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2020-04-27 09:16

【第6夜】旅気分を味わえる情景豊かなエッセイが読みたい!

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ゴールデンウィークがスタート! 旅行の予定をキャンセルした方も少なくないでしょうか。今日は、脳内トリップできる極上エッセイを一緒に読みませんか。旅先の情景、匂い、そして食の思い出。海外の街の人との洒落た会話! 海外暮らしの妄想が広がる、内田洋子さんの『皿の中に、イタリア』をご紹介します。

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みもれ 真夜中の読書会 おしゃべりな図書室へようこそ
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。 おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる
をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。 4月も終わりですね。この間、紅白見てた気がするんですけど
私、2、3月の記憶があまりありませんね。 皆さん、いかがお過ごしですか?
さて、今日のお便りをご紹介します。 ヨドラキ県にお住まいのビルバオさんからいただきました。
世界中がコロナウイルスのために国内外ともに気軽に行き来できなくなってしまい、とても残念です。
せめて脳内だけは自由に旅行したい。 そこでおすすめの食べ物の小説家エッセイを教えてください。
ちなみに私は、角田光雄さんの旅エッセイがお気に入りです。といただきました。 ありがとうございます。
先週ね、角田光雄さんのスペシャルその1をやったんですが、確かに旅エッセイも素敵ですもんね。
やっぱりぜひ第2弾をやりたいですね。 さて、本当は今日からゴールデンウィークで、もしかしたら今日からご旅行の予定だったっていう方もいらっしゃるかもしれませんね。
ぽっかりと空いてしまったステイホームな1週間を私もどうしようかなと思っています。 というわけで今日ご紹介するのは、脳内トリップできるエッセイにしました。
ビルバオさんにお出しする今日の勝手に貸し出しカードは、内田陽子さんの「皿の中にイタリア」というエッセイ集にしました。
これはイタリア在住のエッセイストでジャーナリストの内田陽子さんによる食べることを切り口にした、イタリアでの日常を切り取ったエッセイ集なんですね。
実際に住んでいらっしゃるので、旅行期というのとはちょっと違うんですけど、海外で暮らす、海外で仕事をしながら生活する、近所の人と交流をするとかってこういう感じなのかなーってワクワクする本です。
イタリア語なんてね、英語もしゃべれませんけれども、想像の自分はペラペラで、自分が港町の小さい市場で交渉したりとか、お店の人と無駄口を叩いたりする様子を想像しちゃうようなそんな本です。
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せっかくなんでちょっと読んでみますね。
「干からびても空豆」という章です。
八百屋の店先に空豆が並ぶと、春である長いミラノの冬、ドロネギやジャガイモ、キャベツなど暗い色合いの野菜を見慣れていた目には、スポットライトが当たったような新緑そのものの空豆である。
ふと目を上げると、境界前の木々の枝先も柔らかな茶色にほころんでいる。枝の間には控えめな青い色の空が見える。」と、なんとされた描写でしょう。
この空豆の話から、豆を煮ている話になって、
不平不満ばかりのうるさい奴のことを煮豆の鍋と言うんだけどねっていうのを、近所の人から教わったりしていて、
この豆を煮ている描写と、サライボの紛争地に取材に行く女性記者との思い出話というのが途中に挿入されて、
また、鍋に豆が煮ているという描写があったりして、サライボにいる緊迫した彼女の話と、ぐつぐつ煮える豆の話が一緒に並行してあって、
豆のつぶやきはお腹に入ると、ふつふつという活力に変わるのかもしれないというふうに表現されているんです。
この内田陽子さんという方は、小説家ではなくて、エッセイストでありジャーナリストなんですけど、
いっぺんいっぺんが短編小説のようだったり、ちょっとした短編映画のようでもあります。
今日はここから紙フレーズをご紹介します。
印象に残らないけど美味しいというのは、簡単そうでとても難しいことなのです。
これは引き立ててこそ名酒という章にあるリグリア州のワインメーカーの社長の言葉なんですね。
北イタリアのリグリア州はフランスとの国境のあたりにあって、この本を読む限りは特段名産物もない、ちょっと寂しい小村みたいなんですけど、
プリマドンナみたいなフランスワインの立派なやつが出てきちゃうと、料理の寂しさが際立ってしまって台無しにしてしまうから、
印象に残らないくらいのワインがちょうどいいんですっていう話をワイナリーの人がしているというシーンなんですよ。
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なんかいい話だなと思って、この本の後書きには、食べることは生きることとあって、
口にするものが連れてくるのは栄養やカロリーだけじゃないっていうかっこいい説があり、
この後書きを読んだだけでも、この本を買った意味があったなと思った本だったんですけど、
ここに友人宅で食事をして初めて自分の母親の腕前の旨さを知るっていう一説があって、
私はこれを読んでちょっと逆のことを思ったんですね。
隣になって友人の家、人の家に行ってご飯を食べることも増えてきて、母親は料理が上手だったんだなって思うことの方が多いですね。
その人の家のご飯が良くなかったってことじゃなくて、ある料理家さんの家に差し入れを持っていかなきゃいけないことがあって、
何作っていったかちょっと忘れちゃったんですけど、家でよく食べてたおかずみたいなのを持って行ったんですよ。
そしたら、味が決まってるねってその料理家さんに言われて、味の着地点がはっきりしてるっていう意味だって言われたんですけど、
確かに母の作るものは味が着地してるなって、その時に思って、
今こういう状況で本当私も毎日3食ご飯を作んなきゃいけなくて、
なんとなく何が食べたいか何が作りたいのかもよくわからず、適当に作ると自分で味が決まってないなっていう、
着地してないってこういうことだなって思うものを作っちゃう時ありますけどね。
写真とか撮るわけじゃない毎日のご飯において、印象に残らないけど美味しいって偉大なことだなぁって思っています。
ビルバオさんありがとうございました。イタリアの明るい空の下、美味しい空豆とワインとか、
食べれる日が来るかどうかはわかりませんけれども、そんな自由な旅行の計画とかできる日を待ちわびながら、
楽しいゴールデンウィークを皆さんもお過ごしいただけたらと思います。さて、そろそろ時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりなと出室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
リモレのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
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また来週水曜日の夜にお会いしましょう。おやすみなさい。おやすみ。
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