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子育てコミュニティと「子育ては街でやっていく」というキーワードの真意:つながりで見守る、社会と地域で創る子育て共助の未来(今の企業はどこまで生産性を第一に考えるべきなのか)
2026-08-19 18:54

子育てコミュニティと「子育ては街でやっていく」というキーワードの真意:つながりで見守る、社会と地域で創る子育て共助の未来(今の企業はどこまで生産性を第一に考えるべきなのか)

企業経営における生産性と人的資本の再定義:子育て支援とリスキリングから見る持続可能な成長モデル

エグゼクティブ・サマリー

現代の企業経営において、「生産性」の定義は劇的な転換期にある。かつての「短期的・時間的なアウトプットの最大化」を第一とするモデルは、深刻な人材不足と技術革新の加速により、もはや持続可能ではない。提供された資料を総合すると、真に生産性の高い組織とは、以下の3点を備えた組織であると定義できる。

  1. ダウンサイドリスクの除去: 育休や介護、病気といった人生の不可避なイベントを「キャリアの断絶」ではなく、リフレッシュやリスキリングの「投資期間」へと転換させる制度設計(メルカリの「merci box」やサイボウズの「育自分休暇」など)。
  2. 非属人化による組織の柔軟性: 特定の個人に依存しない「モブプログラミング」やドキュメント共有の徹底により、誰かが欠けても業務が停滞しない構造(SmartHRの事例)。
  3. 人的資本への長期的投資: 社員の健康と成長を事業発展の礎とし、働き方改革と女性リーダー育成を並行して推進することで、離職率を劇的に低下させ、持続的な成長を実現する(SCSKの事例)。

結論として、企業は「生産性を第一に考える」べきだが、それは短期的な数字ではなく、社員のウェルビーイングとキャリア継続を包含した「長期的な人的資本の最大化」として再定義されなければならない。

1. IT業界が直面する構造的課題と生産性のボトルネック

日本の情報通信産業は、市場拡大の一方で、深刻なジェンダーギャップと長時間労働という構造的課題を抱えている。これが組織全体の生産性を著しく阻害している。

  • 極めて低い女性比率: 日本のITエンジニアの女性比率は18.8%〜19.5%程度で、主要国・OECD加盟国の中でも最下位水準である。意思決定層(管理職)における女性比率も8.1%と極めて低い。
  • 長時間労働の常態化: 情報通信業の所定外労働時間は月平均16.5時間と、全産業中で2番目に長く、これが育児との両立を阻む物理的障壁となっている。
  • 「出社回帰(RTO)」による離職リスク: コロナ禍後、一律の出社強制を進める企業が増えているが、これが子育て世代に深刻な打撃を与えている。調査では、子育て世代の7割以上が出社増加を契機に転職を検討しており、柔軟性の欠如が優秀な人材の流出を招いている。

2. 子育て支援を「福利厚生」から「戦略的投資」へ

先進的なIT企業は、子育て支援を単なるコストではなく、人材獲得(リテンション)と組織強化のための戦略的投資と位置づけている。

2.1 経済的保障による不安の払拭(メルカリの事例)

メルカリは「merci box」を通じて、社員のバリュー発揮を妨げる「ダウンサイドリスク」の除去に注力している。

  • 給与100%保障: 産休・育休期間中、女性は約8ヶ月分、男性は8週分の給与を会社が100%保障する。
  • 包括的なライフイベント支援: 認可外保育園の差額補助(月最大10万円)、病児保育補助(1時間1,500円、無制限)、妊活・不妊治療費の補助(一子につき最大200万円)など、経済的不安を徹底して排除している。

2.2 働き方の再設計と心理的安全性の確保(NTTグループの事例)

NTTグループは、制度整備だけでなく「風土改革」を重視している。

  • 男性育休の必須化: 1ヶ月以上の育休取得を原則必須化し、2024年度の実績では取得率120%を達成した。
  • 業務カバーへの正当な評価: NTT西日本の「My Work +」では、育休取得者の業務を引き継ぐ社員の貢献を評価に反映させる仕組みを導入し、「お互い様」の文化をシステム化している。

