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地方の移住促進施策:二地域居住と地方移住促進施策の展開と展望
2026-07-23 20:05

地方の移住促進施策:二地域居住と地方移住促進施策の展開と展望

これらの資料は、日本における東京一極集中の是正地方創生に向けた多角的な取り組みを解説しています。政府は移住支援金の支給や学生の地方就職支援を強化しており、地域おこし協力隊の隊員数も過去最多を更新し、任期後の定着率も約7割に達しています。特に北海道厚沢部町の「保育園留学」は、子育て世帯を呼び込み地域経済を活性化させる先進的な仕組みとして注目されています。また、2024年施行の二地域居住促進法により、完全移住だけでなく「デュアルライフ」という新しい選択肢も制度的に支援されるようになりました。単なる人口確保から、デジタル活用や地域OSの構築を通じた、持続可能な地域社会への転換が加速しています。

二地域居住等の促進に関する包括的ブリーフィング資料

エグゼクティブ・サマリー

本資料は、国土交通省が推進する「二地域居住」の促進策、法的枠組み、予算措置、および具体的な実施状況についてまとめたものである。二地域居住とは、主な生活拠点とは別に、特定の地域に生活拠点を設ける暮らし方を指す。

人口減少が加速する中、地方への人の流れを創出・拡大する手段として、二地域居住は極めて重要な役割を担っている。令和6年5月に成立した改正法により、市町村による「特定居住促進計画」の作成や、民間団体等を「二地域居住等支援法人」として指定する制度が創設された。これにより、ハード・ソフト両面での環境整備が加速している。

主なポイントは以下の通りである。

  • 社会的意義と個人的意義: 地域の担い手確保や消費拡大といった社会的側面と、ウェルビーイングの向上や新たな働き方の実現といった個人的側面の両立。
  • 制度的支援: 法律に基づき、コワーキングスペース整備等の特例措置や、空き家対策・地域交通のリ・デザインに対する重点的な予算配分がなされている。
  • 官民連携: 1,200を超える団体が参画する「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム」の構築により、マッチングや課題解決が図られている。
  • 中長期の課題: 交通費・滞在費の負担軽減、生活環境(医療・教育等)の維持、および「デジタル住民票」等を通じた地域との関わり方の最適化が今後の焦点となる。

1. 二地域居住の定義と意義

二地域居住は、単なる観光以上、完全移住未満の「関係人口」の深化形態として位置づけられる。

二地域居住の定義

主な生活拠点とは別の特定の地域に、ホテル等を含めた生活拠点を設ける暮らし方。都市部と地方部の往来だけでなく、地方部間での多拠点居住も含まれる。

促進の意義

二地域居住の促進には、以下の多面的な意義が存在する。

分野主な意義・効果
社会的意義地域の担い手確保、消費需要の創出、新規ビジネス・後継者の確保、雇用の創出。
個人的意義ウェルビーイングの向上、新たな働き方・学びの機会の創出、豊かな自然環境での子育て。
冗長性(リダンダンシー)自然災害やパンデミック等の突発的な危機に対する避難場所・拠点の確保。

2. 法的枠組みと推進体制

「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年5月成立、11月施行)に基づき、以下の制度が運用されている。

自治体による計画制度

  • 広域的地域活性化基盤整備計画(都道府県): 広域的なインフラ整備や拠点整備の方針を策定。
  • 特定居住促進計画(市町村): 地域の実情に応じた二地域居住の具体的な方針、拠点施設(住宅、コワーキングスペース等)の整備、利便性向上策を記載。
    • 特例措置: 住居専用地域におけるコワーキングスペース開設の円滑化などが含まれる。

二地域居住等支援法人(特定居住支援法人)

