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2024-09-04 23:06

卒アルがなくなる日。アイドルだけじゃない「ディープフェイク性犯罪」の脅威

テレグラムのCEO逮捕。韓国のディープフェイク犯罪対策強化のきっかけ、「n番部屋事件」とはなんだったのか。


<勝手に貸出カード>

n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録』追跡団火花  (著), 米津篤八  (翻訳), 金李イスル  (翻訳)


その名を暴け: #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』ジョディ・カンター  (著), ミーガン・トゥーイー  (著), 古屋美登里  (翻訳)


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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第182話を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。
ペンネームさやさやさんからいただきました。
バタやんさん、こんにちは。初めまして。
私は26年卒の大学3年生です。
出版社への就職を希望しており、
バタやんさんのノートにたどり着き、ポッドキャストを知りました。
ありがとうございます。
バタやんさんの豊富で幅広い読書量に圧倒され、
やっぱりこのぐらいじゃないとダメなのかと、
私は読むのはもっぽら漫画です。
狭き門と言われる出版社に入る自信をなくすとともに、
今から何をしておけばいいのか気持ちは焦るばかりです。
そこで今日はこれを読んでおくといいよ、読むべきという本があれば教えてくださいといただきました。
なるほど難しい質問ですね。
これを読めば面接通るよとか、
出版社を受けるならこれを読んでないと、
みたいな出読本と呼ばれるような本ってないような気もしますね。
一つ面接対策的なことで言えるとしたら、
そういった本は今までご自身が読んできた本や漫画の中にこそあると思うので、
時間があるとしたら読み返してみてはどうでしょうということは言えますね。
例えば子供の頃に読んだ何々が、よく言うと思うんですけど、
青い鳥文庫の何々を読んでとか、仲良しでセーラームーンを読んでとか、
講談社で言えば読書の原体験的なものが、
就活の死亡動機とつながっているケースはあると思うんですけれども、
エントリーシートに書いていただいたりとか、
ただ子供の頃に読んだ思い出深い本って最近読んだわけじゃないじゃないですか。
だから今読むとどうなのかなっていうのを読み返してみるのはすごくいいと思いますね。
思ってた以上に結構大人の話だったんだなぁとか、
すごく先駆け的な提案があるストーリーだったなぁとか、
今だったら気づくこともあるでしょうし、
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なんで自分はこういうストーリーが好きなんだろうっていう自分のワクワクするポイント、
萌えポイント、壺みたいなものを発見することもできるかもしれません。
さてさてとはいえ今日はせっかくなので何か一冊ご紹介したいと思います。
今読んでおくといいのではという意味で、
今日勝手に貸し出しカードに選んだのは追跡団火花のN番部屋を燃やし尽くせデジタル性犯罪を追跡した私たちの記録という本にしました。
韓国のN番部屋事件というのをご存知でしょうか。
N番部屋事件とは2019年頃からですね、
匿名性の高いメッセージアプリテレグラムのチャットルームを使って、
未成年者を含む多くの女性たちの性的な暴行や盗撮、
性的な合成写真、個人情報などをそこにアップして販売した複数の事件の総称のことを言います。
その中心だった人物はすでに捕まっていまして、2021年にそれぞれ懲役30年とか40年という判決が出てはいるんですけれども、
その大規模捜査の逮捕のきっかけになったのが追跡団火花と名乗る2人の大学生の地道な追跡調査だったんですね。
その記録をまとめたのがN番部屋を燃やし尽くせデジタル性犯罪を追跡した私たちの記録という本です。
この本は2023年11月に公文社さんから出てまして、
なぜ今この本を取り上げるのかと言いますと2つあります。
つい先日テレグラムのCEOが逮捕されたんですよ。
テレグラムは無法地帯のアプリと呼ばれるくらい、自主規制がほとんどなくて、
他のSNSは何かしらそれなりの自主規制がかけられていると思うんですね。