3. 産業構造に潜む「生産性と権利」の乖離

企業規模や契約形態(SIer、下請け、SES)により、子育て支援の実効性には大きな格差が存在する。特にSES(システムエンジニアリングサービス)においては、ビジネスモデルそのものがボトルネックとなっている。

  • 常駐先(クライアント)の壁: SESエンジニアの休職はクライアント側の戦力喪失に直結するため、営業がクライアントの顔色を伺い、エンジニアに休職時期の変更などの圧力をかけるケースがある。
  • 復職時の「詰み」のリスク: 育休後の復帰において「元の席」がないため、ゼロから案件を探す必要がある。一部のSES企業では、待機期間中の減給や自然退職の誘導が行われており、法的には権利があっても運用面でキャリアが断絶するリスクが高い。
  • 所得による格差: 30代前半における元請けと下請けの年収差は138万円に達し、低所得層ほど「技術ブランクによる年収低下」や「職場復帰の不確実性」に対する心理的ハードルが高くなっている。

4. リスキリングを通じた「キャリアのバージョンアップ」

育休期間を「ブランク」ではなく、市場価値を高めるための「リスキリング期間」として活用する動きが加速している。

  • 個人の自発的リスキリング: 1年間の育休を利用して「マナビDX Quest」への参加やG検定(AI)、データサイエンティスト検定を取得し、エンジニアとしての幅を広げる事例が見られる。
  • 組織的な伴走支援: 復職時に新しい技術や役割(サービスデザイン、DXリードエンジニアなど)へとアセンブルさせることで、休業期間を個人のキャリアアップと企業の高度化の双方に寄与させるマネジメントが求められている。

5. 持続可能な組織のための「村(Village)」の概念

「It takes a village to raise a child(子供を育てるには村が必要だ)」という概念は、企業組織にも適用可能である。

  • 非属人化の徹底: 特定の個人がいないと業務が止まる状態を廃し、ドキュメント共有や「モブプログラミング」を導入することで、突発的な離脱を許容できる組織構造を構築する。
  • 職場全体の不公平感の緩和: 三井住友海上やサッポロなどの事例に見られる「業務カバー手当(応援手当)」の支給は、育休取得者とそれを支える同僚の双方が納得感を持てる仕組みとして有効である。

重要な引用とキーメッセージ

「『働けるなら働くべき』『長期間休むのは悪』という自分の中にある価値観や常識から一歩踏み出して、日々の仕事の重圧から開放されて無風な状態になったときに何を思うのかを感じてみたいと思いました。」 —— 稲垣 弥生 氏(エンジニア、JDLAインタビュー)

「会社が個人の人生(物語)を統計の脚注や企業の犠牲として扱うのではなく、個人の人生の物語を企業の成長ストーリーの中に統合し、共に価値を生み出していく関係性へとデザインし直すこと。これこそが、離職率を激減させ、イノベーションを引き起こす次世代のIT企業経営の核心である。」 —— (出典:IT企業における子育て支援策の現状と構造的課題)

「人を大切にします……社員全員の健康と成長が事業発展の礎と明言し、SCSKの経営理念にある『3つの約束』の1つ……の実践へと舵を切った。」 —— 河辺 恵理 氏(SCSK執行役員)

結論:企業が目指すべき「真の生産性」

企業が生産性を第一に考えることは正当である。しかし、それはもはや「社員からどれだけ多くの時間を搾り取れるか」という古い問いへの回答であってはならない。

現代における生産性の本質とは、**「多様なライフステージにある個人が、将来への不安なく、いかに自律的に能力を発揮し続けられるか」**という点にある。子育て支援、リスキリング、柔軟な働き方の提供は、コストではなく、変化の激しい市場で生き残るための不可欠な「生産性向上策」なのである。

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サマリー

現代の企業経営において、短期的な生産性向上を追求し、オフィス出社を強制する「出社回帰」の動きが、特にIT業界で優秀な人材の7割以上を転職検討に追い込むという逆説的な事態を引き起こしています。これは、日本のIT業界が抱える女性比率の低さや長時間労働、SESのようなビジネスモデルの構造的欠陥が背景にあります。しかし、サイボウズやメルカリのような先進企業は、育休や不妊治療支援といったライフイベントへの徹底的な寄り添いを「ダウンサイドリスクの排除」と捉え、戦略的投資として位置づけることで、離職率を劇的に低下させ、高いパフォーマンスを実現しています。さらに、リスキリング支援や、業務の非属人化、カバーする同僚への経済的インセンティブ、地域コミュニティとの連携を通じて、個人が安心して能力を発揮できる「持続可能なエコシステム」を構築することこそが、現代における真の生産性向上であると結論付けています。