市町村長は、NPO法人や民間企業(不動産会社等)を支援法人として指定できる。

  • 役割: 空き家・仕事・イベント情報の提供、マッチング支援、計画作成の提案。
  • 現状(R7.12.31時点): 全国で51法人が指定されている。

協議会制度

市町村、都道府県、支援法人、地域住民、交通事業者、商工会議所等で構成される「二地域居住等促進協議会」を組織し、関係者間の連携を図る。

3. 予算措置と支援事業(令和8年度当初予算案)

二地域居住の「住まい」「なりわい」「コミュニティ」の課題解決に向け、多角的な予算配分が行われている。

分野予算項目内容予算額(案)
住まい空き家対策総合支援事業空き家再生等、二地域居住促進に資する取組を重点支援。5,900百万円
なりわい/コミュニティ地方移住促進テレワーク拠点施設整備支援事業計画区域内でのコワーキングスペース等の整備を補助。45百万円
インフラ広域連携事業(社会資本整備総合交付金)拠点施設整備と一体となった周辺基盤整備(アクセス道路等)を支援。459,693百万円の内数
地方創生地域未来交付金(地域未来推進型)二地域居住促進に資する取組を重点的に支援。160,000百万円の内数
観光第2のふるさとづくりプロジェクト特定居住促進計画に関連した申請案件との連携。300百万円
離島特定有人国境離島地域社会維持推進交付金二地域居住者等を支援要件に追加。5,500百万円の内数

4. 自治体および法人の取組状況(令和7年12月31日時点)

制度の活用は全国的に広がっており、各地域で計画策定が進んでいる。

  • 都道府県計画: 20計画(北海道、宮城県、新潟県、長野県、和歌山県、高知県等)
  • 市町村計画: 28計画(北海道北見市、新潟県佐渡市、長野県白馬村、和歌山県田辺市、長崎県五島市等)
  • 支援法人指定数: 51法人(日本航空、パソナJOB HUB、アドレス、各地のNPO法人や信用金庫等)

5. 先導的プロジェクトの実装例

官民連携による「二地域居住促進先導的プロジェクト」では、移動費負担やコミュニティ接続に関する実証が行われている。

  • 移動負担の軽減:
    • マイレージ活用による航空移動費の負担軽減(和歌山県、三豊市、日本航空等)。
    • 離島航路・航空路の負担軽減(新潟県佐渡市、長崎県壱岐市等)。
    • 新幹線等の鉄道交通費負担軽減(新潟県三条市、JR東日本等)。
  • デジタル・情報の活用:
    • デジタル住民票・第2住民登録による可視化とサービス提供(福島県磐梯町、茨城県境町等)。
    • ブロックチェーンを活用した受入促進施策(島根県大田市)。
  • コミュニティ・なりわい:
    • 地域の人事部による担い手マッチング(秋田県大館市)。
    • 伝統産業関連人材の確保(佐賀県有田町)。
    • デュアルスクール(親子二地域居住)の実証(山形県高畠町)。

6. 中長期的課題と今後の展望

二地域居住を定着させるためには、一過性のブームに終わらせないための環境整備が必要である。

検討すべき中長期課題

  1. 諸費用への支援: 高速道路料金、燃料費、新幹線代、滞在費などの個人負担軽減策の継続検討。
  2. 生活環境の維持: 買い物、医療・福祉、子育て・教育サービスの持続可能性確保。
  3. 地域との関わりの制度化:
    • 「ふるさと住民登録制度(仮称)」の創設検討。
    • ベーシック登録(観光・特産品購入)からプレミアム登録(ボランティア・副業・参画)への段階的な深化。

官民連携プラットフォームの強化

令和6年10月に設立された「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム」では、以下の専門部会を設置し、具体的な解決策を協議している。

  • 負担軽減部会: 交通・滞在費用の軽減。
  • 登録・地域関与部会: 居住者の証明と地域貢献の環境整備。
  • 空家部会: 空き家の情報収集からマッチングまでの課題解決。

