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チャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。今日は、錦見映理子さんの『恋愛の発酵と腐敗について』という本について話してみようと思います。
太宰治武将作家が描く大人の恋の群蔵劇。人生の経験を積んだ大人でも恋愛だけは不器用なまま。太宰治武将受賞後第一作。錦見映理子が大人の恋と人生を鮮やかに紡ぎ出す。
不倫の恋に敗れ、勤めていた会社を辞めたマリエ。知らない町で夢だった喫茶店を開き、ここで穏やかに暮らしていこうと決心する。そんな夜先、店に奇妙な男が現れる。その男、ドラノスケは商店街の一角にできたパン屋で働くパン職人。
仕事においては高い技術を誇り、実直な職人気質の男だが、子と女に関してはだらしないことこの上なく、町の女たちが翻弄される。そんなある日、自由奔放なドラノスケに振り回されてきた女たちに厳しい現実が突きつけられる。その後、女たちに予想外の結末が訪れる。
アップルブックス限定先行配信。有料小説ランキング1位を獲得した小説、待望の書籍かということで。
作家の西木美恵梨子さんはスタイフでチャンネルをお持ちの方ですね。ちょっと配信聞いてみましたけれども、この恋愛の発行と腐敗についてが刊行される記念のスタイフ配信とかされていましたね。
この本はですね、私2022年5月に買っていて、自分としてはね読んでないつもりでいたんですよね。
で、そのことをすっかり忘れて、つい最近なんかのインスタかなんかでこの本の表紙をねパッと見て、これ読みたいと思って。
アマゾン検索したら2022年に買ってるやないかっていうことで、慌てて本棚を探し、いやないないと思って。
あった!やっぱ私これ寸読にしてたんだなぁと思って読んでみたら、なんかね、なんとなく先がわかっちゃうんですよ。
もしやってことで、もうちょっと頑張って読んでいたんですけど。
やっぱりね、一度読んだことがある本でしたね。だから買ったタイミングで私読んでたんでしょうね。
もうそのことすっかり忘れて、買おうとした挙句に、寸読してたなんてね。
いや恐れていたことがついに起き始めたなぁという感じです。もう自分がどの本を読んだか覚えてられなくなってきました。
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はい、まあそれはいいとして、恋愛の発行と腐敗についてってことでね。
あの、虎之助っていうパン屋の職人が出てくるんですよ。
この人はですね、誰かのものにはならない男なんですね。
あの、独占してはダメなんです。こういう人っていうのはね。
でもわからず、特に傷ついてる人とか弱ってる女とか、恋愛にあまり経験がない人っていうのはそういうのをわからずね、ズブズブっと言っちゃうんですよね。
ズブズブっと言っちゃって、自分としては多分すごい気持ちいいんですけど、まあそのうちなんかおかしいみたいなことになってきて、
あ、この人、私のものにならない人なんだ、なんて思った時にはね、もうかなり逃れられないところまで行ってしまっているみたいな。
そんな、あの、最初からね、そういう男だと見抜ければ、それなりの付き合い方がいいのかもしれないんですけど、
まあいいとこどりっていうんですかね。美味しい思いだけさせてもらうみたいなことができるのかもしれないんですけど、
なかなか最初からそういうことは見抜けないので、そこで不幸になってしまう女性のお話。
でもそれだけで終わらないのが、この本のめちゃくちゃ面白いところなのかなと思います。
そんな虎之助に絡めとられてしまう女性が3人出てきていて、1人はマリエですね。
マリエが主人公なのかなと思うんですけれども、マリエは勤めていた会社で、上司と不倫関係にあってね、
それもマリエはですね、流されてそういう関係になってしまうっていう、一方的に言い寄られてしまうんですね。
妻子持ちの上司に。で、しょうがなく流されて付き合ってしまったら、妻にバレて、もう会社は辞めざるを得なくなって、
もう嫌気がさして、商店街の一角で喫茶店を開く。でも思ってたより喫茶店ってうまくいかない。
どうしようかなと思っている時に、パン屋の虎之助と出会って、最初はこの人のパンでメニューを出せば、この喫茶店復活できるかもみたいなところが最初のとっかかりだったんですよね。
でも、一緒にパンを作っているうちに、ちょっとずつ惹かれてしまっているような、でももう男なんてゴリゴリって思っているマリエ。
で、そこに集う女性客として出てくるのが、40代のサナエですね。
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サナエは9年前に夫を亡くしていて、ずっと一人でスーパーのレジ打ちをして暮らしている。
化粧気もないし、オシャレをする気もないし、特にふさぎ込んでいるわけでもないし、ただ色のない人生を送っているっていう感じの女性です。
そこで虎之助のパン屋さんに行って、虎之助に出会ってしまう。
どうしちゃったんだろう私っていうぐらい、出会った瞬間に惹かれてしまって。
で、その日のうちに寝てしまうみたいな。
で、そこからサナエのちょっとした地獄が始まるわけなんですね。
で、3人目が虎之助の妻であるイツコさんですね。
イツコさんは年齢は多分50代とかなのかな。
結構大人で、スナックのママなんですね。
で、虎之助のことを結構放任主義にしていて、2人は別々に住んでるんですけど、かといって全く関係がないわけじゃなくて、虎之助は週に1回ぐらいイツコさんのところに泊まりに行くっていう。
で、そんな虎之助をイツコは可哀想に思う。
そして、そういう虎之助に恋愛をしてしまう女性たちのことも同じぐらい可哀想に思っているっていう。
この人はね、ちょっとこの中ではメタ視点で、この商店街の虎之助に惚れる女たちのことを見てたりするんですね。
で、2番目に出てきたサナエさんがですね、虎之助に続婚になっちゃって、この人がある事件を起こすわけです。
