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子供の遊び場とそれを支える人々の生存戦略:子どもの遊び場・居場所づくりの総合実務ガイド:安全設計、組織運営、およびプレイワークの専門性
2026-07-22 19:05

子供の遊び場とそれを支える人々の生存戦略:子どもの遊び場・居場所づくりの総合実務ガイド:安全設計、組織運営、およびプレイワークの専門性

この資料は、サントリーセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが協働で実施した「フクシマ ススム プロジェクト」の活動報告と事例をまとめたものです。福島県内で活動する子ども支援団体を対象に、遊び場の提供といった直接的な支援だけでなく、団体の組織基盤強化を技術面から支援した成果が記されています。具体的には、専門のアドバイザー派遣を通じて、財政の安定化や情報発信力の向上、中期計画の策定など、各団体が抱える運営上の課題解決に取り組んだプロセスを解説しています。一例として、NPO法人みんなのひろばが人員確保や利用料の見直しにより、個人の努力に頼る体制から持続可能な組織運営へと転換した事例などが紹介されています。全体として、NPOが質の高い活動を長期的に継続するために不可欠な、組織運営の基盤づくりの重要性と具体的な実践例を提示しています。

福島の子ども支援NPOにおける組織基盤強化の軌跡:ブリーフィング・ドキュメント

エグゼクティブ・サマリー

本資料は、サントリーホールディングス株式会社と公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)による共同事業「サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクト」の一環として実施された、福島県内のNPO団体に対する組織基盤強化支援の成果をまとめたものである。

東日本大震災後の福島において、子どもたちの成長環境を支える「遊び場・居場所」の持続可能性を確保するため、7つのNPO団体が「活動の質の向上」と「組織基盤の強化」の両輪で取り組んだ。主要な成果として、個人依存の運営からの脱却、事業収入の多角化、ファンドレイジングの戦略的導入、公的認可事業への移行などが挙げられる。組織課題の解決に向けた外部アドバイザー(公益財団法人パブリックリソース財団)による技術支援は、団体のミッション再確認と具体的な経営改善において決定的な役割を果たした。

1. プロジェクトの背景と目的

「子どもの場所づくり支援」は、福島の子どもたちが健やかに成長するために欠かせない「日常的な遊び場・居場所」の活動を支援するプロジェクトである。

  • 二つの柱:
    1. 活動の質の向上: 資金・技術支援を通じた施設整備、職員育成、研修参加。
    2. 運営強化(組織基盤強化): 資金調達、財務管理、広報、中期計画策定などの弱点強化。
  • 支援の必要性: 多くのNPOが「スタッフ不足」「事業収入の低迷」「特定スタッフへの過度な負担」「低認知度」といった課題を抱えており、目の前の活動に追われて組織運営の改善が後回しになる現状があった。
  • 技術支援体制: 公益財団法人パブリックリソース財団(PRF)のアドバイザーが毎月各団体を訪問し、個別課題の解決に向けた議論のファシリテーションや助言を実施した。

2. 組織基盤強化の主要な取り組みと成果

各団体は、自らのボトルネックとなっている課題に基づき、独自のテーマを設定して取り組んだ。

2.1 財政の安定化と組織的運営への移行

事例:NPO法人 みんなのひろば(伊達市)

  • 課題: 理事長一人が送迎から運営まで全てを担う「個人のがんばり」に依存した脆弱な体制。
  • 施策:
    • 女性スタッフの雇用による体制強化。
    • 利用料の改定(他団体調査に基づく適正価格への見直し)。
    • 助成金獲得のための「積極申請」方針の策定。
  • 成果:
    • 事業収入が約5割アップ。
    • 6件の申請中5件の助成金を獲得し、送迎車両などを確保。
    • スタッフ3名体制となり、活動の質ときめ細かな対応が向上。

2.2 事業収入の開拓と拠点の有効活用

事例:NPO法人 ココネット・マム(郡山市)

  • 課題: 新拠点(放課後児童クラブ)を維持するための、助成金に頼らない安定収入の確保。
  • 施策:
    • スタッフ全員によるワークショップを通じた収益事業のアイデア出し。
    • サロン開催、リユースコーナー設置、オリジナル商品販売の検討と試行。
    • Facebookを活用した毎日の情報発信。
  • 成果:
    • 「育児サービス」と「児童クラブ」という本来の強みを再認識。
    • Facebookを通じた認知度向上とスタッフのモチベーション向上。
    • 中長期的な戦略を考える組織的素地が形成された。