以上の施策を通じて、都市部と地方部が相互に補完し合う、持続可能な国土形成が目指されている。

感想 1

高見知英
高見知英 Silver Member Top Listener トップリスナー
2日前
二拠点生活を支援する団体みたいなのは取材してみても良さそう。 あれ、しかしこのままだと住民票移す前提の地域おこし協力隊と矛盾する気がするが

サマリー

国土交通省の資料に基づき、日本における「二地域居住」(デュアルライフ)の促進策が詳細に解説されています。これは、単なる富裕層の趣味ではなく、人口減少に直面する地方の活性化、個人のウェルビーイング向上、そして災害やパンデミックに対するリスク分散という多面的な意義を持つとされています。これまで障壁となっていた住まい、仕事、コミュニティ、そして交通費といった課題に対し、法改正による規制緩和、民間企業やNPOが担う「特定居住支援法人」の設置、さらには交通費軽減やデジタル住民票といった具体的な予算措置と実証プロジェクトが進行中です。企業側も、定住人口の奪い合いから、定期的に地域に関わる「関係人口」の生涯価値(LTV)を重視するパラダイムシフトが起きており、二地域居住は社会システムとして本格的に整備されつつあります。

二地域居住の未来と社会変革の序章
スピーカー 1
あのー、今、通勤電車の中とか、あるいはいつものオフィスのデスクでこれを聞いているあなたに、ちょっと想像してみて欲しいんですけど、
もし私が、数年後には、大手航空会社とか鉄道会社が、あなたの週末の小旅行の費用を、あのー、積極的に負担してくれるようになるって言ったら、どう思いますか?
スピーカー 2
えー、ちょっと信じられないと思う人が多いでしょうね。
スピーカー 1
ですよね。しかもそれって単なる期間限定のキャンペーンとかじゃなくて、あなたがどこに住むかっていう社会の根本的なルールを書き換えるための本気の戦力だとしたら?
スピーカー 2
まあ本当にびっくりするような話なんですが、実はそれすでに現実の計画として動き出しているんですよね。
スピーカー 1
そうなんです。今回私たちが深掘りしていくのは、国土交通省が令和8年、つまり2026年の2月にまとめたばかりの、
えーと、日域居住等の促進について、という非常に分厚い行政資料です。
スピーカー 2
はい。これはですね、単なる自然豊かな田舎暮らしのすすめみたいな、よくある移住パンフレットとは全然違うんですよ。
スピーカー 1
ええ、全く違いますよね。今日の深掘りのミッションは、この資料を丸暗記することではなくて、国とか名だたる大企業が、私たちが当たり前だと思っている、
故郷は一つ、とか住所は一つ、という概念を本気で破壊して社会システムを作り変えようとしている、その裏側にあるメカニズムを解き明かすことです。
スピーカー 2
ええ、それが結果的に、これを聞いているあなたの今後の働き方や生き方の選択肢を、どう劇的に拡張するのか、というところまでお話できればと思っています。
二地域居住の定義と若年層の高い関心
スピーカー 1
はい。では早速本題に入りましょう。まず前提として、この日域居住、あの、デュアルライフとも呼ばれますけど、
これって一体何を指しているんですか?
スピーカー 2
そうですね、そこがまず重要です。
なんか、軽井沢に立派な別荘を持っているような、一部のお金持ちの堂楽の話をしているわけではないんですよね?
スピーカー 2
全く違いますね。あの、完全に住民票を移して移住するのではなくて、現在の概な生活拠点は維持したまま、別の特定の地域にもう一つの拠点を持つ、そういう暮らし方全般を指しているんです。
スピーカー 1
なるほど、もう一つの拠点ですか。
ええ、資料によれば、自分で家を借りるとか買うだけではなくて、ホテルとかシェアハウスみたいな、一時的な滞在先を定期的に利用する、そういう形もがっつり含まれているんですよ。
スピーカー 1