で、それによって、それまである程度均衡が保たれていたマリエ、サナエ、イツコさんとその中心にいる虎之助の関係が、均衡を保てなくなって崩れていく。
それによって、マリエの喫茶店っていうのも窮地に追い込まれていくんですけれども、
そこでなぜか女性たちが、女たちっていうタイトルになっている章があるんですけれども、どうやってその危機を乗り越えるかみたいなところがこの小説の一番の醍醐味で、
すごく面白い。ドロドロの、ダメンズに惚れる女たちっていうだけじゃない小説だなっていうのはその連帯する部分にあるのかなと思いますね。
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そういうところが入っているので、この小説はすごく面白いし、
タイトルになっている腐敗について、恋愛が腐敗していく人と人との関係を腐れ縁なんて言ったりしますけれども、
本当にその腐れ縁みたいなものが、いろんなところに出てくる小説なんですよね。
でも、人と人ってそんな簡単に腐ってるからって切れなかったりするし、自分でその腐ってる状況に気づけなかったりするんですよね。
で、前半は結構ドロドロっとした感じなんですけど、最後はそれを乗り越えていく女たちの動きが、
すごい爽やかで、とても腐敗とは結びつかないような小気味の良い終わり方ですごく良かったなと思います。
発行についてはですね、虎之助がパン屋職人なんですけれども、
この人は小さい頃に母親と一緒にこねたパン生地、その柔らかさに魅了されてパン職人になった人なんですよね。
で、この人は女にだらしがないというか、すぐ好きになられちゃうし、すぐ寝ちゃう男なんですけど、
だいたい虎之助と寝ちゃう女っていうのは、なんていうか、しぼんでるんですよね。
パン生地でいうと、うまく発行できていない状態。パンの生地って、酵母がうまく機能すると、時間を置いている間に1.5倍ぐらいに膨れ上がったりするんですよ。
で、そのパン生地を膨らみを潰さないようにこねていくっていうのがパン職人の腕の見せ所なんですけれども、
うまく発行できなくて、しぼんでる女は虎之助気になってしょうがないんですよね。
そういう女を寄せつけてしまうし、自分も何とかこの子を膨らませてあげたい。
パン生地を発行させるかのように、そういうしぼんでる女を発行させてあげたいって思っちゃうっていうのが虎之助の良いところでもあり、
うーん、なんていうか、それであんまり人が幸せになってないのかもしれないっていうところでもあって。
発行っていうのは虎之助が扱うパンの生地の話だけではなくて、ここに出てくるマリエやサナエのことでもあるということですね。
発行しすぎちゃうと、パン生地って偉いことになっちゃって、それをこねて焼いてもスカフカで美味しくないみたいなことになるんですけれども、
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そうなっちゃったのが2番目に出てくるサナエなのかなっていう感じですね。
だからね、すごくよくできているなと思います。恋愛を発行と腐敗に例えているっていう、その中心にいる虎之助はパン屋職人っていうね。
虎之助はそのパン生地がすごい好きで、絞んでいる女性を発行させて元気にさせることがすごい好きで、だけじゃなくて自分もそういう柔らかさを持つ女性を求めているんですね。
それで離れられないのが妻であるイツコさんなんですよね。それをイツコさんはよくわかっていて、
どこか虎之助のことを可哀想だと思っている。そのイツコさんの器の大きさというか、愛情の深さみたいな、全てを包み込んでいくイツコさんっていうのが、虎之助だけではなくマリエやサナエを救っていくことにも繋がっていくっていう。
それもすごくよくできているなぁと思いました。
まあ何にしてもこの商店街の人たち、すぐ虎之助と寝ちゃったり、恋愛がうまくいかないからって極端な行動に出ちゃったりするんですね。
今名前挙げた人たち以外にも商店街の人たち、何人か出てくるんですけど、その人たちはちょっとね、変わってるんですよ。
それはエッセンスになってたりする部分もあって、
自分だったらこの商店街、お客さんとしてね、通いたいけれども、当事者にはなりたくないなというふうに思いましたね。
そうなんですよ。だから、三角関係とか四角関係って旗から見ているから、あの分かる部分もあるし、ハラハラドキドキしたりするんですけど、当事者からしたらもうほんとやめてくれってことなんですよね。
それがよく描かれていて、それだけじゃない最後にはこうやって女たちは起死回生をしていくっていうところがすごく良い小説だったなと思います。
これ繰り返し言ってますね。すごくそれが私にとって良かった部分なんでしょうね。
なので、女性は割と傾向的には恋愛と生活を結びつけて考えやすいのかなと思います。
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好きな人ができたら生活を共にしたいと思うし、その先に結婚とか家庭を持つっていうことを自然とイメージする人が多いのかもしれないなと思うんですよね。
相手がそうだったらいいんですけど、虎之助はそうじゃなかったというところに、この商店街で起きる恋愛ドタバタコメディーの不幸な部分があったりするのかなと思います。
でもそれだけじゃない。後半のマリエとかサナエっていうのは、そんなことを一切乗り越えて切り替えていくっていう部分は、
恋愛で疲れている人とか、どうしても恋愛中心の生活になってしまう、自分に嫌気がさしてしまう人からすると
別の道もあるようだったり、新しい気づきになったりする、そんな部分もあったりする小説なのかなと思います。
なので、もし恋愛のドロドロだったり、ずるずるした関係に疲れていてっていう人はこの本を読んでみると、もしかしたら面白いのかもしれないなぁなんて思いました。
ということで今日は、西木美恵梨子さんの恋愛の発行と腐敗についてという本について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。
ではでは。