1. 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜
  2. 胃がふわっとなる。怖いショー..
2024-03-06 11:36

胃がふわっとなる。怖いショートストーリーはいかが?

日常を忘れられる怖い話、というリクエストに。今夜の勝手に貸出カードは、井上荒野さんのホラー短編集『錠剤F』です。

どこに進んで、どこで落ちるかわからない不穏な空気をご堪能ください!


番組へのご感想、メッセージ、リクエストはInstagram の@batayomu からお寄せください。一つ一つ大切に読ませていただいております!インスタグラム:⁠@batayomu⁠⁠⁠

ツイッター:⁠@batayan_mi⁠

00:03
真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと河童です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にほっとできて明日が楽しみになる、
おテーマにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
少しお久しぶりの配信となりました第166や、
今夜のお便りご紹介します。
ペンネームおかやまいきさんからいただきました。
バタやんさん、こんにちは。
こんにちは。
おしゃべりな図書室のポッドキャストを楽しみに聞いています。
バタやんさんの耳に心地よい話し方と、
様々な本との出会いにワクワクしながら寝落ちするのが、
夜のルーティーンになっています。
ありがとうございます。
今、私は毎日会社員として働き、
子供たちの面倒や家のことなど、朝から晩まで目まぐるしく動き回っています。
最近は、なんでこんなに私ばかりがやらなきゃいけないんだ。
私だって自分の時間が欲しいのにと、
苛立ちが募ってしまい、
かといって真面目というか意地になっているのか、
うまく息抜きができず、
ふとした時に涙も出てきます。
そんな私に日常を忘れられるような、
怖い本の話を紹介していただけないでしょうか。
人のドロドロな面が見える怖い話や、
サスペンス、ミステリー、ホラーの本も好きなので、
ぜひパトヤンさんの好きな怖い本を教えてください。
よろしくお願いします。
といただきました。
ありがとうございます。
すごくグッとくるリクエストだなと思っていて、
どんな本をご紹介するのがいいか、ずっと考えていました。
日常を忘れられるような怖い本、そうですよね。
私、怖い本が好きなんですよ。
結構、サイコー、スリラーとかサスペンスの悪いものも好きですし、
ファンタジー、SF系でもディストピアなものが好きですかね。
心温まるとか感動のとかよりは、
どちらかというとダークなものを好んで読んでしまう気がします。
なんでかな、なんでですかね。
でも岡山幸さんがおっしゃるように、
怖い話の方が日常を忘れやすいのかもしれないって思いました。
さて、今夜の勝手に貸し出しカードは、
井上アレノさんの新刊、条材Fにしました。
Amazonの紹介文を読みますとね、
人は一人から逃れられない。
著者史上最もグロテスクで怖い10の物語からなる最高精度の小説集とあります。
面白そうでしょう。
怖い、怖いですね。
03:01
グロテスクと言ってもえぐい、残虐な描写とかはないですが、
でもそうですね、最高精度という言葉が本当に精度の高い短編集、
怖い話となっております。
さて、どんな短編集か、どんな怖さかご紹介していきたいと思います。
井上アレノさんの条材Fには10個の短編が収録されています。
一編一編はすごく短いです。
20数ページぐらいですかね。
どんな怖さかというと、胃がふわっとなる。
あのジェットコースターとか落ちる系の乗り物に乗った時に、
胃のあたりがふわってなるようなそんな感じと思いました。
富士山みたいな長い長いでっかいジェットコースター、
青空の下を大きく落ちていくようなジェットコースターではなくて、
ディズニーランドとかにあるような暗闇の中を走っていて、
こっちに進むのかなと思いきや違う方向に曲がって、
ふわっと短く落ちていくみたいな、最後にちょっとストンと落ちるところがあるというような、
そんなイメージでしょうか。
こう進んでいくと思ってたのに、えっとなってストンと落ちるっていうやつ。
ジェットコースターとしても私も結構好きなんですけど、
そんな短編集になっています。
イメージが伝わりますでしょうか。
10個の中でも一番の私のお気に入りはですね、迷うんですけど、
兄弟作の城寨Fがすごくいいかな。
城寨Fはもうまさに最後ふわっと落ちるんで、
あまり言えないですけども、読んでいただくと意味がわかると思います。
城寨Fはどういうお話かと言いますと、