卑猥な言葉だったり、犯罪を誘発するようなキーワードを入れられないようになっているとか、
それがテレグラムはあまりなくて、何でもありのプラットフォームだからこそ人気がある、アングラ的に人気があるというところはあると思うんですが、
当然犯罪の温床にもなり得るわけです。
これまでもその匿名性とか使い勝手によって、
麻薬の取引だったり、テロリストの連絡ツールとか児童ポルノの売買に使われているとされて、批判を浴びたり責任を問われたりしてきたことはあったようなんですけれども、
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でも捕まらなかった。
だけど何で今CEOが捕まったのかっていうのは、ちょっと私には今の時点でニュースをちょっと読んだだけではわからないところがあります。
逮捕したのはフランス警察で、テレグラムのCEOはロシアの出身なんですけれども、
そういった国同士の何か裏事情というか大きな逮捕の原因があったのかもしれないですし、その辺はちょっとわからないですが、
今までプラットフォームの社長が上がっているコンテンツによって逮捕されたケースはあまりないので、
例えばイーロンマスクもマークザッカーバーグも逮捕されてはいないんですよね。
今回の逮捕の本当の理由、本当の背景みたいなのがちょっと気になるところであります。
それともう一つ、今韓国で話題になっているのがディープフェイクの性犯罪でして、
韓国の大統領はつい先日声明を出してたんですよ。
ディープフェイクの製作物流通に関する処罰を長くする、基準を厳しくして懲役5年から7年に強化することだったり、見るだけでも犯罪ですよっていう声明を出していました。
そういった背景としては、加害者、被害者、両方の低年齢化と一般市民に拡大していることがあるのかなと思います。
ディープフェイクという技術自体は結構前から進んでいて、
アメリカの大統領とかそういう有名人だったりが、まるで本当に喋っているかのように動いているかのように合成して、そういった動画とか写真が生成されてしまうというのは昔から問題になってはいましたけれども、
韓国の問題は一般市民の方たちに広がっているというところから、問題の定義が大きくなっているのかなという気がします。
例えばアイドルとか女優さんとか有名人の誰かの顔、写真を水着とか裸とかの写真と合成する動画を作ってしまうというのは、かなり前からあったとは思うんですけども、
最近問題になっているのは、SNSとか卒業写真、卒業アルバムの写真を使って、クラスメイトの写真を合成して熱像を拡散してしまうという被害が拡大していまして、
今年5月にはソウル大学で大規模な摘発があり、そういった合成写真による被害は小中学校にも広がっているというふうに報道されています。
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それでN番部屋のことがまた最近注目を集めてまして、ソウル大学の話とか小中学生のことがすごく怖いなって思うのは、もちろんアイドルならやってもいいとは全く思いませんけれども、
好きなアイドルの切り抜きを、例えばビールの水着のポスターの顔と貼り付けてすげ替えてみるとかっていうのは、昔からあったとは思うんですよ。
ただその今はAIの進歩とかアプリの進歩とかでものすごく成功に、まるで本物の写真や動画のようにすげ替えができちゃうということと、
そういうちょっとしたツールを知っていれば小学生でも作れちゃうってことなんですよね。
グラスの女の子のそういうものとかを。
誰でも被害者になり得る怖さもあるし、加害者になり得る怖さもあるっていう。
そして子どもたちもそうですけれども、お母さんが撮ったり、近しい人と共有したりした、あるいはSNSに共有したりした写真が素材になり得てしまうという怖さもあります。
というようなニュースを見て、つい最近私そのエヌバンベアを読み返したんですよね。
このエヌバンベアの本のノンフィクション本としてのよくできているなと思う読みどころと、
なぜこれを就活生のさやさやさんに今お勧めしたいのかっていう話をこの後していきたいと思います。
エヌバンベアを燃やし尽くせデジタル性犯罪を追跡した私たちの記録という本は、
ジャーナリスト志望の大学生プルとタンという2人の女性の大学生がですね、就活に役立てようと、まさにさやさやさんと同じような立場ですけれども、
2人でニュース通信者のあるコンクールに応募するために盗撮の犯罪をテーマに取材をしようという風に決めて始めるとこからスタートします。
