1. SCP話
  2. #189 SCP-2997-JP - 停泊
2023-09-15 40:45

#189 SCP-2997-JP - 停泊

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紹介SCP/Tale

タイトル: SCP-2997-JP - 停泊
作者: pictogram_man
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-2997-jp
作成年: 2020
ライセンス: CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/

#SCP #SF #朗読
00:04
スピーカー 2
アイテム番号 SCP-2997-JP オブジェクトクラス ユークリッド
スピーカー 1
特別収容プロトコル SCP-2997-JPは現在までのところ、効果的な収容法がありません。
SCP-2997-JPの出現の可能性があるドックには、すべて監視カメラが設置してあり、対象識別AIがSCP-2997-JPを確認した場合、すぐに収容班が出動します。
スピーカー 2
SCP-2997-JPの出現後に優先される措置は、出現場所の周辺地域への最低限の偽装情報のルフです。
スピーカー 1
2056年現在、SCP-2997-JPは第878号無人衛星ドックに存在しています。
スピーカー 2
財団は当該ドックの使用を一時的に停止し、監視兼用収容施設として利用しています。
スピーカー 1
説明 SCP-2997-JPは老いた男性の姿をした人型実態です。
SCP-2997-JPの出児、経歴、年齢、国籍などは不明です。
唯一の所有物である本は、SCP-2997-JP-1に指定されています。
SCP-2997-JPは外部からのいかなる問いかけにも反応を示さず、外部から強制されない限り、
スピーカー 2
SCP-2997-JP-1を胸元に両手で抱え込んだ姿勢で座り込んでいます。
SCP-2997-JPはほとんどの生命活動を示しませんが、脳機能の瞬間的な活性化が報告されています。
スピーカー 1
SCP-2997-JPはこの宇宙に存在するあらゆるドッグに出現する可能性があると考えられています。
スピーカー 2
現在までに地球上の4箇所のドッグ、月面上の2箇所のドッグ、衛星ドッグ26箇所で発見されています。
スピーカー 1
出現したSCP-2997-JPは数時間から数日で消失します。
SCP-2997-JPが常に宇宙上に存在しているかは不明であり、
スピーカー 2
財団の監視下にないSCP-2997-JPがどこに存在しているのかは明らかになっていません。
スピーカー 1
なお、ドッグが何らかの要因で機能不全に陥った場合、SCP-2997-JPは即時消失します。
財団とSCP-2997-JPの接触は5回のみ成功しています。
SCP-2997-JPⅠは1000ページの情勢本です。
03:15
スピーカー 1
SCP-2997-JPⅠに記されている文字はすべて英語で、筆記者は不明です。
SCP-2997-JPからSCP-2997-JPⅠを回収した場合、
一度SCP-2997-JPが消失し、その後出現した時、数ページの過失が行われたSCP-2997-JPⅠも新たに出現します。
SCP-2997-JPがどのようにして新たなSCP-2997-JPⅠを生成しているのかは不明です。
スピーカー 2
また、SCP-2997-JPⅠがいつ過失されているのかも明らかになっていません。
スピーカー 1
接触記録① 2009年3月27日から4月1日
SCP-2997-JPⅠは日本国静岡県…小津市だったっけこれ…八津市?どっちだっけ?