生産性追求のパラドックス:出社回帰と人材流出の現実
スピーカー 2
あのー、もし私がですね、生産性を上げるために社員をオフィスに呼び戻した結果、最も優秀な人材の70%が会社を辞める計画を立てているなんて言ったら、信じますか?
スピーカー 1
いやー、普通に考えたらそれ完全に逆効果じゃないですか。でも、あのー、それが今実際に起きている現実なんですよね。
リスナーのあなたも、日々の仕事の中で出社した方が効率がいいとか、もっと稼働率を上げろって言われて、今の企業って一体どこまで生産性を大事に考えるべきなんだろうってもやもやしたことありませんか?
スピーカー 1
ええ、きっと多くの方が感じている疑問だと思います。
スピーカー 2
目先の数字を追いかける古い常識が、実が今企業の首を激しく締めているかもしれないんですよね。
スピーカー 1
うーん。
スピーカー 2
ということで今回は、企業の採用データとか、IT業界の生々しい人事問題、さらには個人のリスキリング体験談なんかを一見バラバラに見える資料を重ね合わせて、この大きなパラドックスの正体に迫っていきたいと思います。
スピーカー 1
はい、すごく重要なテーマですね。
IT業界の構造的課題とSESモデルの限界
スピーカー 2
それでは、紐解いていきましょうか。まずは、あの衝撃的な70%っていう数字の裏側から見ていきたいんですが。
スピーカー 1
そうですね。コロナ禍が落ち着いてから、経営人がやっぱり顔を合わせて働くのが一番生産性が高いぞって言ってオフィス出社を再開する、いわゆる出社回帰の動きが進んでいますよね。
ええ、よくニュースでも見ます。RTO、Return to Officeってやつですよね。
スピーカー 1
はい、まさにそれです。でもその結果何が起きたかというと、子育て世代の7割以上がこの出社回帰をきっかけにして、転職を検討し始めているんですよ。
スピーカー 2
7割って異常な数字ですよね。
スピーカー 1
さらに驚くべきことに、なんと5.2%の人は検討にとどまらず、すでに転職を実行してしまっているんです。
スピーカー 2
うわあ、もう辞めちゃってるんですね。企業からすれば、生産性を上げようって号令をかけた瞬間に、エース級の人材がごっそり抜けようとしているわけで大損失じゃないですか。
スピーカー 1
おっしゃる通りです。そしてこれがさらに深刻なのが、IT業界なんですよ。女性のIT人材に限って言うと、実に3人に1人が出社回帰を理由に本気で転職を考えているというデータがあります。
スピーカー 2
3人に1人。なんでそんな極端な反発が起きているんですか。
スピーカー 1
背景にはですね、日本のIT業界が長年放置してきた働き方の構造的な欠陥があるんです。
スピーカー 2
構造的な欠陥ですか?
スピーカー 1
ええ。そもそも日本のIT業界における女性エンジニアの比率って、18.8%から19.5%程度なんですね。
スピーカー 2
2割にも満たないんですね。
スピーカー 1
はい。これ、主要国の中でも最下位レベルなんです。その上で、情報通信業の所定外労働時間、つまり残業ですね。これが月平均で16.5時間にも出していて、全産業で2番目に長いんですよ。
スピーカー 2
なるほど。長時間労働がデフォルトになっているんですね。
スピーカー 1
そうなんです。この長時間労働が当たり前っていう環境に、教員に毎日出社しろっていうルールを掛け合わせたらどうなるか。
スピーカー 2
いや、育児との両立なんて物理的に不可能になりますよね。これって例えるなら、フルマラソンを走るのに最初の1キロだけとにかく全力疾走しろって命令して、
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
ランナーの足にできたひどい靴擦れを完全に無視しているようなものじゃないですか。
スピーカー 1
全くその通りです。しかも、靴擦れを無視するどころか、キザンコウが欲しいならもう走るのをやめろってコースから追い出しているような状態なんですよ。
それはひどい。
目先の稼働率っていう名のタイムを縮めようとした結果、長期的にはランナーそのものがいなくなってしまう。
スピーカー 2