2.3 戦略的ファンドレイジングと支援者との連携

事例:NPO法人 子育て支援コミュニティ プチママン(郡山市)

  • 課題: 業務の集中による役割分担の不備、および自由度の高い資金(会費・寄付)の不足。
  • 施策:
    • ミッション・ビジョンの再確認と共有。
    • 「ひろば応援団」という新たな賛助会員制度の新設。
    • クラウドファンディングの実施(キッチン整備資金90万円を達成)。
  • 成果:
    • 広報ツール(リーフレット、HP)の刷新による発信力強化。
    • 寄付者データベースの構築と、ニュースレターによる継続的コミュニケーション。
    • 運営業務の分散によるスムーズな組織運営。

2.4 認可事業への立ち上げと持続性の確保

事例:NPO法人 ふよう土 2100(郡山市)

  • 課題: 助成金依存の運営からの脱却。
  • 施策:
    • 児童福祉法に基づく「放課後等デイサービス事業」の認可取得を決断。
    • 認可対象外の利用者向けには、自主事業としての継続を並行。

3. 組織基盤強化における共通の成功要因

各団体の事例から、NPOが組織を強化するための共通のポイントが示唆されている。

領域成功のためのアクション
リーダーシップ現場の活動から一歩引き、組織運営(マネジメント)に時間を割く意識改革。
透明性収支決算を公開し、丁寧な説明を行うことで、利用者の理解を得ながら価格改定等を実施する。
言語化自らのビジョンやミッションを「第三者に伝わる言葉」で再定義し、外部への共感を得る。
外部視点専門アドバイザーを受け入れ、客観的な分析やファシリテーションを活用する。
チーム構成担当を明確にし、多様なメンバーを巻き込むことで、特定個人への負担を軽減する。

4. 注目すべき引用・知見

「スタッフの人数が足りない、事業収入が低迷している、一部のスタッフに過度な負担がかかっている、認知度が低いなど、悩みを抱えている団体は少なくありません。質の高い活動を支える安定した組織力は、NPOが効果的・効率的にミッションを達成するためには不可欠な要素です。」 —— 組織基盤強化の意義について

「ファンドレイジングの基本は、自分たちが取り組む社会的な『課題』を説明して共感を得ること、それに対する解決策を提示することにあります。」 —— ファンドレイジングの定義

「利用者にすべてをさらけ出して、誠心誠意、丁寧な説明をすることで、値上げも納得してもらえる」 —— 財政安定化に向けた知見

結論

福島の子ども支援NPOは、組織基盤を強化することで、単なる「活動の継続」を超え、「活動の質の向上」と「社会的信頼の獲得」を同時に実現している。各団体が直面した課題は多くのNPOに共通するものであり、本プロジェクトで得られた知見は、他地域の団体にとっても組織運営の改善に向けた重要な指針となるものである。

感想

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サマリー

本エピソードは、子どもの遊び場や居場所の持続可能性を支える組織基盤強化の重要性に焦点を当てています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとサントリーによる「福島進むプロジェクト」の報告書を基に、情熱だけに頼らず、いかにして組織を安定させるかの具体例が紹介されました。NPO法人みんなのひろばの利用料値上げと透明性、ココネット・マムの事業収入開拓と戦略的マーケティング、プチママンの共感型ファンドレイジング、そしてふよう土2100の公的制度活用と自主事業を組み合わせたハイブリッド戦略が解説されています。これらの事例は、財政安定化、多様な収入源の確保、支援者との関係構築、そして制度の賢い活用が、NPOが質の高い活動を長期的に継続するために不可欠であることを示唆しています。情熱を「ガソリン」とするならば、組織基盤は「エンジンと車輪」であり、これらが揃って初めてプロジェクトは前進できると結論付けられています。