八津…八津ですね。失礼しました。日本国静岡県八津市の漁港に出現しました。
スピーカー 2
その場にいた民間人はSCP-2997-JPⅠとの会話を試みた後、市役所へ連絡を入れ、その結果SCP-2997-JPⅠの存在が財団まで伝わりました。
スピーカー 1
SCP-2997-JPⅠは収容チームによってその場から移動し、サイト8456の人型収容室に収容されました。
その際、SCP-2997-JPⅠの所持していたSCP-2997-JPⅠは回収されました。
SCP-2997-JPⅠは収容から3日後に消失しました。
添付資料① 接触記録①にて回収されたSCP-2997-JPⅠ本文の抜粋
表紙 公開記 裏表紙 私はそしていずれの日にかすべてを語ることになるだろう
2ページ まだ見む仲間 ことさらに私と共にすべてを見、聞き、触り、嗅ぎ、味わい、そしてすべての感覚を超越してまだ見む何かを遠飛ぶことのできるものに捧げる
5ページ 寒く静かな海辺から私の物語は始まる
私はある日、もはや虎視したと思われた冒険心が蘇り、どうしようもなく旅に出たいと思った。
私は物置から船を引っ張り出し、一旦寝て、起きたら準備万端を期して冒険に出るための仲間を募った。
06:09
スピーカー 1
私は船居 ドック
船居に我が船、名前をマーリンという代々受け継がれている船で、生がそのまま鮮明になっている。
スピーカー 2
を着水させると、船淵に座り込んで同乗せし仲間を待った。
スピーカー 1
今日は早起きしたので仲間が来るにはまだ時間がかかるだろう。
募った仲間たちをあらかじめ記しておこう。
名はマルセル、いやモロイ、違う、もしかしたらマルデウラスだったかもしれない。
名前は重要ではないだろう。大事なのは見た目だ。ことさらに生涯生物の存在が当たり前になったこの世の中では。
いや仲間は私と同じ星の出身だ、たぶん。そういうことにしておこう。
スピーカー 2
ところで私は仲間たちとは窮地の中であるからここに書くこと、ここに書くこと書かないのである。
次のページから私と仲間たちの過去の冒険端を記してみようと思う。個々の外見も合わせて記そうと思う。
スピーカー 1
23ページ 結局今日は仲間が来なかった。きっと私の準備が早すぎた。
しかしもしかしたらこの夜中になってくるかもしれないと考えた私は船の中で一夜を過ごすことに決めた。
海の静かな動揺が船を通じて私にも伝わる。
この揺れは母のカイナの中で柔らかな布に包まれながら子守唄を聞いていたあの頃を思い出すものでとても心地いい。
今日はゆっくり眠れそうだ。
56ページ 私は今日も仲間を待った。風は相変わらず肌寒い。
私を寒さから守る脂肪や筋肉は遠い昔に衰えてしまって今じゃ薄っぺらい皮に頼らざるを得ない。
このベールを剥ぎ取れば私はたちまち心臓が凍え死んでしまうだろう。
全く不自由が多くなったものだ。だから仲間が必要なのだ。
私が若かった頃私は自由だった。
当時はそうは思っていなかった。知る世界があまりにも狭かったために私の肉体が世界に釘を打たれ鎖で縛られていると思っていた。
それは傲慢な勘違いだ。何せ私はたった一人でイカダに乗って名も知らぬ流星を捕まえたのだ。
それはサンテックスと名乗っていた。
09:02
スピーカー 1
墜落したがりの変わった奴だ。私たちは友人だった。
そしてそれは光輝く灼熱の壁に突っ込んでその壁と負けないくらいの輝きを放って死んでいった。
私はそれを見ていた。
思い返してみると私は若かった頃何でもできた気がする。
昔話を書いていたらいつの間にか寝る時間だ。
仲間は今日も来なかった。
仲間を待つ時間を有効活用すべく、今残されている時間でできることを考えた。
ことさらに柑橘系の果物を大量に。
これは重要だ。全身から血を吐き出して死にたくないなら、私はまだ死にたくない。
ことさらに清潔な包帯。
そして何より大事なのは、飲むとたちまち勇気と活力がみなぎる魔法の薬だ。
