00:05
ザ・バージが、スポティファイのポッドキャスト計画は、いかにしてレールから外れたか、と題した記事を掲載し、
とても興味深い記事だと思ったので、今回、こちらを紹介したいと思います。
スポティファイのポッドキャスト関連のニュースとして、スポティファイのポッドキャスト広告収入の大部分を占めるジョー・ローガンが、
反ワクチン派の大統領候補を番組に招いた。
ある王族夫婦との2000万ドルのポッドキャスト契約が破断になり、その後スポティファイ幹部がこの二人をクソ詐欺し呼ばわりした。
2023年だけでも2回のレイオフがあり、人員削減は主にポッドキャスト部門が対象とされてきた。
といったものが話題になっています。
ザ・バージによれば、スポティファイのポッドキャスト戦略は何か間違っていることが、ここ数週間で証明された。
ポッドキャストにおける成功の方程式が、映画、ビデオゲーム、書籍、そして音楽とは根本的に異なることが明らかになった。
一般的には知材や知名度があれば多くのメディアでヒットを飛ばすことができる。
しかしポッドキャストの世界では、いかに高名な映画監督やベストセラー作家、あるいは元大統領のシリーズだとしても大ヒットにはならず、
ヒットチャートに乗るのがやっとだ。
そして、スポティファイはヒットメーカー戦略を何年も追い求めた結果、すべてが崩れ去ろうとしている。
とのこと、以下、スポティファイがとってきたポッドキャストに対する戦略をまとめます。
自社ポッドキャストスタジオの拡充戦略
スポティファイのポッドキャスト戦略を振り返ると、大きな柱として自社ポッドキャストスタジオの拡充が挙げられます。
実績のある大手製作会社のパーキャストとギムレットを買収したことがその代表例です。
しかし、来週後に大きなヒット作を生み出すことができていないのが現状です。
作られた新しい特定の番組はスポティファイ独占配信としたことで、リスナーが減少してしまっています。
結果、今月初めにギムレットとパーキャストを縮小し、スポティファイスタジオに統合しています。
逆の動きを見せているのはアマゾンで、ハリウッドを本拠地とする大手ポッドキャスト製作スタジオワンダリーを2021年にアマゾンミュージックの参加としていますが、
製作番組はアマゾンミュージック独占配信とはせずに、アマゾンミュージック先行配信に留めており、幅広いプラットフォームへ配信を継続しています。
有名人による独占配信番組の配信戦略、スポティファイのポッドキャスト戦略の二つ目の柱は、有名人によるスポティファイ独占配信番組の配信です。
知名度の高い人物による番組で、うまくいったものもある一方で、多くの番組は期待通りとはいきませんでした。
バラク・オバマやブリュース・スプリングスティーンなどの超大物をホストに投与しても、多くの新規リスナーを集めることができなかったのです。
しかもこの戦略には多くのコストがかけられており、直近ではハリー・オージフサイトの契約終了が大きな注目を集めるなど、想定外の事態になっています。
国によってはスポティファイがポッドキャスト配信プラットフォーム、もしくは音楽配信プラットフォームで圧倒的なシェアを持っているわけではないこともこの戦略の問題点となっています。
03:06
国や人種によって好まれる配信プラットフォームに差がある中で、スポティファイ独占配信となるとリスナーが激減することもあるのは言うまでもありません。
今後、スポティファイ独占配信としない番組も増やさざるを得ないという方向にあると考えられます。
スポティファイの方が早く聞ける、過去のエピソードも全て聞けるが、他のプラットフォームでも最新エピソードは聞けるといった中間的な配信が望ましい気がします。
ポッドキャスト広告販売戦略
スポティファイのポッドキャスト戦略3つ目の柱は、ポッドキャスト広告販売です。
前述の戦略が頓挫する中で残された道は、この戦略にフォーカスするのが最善の策であろうというものです。
スポティファイが、2023年6月に参加の音声広告効果測定ツールのポッツサイツをスポティファイアドアナリティクスとサービス名を解消し無料で使えるようにしたこともその流れです。
今後スポティファイのポッドキャスト広告関連の動きに注目していきたいと思います。
また動きがあればお伝えしていきますのでお楽しみに。
最後に、ポッドキャスト業界の専門家が見るスポティファイについても記事で触れられているので簡単に紹介しておきます。
専門家の見解、ジョー・ローガンの番組が要め、NPRのポッドキャスト番組を多く開発し、
オーディブルのポッドキャスト配信を手掛け、オーディオ業界のトップのコンサルタントとして著名なエリック・ヌザム氏によれば、
スポティファイはまだ、ポッドキャストで最も人気のあるプラットフォームには程遠い状況です。
実際に多くのポッドキャスターに話を聞いてみると、ダウンロードの50から60%はAppleポッドキャストからだといいます。
とのこと、実際、2023年3月に発表されたポッドトラックのレポートでは、ダウンロード数はスポティファイの9%に対し、
Appleポッドキャストは71%を占めているそうで、さらに彼はこうも言っています。
スポティファイポッドキャストの最大の強みは、ジョー・ローガンの番組、ジョー・ローガンエクスペリエンスがあることです。
この番組を独占していることが、他社ポッドキャスト配信プラットフォームと差別化する大きな要素であり続けています。
スポティファイがポッドキャストに対して様々なことを行ってきて、そして多くの資金を費やしてきたにもかかわらず、
ジョー・ローガンの番組がなくなってしまえばスポティファイのポッドキャスト広告ビジネスは大きな打撃を受けるでしょう。
問題なのはスポティファイとジョー・ローガンの関係は相互依存という健全なものではないことです。
ジョー・ローガンがスポティファイを必要としているとは思いません。
彼は番組を持って他のプラットフォームに行くこともできるのですから、今後どうなるかは誰にも分かりません。
最強ポッドキャスト番組、ジョー・ローガンエクスペリエンスとは、
ポッドキャスト番組、ジョー・ローガンエクスペリエンスは総合格闘技のコメンテーター、
ポッドキャストのホスト、コメディアン、俳優、テレビ司会者など多方面で活躍するジョー・ローガンがホストを務め、
06:03
コメディアン、芸能人、コメンテーター、科学者、ミュージシャン、格闘家、作家、アーティスト、
ジャーナリスト、企業家、政治家、スポーツ選手など幅広いジャンルのゲストを招いて対談、討論する番組です。
1つのエピソードで3、4時間の長時間になることもあるのも特徴の1つです。
さらに1エピソードあたり平均1100万人が聴取するといいます。
また世界で最も稼ぐポッドキャスト配信者ランキングで、年間3000万ドル、約33億円の広告収入で1位に選出されています。
2020年5月19日、スポティファイとジョー・ローガンエクスペリエンスの独占契約が結ばれた際に、契約金は2億ドル、約270億円以上と報じられています。
何もかも桁違いのポッドキャスト番組ですが、この1つの番組の契約の行方がスポティファイのポッドキャスト戦略や、引いてはポッドキャスト業界全体に大きな影響を与えるというのは何ともすごい話ですね。ではまた。