理想の遊び場と持続可能性の課題
スピーカー 2
あのまずは、あなたの頭の中でちょっと想像してみて欲しいんですが、はい。 子供の理想の遊び場ですね。
スピーカー 1
例えば、東京にある最新テクノロジーを駆使した、あのデジタルアートの空間とか。 ああいいですね、あれはすごいですよね。
スピーカー 2
ええ、あれは海外の事例によくあるような、ものすごく広くて先進的なデザインを取り入れた公園かもしれないです。
子供たちが目を輝かせて駆け回って、安全でしかも想像性を刺激されるような場所、素晴らしいじゃないですか。
スピーカー 1
ええ、本当にそういった華やかな施設とか革新的な空間って、まあ見ているだけでワクワクしますし、社会にとっても非常に価値のあるものですからね。
そうなんですよね。でも今回のこの深掘り、ディープダイブのミッションは、そうした華やかなスポットのその表舞台を語ることではないんです。
スピーカー 1
なるほど、裏側ですね。
スピーカー 2
はい、私たちが今日焦点を当てるのは、その裏側にある泥塗作も最も重要な要素なんです。
つまり、いかにしてその場を持続させるか、という組織基盤の強化についてです。
スピーカー 1
いやー、それは大事ですね。どんなに素晴らしい理念とか、美しい施設があっても、それを支える仕組みがなければあっという間に崩れ去ってしまいますから。
スピーカー 2
そうなんです。情熱だけで立ち上がった素晴らしいプロジェクトが、資金とか人材不足で燃え尽きてしまう。
あなたも、なんかそんな光景を何度か目にしたことがあるんじゃないでしょうか。
スピーカー 1
まあ、よくある話ですよね、残念ながら。
スピーカー 2
これは単なるボランティアやNPOの話ではなくて、あらゆるビジネスやコミュニティ運営、引いては個人のプロジェクトにも直結する、持続可能性の革新に迫るテーマなんです。
福島進むプロジェクトと情熱の罠
よし、これを紐解いてみましょうか。今日メインのソースとして取り上げるのは、2015年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとサントリーが共同で行った福島進むプロジェクトの報告書です。
ああ、あの報告書ですね。
はい。震災後の福島で子どもたちの居場所づくりに奔走した団体が、いかにして自らの組織を立て直したかという、かなり生々しい記録がまとめられています。
スピーカー 1
そうですね。多くの人がその良いことをしていれば、自然とお金や人はついてくるって信じたいんですが、現実はそうはまかりません。情熱は出発点としては最高なんですが、長距離を走り抜くための燃料にはなり得ないんですよね。
スピーカー 2
最初の壁として立ちはだかるのが、まさにその情熱の罠ですよね。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
特に立ち上げの時期って、どうしても創業メンバーの個人的な頑張りに過度に依存してしまう傾向があると思うんですが。
「みんなのひろば」の財政安定化戦略
スピーカー 1
まさにその通りです。報告書の中に福島県板市のみんなの広場という、不登校の子どもたちを支援するフリースクールの事例があるんですけど、これが非常に象徴的なんですよ。
スピーカー 2
ほう。どんな状況だったんですか。
スピーカー 1
設立当初、なんと理事長が一人で、1日200キロの送迎から現場の子どもの対応まで全てをこなしていたんです。
スピーカー 2
え、1日200キロですか。それって運送業のドライバー並みですよね。
スピーカー 1
ええ、本当に。
スピーカー 2
そこに加えて子どもたちのケアまでやっていたら、いつ倒れてもおかしくないじゃないですか。
なんかスタートアップ企業の創業者が、この仕事は自分にしかできないって全てを抱え込んで、最終的に過労で倒れてしまうケースと全く同じ構造に見えますね。
スピーカー 1
ああ、まさにその通りです。発達に障害のあるお子さんもいる中で、もし緊急事態が起きたらどうするのかと、理事長が倒れたらその瞬間に組織が終わってしまう、非常に脆弱な状態でした。
スピーカー 2
それは恐ろしいですね。
スピーカー 1
そこで彼らは外部の支援を受けて、まず女性スタッフを1名雇用したんです。
なるほど。
これにより女子へのきめ細かな対応が可能になっただけでなく、理事長が送迎や現場から少し離れて、組織運営に時間を割けるようになったんですね。
スピーカー 2