つまり、リテンション、人材の定着が完全に破壊されているわけですね。出社を強制して目先の効率を上げようとした結果、優秀な人材が70%も離脱を考えるなら、それって本当に生産的と言えるんでしょうか。
スピーカー 1
いや、全く言えないですよね。しかもこれ、単なる個人の頑張りとか気合の問題じゃなくて、ビジネスモデル自体が足枷になっているケースもあるんですよ。
スピーカー 2
と言いますと。
その典型がSES、つまり客先常駐と呼ばれる働き方です。
スピーカー 2
ああ、エンジニアが別の会社に常駐して働くシステムですね。
スピーカー 1
はい。ここで産休や育休を取ろうとすると、クライアントの承認という巨大な壁にぶつかるんです。
スピーカー 2
え?ちょっと待ってください。自分の会社の社員なのに、お客様の許可がないと休めないってことですか?
スピーカー 1
事実上、そういうふうに機能してしまっているんです。
営業担当者は、現場から人が抜けるなら契約を打ち切るぞってクライアントに言われるのを恐れて、エンジニアに給食を思い留まらせようとするケースがあるんですよ。
スピーカー 2
うわあ、それはきついですね。
スピーカー 1
さらに恐らしいのは、復職時です。元のプロジェクトはすでに別の人で回っていることが多いので、戻る場所がないという事態が起きるんですね。
スピーカー 2
じゃあどうなるんですか?
スピーカー 1
次のアサイン先が決まるまで待機となり、その間は言及され、最悪の場合は退職に追い込まれるディスクすらあるんです。
スピーカー 2
それは怖すぎますね。そんな状況でキャリアを休むなんて決断簡単にはできませんよ。
スピーカー 1
実際に年収による格差のデータも衝撃的でした。
年収500万円以下の層と1000万円以上の層の比べると、育休取得の心理的ハードル、つまり取りにくさに最大8.8倍もの格差があるそうです。
スピーカー 2
8.8倍ですか。生活の余裕がない層ほど、キャリアへの悪影響とか、復職後のポジション喪失への恐怖を強く感じてしまうわけですね。
スピーカー 1
ええ。とにかく止まず長く働くことが生産性だっていう従来型のモデルが完全に限界を迎えている証拠ですね。
ライフイベント支援を戦略的投資へ:先進企業の成功事例
スピーカー 2
なるほど。では、出社を強要して無知を打つアプローチが人材を破壊しているとしたら、その逆をやっている企業はどうなっているのか。ここからが本当に面白いところなんですが。
スピーカー 1
はい。先進的な企業のアプローチですね。
スピーカー 2
社員の人生の都合、つまりライフイベントに徹底的に寄り添うことで、逆にものすごいパフォーマンスと定着率を叩き出している会社があるんですよね。
スピーカー 1
そうなんです。極端の成功例として有名なのが細胞図ですね。2005年当時は28%という高い離職率に悩んでいましたが、現在ではなんと4%にまで低下しています。
スピーカー 2
28%から4%って劇的な変化ですよね。この細胞図の精度、最長6年も育休が取れるんですよね。
スピーカー 1
ええ。それに加えて、一度退職しても6年以内なら復職できる育児分休暇制度なんてものまであるんです。まさに100人100通りの働き方を実現しています。
スピーカー 2
さらに、メルカリのマーシーボックスという制度も桁違いでしたようで、女性は約8ヶ月、男性は8週間の給与を会社が100%保障する。
スピーカー 1
はい。それだけじゃありません。認可外保育やゼロ採取保育には月10万円を上限に補助を出して、病児保育は無制限で1時間1500円補助してくれるんですよ。
スピーカー 2
すごいですよね。そこに加えて、不妊治療には上限200万円、卵子凍結の費用まで補助するようになっていると。
スピーカー 1
そうなんです。個人のライフイベントにそこまで踏み込んで支援しているんです。
スピーカー 2
いやいや、ちょっと待ってください。あの、ちょっと意地悪な聞き方をしますけど、最長6年も休ませたり、卵子凍結とか不妊治療に数百万円の補助金を出したりするのって、経営者から見れば莫大なコスト、つまりお金の垂れ流しに見えませんか?
スピーカー 1
まあ、一見すると過剰な出費に見えますよね。