へれー、ホテルやシェアハウスでもいいんですね。で、私が面白いなと思ったのは、このライフスタイルへの関心度が異常に高いっていうデータなんです。
スピーカー 2
はい、国の調査データですね。
スピーカー 1
ええ、すでに国民全体の約3割が関心を持っているっていうのもすごいんですが、一番驚いたのが、20代の若年層に限ると、なんと約半数が地方移住とか日劇居住に関心を示しているんですよ。
スピーカー 2
そうなんですよ。20代の半数というのは、これ本当に驚異的な数字ですよね。
スピーカー 1
めちゃくちゃ高いですよね。しかもこれ、都市部から地方への移動だけじゃなくて、地方から別の地方へっていうパターンも含まれているんですよね。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。じゃあ、なぜこれほどまでに、国も個人もこのスタイルを推進しようとしているのか、その本質的な理由を考える必要があります。
促進の意義:人口減少対策と人生のリスク分散
スピーカー 1
はい、そこが気になります。
社会全体の視点から見ると、やっぱり人口減少が加速する中で、地方はもはや地域の担い手とか消費を維持できなくなっているんですよね。完全に移住してくれる人を待っていても、もう間に合わないんです。
スピーカー 1
確かに移住のハードルって高いですからね。でも個人の視点から見るとどうなんでしょう?単になんか自然の中でリフレッシュしたいみたいな、ウェルビーングの向上だけが理由なんですか?
スピーカー 2
もちろんそれもあるんですが、資料の中で特に強調されているもう一つの重要なキーワードがあるんです。
おっ、なんですか?
スピーカー 2
それが、災害時とかパンデミックのような突発的な危機に対するリダンダンシーの確保という側面です。
スピーカー 1
待ってください。リダンダンシー、直訳すると情緒性ですよね。ITのシステムとか工場のサプライチェーンなんかでバックアップ電源を持っておくみたいな文脈で使う言葉だと思うんですけど。
スピーカー 2
まさにそれです。
スピーカー 1
それを人間の暮らしに当てはめるってことですか?
スピーカー 2
その通りです。私たちはコロナ禍で一つの都市とか一つのオフィス、一つのコミュニティに完全に依存しきっている状態がいかに脆弱であるかっていうのを痛感しましたよね。
スピーカー 1
ああ、確かに。家から出られなくなってパニックになりました。
スピーカー 2
物理的な移動が制限されたり、あるいは都市部で大規模な災害が起きたりしたときに拠点が一つしかないっていうことは、個人の人生において最大のリスクになるんですよ。
スピーカー 1
なるほど。つまりこれって人生におけるライフスタイルポートフォリオの分散投資みたいなものですね。
スピーカー 2
それはすごく的確な表現ですね。
スピーカー 1
資産運用で全財産を一つの会社の株に集中させるなってよく言われますけど、自分の居場所とかコミュニティも複数持つことでリスクを分散させるわけだ。
スピーカー 2
ええ、まさにそういうことです。
スピーカー 1
そうすれば災害みたいな物理的なリスクに対するバックアップ電源になるし、同時に新しい出会いとか学びといった心の豊かさっていう利回りも最大化できる。
スピーカー 2
本当にその通りで、一つの場所に縛られないことは最強のリスクフェッジになるんです。だからこそ国もリスク分散として強く推奨しているわけですね。
二地域居住を阻む3つの壁:住まい・なりわい・コミュニティ
スピーカー 1
いや、すごく理にかなっています。でもここで一つすごく現実的な疑問が湧くんですよ。
スピーカー 2
はい、何でしょう。
スピーカー 1
20代の半数が興味を持っていて、国も推奨していて、ライフスタイルの分散投資としてこれだけ完璧なのに、
なぜ私の周りにも、今これを聞いているあなたの周りにも、実際に日記居住をやっている人がこんなに少ないんですか?
スピーカー 2
ああ、そこですよね。
スピーカー 1