登場人物はハウスクリーニングのお仕事をしている2人の女性なんですね。
その片方の女性がネットで知り合った人と会おうとしている。
マッチングアプリで恋人になろうとかそういうことではどうもなくて、
その人と会ってその人から何かを買おうとしてるんです。
何かっていうのは城寨Fなんですけど、
城寨Fを買おうとしているという話です。
何だかよくわからないけど不穏でしょ。
ハウスクリーニングの女が城寨を、
何か高いお金を出して城寨を買おうとしているっていう怖いですね。
怖いですね。何のためにっていう、
そんな感じでモチーフとか設定自体がすでに何か不穏で、
だけどどう進んでいってどう落ちるのかわからないという感じがあります。
あともう一つ好きだったのはケータリングっていうタイトルの作です。
他のもこう捨てがたく何度も読んじゃうくらい、
06:04
話の筋がわかってて最初から読むとまたちょっとドワドワするっていうところがあるんですけど、
ケータリングはですね、
地方に移住してレストランを開いた主人公が奥さんにどうも家で押されてしまっていると、
常連参加ケータリングを頼まれるんですよ。
でも奥さんいないし困ったなぁみたいな、
これもどこに進むかわからないけど不穏、
心地よくはない状態がずっと続いているみたいな、
何とも言えない録語感です、どれも。
そしてこの短編集驚いたのはどれも井上アレノさんぽくないと言ったらなんですけれども、
その文体とかタッチとかがすごいわかる人では私もないんですけど、
例えるならいつも油絵の画家の人って思ってたのに、
イラストレーターでグラフィックみたいなのも書くんだ、
こんなタッチもあるんだっていうびっくりするような、そんな感じですね。
どれもすごく短いので、
研ぎ澄まされた最小限の表現にそぎ落とされた書き方みたいな、
硬質な感じが固い感じがして、
そういうタッチもあるんだなっていうことも含めて天才だって思いました。
さて今日は私もお気に入りといった表題作、
城寨Fから紙フレーズをご紹介します。
幹線道路沿いのマンションの10階のオシャレな部屋で、
私たちが作業をしている間、
そのホクロだらけの40歳くらいのオシャレな服を着た奥さんは個室にこもっていたとあります。
これはですね、ハウスクリーニングに行った先の奥さんがホクロの多い人だったっていう話、冒頭の部分なんですけれども、
句点の打ち方も独特だし、
オシャレな40代の奥さんとかじゃなくて、
そのホクロだらけの40歳くらいのオシャレな服を着た奥さんっていう言い回しとか、
すごいですよね、なんていうか。
こういうところからも不穏な感じがすると言いますか、
オシャレな奥さんじゃなくて、オシャレな服を着た奥さんっていうところもいいなと思ったりして。
この本の表紙、カバーを開けた方の表紙ですね。
中を見ると錠剤が転がっているんですね。
緑色の字色があって、そこに黒い錠剤がちょろっと3つずつ、3つ4つ転がっているというのが表紙になっているんですけど、
これを読むとこの黒いポツポツがまたホクロと連動しているのかなっていうか、
09:06
ホクロに見えてくる黒い錠剤、ホクロの多い奥さんとかって、
繋がってゾワゾワするんですね。
そういうところが、この奥さんがホクロが多い人だったねっていう会話から始まるところが天才だなって思いました。
ぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
ちょっと配信が久しぶりになってしまったのは、今人事部がですね、
採用とそれか春の人事異動ということで結構繁忙期でして、
なかなか集中して本が読めない日が続いてまして、
頭が飽和していると本が頭に入ってこないといいますか、
それで配信できてなかったんですけれども、先日ちょっと急に旅行に行ったんですよ。
そしたら結構断工本を2冊半ぐらい読めたのと、
たまたま乗る予定だった飛行機がちょっと発着が遅れて、ぼっかりと手持ち不足な時間ができちゃいまして、
その時間がぎゅっと集中して本が読めたといいますか、
すごい良かったんですよね、結果的に。
こんなに集中して本読んだの久しぶりだなっていうぐらいその待ち時間に。
だからちょっとハプニングとか急な待ち望景も悪くないなと思ったりして、
岡山幸さんもちょっと気分転換できたり、ぎゅって集中して1時間ぐらい本の世界に入り込んだりする時間が取れるといいなって思いました。
寒暖差が激しいんでね、皆さんもぜひ体調にはお気を付けください。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からの感想やリクエストをお待ちしています。
インスタグラムのアカウントバタヨムからぜひメッセージをお送りください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
11:36

コメント

スクロール