これは必需品だ。冒険においてはこれの有無が生死を分ける。
つまりこの本だ。
後々の人々にまで読まれるコツ。真実をちゃんと書くこと。
嘘を折り混ぜること。
他にもいろいろあるが省略。仲間は今日も来なかった。
SCP-2997-JPは財団管轄の第6号自然偽装ドッグに出現しました。
第一発見者である研究員は、SCP-2997-JPとの会話を試みましたが、一切の反応を得ませんでした。
SCP-2997-JP1は回収され、SCP-2997-JPは直近のサイト8099へ移送されました。
サイト内で行われた大脳誘発電位計による精密検査は、
SCP-2997-JPの視覚、聴覚、嗅覚、触覚が全く機能していないことを示しました。
4日の午前3時に、SCP-2997-JPは消失しました。
添付資料2、接触記録2にて回収されたSCP-2997-JP1本文の抜粋。
189ページ。
私は革靴を履いている。左に穴が開いている。
そこから冷たい風が入ってきて、体がこぼれ出す。むくんだ足が痛み出す。
私はもう走れないかもしれない。
だが船に乗れば走らなくて済む。仲間さえいれば。
それだけでいい。穴の開いていない靴は必要じゃない。
機械は動かさねば何をせずとも壊れる。
12:05
スピーカー 1
ホコリとか錆とかのせいだ。
私は船のエンジンを蹴飛ばして動かした。
船はケツから泡沫を放って元気よく叫び出した。いい調子だ。
船を少しずつ進める。前足は出さなくていい。ゆっくり。
歩くよりもさらに。終末期患者のように。ゆっくり。
私が若かった頃、私は海とは無縁だった。私にとって海とは山だった。
オリンポスを登っているとき老人とすれ違った。老人の名前は覚えていない。
確かイニシャルはMだった気がする。老人は今の私に似ていた。
ただ少々大きすぎる。私はその老人を見上げた。
老人は何も言わず肩に私を乗せた。肩から見た景色を私は覚えている。
そこには何もなかった。仲間は今日も来なかった。
231ページ。私は釣人と肩を並べている。
人と会うのは久しぶりではないだろうか。忘れているだけかもしれない。
もしかしたらこの釣人、アゴヒゲが沖闇のように絡まるほど伸びた活腹の良い男こそが私の仲間だろうか。
きっと違うかもしれない。もしかしてあなたが私の待つ仲間でしょうか。
声がかすれた。声の出し方を忘れるのは珍しくない。返答はなかった。聞き方がまずかったのだろうか。
あなたの名前はミュラーですかと聞くべきだったかもしれない。どうでもいい。
誰かに話しかけられた。黒いスーツで全身を包み、綿のように凝り固まった顔をしているうさん臭い男だ。
あなたの名前はモリソンでしょうか。
無視された。私の声が聞こえていない。もしかしたら私が口を動かしているのすら認識していないかもしれない。
鼓膜すら震わせていないかもしれない。
スピーカー 2
男の手のひらは老人形のような白だった。仲間は今日も来なかった。
スピーカー 1
340ページ。私はどこかの宿屋に泊まり、夜を明かした。
まだ日は出ていないが、出港するにはちょうどいい時間だ。私は宿をうろついて、宿主を探した。
代金を支払おうと考えたのだ。どの部屋のどのベッドで寝たかわからないのに。
おかしな話だ。書くべきだろうか。いや、今はよそう。
15:04
スピーカー 1
大抵の物語で人物がただ寝ている姿を長々と描写するなどしない。
壁を叩いてみる。硬質な響きが枯れ枝のような骨を電動体にして頭にまで届いた。
歯がガタガタ揺れて脳震盪を起こしそうだった。それにとても冷たい。
私は出かけるぞ。そして二度と戻っては来ない。
海に出た。結局宿代は払わなかった。誰もいなかったし、私はお金を持っていなかった。
きっとあそこは廃屋だろう。海は静かだ。いつも通り真っ暗だ。
いつの間に夜になったのか。波が船体にぶつかる音もない。
代わりに聞こえてくるのは血液が体中を循環する音。
心臓はまだ動いているらしい。仲間はまだ来ない。