スピーカー 2
はい。これがどうして生産性の向上なんていうプラスの結果に結びつくんですか?
スピーカー 1
ここで興味深いのは投資対効果のメカニズムなんです。これらの制度は、社員に対するダウンサイドリスクの排除として機能しているんですよ。
ダウンサイドリスクの排除ですか?つまり、働く上での最悪の事態への不安を取り除くということですか?
スピーカー 1
その通りです。例えば、優秀なエンジニアを新たに市場から採用しようとすれば、エージェントへの報酬や教育コスト、さらにその人がチームに馴染んでパフォーマンスを発揮するまでの時間を考えれば、数百万から数千万単位のコストがかかります。
スピーカー 2
確かに採用コストってバカにならないですよね。
スピーカー 1
だとすれば、社員が子供が熱を出したらどうしようとか、将来の妊娠と今のキャリアをどちらを諦めるべきかっていう不安で頭の容量を奪われている状態を、会社がお金を出して事前に解決してあげる。
なるほど。
スピーカー 1
そうすることで、社員は心理的な安全性を得て、目の前の仕事に100%のエネルギーを注げるようになります。
結果的にエンゲージメントが高まり、離職率が劇的に下がって採用コストも浮く。長期的なスパンで見れば、これほど利にかなった生産性向上策はないんです。
スピーカー 2
個人がライフイベントで抱えるコストや不安を会社が肩代わりすることで、圧倒的なコミットメントを引き出しているんですね。
スピーカー 1
ええ。その結果として、個人側も単に休むだけじゃなく、会社に還元しようと自ら成長するんです。
育休をキャリアのバージョンアップ期間に:リスキリングの可能性
スピーカー 2
その象徴的なエピソードが、ニューロマジック社で働くフロントエンドエンジニア、稲垣さんのケースですよね。
スピーカー 1
はい。彼女は専業主婦のパートナーと協力して、1年間の育休を取得しました。
面白いのは、その期間をただの休みにするのではなく、経済産業省が推進するマナビDXクエストという無料のリスキリングプログラムに参加したことです。
スピーカー 2
育休中にAIやデータサイエンスの勉強をして、G検定やデータサイエンティスト検定に合格したんですよね。
そして復職後は、これまでのフロントエンド開発からサービスデザイン部門へと完全にキャリアをシフトさせている。
スピーカー 1
素晴らしいですよね。育休ってこれまではキャリアの空白期間として恐れられていましたけど、彼女はそれをキャリアのバージョンアップ期間に変えてしまったんです。
スピーカー 2
本当にすごい行動力です。でもこれって個人の努力だけじゃなくて、環境も大事ですよね。
スピーカー 1
ええ。特にIT業界は技術の進化が異常に早いですから、休業中に自分のスキルが時代遅れになるんじゃないかっていう想像感は深刻なんです。
実際、女性エンジニアは男性の2.4倍も新しいツールの習得に不安を抱えているというデータもあります。
2.4倍ですか。それは焦りますよね。
スピーカー 1
だからこそ、企業がただ休ませるだけでなく、国やコミュニティと一緒になってリスキリングの伴奏をし、復職後に新しいスキルを活かせるポジションを用意する。そこまでやって初めて真の意味での両立支援になるんです。
「村」の概念:組織全体で支える仕組みと公正な評価
スピーカー 2
いや、ここまで聞くと、じゃあ福利構成を手厚くしてどんどん休めるようにすれば万事解決だと思いたくなるんですが。
そう簡単にはいかない部分もありますね。
スピーカー 2
リスナーの皆さんも、きっと頭の片隅で引っかかっている問題がありますよね。そう、誰かが休んだ時、その人の仕事をカバーする周囲の人たちの負担です。
スピーカー 1
いわゆる子持ち様批判と言われるような職場内の摩擦ですね。
はい。独身の人や子供がいない人にばかりしわ寄せがいく。いくら制度が立派でも、現場の人間関係がギスギスしてしまったら、結局その制度は誰も使えなくなりますよね。
スピーカー 1
その通りです。先進的な企業は、このしわ寄せを個人の善意に頼るのではなく、システムとして解決しているんですよ。
スピーカー 2
システムですか?
スピーカー 1