それは大きな一歩ですね。でも、人を雇うということは当然お給料を払わなきゃいけないじゃないですか。
女性金とかで一時的にお金が入ったとしても、それってずっと続くわけじゃないですし、どうやってそのスタッフを継続して雇い続ける資金を確保したんですか?
スピーカー 1
彼らは持続可能な財源を確保するために、利用料の値上げに踏み切ったんです。
えっ、ちょっと待ってください。不登校の子どもを支援するフリースクールで値上げですか?
はい、値上げです。
スピーカー 2
今の時代、経済的に余裕のない家庭も多いはずですよね。利用者が、じゃあもう行けませんって離れてしまう危険性はなかったんでしょうか。本来の支援の目的と矛盾するような気がするんですが。
スピーカー 1
まあ、普通はそう考えますよね。でも、ここで非常に興味深いのはですね。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
彼らがその値上げをどうやって実現したかというアプローチが鍵なんです。彼らは単に明日から値上げしますと通達したわけではないんです。
スピーカー 2
と言いますと?
組織の収支決算、つまり帳簿の裏側まで全てをさらけ出して、なぜこの価格にしないと施設が存続できないのかを3ヶ月という猶予期間を設けて精神整備説明したんですよ。
スピーカー 2
つまり、自分たちの台所事情を隠さずにオープンにしたと。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
でも、それだけでじゃあ5割増しで払いますとはならないような気がするんですが。
もちろん、単に数字を見せただけじゃありません。この透明性の背後にある心理メカニズムが重要なんですよ。
スピーカー 2
心理メカニズム?
スピーカー 1
はい。利用者である保護者からすれば、料金が安くてもいつ潰れるかわからない綱渡りの施設に子どもを預けるのって非常に不安ですよね。
スピーカー 2
ああ、確かに。明日なくなるかもしれない場所には預けたくないですね。
スピーカー 1
ですよね。それよりも自分たちの抱える現状のコストとか経営状態を正直に開示して、適正価格をいただければ長期的かつ安定的にこの場所を守れますって約束してくれる施設の方が結果的に子どものためになるんです。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
そのなぜという部分を丁寧に共有したことで、保護者たちとの信頼関係が逆に強固になって、結果として全員の理解を得て収入が5割アップしたんです。
スピーカー 2
安さよりも存続の確実性と信頼を選んだわけですね。すごいなあ。
スピーカー 1
さらに彼らは理事長の手が空いた時間を活用して、助成金の申請も積極化させました。専門用語を避けた誰にでも分かりやすい申請書を書くことで、6件中5件を獲得して、送迎用の車両まで手に入れているんです。
スピーカー 2
それは素晴らしいですね。個人の自己犠牲に依存するフェーズからシステムとして機能する組織への見事な脱皮ですね。
スピーカー 1
はい。
「ココネット・マム」の事業収入開拓と情報発信
スピーカー 2
ただそこで新たな疑問が湧いてくるんですが。
スピーカー 1
何でしょう?
スピーカー 2
理事長が事務作業に専念できるようになって初期の機器は出したとしますよね。
でも新しく車を維持したりスタッフの人数を増やしたりしていくと、今度は毎月必ずかかってくる固定費が跳ね上がりますよね。
スピーカー 1
そうなりますね。
スピーカー 2
助成金に頼らず日常的な活動を支えるお金をどうやって毎月稼ぎ続けるんでしょうか。
スピーカー 1
そこが次の大きなハードルなんですよ。ここからが本当に面白いところなんですが。
スピーカー 2
はい。教えてください。
スピーカー 1
交流市で放課後児童クラブ、いわゆる学童保育ですね。これを運営するココネットマムという団体がまさにその壁に直面しました。
スピーカー 2
学童保育ですね。
スピーカー 1
新しい拠点を確保して定員を増やした結果、毎月45万円の事業収入を自力で生み出す必要に迫られたんです。
スピーカー 2
45万円ですか。学童保育で毎月45万円の純粋な事業収入を利用料以外で稼ぎ出すってかなりハードルが高いですよね。
スピーカー 1
そうなんです。で、どうやって解決したかというと、ここで重要なのは代表が一人で悩まなかったことなんです。