398ページ。体内を砂が流れているような気がする。体調が悪い。
吐いた。多分ヘドロ。もしくは胃液を。よく見えなかった。
喉の奥の方が緩やかに溶けて、チーズみたいな穴が開いている気がする。
しばらく寝ていた。どこでどう寝たかは覚えていない。
廃屋か、今度こそちゃんとした宿屋かもしれない。確実ではない。
今日は昔話はやめにしよう。なら作り話は。
ああ、それもダメだ。私の意識を覆う。ん?何これ。
私の意識を覆う寂しさは作り話で慰められない。
嘘をどんなに重ねて、それが真実に繰り返すことはないのだと同じだ。
私は何を言っているのか。
私は待った。誰かを待った。神ではない誰かを。
そして誰かが来た。そいつは私に行くべき進路を指し示した。
だが決して目的地を教えてはくれない。だがいい奴だ。
長い船旅で最も大事なのは乗組員同士の良好な関係の維持で、その点私たちは完璧だった。
そいつはたぶん私に似ていた。それでいて全く違っていた。
違う。そいつはそいつじゃない。たぶん。そして決して現れることはない。そうだろうか。
退屈だ。体調はなおも悪化していた。何かを吐いた。よく見えなかった。
スピーカー 2
【接触記録3】2015年6月25日から2015年6月30日
スピーカー 1
SCP-2997-JPはサイト0006に併設されている第8番月面ドックに出現しました。
18:07
スピーカー 1
SCP-2997-JPはその場にいた朝倉整備員に確保され月面収容サイト0011に移送されました。
SCP-2997-JP1は回収されました。この接触によりSCP-2997-JPが無酸素低温環境の影響を受けないことが確認されました。
インタビューの試みはSCP-2997-JPがインタビュアーへ全く反応しなかったため失敗しました。
しかし同時に行われた脳波モニタリングはSCP-2997-JPの脳活動が瞬間的に活性化したことを示しました。
この時得られた電気信号を脳波イメージング技術によって画像化することで2種類の抽象的なイメージ画像の作成に成功しました。
また、SCP-2997-JPの代表組織が採取され、SCP-2997-JPの細胞が人間のものと酷似しているにも関わらず一切の活動をせず、あらゆる状態変化を停止しているという結論が導かれました。
SCP-2997-JPは30日の午前4時、SCP-Sフィネガンズウェイクの発射と同時に消失しました。
添付資料3 接触記録3にて回収されたSCP-2997-JP-1本文の抜粋 489ページ
今日は埃をかぶっていた船を家から引っ張り出し、ドックまで運び、海に浮かべた。
一人でやるにはあまりに重労働だったがやり遂げた。
そして船の中で寝た。昔と同じように。
あの時は仲間がいた。だから何だというのだろう。結局寝る時、人は孤独になるというのに。
孤独?ああ、私はだんだんと孤独になる気がする。
長く生きすぎた。もはや自分の死死がついている自信がない。
頭だってもうないのかもしれない。
目の前は真っ暗だし、声を出そうとしても肺のあたりが痛むだけで音にならない。
匂いは、ああ、匂いもダメだ。脳はどこだろう。
ひどく痛い。それは存在証明だ。
どこかの培養液にあるわけではなく、頭蓋に収まった脳がある。
マチ針で張り山になったとしてもおかしくない。奇妙だ。
スピーカー 2
もしくは、あの溝々に指を挿入され、いじられているようでもある。
スピーカー 1
私はもうじき死ぬだろうか。もう死んでいるかもしれないのに。
21:02
スピーカー 1
猫が私の口から垂れたよだれを舐めて、私は目を覚ました。
猫はいなかった。船はなかった。仲間は来なかった。
頭が痛い。眠らなければならない。
502ページ
仲間を待っている間、思考する時間が長くなった。
船に乗ることはやめ、家に引きこもりもせず、何かを生み出そうとしていた。
今日は珍しく体調が良かった。症候状態というやつだ。
私は振り出しに戻る心持ちで仲間について思考した。