例えば、スマートHRでは、尿乳を特定の人しかできないという俗人的な状態から徹底的に抜け出させています。
スピーカー 2
リスナーの皆さん、ちょっとご自身の今の仕事を想像してみてください。もし、明日自分が急に熱を出して1週間休むことになったら、関わっているプロジェクトは止まらずに進みますか?
スピーカー 1
なかなか難しい方が多いんじゃないでしょうか。
スピーカー 2
おそらく、自分がいないと回らないという方が多いと思います。スマートHRはこれを防ぐためにモブプログラミングを取り入れているんですよね。
はい。一人の天才がコードを書くのではなく、複数人で同じ画面を見ながら同時にコードを書いていくんです。
スピーカー 2
みんなで一緒にやるわけですね。
スピーカー 1
ええ。さらに、議事録やミーティングの動画記録を徹底的に残すことで、情報が一人に偏る状態を排除しています。だからこそ、誰がいつ休んでもプロジェクトが滞らないフルフレックスやリモートワークの環境が成立しているんです。
スピーカー 2
業務の非俗人化。仕組みを変えるのはよくわかります。でも私が一番驚いたのは、お金で解決するアプローチなんです。
スピーカー 1
経済的インセンティブですね。
スピーカー 2
はい。三井住友会場では、育休を取った社員の業務をカバーした同僚全員に最大10万円の応援手当という祝金を支給しているそうですね。
スピーカー 1
ええ。札幌ビールでも最大約6万円の手当が騙し、NZTドコモではカバーした業務そのものをマイワークプラスという仕組みで順次評価にプラスしているんです。
スピーカー 2
つまり、これって思いやりや共感をお金や評価という具体的なシステムで買い取っているということですか?
スピーカー 1
その表現まさに本質をついていますね。心理学に公正理論というものがあるんですが。
スピーカー 2
公正理論ですか?
スピーカー 1
はい。人間は自分が組織から公平に扱われている、正当な見返りをもらっていると感じて初めて他社に協力する欲を持つんです。精神論ではなく物理的な報酬で葬ることが重要なんですね。
スピーカー 2
私たちはこれまでチームワークやカバーし合うことって思いやりとかお互い様という精神論で乗り切るものだと教わってきましたよね?
スピーカー 1
ええ。日本の職場ではよくある光景です。
スピーカー 2
でも、この企業たちが証明しているのは、その善意に頼り続けると現場が疲弊して崩壊するということなんですね?
スピーカー 1
おっしゃるとおりです。ある熊本県の社会保険労務士の分析資料でも指摘されていましたが、重要なのは育児中の社員だけを優遇することではないんです。
スピーカー 2
と言いますと?
スピーカー 1
独身社や子供のいない社員にも、週1回のリモートワークやバケーション制度といった柔軟な働き方を提供し、あくまで成果ベースで公正な評価を行うことが不公平感の解消には不可欠なんです。
スピーカー 2
なるほど。休む人を支える側にも明確なメリットを提示する。制度を利用する人とそれをカバーする人の間の不公平感をなくすことが、結果的に組織全体のパフォーマンス低下を防ぐ最大の防波堤になるんですね?
エコシステムとしての企業:地域・コミュニティ連携と未来の生産性
スピーカー 1
ええ。制度を作り、カバーする人を評価する仕組みも整える。これだけでもかなり先進的ですが、今回の資料を読み込んでいくと、この生産性を支える基盤が、もはや会社の中だけでは完結しなくなっていることに気づきます。
スピーカー 2
つまり、それはどういうことなんでしょうか?企業単体の枠を超えて、地域社会やコミュニティとのエコシステム、村のようなつながりを作り出すフェーズに入っているということですか?
スピーカー 1
まさにその通りです。より大きな視点で捉えると、社会全体でのサポートが必要になってきているんです。例えば、アズママの子育てシェアというサービスがあります。
スピーカー 2
子育てシェアですか?
スピーカー 1
はい。これ、保育園でも会社でもなく、近所に住む人同士で子供を預け合うコミュニティなんです。特にエッセンシャルワーカーの方々にとって、コロナ禍の急行パニックの時など、この地域のつながりが仕事を続けるための文字通り命綱になっていました。