12名のスタッフ全員でワークショップを開いて収益事業のアイディアを出し合いました。リユースコーナーを作ろうとか、オリジナル商品を販売しようとか。
スピーカー 2
みんなで考えたんですね。
スピーカー 1
はい。その中でスタッフの特技を活かしたお菓子作りなどのサロンを試験的に実施してみたんです。
スピーカー 2
なるほど。お菓子作り教室を開いてその参加費で稼ごうとしたわけですね。
スピーカー 1
ところが実際にサロンをやってみて、彼らはある重要な事実に気づきました。
スピーカー 2
何でしょう。
お菓子作りサロン単体では大した利益が出なかったんです。
スピーカー 2
え、ダメだったんですか。
スピーカー 1
ええ。しかし彼らはサロンを辞めませんでした。なぜだと思いますか。
スピーカー 2
えっと、利益が出ないのに続けたんですか。
うーん、あ、もしかしてサロンに来たお母さんたちに本業の学童放育を宣伝したとか。
スピーカー 1
その通りです。彼らは自分たちの真の強みはあくまで児童クラブや育児サービスの運営にあると再認識したんです。
スピーカー 2
なるほど、なるほど。
スピーカー 1
だから、サロンは直接的な収益源にするのではなく、
そこにお菓子作りの楽しさで惹かれてやってきたお母さんたちに、
本丸びある児童クラブを知ってもらうための強力なマーケティング手段として位置づけたんですよ。
スピーカー 2
ああ、なるほど。
これって、街のパン屋さんが生き残るためにコーヒーのテイクアウトを始めたら、
実はコーヒー自体の利益は雀の涙でも、
コーヒーの匂いに惹かれて店に入ってきたお客さんが看板商品の高いパンを買っていくことで経営が安定したという話に似ていますね。
スピーカー 1
全く同じ構造ですね。
これをもう少し広い視点に結びつけてみると、
この戦略の方向修正はあらゆるビジネスにおいて極めて重要だということがわかります。
スピーカー 2
と言いますと、
スピーカー 1
新しいアイディアをただ実行するだけじゃなくて、
その結果を冷静に分析して、
自分たちの本来のコアバリュー、つまり存在意義にどう結びつけるかを考えるということです。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
さらにこの団体が素晴らしかったのは、情報発信の方法なんですよ。
スピーカー 2
情報発信というと、SNSとかですか?
スピーカー 1
はい。彼らにはITの専門家がいなかったんですが、
スタッフ全員で分担して、
Facebookを毎日更新するというルールを作ったんです。
スピーカー 2
毎日ですか?それは大変そうですね。
スピーカー 1
ええ。でも特定の誰か一人に負担を押し付けるのではなく、
全員参加型でアイディアを出して発信を分担したんです。
これによりスタッフ一人一人が、
自分がこの組織を作っているんだという当事者意識を持つようになりました。
スピーカー 2
確かに自分が投稿した記事にいいねがつけば、
単なる雇われスタッフじゃなくて、
運営の主体としてのモチレーションが上がりますよね。
スピーカー 1
そうなんですよ。
スピーカー 2
事業の方向性を見直しただけでなく、
組織の内側の意識まで変えてしまったと。
スピーカー 1
はい。ただ、こうした自主事業でのマネタイズが機能するのは、
「プチママン」の共感型ファンドレイジング
スピーカー 1
あくまでサービス自体にある程度の対価を払ってもらえる仕組みがある場合ですよね。
スピーカー 2
確かにそうですね。
世の中にはそもそも完全に無料で開放している施設もありますから。
スピーカー 2
例えば公園とか、誰でもフラッと立ち寄れるような子育て広場ですね。
スピーカー 1
ええ。そういう場所ってそもそもサービスを売って稼ぐという概念が成り立たないじゃないですか。
無料で開放しつつ、スタッフの給料とか家賃を払うなんて、どうやって実現するんですか。
スピーカー 2
そこでお話ししたいのが、栗山市の子育て支援コミュニティプチママンの事例です。
スピーカー 1
プチママン。
スピーカー 2
はい。彼らはいつでも親子が無料で遊べる広場や、半屋内の砂場を運営していました。
事業が拡大するにつれて、家賃やスタッフへの適正な支払いのために、市とが限定されない自由度の高い資金、つまり寄付を集めることが急務になったんです。
スピーカー 1
出ました。寄付。でも正直なところ寄付を物るっていうと、どうしてもお金が足りなくて困っています。
どうか助けてくださいってお願いして回るような、ちょっとネガティブで気まずいイメージがありません。