仲間の名前はである。
名前はどうでもいいと言ったじゃないか。
過去が重要だ。心境が重要だ。哲学が重要だ。
仲間はである。
スピーカー 2
体調が悪い。
スピーカー 1
接触記録4
2020年7月7日
SCP-2997-JPはサイト81-HTに併設されている第2号海底ドッグに出現しました。
厚木潜水士がSCP-2997-JP-1を回収すると直ちに消失しました。
添付資料4
接触記録4にて回収されたSCP-2997-JP-1本文の抜粋。
540ページ
私は何を書いていたか考えた。
そして多分私は私のできないことを想像しようとした。
そして私は不可能を踏破した。
そして気がついた。
私の想像力が私を現実に縛り付けていた。
それは嘘を嘘に固定する万力だ。
まことに私にできないことをするには私が全く別の生物になるほかなかった。
例えば戦虫やシデムシに。
そうなれば私は今度こそ仲間と一緒に大海を巡ることができるだろうか。
奇敵の声が奇敵の音が聞こえてきた。
船を出す準備をしよう。
私の船。私の船。マーリン。
スピーカー 2
私の船。私の船。
スピーカー 1
630ページ
仲間の一人と合流する。
食料を調達する。
仲間の一人と口論になる。
仲間と別れる。
私は仲間を待つ。
スピーカー 2
想像せよ。想像しなければならない。
スピーカー 1
以下700ページまで内容の著しく書いている断片的な文章が続く。
以降1000ページ、最終ページまで白紙が続く。
接触記録5、2021年7月8日
24:01
スピーカー 1
SCP-2997-JPは第878号無人衛星ドッグに出現し、現在まで一切の活動が見られません。
また、現在確認された中で唯一、SCP-2997-JPⅠを所持していませんでした。
① SCP-2997-JPとの対話の試み
2056年1月24日に、第878号無人衛星ドッグの機能拡張工事が行われ、無重力空間における先進的実験を行うことが可能になりました。
これに伴い、夢の広角の応用技術によるSCP-2997-JPの夢への人工知能の限定介入が施行されました。
以下は、その実験において回収に成功したAIとSCP-2997-JPの対話記録です。
AIには、同一フレーズの反復、判断能力の制限、意図しない修了処理などの技術的課題点が見られます。
スピーカー 2
AI 私の声が聞こえますか?
私の声が聞こえますか?
スピーカー 1
私の声が聞こえますか?
SCP-2997-JP 仲間
AI 私の声が聞こえますか?
私の名前はマルセル。あなたと話がしたい。
SCP-2997-JPの脳活動が活性化する。
ああ、やっと来てくれたのか。
AI 私はあなたの友人になりたいのです。
SCP-2997-JP だがダメだ。脳活動がさらに活性化する。
AI 私はあなたの友人になりたいのです。
SCP-2997-JP 物語は終わった。お前なしに。
AI あなたのことを教えてください。
SCP-2997-JP そしてお前も終わった。
あなたのことを教えてください。
だからもうダメだ。
私のことをお話しします。
私の名前はマルセル。あなたの仲間に指定されています。
何なりとお話しください。
私はあなたの仲間。私はあなたの望むことをお手伝いします。
あなたのお話に最適な応答を探します。
お前はもはや真実じゃない。
申し訳ありません。適切な応答は設定されていません。
だからお前はダメだ。私はダメだ。
申し訳ありません。適切な応答は設定されていません。
私ではダメだ。
スピーカー 2
30分にわたり、SCP-2997-JPの意識レベルが高くなったため、対話が不可能になる。
27:01
スピーカー 1
AI、私の声が聞こえますか?
AIの状態が回復する。
スピーカー 2
あなたのことを教えてください。
スピーカー 1
SCP-2997-JP
仲間はなかった。船もなかった。
スピーカー 2
もっと詳しく聞かせてください。
お前は?