いわゆる学知家というやつですね、学生時代に力を入れたこととしても語れるし、賞を取れば拍がつきますから記者職、ジャーナリストへの道が近づくんじゃないかということで、
そういったことに力を入れてやってみようってなるんです。
という目論みがあって取材を始めるんですけれども、テレグラムに早々にたどり着いてN番部屋というチャットルームに潜入することで、
そのおぞましい実態を目にして、写真とか写真とか、それを強要して本人に送らせる脅迫もその中で行われているんですよね。
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そもそもは高額のアルバイトがあるよとかっていう風にSNSで声をかけて、フィッティングモデルの仕事があるんだけどどうみたいなSNSで声をかけて、
引っ掛けて少しこうどんどん写真を送らせるっていう手口なんですけれどもね、恐ろしいですね。
それを見続けた2人はショックを受けて、最初は警察に通報するんですね。
捜査にももちろん協力をするんですけれども、なかなかこのネット犯罪の容疑者の特定が難しくて、
向こうも巧妙にIPアドレスとか特定されないように逃げる術を持っていて、逃げつつも日々日々いろんな写真がアップされ続けていて、被害の女の子たちは増え続けていると。
そんな中でプルとタンは無力感に苛まれながらも、大手の新聞社やメディアにこの話を持ちかけたりもするんです。
そこで大きく取り上げられれば世間の世論の注目が集まるんじゃないかと期待するんですけれども、心ある記者はね取り上げてくれたりもするんですが、
思ったほどの反響にならないという感じなんですね。
このあたりで私はその名を暴けという別の本と重ねて、重ね合わせて読んでいました。
シーセットその名を暴けというタイトルで映画にもなっているので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
ミーツーの先駆けになったハーベイ・ワインスタインの性犯罪をニューヨークタイムスの2人の女性記者が追跡して暴いていくノンフィクションです。
2人の女性記者がいろいろ苦労したり妨害を受けたりもしながらも被害者の声を粘り強く聞き、ワインスタインを追い詰めるわけなんですけれども、
追跡団火花の2人とシーセットの2人はバディ者、記者として協力し合う2人の女性たちのバディ者という意味ではとても似ているところもありますが、
決定的に違うのはシーセットの2人は天下のニューヨークタイムスの実力ある記者なんですよね。
プルトタンはいわゆるアマチュアの女子大生ではありますから、そこには圧倒的な力の差があるという感じがしました。
ニューヨークタイムスはその2人の記者の熱意に途中で腹をくくっても、これはやるとリスクがあっても絶対記事にするんだと会社として決断するわけですよ。
上司もすごいいい人というかできた人で責任を取るからって後押しをしてくれるんですね。
そんな後ろ盾のないプルトタンはですね、アマチュアの女子大生ちゃんって感じで軽く走られたりもしますし、
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毎日毎日そのチャットに上がってくる写真や卑猥な文言を見続けているうちに精神的に参ってしまうんですよ。
メンタル崩壊というやつですね。
事件が注目を集め始めると手のひらを返したようにテレビとか大手メディアから2人へ取材や出演依頼が殺到します。
でもインタビューの途中で泣き出して止まらなくなってしまったり、
家のクローゼットに誰かが忍び込んでるんじゃないかとか、2人が注目を集めて、もちろん敵を作った形になってしまっているところもあるので、
いつも自分もどこかから盗撮されてるんじゃないかっていう思いに囚われて押しつぶされそうになってしまうんですね。
その辺は結構辛いなぁと思いながら読みましたけれども、それでも2人を励まし合って、
そしてカウンセリングにも通ったりしながら、主犯覚の逮捕と法改正にまでこぎつけるんですよ。
この辺の粘り強さはすごく見事なんで、ぜひ読んでみていただけたらと思います。
この本は3部構成になってまして、
1部が事件取材、2部が2人の追い立ちとエッセイ、3部が事件の展末になっています。
私最初に読んだ時は、事件が一体どうなるんだろうっていうのを早く知りたくて、
2部の追い立ちとエッセイのパートを結構駆け足で読み飛ばしちゃってたんですけど、
今回改めてまた読み返してみたら、2部が重要だったんだなっていうか、2部が読みどころだったなと思いました。
2人が何でそれぞれこういう事件に興味を持って、
そんな自分の体調を壊してまで追求したいっていう厚い使命感を持つに至ったのかっていう、