スピーカー 2
まあわかります。
スピーカー 1
それに支援者に向けてニュースレターを送るとかよく聞きますけど、あれって受け取る側からすると、またお金の無心かってスパムみたいに感じてしまうことありませんか?
スピーカー 2
その感覚は非常によくわかります。実際多くの団体がそのお願い営業の罠に陥ってしまうんですよね。
スピーカー 1
はい。しかしプチママンが成功したのは、ファンドレイジングの本質を完全に理解していたからなんです。
スピーカー 2
本質ですか?
ファンドレイジングの最大の目的は、実はお金を集めることではなく、共感を集めることなんですよ。
スピーカー 2
共感を集める。具体的にどういうことですか?
スピーカー 1
彼らはまず自分たちのビジョンや理念、つまり私たちは社会のどんな課題を解決しようとしているのかというのをスタッフ全員で再確認しました。
そして寄付を単なるお金の無心ではなくて、あなたのご支援があれば、この地域の子育ての孤立という課題を私たちはこういう具体的な方法で解決できますという提案に変えたんです。
スピーカー 2
なるほど。困っているから助けてではなく、私たちと一緒にこの問題を解決しませんかというオファーに変えたということですね。
スピーカー 1
その通りです。広場応援団という産女会員制度を作ったり、クラウドファンディングでキッチンの整備資金90万円をたった2ヶ月で集めたりしたんです。
スピーカー 2
2ヶ月で90万円ですか。すごい。
スピーカー 1
そしてご指摘のあったスパム化してしまうニュースレターの問題ですが。
スピーカー 2
はい、そこ気になります。
スピーカー 1
彼らは寄付者のデータベースを作って、お金が具体的にどう使われて、どんな親子の笑顔を生んだのかを徹底的に報告したんですよ。
スピーカー 2
ああ、なるほど。ただお金をくださいじゃなくて、あなたの投資がこんな社会的価値を生みましたよという報告書になっているから読む側も嬉しいわけですね。
スピーカー 1
ええ。寄付者をお金を出してくれる単なるスポンサーとして扱うのではなくて、社会課題を一緒に解決していくパートナーへと変えたわけです。
スピーカー 2
関係性を育てていくと。
はい。それこそが共感型ファンドレイジングの真髄なんです。
スピーカー 2
面白いですね。サービスを買ってもらうか、共感を買ってもらうかの違いだけで、根本的なマーケティングの考え方は同じだと感じました。
「ふよう土2100」の公的制度活用とハイブリッド戦略
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
さて、ここまで来ると組織としてはかなり足腰が強くなってきたように見えますね。
スピーカー 1
ええ、かなり。
スピーカー 2
ただ、寄付とか自主事業だけで、さらに数十年と安定してスケールアップしていくのは限界がある気もするんですが。
スピーカー 1
非常に鋭い視点ですね。つまり、これは一体どういうことなんでしょうか。そこで登場するのが最後の究極の選択肢、公的制度の活用です。
スピーカー 2
公的制度ですか。
スピーカー 1
ええ。震災後、障害のある子どもたちの居場所として、交流サロンヒカリを開設した、「扶養堂2100」という団体の事例を見てみましょう。
スピーカー 2
扶養堂2100。
スピーカー 1
はい。彼らは当初、主に助成金頼みで運営していましたが、より安定した基盤を作るために、国の認可事業である放課後等デイサービス事業への移行を決断しました。
スピーカー 2
国の認可事業になれば、原則として利用料の大部分を国や自治体が負担してくれますよね。
スピーカー 1
そうなんです。
スピーカー 2
経営的にはとてもなく大きな安定基盤になりますね。でも、ちょっと待ってください。
スピーカー 1
はい。
これってどういう事態を引き起こすんでしょうか。国の認可を受けるということは、安定区引き換えに厳しい基準や制限、いわゆるお役所仕事のレッドテープに縛られるということですよね。
スピーカー 1
はい。これはすごく重要な問題を提起していますよね。そこにジレンマがあるわけです。
ですよね。NPOが本来持っている良さって、目の前の困っている人にルールの枠を超えてすぐ手を差し伸べる身軽さとか、自由な精神だと思うんです。
スピーカー 2
実際、国の制度に乗っかったことで、今まで助けられていた人が助けられなくなるような弊害は出なかったんですか。
スピーカー 1