ええ、毎朝の満員電車は相変わらず人であふれかえっていますよ。みんな何でやらないんでしょうか?
スピーカー 2
それがまさにこの行政資料が解決しようとしている最大のテーマなんです。これまではいくら個人がやりたいと思っても乗り越えるべき巨大な3つのハードルが立ちはだかっていました。
スピーカー 1
3つのハードル?
スピーカー 2
はい。それは住まい、なりわい、これはつまり仕事ですね。そしてコミュニティの壁です。
スピーカー 1
ああ、確かに。いざ週末だけ別の町に行こうと思っても、どうやって都合よく手頃な家を探すのかってなりますよね。
スピーカー 2
ええ。
スピーカー 1
それにそこでどんな仕事や役割を持てるのか。そして何より、ちょっと閉鎖的かもしれない地元のコミュニティにどうやって溶け込むのか。
スピーカー 2
そうなんですよ。これまではこれらすべてを個人のものすごい異常な熱量とか、たまたま現地に知り合いがいるっていう運だけで解決しなければならなかったんです。システムとして全く成立していなかったんですね。
法改正と「特定居住支援法人」による課題解決
スピーカー 1
個人の気合だのみだったわけですね。だから国が法整備に動いたと。資料にある令和6年に施行された広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部改正ですね。
スピーカー 2
はい、そうです。
スピーカー 1
長い名前ですけど、要するにこれどういうことなんですか?
スピーカー 2
簡単に言うと、市町村が特定居住促進計画というものを作成できるようになりました。
ほうほう。
スピーカー 2
この計画が国から認定されると、法律上の特例措置、つまり大幅な規制緩和が適用されるようになるんです。
スピーカー 1
規制緩和って具体的には?
スピーカー 2
例えばですね、本来なら住宅しか建ててはいけないという厳しいルールの住居専用地域であっても、2期居住者向けのコワーキングスペースとか交流施設を特例として開設しやすくなるんです。
スピーカー 1
へー、それは大きいですね。資料を見ると、令和7年12月末の時点で既に20の都道県、28の市町村で具体的な計画が策定されていますね。
スピーカー 2
ええ、かなり早いペースで進んでいます。
スピーカー 1
でもちょっと待ってくださいよ。
スピーカー 2
はい、どうしました?
スピーカー 1
用途地域の規制緩和で田んぼの真ん中に綺麗なコワーキングスペースができるのは、それ確かに助かりますよ。
でも、法律が変わって計画書ができただけで、よそ者である私やあなたがいきなり都合よく手頃な空き家を見つけられるわけじゃないですよね。
スピーカー 2
まあおっしゃる通りです。
スピーカー 1
綺麗でおしゃれなコワーキングスペースでノートパソコンを開いて座っていたって、地元の草刈りとかバーベキューに突然誘われるわけでもない。
へー。
お役所が上から作った計画とか箱物だけでは、現場のリアルな人間関係の壁って1ミリも解決しないんじゃないですか?
スピーカー 2
まさにその通りなんです。箱物や制度を作るだけでは、人は絶対に動かない。
国もこれまでの地方創生の失敗から、その限界を痛いほど理解しているんです。
スピーカー 1
あー、過去の反省があるわけですね。
スピーカー 2
はい。だからこそ、今回の法改正の真の用といえる全く新しい仕組みが導入されたんです。
スピーカー 1
真の用ですか?
スピーカー 2
それが制度とギャップを埋める特定居住支援法人という存在です。
スピーカー 1
支援法人?なんかちょっとお堅い名前ですけど、具体的には誰が何をしてくれるんですか?
スピーカー 2
これは市町村長が民間企業やLPO法人を公式な現場のコーディネーターとして指定する制度なんですよ。
令和7年12月時点で全国で51法人が指定されています。
スピーカー 1
あ、資料にリストがありますね。ちょっと見てみますけど、これリスト見ているだけでめちゃくちゃ面白いですね。