スピーカー 1
AIが不明なデータを受け取る。
AI、不正なデータを受け取りました。
SCP-2997-JP
私には無理だ。私には無理だ。私には無理だ。
AIの不正利用と判断されたため、AIが強制終了する。
②AIが受信したデータの解析結果
航海期、マルセル・マーリン
今より語られるのは、私が船旅中、実際に体験した奇妙で奇抜で好奇心に満ち、多くの仲間と助け合い、争い、そして最終的に全人類の得がたき宝を手にする。
色彩豊かで芳醇で、どの国境局をも凌駕する音色に満ちた、驚くべき冒険の全記録である。
これは真実の物語である。
スピーカー 2
これは真実の物語である。
スピーカー 1
人間型、嘘コン二重、地球外、外部エントロピー、文書、未収容、瞬間移動、自我、語りのタグが付いています。
注釈が3つ。
1つ目、筆跡鑑定の結果は全ての文章が同一人物によって書かれた可能性が非常に高いと結論付けています。
2、財団はこの接触以前からSCP-2997-JPを認識していましたが、いずれの発見場所も財団が直接接触するのが困難な無人衛星ドッグでした。
そのため当該記録は地球上でSCP-2997-JPが初めて確認され、なおかつ初めて直接的な接触に成功した記録となりました。
3、SCP-2997-JP1に記されている極の心理学的分析から、SCP-2997-JPと能律的に対話できる可能性が高いと判断された名称です。
スピーカー 2
AIの名前ですね最後、マルセル、マルセル・マーリンのコピーじゃないけど、公開記の中にマルセルの名前があったからAIの名前をマルセルにしたことで脳活性に影響を及ぼすんじゃないかと想定して作ったってことですね。
よかった、AIのセリフ噛まなくて。
スピーカー 1
生いた男性の姿をした人型実態、経歴、出自、国籍、年齢などは不明。外部から強制されない限り胸元で両手で抱え込んだ本があると。
30:03
スピーカー 1
この宇宙に存在するあらゆるドッグに出現する近未来ですね。2056年なので無人惑星がいっぱいあると。
スピーカー 2
で、いろんなところに出てくると。この人の日記、日誌の中では実際のリアルの海、海賊みたいな、海賊とかコロンブスみたいななんか海を旅して仲間たちと一緒に冒険しようみたいなのが宇宙の海に出たってことになるのかな。
スピーカー 1
宇宙海賊じゃないけど。
スピーカー 2
出現したSCPは数時間から数日で消失。常に宇宙上に存在しているかは不明。でも昼食の時になんか地球上にいたみたいな書いてたような気が。地球上でSCP-2997-JPが初めて確認され、
どこだ?昼食2。昼食2。
スピーカー 1
えー、あ、これか。日本国静岡県八重洲の漁港に出現しました。
スピーカー 2
うんうん。
記されている文字は全て英語。
スピーカー 1
おじいちゃんから本を回収した場合おじいちゃんは消失。
スピーカー 2
その後出現した時数ページの可筆が行われた本も新たに出現。
本はじゃあいっぱい財団は持ってるってことなのかな。回収して。
スピーカー 1
航海記。
名前をマーリンという。
募った仲間たちをあらかじめ記しておこう。名はマルセル。いや、モロイ。違う、もしかしたらマルデウラスだ。
これもしかしたらなんか有名なあれかもしれないですね。航海誌の名前とかかもしれないですね。
生涯生物の存在が当たり前になったこの世の中では名前は大事ではないだろうと。
なんかちょっと神様っぽいの出てきましたよね。どこだ。
あ、あとこれだ。あの、えー、接触記録1の60ページの1。
食料の備蓄。ことさらに柑橘系の果物を大量に。これは重要だ。全身から血を吐き出して死にたくないなら、私はまだ死にたくない。
っていうのは、まあワンピース知ってる方はご存知かもしれませんが、ワンピースの船にナミさんの思い出のみかんの木が置いてあるのはこれが理由なんですね。
33:06
スピーカー 1
解決病って結構序盤でワンピースでもやってたんですが、なんだっけな、ビタミンかなんかが足りなくなる。
で、血から血を吐き出して死んでしまうみたいな。船の航海してる過程で得られる魚とかからは得られない栄養素が柑橘類には特に豊富に含まれてるらしくて、
それをちょっとちゃんと定期的にというか、摂取してバランス取らないと解決病、壊れる血の病気って書いて死んでしまうよって。
それでなんか当時は、当時の海賊というか航海士は死んでしまっていることが、そういうケースが多かったらしいですよっていう。
またぎきのまたぎきエピソードですね。ワンピースの解決病。
はい、それだけです。これ読んでる時、これって解決病のことだと思いながら読んでました。
で、ここだ。
スピーカー 2
あ、ここ?ん?あ、これだ。
私が若かった頃、私は海とは無縁だった。私にとって海とは山だった。オリンポスを登っている時、老人とすれ違った。
スピーカー 1
オリンポスってギリシャ神話だっけ?老人の名前は覚えていない。確かイニシャルはMだった。
Mの神誰だ?老人は何も言わず肩に私を乗せた。肩にカラス乗せてたらオーディンなんですけどね。
不銀と無銀だっけ?無銀?無人?なんだっけ?カラス2匹、2羽。あれオーディンですよね、確かね。
スピーカー 2
M、マ、ミ、ム、メ、モ。違うのかな?違う気してきたのなんかピンとこないですね。
これがマルセルなのか?もしかして。そんなことある?その次も気になりますね。釣人と肩を並べている。
スピーカー 1
アゴヒゲが置き網のように絡まるほど伸びた。服のいい男。あなたが私の待つ仲間でしょうか?