まさにその壁にぶつかったんです。国の制度の枠組みでは、0歳から6歳の未就学児が支援の対象外になってしまうことが判明したんですよ。
スピーカー 2
え、対象外ですか。
スピーカー 1
はい。制度に乗れば、これまで通ってきていた未就学児たちを見捨てなければならない。でも制度に乗らなければ、組織が至近なんで倒れて、全員胸倒れになるかもしれない。
スピーカー 2
それは究極の選択ですね。どう決断したんですか。
スピーカー 1
扶養度2100が出した答えは、その両方を取りに行くことでした。
スピーカー 2
両方、どうやってですか。
スピーカー 1
彼らはまず、国の厳しい基準を満たすために、拠点やスタッフを確保して、放課後等デイサービス事業として認可を受けました。
これにより、組織全体の持続性とサービスの質を強固に担保して、太い収入の柱を作ったんです。
そして同時に、制度からこぼれ落ちてしまうゼロから六歳児への支援については、国の制度とは切り離した独自の自主事業として並行して継続することにしたんですよ。
スピーカー 2
なるほど。公的資金で巨大な缶となる基盤をしっかり確保しつつ、制度の枠に収まりきらない隙間の部分はNPO本来の身軽さを持った独自の事業でカバーする。完全にハイブリッド戦略ですね。
スピーカー 1
そうなんです。彼らはNPOの自由な精神を履き違えなかったんです。
と言いますと?
スピーカー 1
NPOの究極の目的は、制度と反発して自由を着取ることではなくて、対象者である子どもたちに質の高いサービスを継続して届けることです。
スピーカー 2
確かに。
スピーカー 1
その目的を見失わず、使える公的制度はしたたかに使い切って、足りない部分は自分だけで補う。
その冷静な判断が、組織と子どもたちを救ったんです。
組織基盤強化の共通成功要因と行動への問いかけ
スピーカー 2
いや、情熱だけで突っ走るものではなくて、冷徹なまでに組織の基盤を見つめ直す。今日見てきた事例は本当にどれも深い学びがありますね。
スピーカー 1
素晴らしいミッションや情熱は、車を前に進めるためのガソリンです。
しかし、今日私たちが深掘りしてきた適正価格の設定、マーケティングの視点、共感を集めるファンドレイジング、そして公的制度のハイブリッドな活用といった組織基盤の強化はですね。
スピーカー 2
はい。
ガソリンを動力に変えるエンジンであり、車を支える車輪なんですよ。
スピーカー 2
ガソリンだけあっても、エンジンと車輪がなければ車は1ミリも前に進まない、あるいは空回りしてすぐに壊れてしまいますもんね。
スピーカー 1
その通りです。
スピーカー 2
これらが全て揃って初めて、子どもたちの遊び場は長期的かつ安全に機能し続けることができるわけですね。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
ということは、冒頭で触れた世界規模のデジタルアート施設も、海外の先進的な公園も、規模こそ違えど、結局のところ根底にあるのは、いかにして持続可能な運営体制を作るかという、今日私たちが話してきたテーマと全く同じ力学で動いているということですよね。
スピーカー 1
ええ。華やかな光が強ければ強いほど、その裏にある基盤は太くて強固でなければならないということです。
スピーカー 2
そこで、このディープダイブを聞いてくださっているあなたに最後に問いかけたいと思います。
はい。
あなたの職場や参加している地域コミュニティ、あるいは友人の集まりの中に、誰かの無人像に見える情熱と自己犠牲だけでギリギリ回っているプロジェクトはありませんか?
スピーカー 1
あの人がやってくれているから大丈夫と、あえて見えないふりをしている構造的な課題ですね。
スピーカー 2
ええ。その中心にいる人たちの熱いガソリンが完全に燃え尽きてしまう前に、あなたがそのプロジェクトのエンジンや車輪、つまり組織基盤を強化するためにできる最初のアクションは何でしょうか?
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
価格の透明性を求めて話し合うことでしょうか?それとも隠れている強みを見つけるワークショップを提案すること?あるいは、ただ手伝うよと声をかけて業務を分担することでしょうか?
華やかなオマテ舞台を持続させるためのあなたなりの最初の一歩をぜひ考えてみてください。
19:05

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