スピーカー 2
はい。顔ぶれがすごく多彩なんです。
地元のNPO法人とか商工会が名を連列しているのはわかるんですけど、そこにJALとかANAみたいな巨大航空会社が入っている。
スピーカー 1
あと、生産者と消費者を直接つなぐ株式会社天風太陽とか、定額住み放題サービスのアドレスとか、そういう名だたる大企業とかスタートアップががっつり入っていますよ。
彼らがコーディネーターになるんですか?
スピーカー 2
はい。しかも彼らは単にアキアバンクの情報を流したりとか、求人票をペラッと見せたりするだけじゃないんです。
スピーカー 1
違うんですか?
スピーカー 2
なんと、法律に基づいて市町村に対して地域のルールをもっとこう変えましょうっていう計画の作成や変更の提案までを行える強い権限を持っているんですよ。
スピーカー 1
えっと、ルールの提案権まであるんですか?それはすごい。じゃあちょっと具体的にイメージさせてください。
スピーカー 2
はい、どうぞ。
スピーカー 1
例えば私が和歌山県で2地域居住を始めたいと思ったとします。この支援法人は現場でどうやって私をドアの中に入れてくれるんですか?
スピーカー 2
まずですね、あなたはアドレスなどの支援法人にアクセスします。彼らはすでに地元の空き家をリノベーションして、Wi-Fi環境などを整えた快適な滞在拠点を持っています。
スピーカー 1
はいはい、とりあえず住む場所は確保できると。
スピーカー 2
そして彼らは単なる不動産屋ではなくて地域とのパイプ役なんですね。この人はこういうスキルを持っていますよと地元企業に副業を紹介したり、地域のお祭りの手伝いをマッチングしたりするんです。
スピーカー 1
めちゃくちゃ手厚いですね。
スピーカー 2
さらにもしあなたが交通手段が不便すぎるという課題を感じたら、支援法人が自治体にカーシェアの拠点をここに作るべきだって直接提案してルールを変えていくこともできるんです。
つまり彼らは不動産屋とハローワークと地元の世話焼きおじさんおばさんを合体させた上に行政へのロビー活動までできる最強のローカルコンシエル寺なんですね。
スピーカー 2
まさにその表現がぴったりです。よそ者であるあなたが地域に入るときの非常に強力なスポンサーになってくれるわけです。
スピーカー 1
いやーそれは心強いです。
スピーカー 2
さらに言うと令和6年10月に全国2地域居住等促進官民連携プラットフォームというものが立ち上がりました。
スピーカー 1
また長い名前ですね。
スピーカー 2
自治体とかJALシェアリングエコノミー協会などが共同代表を務めていて、なんと全国で1200以上の団体が参加しているんです。
スピーカー 1
1200ですか?
スピーカー 2
ここで官民が一体となってどうすれば2地域居住者が地域に溶け込めるかという現場のドロドロしたノウハウをリアルタイムで共有し合っているんですよ。
なるほど。最強のコンシエル寺がいて国を挙げた1200団体のバックアップ体制もある。これで家とか仕事コミュニティの壁はかなり低くなりそうです。
コストの壁を破る:交通費支援とデジタル住民登録
スピーカー 1
でもあのー
お気づきですね。
スピーカー 1
はい。最強のコンシエル寺のおかげで和歌山に完璧なシェアハウスと地元での面白いプロジェクトが見つかったとしましょう。週末の荷造りも完璧です。
ええ。
でもいざ新幹線のチケットとか航空券を予約しようとして、はっと気づくわけですよ。あれ?これ毎週末往復したら一ヶ口で破産しないかって。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。そこが最大のネックになりますよね。
スピーカー 1
いくら現地の家賃が安くても二重生活の滞在費と、何より莫大な交通費がかかる。この現実的なコストの壁を壊さない限り、結局は一部のお金持ちの増落で終わっちゃいますよね。この問題どうやって解決するつもりなんですか?