スピーカー 2
福岡県大野城時のプロモーション動画もまさにそれでしたよね。ママが選んだ大野城というキャッチコピーなんですが。
スピーカー 1
ええ、あの動画は印象的でした。
スピーカー 2
アピールしているのが施設の豪華さとかじゃないんですよね。カフェの店員さんや助産師さんが街全体で温かく見守ってくれるという空気感、この心理的安全性が働く親にとってどれだけ背中を押してくれるかっていう。
スピーカー 1
会社の中のつながりも同様です。孤立を防ぐためのネットワークが重要視されています。
スピーカー 2
確かに。一人で悩みを抱え込むのは辛いですもんね。
スピーカー 1
NTT東日本では育児中の社員同士が悩みを共有できるコーチャージプラスというコミュニティを運営していますし、NTTグループ全体で男性の育休に関するパネルディスカッションを開いてナレッジを共有しています。
スピーカー 2
さっき出てきたリスキリングの資格、G検定の合格者が集まるCDLEというコミュニティもそうですよね。一人で黙々と勉強するんじゃなくて仲間とつながることでモチベーションを維持する。
そうなんです。これらが示唆しているのは非常に重要なポイントです。社員を決まった時間に稼働する労働力という名の機械の部品として扱う時代はもう終わったということです。
スピーカー 2
なるほど。彼らは地域社会で暮らし、複雑な人間関係を持ち、予測不可能な人生を歩む人間なんですよね。
スピーカー 1
だからこそ会社の都合に個人の人生を合わせさせるんじゃなくて、会社が個人の人生のエコシステムの一部に組み込まれていく必要があるんです。
スピーカー 2
そういうことですね。さて少し視野を広げて今回の最初の問いに戻ってみましょうか。今の企業はどこまで生産性を第一に考えるべきなのか。
スピーカー 1
結論から言うと企業である以上生産性は第一に考えるべきです。しかしその生産性の定義を混沌から書き換えなければ生き残れません。
スピーカー 2
出社させて労働時間をサクリ取るような目先の効率を生産性と呼ぶのはもう古いと。
ええ。個人のライフイベントを支えカバーする同僚には正当な評価とお金を払い地域コミュニティという外部の力とも連携する。
スピーカー 1
そうやって人が壊れずに持続できるエコシステムを作ることこそが現代における本当の意味での究極の生産性向上なんです。
スピーカー 2
まさに個人の人生の波を受け入れる余白をシステムとして組み込んでいる組織だけが結果的に高いパフォーマンスを出し続けることができるんですね。
リスナーのあなたはどう感じましたか。
スピーカー 1
ご自身の職場環境と照らし合わせてみると見えてくるものがあるかもしれませんね。
あなたが今働いている環境は個人の事情を無視して目先の効率だけを吸い上げる場所になっていますか。
スピーカー 2
それとも人生の変化を支え合うエコシステムの一部になれているでしょうか。
スピーカー 1
一度足元を見つめ直してみる価値のある問いだと思います。
最後にここまでの話を踏まえてもう一つ刺激的な考えをお渡ししておきたいと思います。
スピーカー 1
何でしょうか。
スピーカー 2
これから先、AIの技術がもっと進化してタスクの効率化や最適化を完全に機械がやってくれる時代が来たとしますよね。
スピーカー 1
ええ、遠からずそういう未来が来そうですね。
スピーカー 2
その時、企業が持つ本当の価値を決めるのは、いかに早くミスなく作業をこなすかではなくなるはずです。
むしろ病気や育児、介護といったAIには絶対に計算しきれない、人間の複雑で予測不可能な人生を組織としていかに優しく包み込みサポートできるか。
スピーカー 1
なるほど。効率の良さから人間らしさの需要へとシフトするわけですね。
スピーカー 2
そうなんです。それこそが人が集まる最強の企業の条件になるのではないでしょうか。
あなたはそんな未来の組織でどんなふうに働いていたいですか。
今回の深堀はここまでです。次回もお楽しみに。
18:54

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