誰かに話しかけられた。黒いスーツで全身を包み、綿のように凝り固まった顔をしている酸臭い男。
36:10
スピーカー 1
男の手のひらは老人形のような白だった。
スピーカー 2
ここの山のMさん、そして釣人、ヒゲのおじさん、そして黒いスーツのおじさんが謎ですね。
やっぱり何かしらの神話ベースとかになってるのかな?なってなかったら失礼ですが、なってそうな気がしますな。
スピーカー 1
接触記録3で脳波モニタリングで瞬間的に活性化しました。この時得られた電気信号を脳波イメージング技術によって画像化しました。
作成画像1。もやがかった何か。人影のようなものが見えますね。
作成画像2。これなんだ?船だ。真っ白い真っ黒な空と海の中を真っ白い船のようなシルエットの画像が作成されてますね。
最後もう死ぬかもしれない。死ぬかもしれない。
スピーカー 2
AIマルセルと話がしたい。
スピーカー 1
物語は終わった。お前も終わった。
お前は真実じゃない。仲間はなかった。船もなかった。嘘っぱちだ。
想像せよ。想像しなければならない。
私は何を描いていたか考えた。それは多分私は私のできないことを想像しようとした。私は不可能を踏破した。私の想像力が私を現実に縛り付けていた。
嘘を嘘に固定する力。私にできないことをするには私が全く別の生物になるほかなかった。
汽笛の音が聞こえてきた。これいつも読み間違えるな。汽笛の音が聞こえてきた。船を出す準備をしよう。
スピーカー 2
マーリン?マーリンのM?マーリンってギリシャだっけ?そもそも神話の人だったっけ?
ディズニーのマーリンが邪魔してるなすごい。
スピーカー 1
仲間と別れる。私は仲間を待つ。
スピーカー 2
結局夢物語で終わったっていう。
39:00
スピーカー 1
言っちゃえば元も子もないですけどそういう印象なんですかね。
今より語られるのは私が船旅中実際に体験した。
気まぐれで奇抜で好奇心に満ち、多くの仲間と助け合い、争い、そして最終的に全人類の得がたき宝を手にする。
色彩豊かで芳醇でどの公共局をも狩猟がする。音色に満ちた驚くべき冒険の全記録である。
これは真実の物語である。
うーん。
スピーカー 2
どっちだ?
スピーカー 1
本当の。
夢見て想像を超えた思い込みの作品な気がしますね。やっぱり。
本当にその作品を書いて、その登場人物に、主人公になりきりすぎて没入感を得たというか、
スピーカー 2
実際に体験したんだぞ俺はっていう気持ちになった。そんな気がしますね。
スピーカー 1
かな、悲しいですね。
これマルセル・マーリンが書いたことになってない?最後AIが受信したデータの解析結果。どうなってんだろう。
というSCPでした。ではまた次回お疲れ様です。
40:45

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