スピーカー 2
実は今回の行政資料の中で私が最も熱量を感じたのがそこなんです。中長期的な課題として、二地域居住等に伴う所費用への支援というのが明確に掲げられていまして、芸は8年度の予算案に向けて、このお金と移動の壁を壊すための具体的な実証モデルプロジェクトが全国でガンガン動いているんですよ。
スピーカー 1
具体的にどうやってコストを下げるんですか?
スピーカー 2
例えば、新潟県佐渡市では、地元のフェリー会社と組んで、自動公路の運賃負担を軽減する実証を行っています。
スピーカー 1
なるほど。島へは移動費を下げるんですね?
スピーカー 2
ええ。他にも、空き家をサブスクリプション型で提供して初期費用をゼロにしたり、交通費を低額化する検証も進んでいます。
サブスクで住めるのはいいですね。
スピーカー 2
さらに面白いのが、福島県万代町などで行われている改装化された第二住民登録の仕組みなんです。
スピーカー 1
ちょっと待ってください。改装化された第二住民登録、それってどういう意味ですか?私は第二のマイナンバーカードか何かをもらえるんですか?
スピーカー 2
まあ、そういうイメージに近いですね。
スピーカー 1
今の免許証とかって、住所を書く欄は人としかありませんよね?
スピーカー 2
ええ。物理的なカードというよりは、デジタルIDを通じた仕組みを想像してください。
今の制度では、完全に住民票を移さない限り、その町の住民向けサービスとか交通機関の割引は受けられませんよね?
スピーカー 1
はい。よそ者料金になります。
スピーカー 2
しかし、このデジタルな第二の住民登録をすれば、メインの税金は元の都市に収めたままでも、万代町の準住民として認証されるんです。
準住民ですか?
ええ。これにより、現地のコミュニティバスに住民価格で乗れたり、現地のサービスを割引で利用できたりする権限がアンロックされる、そういう仕組みなんです。
スピーカー 1
なるほど。その町専用のデジタルパスポートを手に入れるわけだ。それはすごいゲームチェンジャーですね。
でも、もう一つ大きな疑問があるんですよ。
和歌山県などの自治体とJALやANAが連携して、マイレージを活用した航空移動費の負担軽減をやっているって資料にありますよね?
スピーカー 2
はい。行われていますね。
スピーカー 1
これ、企業側に何のメリットがあるんですか?
航空会社とか鉄道会社が、自ら運賃を下げる実験をしている。もし彼らがボランティアとかCSR活動の一環として赤字各部でやっているんだとしたら、絶対に長続きしませんよね。ビジネスとして成立しないとインフラにはなり得ないと思うんですが。
パラダイムシフト:定住から「関係人口」のLTVへ
スピーカー 2
そこです。そこが今回の深掘りにおける最大のアハー体験になる部分なんですよ。
スピーカー 1
どういうことですか?
スピーカー 2
なぜ企業がみぜにを切ってでも移動費を下げるのか。それは日本社会全体で根本的なパラダイムシフトが起きているからなんです。
スピーカー 1
パラダイムシフトですか?
はい。人口減少社会において、企業も自治体もこれまでは定住人口、つまり完全に移住して住民票を移してくれる人だけをターゲットにしてきました。
スピーカー 1
まあ、それは普通ですよね。
でも、日本の総人口がものすごい勢いで減り続けている中で、定住者を奪い合うのって縮小するパイの奪い合いであり、最終的には税人が自利品になるゼロサムゲームなんです。
スピーカー 1
確かに。国全体で人が減っているのに、隣の県から人を引っ張ってきても全体としては何の意味もないですよね。
ええ。そこで彼らは関係人口、それもたまに観光に来るだけではなくて、定期的に通い、地域で働き、消費、貢献してくれるプレミアムな関係人口を増やす戦略に完全に切り替えたんです。
スピーカー 1
あ、ちょっと待ってください。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
