して、それを出発点にしないと、
話が始まらないようなことになっているような本であろうという気がしますね。
私、詳しい学会の状況とかはわかりませんけれども、
私のこれまで学んできたこととの関連で言うと、
とても刺激的な本だなというふうに思っています。
私が喋ると冬一郎くんが、北海道犬の冬一郎くんを飼っているんですけども、
邪魔しに来ました。彼もポッドキャスターになりたいということで。
これでちょっといろいろ考えるのは、この犬の脳も実は同じく
自由エネルギー原理を最小化する方向で、
能動的推論をしながら行動しているんですね。
犬の心や脳や行動というのも、実はこの自由エネルギー原理の最小化という脳活動、
能動的な推論を今、我が家の北海道犬冬一郎も行っているからこそ、
私のこの収録を邪魔しに来るということなんですね。
これが一体どういう能動的推論なのかということは、
これからいろいろ考えたいと思いますが。
それで関連して、実はこの本に言及したポッドキャストのエピソードはすでに何本かありまして、
私が持っているプライベートリッスンという番組があるんですが、
能動的推論と学際的な研究
そこで今、社会科学の方法論を
脳科学・神経科学の最新の成果も踏まえながら再構築しようということで、
まだ出発点に立ったところなんですけれども、
そこで依拠しているのが、このカール・フリストンの能動的推論の原理ということなんですね。
これを出発点にしようということで、その出発点にたどり着くまでの経緯、
あとこの能動的推論を私なりに紹介して、理解しようとして、
しかもそれを社会科学的な議論にもつなげたいということで、
試行錯誤しながら、整理されないまま語っているエピソードがあります。
プライベートリッスンの15個目のエピソードから22個目のエピソードですね。
これリンクを貼っておきますので、よろしければそちらも読んでみていただくと、
一緒に考えていただけるかなと思います。
ぜひこの専門分野に詳しい方がいたら、
できたらなるべく脳科学の専門の方ではなくて、
これを前提に社会科学方法論とか自然科学方法論を構築しようとするとどうなるのかというあたりで
議論できる方がいろいろリアクションいただけると、とても私としては嬉しいんですけれども。
専門家の意見も含めて、いろいろこのあたり、どう議論が展開しているのかいないのか、よくわかりませんが。
おそらく一番問題だと思うのは、今はもう科学の専門分化が進んで、
自分の専門領域、たとえば政治学なら政治学の中でもさらに細かいところしかやってないので、
こういう脳科学の成果とか、あるいは古代DNA研究の成果とか、
今のホモ・サピエンスの歴史、あるいは類人猿の比較研究、霊長類ですね。
霊長類社会の比較研究とか進んでるんですけど、
そういったことをやっぱり社会科学の、ホモ・サピエンスの社会の科学のベースとして使おうという人が
あんまり出てこないのが非常に面白くないなということで。
アカデミックな研究者の中ではそういうことが出てこないし、
職業としての大学教員になってしまうとむしろそういうことができない。
自由な発想での自由な研究ができないなんてことも起きててね。
これはかつてマックス・ウェーバーが言ったね、
もう専門人っていうのは魂を失っていくんだっていうふうに言いましたけども、
そんな状況を感じる今日この頃でね。
なかなかアカデミックな世界で面白い議論がほとんど出てこないっていうのもつまんないなと思ってるので、
私は大したことできませんけども、
少し思いつくことはね、いろいろ自由に整理されないままに、
少しまき散らしてみようかなっていうことでこんな本の紹介もしてるわけです。
これをポッドキャストで配信するっていうのは、
この能動的推論っていうキーワードが検索で飛んで、
なんかわけわからずにしゃべってるやつがいるぞと、
でもこの本は自分も面白いと思って注目してるんだなんて人がもしかしたら見つかるかもしれない。
それから、その能動的推論ということで検索して、
そこで引っかかって私のプライベートリッスンに行って、
なるほど、こういう繋げ方もあるかと思う人ももしかしたら出てくるかもしれない。
本当にメッセージインアボトルで、
ボトル届いても読んでポイと捨てられちゃうかもしれないんですが、
こうやってリッスンtoブックスで流してみてるということです。
カール・フリストン、トーマス・パー、ジョバンニ・ペッツーロの書いた本です。
翻訳は乾敏郎さん。
ミネルヴァ書房です。2022年。
ではまた。
11:22
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