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第3章 怪しい人
あのさ。
何?
政府の情報機関って、何やってると思う?
何の話?
いや、ちょっと気になって。
わかんないよ。
だよな。
けど、その辺にいる奴が、実は大物と繋がってるってのは、映画じゃあるよな。
だな。
俺もお前もさ。
何?
もしかしたら、国をかけて敵同士かも。
まさか。
スーツケースの中を見せてもらおうか。
何ですか、いきなり。
大慌てで無理矢理閉じてたな、今。
慌ててなんかいませんよ。
おい、これ落としたぞ。
これは対魔って言うんだ。
中を見せろ。
すっげー。
本当にあるんだな、こんなこと。
ああ、この前の話だけど。
お使いってつまり、ここでかけないこと。
俺にできるものなの。
言ったでしょ。
普通の子を探してるって。
と言っても、ただ普通じゃダメ。
心の強い子じゃないと。
心の強い…。
あなたはルイスさんを殺されたも同然に失った。
でも今を一生懸命生きている。
誰にもやつ当たりせずに。
それに、作戦によるけれど、ルイスさんを死に追いやったガッシュという男のグループを追い詰められるかもしれない。
あいつを!?
もちろん報酬も出す。
だいたい30万ポンドほどは出すわ。
30万ポンド!?
PCにもハッキングがあるように、人もよく他社や組織関連からハッキングを受けることが多い。
それは人間が社会的動物である限り、避けられない…。
もしかしたら、俺の手でルイスの仇を…。
それどころじゃない。国の役に立てるんだ。
パッとしないハイスクール生徒の俺が、映画に出てくるようなヒーローに…。
03:01
ミア、引き受けるよ。
なら、最初のミッションを早速出すわ。
マーク・スミスのボディーガードよ。
どんな人?
本人は気づいていないけど、重要よ。
今も厄介事に巻き込まれていてね。
死なせたくないけど、こちらの警護をつけるのも、テロリストを刺激するかもしれないの。
そこで、あなたにそれとなく護衛してもらうことにしたわ。
だから、どんな人なの?俺知らないよ。
いいえ、あなたの一番近くにいるはずよ。
え?
こいつが、マーク・スミス?
そこに映る顔写真は、どう見てもティランだった。
ティラン?
無事に任務を果たせたら、ロンドンに来てもらうわ。
これはテストでもあるの。
成功したら、正式な職員として迎え入れるわ。
おい、今からここを出るぞ。
は?何だよ。これからテストなのに。
後でどうとでもなる。出るぞ、早く。
ちょ、何なんだよ。
人の通らない場所だと、俺も危ない。なるべく人目につくような場所に。
いきなりカフェに連れ出して、挙動不審で、一体何やってるの?
それにしても、何でティランなんだ?
ねえ、聞いてる?
え?ああ、いや。
マジで怪しいよ、お前。
気にしないで。
って、いいんだ。
この道は迂回しよう。
ああ、いや、駄目だ。あいつ見てる気がする。
ちょっと、さっきからこっち行ったり、あっち行ったり、何が。
静かにしろ。
だって、ついて来い。
そう、ここでいいんだよな。
ああ、ここだけど。
今日は寝る場所変えろ。窓から見えない場所で、きっちり鍵閉めて。
本当にどうしたんだ、今日は。
いいから。お前が心配なんだ。
分かったよ。
お疲れ様。彼の家の周囲に誘拐する気配はないわ。合格よ。
やった。やった。
06:00
ルイス、やったよ、俺。
これでロンドンの、あなた達の所に行けるんだね。
ええ。日が明けて、状況が変わらなければ。
こっちだ。
おい、どうした。
昨日から変だぞ。
おはようからお休みまで俺につきっきりで、いや、割と前からか。何があったんだよ。
いや、本当に何でもないんだ。
アレク。
ん?
今日はおごるよ。
ここ、俺のバイト先。
あれ、そうだった。悪い。
いや、いいんだ。
あんま高いもん頼むなよ。
わかってるって。
最近、なんだかんだアレクが生き生きしてて嬉しいよ。
そうか。俺は生きた心地しないよ。
本当に、何があったんだよ。
親友の俺に言えないことか。
うん。
親友、だろ?
ああ、親友だ。
まあ、言えないなら仕方ない。けど、マジで潰れそうになったら俺のこと頼れよ。
こんな日がさ。
何?
こういうくだらないこと言い合ってる日々が、いつまでも続けばいいなって、ふと。
そっか。
ルイスも、ルイスも、俺が幸せになることをちょっぴり許してくれるのかなって。
よし、短くは済んだ。
ディランに言えないままになっちゃったな。
いつまでも続けばなんて。
出発はいつがいい?
アレク、悲しいけど重大な知らせよ。
え?
状況が変わったの。
でもこれは、決定事項。