つまり、企業側は完全に移住させるっていう無理ゲーをもう諦めたわけだ。
スピーカー 2
その通りです。
その代わり、運賃を下げてでも月に2回とか年に20回通ってくれる私のような存在を作れば、結果的に交通インフラの座席は埋まるし、地元での消費も継続的に埋まれる、と?
スピーカー 2
まさにそれです。これはビジネスでいうところのLTV、ライフタイムバリュー、つまり顧客障害価値の考え方なんですよ。
障害顧客価値、なるほど。
スピーカー 2
1回の高い運賃で稼ぐのではなく、日期居住者の移動のハードルを徹底的に下げて、高頻度で長期間通ってもらう。
それがこれからのローカル鉄道とか国内航空路線、そして地域ビジネスの生命線を維持するための先行投資になる。
彼らはそう築いたんです。
スピーカー 1
うわあ、それはものすごい認識の転換ですね。
パイを奪い合うんじゃなくて、1人の人間が2つの町で生活して、2つの町にお金を落とすっていう新しい経済モデルを作ろうとしている。
ええ。
だから、JALとかANAみたいな大企業が本気でルール作りにまで入り込んでいるんだ。
いやあ、点と点が完全につながりました。
スピーカー 2
そうなんですよ。令和8年度の予算案でも空き家対策とかテレワーク拠点の整備、そしてこの交通インフラの維持改善など、
二地域居住の促進という明確な目的に対して、重点的に予算が配分されるシステムが着実に整いつつあります。
二地域居住の現在地と民主主義への問い
スピーカー 1
さて、ここまで一気に深掘りしてきましたが、そろそろまとめに入りましょうか。
はい。
今回、この国土交通省の資料から見えてきたのは、
二地域居住っていうのがもはや一部の富裕層を堂落でも、ハードルの高すぎる覚悟のいる田舎暮らしでもなくなったっていう強烈な事実ですよね。
スピーカー 2
そうですね。国が法律を作り、予算をつけ、名だたる大企業から地元のNPOまでが連携して、あなたがそこへ行くための道を巨大な社会システムとして整備し始めているんです。
スピーカー 1
へえ。
スピーカー 2
インフラの整備から現場のリアルなマッチング、そして移動のコストダウンに至るまで、包括的なエコシステムがすでに稼働しているんですよね。
スピーカー 1
これを聞いているあなた、もしあなたが今、通勤電車の中で、今の生活とかキャリアを完全に捨てるのは怖いけれど、新しい刺激とか、自分が貢献できるもう一つの居場所が欲しいと思っているなら、今は歴史上最高のタイミングかもしれませんよ。
スピーカー 2
本当にそうだと思います。法制度や支援法人が整った今、最初の一歩を踏み出すハードルは過去に比べて劇的に下がっています。
地域はあなたのスキルや、ただそこに関わってくれること自体を熱望していますからね。
スピーカー 1
ええ。ライフスタイルの分散投資を始める土壌はすでにあなたの目の前に用意されているわけです。では最後に、今回の資料には書かれていない一つの挑発的な問いをあなたに投げかけて、この深掘りを終わりにしたいと思います。
スピーカー 2
はい。何でしょう。
スピーカー 1
もし今後、第2の住民票とかデジタルパスポートが完全に普及したとしましょう。私たちが2つの町に税金を払って、2つの町のコミュニティに深く息して、人生の時間を50対50で過ごすのが当たり前になったとき。
スピーカー 2
ええ。
スピーカー 1
選挙権という1人1票、1つの場所でしか投票できないことを前提とした民主主義の根幹は、今のままのシステムで機能するのでしょうか。
スピーカー 2
それは非常に根源的で、制度の根底を揺るがす鋭い視点ですね。
あなたの地元が2つになったとき、社会のルールそのものがどうアップデートされるべきなのか、ぜひ次の週末、2つの場所を行き来する自分を想像しながら考えてみてください。
20:05

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