そこに至るのは小さなエピソードの詰め重ねなんですよね。
彼氏からこんなこと言われた、クラスメイトからこんなこと言われた、
国語の先生から外見についてこんなこと言われた、こんな扱いを受けたとか、
おかしいなって思ったり傷ついたりしても、その時は飲み込んでしまったザラッとした何か、
その蓄積が書かれているんですよ。
そういう思い出は皆さんあるんじゃないかなと思います。
なんでこの話をしたかというと、子供の頃のネガティブな記憶が必ずしも仕事の動機と直結するとは思っていませんけれども、
いい思い出より嫌だったことの方が、仕事に限らず生きていく上の使命感というか、
こうはしたくないとか、こうはなりたくないとか、こうありたいとか、
そういった原動力になり得るんじゃないかなと思ったりしました。
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エッセイのパートがすごく大事だったって思ったのは、
そのあれと思ったことの積み重ねが、
強い使命感だったり原動力になっているということを、
全部通して読んで、とても感じたことだったからです。
今日はこのN番部屋を燃やし尽くせデジタル性犯罪を追跡した私たちの記録から紙フレーズをご紹介します。
やっていただかないと。それは木曜夜の生放送のインタビューが終わって帰宅途中に受けた電話だった。
これまでメディアのインタビュー依頼は全て受け入れ、彼らが望む写真資料、被害写真を除く、を提供してきた。
すぐに番組を作らねばならない人たちの心情が理解できないわけではないが、
この事件が放送時間の梅草として使われてほしくはなかった。
結局、担と相談してその依頼をきっぱりと断った。
とあります。
取材依頼が殺到する担たちなんですけれども、
この取材依頼に対しては断ったという経緯が書かれている歌手なんですが、
このやっていただかないとっていう言葉ね、
鞘鞘さんも社会人になったら、会社に入ったらきっと言われる言葉なんじゃないかなと思うんですよ。
私もめっちゃあるやっていただかないとって、つい先日もちょうどあったんですけどね。
やっていただかないとって丁寧な言い方だけど、すごく圧がある。
上からすごい圧をかけてくるなーって感じのする言葉ですよね。
やっていただかないとの後はそういう立場ですしとか、間に合わないからとか、
その後に続く言葉はいろいろあるんですけど、
でもやっていただかないと困るって思っているのはあちらであって、
私はやりたくありません、あるいはやれませんっていう選択肢もあると思うんですよ。
フルトタンは体を壊してまでして、やっときっぱり断るっていう選択を2人でするっていうことができるようになったわけなんですけれども、
時には鞘鞘さんもそんな選択を迫られることがあるかもしれないなーって思いました。
だけど断れなかったからといって弱い人間だとも思いませんし、
ザラッとしたものを飲み込んで引き受けることも仕事の中ではあるっちゃあるかなと思います。
出版社の仕事にもいろいろあるので、鞘鞘さんがプルヤタンのようにジャーナリストを目指しているわけじゃないかもしれないんですけれども、
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漫画の編集者とか文芸の編集者かもしれません。この番組を聞いてくださっているとしたら。
ただどんなジャンルであれ、社会的な背景の影響は受けますし、
人間の欲望がビジネスにダイレクトに直結する仕事でもあります。
よくも悪くも少しセクシーな写真を撮ったり、そういったコンテンツを制作するケースもあるでしょうし、
それはやっぱり人が見たいと思うもの、ワクワクするもの、人の活力になるものをコンテンツとして提供するというのはそういった側面もあるんですけれども、
世の中がどうなっているとか、その後どう使われるとか、テクノロジーの進化がどうなっていくのかということにも、
同時にやっぱり高いアンテナを張っておく必要があるなって思っています。
そんな意味もあってこの本をご紹介しました。
さやささんが子供の頃から少しずつ蓄積した使命感が満たされるお仕事に携われますようにと願っています。
就職活動まだまだちょっと先が長いですけれども、しんどいこともあると思いますが、ぜひ頑張ってください。応援しています。
リクエストありがとうございました。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
23:06

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